再生可能エネルギーが「転換点」を突破、太陽光・風力が化石燃料より低コスト化

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国連が発表した2つの報告書によると、世界の再生可能エネルギーへの転換が「ポジティブな転換点」を越え、太陽光と風力発電のコストが化石燃料を下回る水準まで低下したことが明らかになった。AP通信が7月22日、報じている。昨年の世界の電力供給量増加分の74%が風力、太陽光などのグリーンエネルギーによるもので、新規発電容量の92.5%を再生可能エネルギーが占めた。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告書によると、陸上風力発電のコストは化石燃料の最低コストと比較して53%安く、太陽光発電は41%安い水準となっている。昨年の世界における最も安価な電力源トップ3は、陸上風力、太陽光パネル、新規水力発電だった。電気自動車(EV)の販売台数も2015年の50万台から2024年には1,700万台へと急増している。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は「化石燃料の時代は衰退し、失敗しつつある。我々は新しいエネルギー時代の夜明けを迎えている」と述べ、昨年のグリーンエネルギーへの投資額が2兆ドルに達し、化石燃料への投資を8,000億ドル上回ったことを指摘した。再生可能エネルギーには「太陽光に価格高騰はなく、風に禁輸措置もない」とエネルギー安全保障の観点からも優位性を強調した。

一方で、再生可能エネルギーの成長は主に中国(グリーンエネルギーが経済の10分の1を占める)、インド、ブラジルなどの国々に集中しており、電力需要が高いアフリカでは昨年の新規グリーンエネルギー容量の2%未満にとどまっている。国連は、グローバルサウスにおける資本コストの高さが課題だと指摘する。また、化石燃料には6,200億ドルの政府補助金が投入されており、再生可能エネルギーの700億ドルの約9倍に上ることも報告されている。

日本では、経済産業省の統計によると2023年度の再生可能エネルギーの発電量は全体の約25%を占め、太陽光発電の導入量は世界第3位となっている。一方、米国では2018年から2023年にかけて太陽光・風力発電が年率12.3%で成長していたが、トランプ政権発足後はパリ協定からの離脱や再生可能エネルギープログラムの削減など、化石燃料重視の政策転換が進んでいる。グテーレス事務総長は「化石燃料に固執する国々は経済を守っているのではなく、破壊している」と警告した。

【参照記事】Green energy has passed ‘positive tipping point,’ and cost will come down, UN says

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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