マンション投資において物件を選ぶ時には、必ず物件概要書を確認することになります。物件概要書に記載されている内容には専門用語も含まれるため、不動産投資の初心者であれば特に、「見てもよくわからない」と感じることが多いのではないでしょうか。
この記事では、投資用マンションの物件概要書に記載されている内容と、特に注意して確認するべきポイントについて解説します。
目次
- マンション投資の物件概要書とは
- マンション投資の物件概要書に記載されている内容
2-1.取引形態
2-2.取引価格
2-3.利回り
2-4.設備
2-5.交通
2-6.土地・建物
2-7.引き渡し
2-8.備考 - まとめ
1.マンション投資の物件概要書とは
物件概要書とは、所在地や取引価格のほか想定利回りなど、取引の対象となる不動産の基本的な情報が記載されている書類です。文字による情報のほか、投資用マンションの外観写真や住戸内の写真に加えて間取り図などが掲載されています。なお、物件概要書は不動産会社とのやり取りにおいてマイソクと呼ばれています。
古い物件の場合は間取り図などが掲載されていないこともあります。間取り図が掲載されていない場合は現地での確認が必要です。
物件概要書は法律などによって作成義務が定められたものではありません。不動産会社が物件の広告として作成しているものであり、書式や体裁は物件ごと・不動産会社ごとに異なっています。
物件概要書の事例(プロパティエージェント)
「プロパティエージェント」のブランドマンション「クレイシア」の中古区分マンションの物件概要書です。物件価格は2,400万円、査定賃料は86,000円(現況:同額)となっています。
プロパティエージェントは、東京23区・横浜エリアに集中したマンション開発・販売により入居率99.59%(2024年1月末時点)の実績を有する東証プライム上場グループ企業です。こちらの物件概要書を活用して提案頂いたセミナー体験記事もご参考ください。
【関連記事】プロパティエージェントの不動産投資セミナーの内容は?体験レポート・講師インタビュー
2.マンション投資の物件概要書に記載されている内容
物件概要書の記載内容には義務付けられたものがない一方で、記載されている情報はほぼ同じです。ここからは、投資用マンションの物件概要書に記載されている内容と、特に注意して確認するべき点などについて解説します。
2-1.取引形態
取引形態の欄に記載されているのは「売主」「仲介」「代理」などの内容です。
売主と記載されている物件では、物件を購入する際に売主と買主との直接取引となり、不動産会社が関与しません。このため、取引形態に売主と記載されている場合は仲介手数料がかからないことになります。
仲介と記載されている場合は、売主と買主との間に不動産会社が入るため仲介手数料の支払いが必要です。なお、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」と記載されている場合も仲介による取引となります。
仲介手数料の金額は物件の取引価格によって異なるものの、大半の場合は取引価格の3%+6万円+消費税です。
2-2.取引価格
取引価格とは売主が決めている物件の売り出し価格のことです。記載されている価格は税込みなのか税抜きなのかを確認する必要があります。
なお、物件概要書に記載されている取引価格はあくまでも売主が希望する価格なので、買主側から交渉することもできます。不動産投資の世界では、取引価格に関する交渉のことを「指値交渉(さしねこうしょう)」と呼ぶこともあります。
指値とは買主が希望する取引価格のことです。売り出し期間が長い場合や売主が売り急いでいる場合などは、価格交渉が成功することもあります。物件を選ぶ段階で売主が物件を売りたい理由は何なのか確認してみると良いでしょう。
2-3.利回り
実需用のマンションと違って、投資用マンションの物件概要書には想定利回りが記載されています。物件概要書に記載されている利回りは、大半の場合は1年間満室稼働した場合の表面利回りです。
あくまでも満室稼働想定の利回りなので、実際に購入して運用した結果、利回りが物件概要書に記載されている利回りを下回ることはめずらしくありません。
物件概要書に記載されている利回りはあくまでも目安であり、正確な利回りを算出するためには、実際の収支状況を確認する必要があります。
なお、物件概要書に「現況利回り」と記載されている場合は、実際に今のオーナーが運用している実績を確認できます。
2-4.設備
主にライフラインと呼ばれる電気・水道・ガスに関する情報が記載されています。戸建の場合は物件ごとに異なる情報が記載されることもありますが、マンションの場合は物件ごとの違いが出にくい項目です。
なお、入居者がすでにいる中古マンションの売買(オーナーチェンジ)では、取引時点の室内設備の状態が分からないという点に注意が必要です。設備保証のある不動産会社を利用するなど、リスク対策を検討されておくと良いでしょう。
【関連記事】設備保証付きの管理が依頼できる不動産投資会社は?5社を比較
2-5.交通
最寄り駅の名前・路線名と、駅から物件まで徒歩何分かかるかといった情報が記載されています。ここに記載されているのは、80m歩くのに1分かかる前提で端数を切り上げた時間です。
なお、記載されている時間は実際に駅から物件まで歩いて計った時間ではない上に、信号や踏切の待ち時間などは考慮されていません。
また、駅の出口から物件敷地の端までを歩く前提になっているため、部屋を出てから駅で電車に乗るまでには、記載されているより多くの時間がかかります。正確な時間を把握するためには、実際に自分で駅から物件まで歩いてみるなど、現地調査をされてみるのも良いでしょう。
2-6.土地・建物
物件概要書には、ここまで解説した情報のほかに「土地」と「建物」に関する情報が記載されています。土地の部分には所在地が記載されており、これが物件の住所ということになります。
ただし、記載されている情報は「地番」であって、実際に使われる「住居表示」とは異なるケースもある点に要注意です。ウェブによる地図検索や書類の郵送などには住居表示が使われます。
また、建物の欄には建物の構造や建物が建築された年月などが記載されています。構造については、マンションであればほとんどの場合は鉄筋コンクリート造(SR造)か鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)です。
建物の情報について注意すべきポイントは「建築年」です。建築年が1981年以前の場合は旧耐震基準の建物である可能性があります。旧耐震基準の建物では大半の場合、ローンを利用できません。
【関連記事】旧耐震基準の中古マンションのメリット・デメリットは?リスクや注意点も
2-7.引き渡し
引き渡しの欄には売主が希望する引き渡し時期が記載されています。「即時」と記載されている場合は購入決済後すぐの引き渡しで、「相談」と記載されている場合は売主と買主とで相談してから引き渡し時期を決定します。
2-8.備考
中古マンションで居住者が入居中の場合、家賃の滞納などがあると備考の欄に「滞納あり」などと記載されます。また「告知事項あり」と記載されている場合も要注意です。不動産取引の重要事項説明に該当する事情がある場合などには、備考欄に「告知事項あり」と記載されます。
そのほか、土地の形状や前面道路の幅員不足などによって、建物が建築基準法で定められた内容に合致しない場合は「再建築不可」と記載されます。再建築不可の建物もローンを利用しづらくなるため要注意です。
まとめ
投資用マンションの購入に当たってトラブルを避けるため、物件概要書で必ず確認しておきたいポイントは以下の通りです。
- 備考欄に要注意情報が記載されていないか
- 建築年から旧耐震基準の建物と判断されるかどうか
- 取引価格は税込みまたは税抜きのどちらか
- 利回りは想定利回りか現況利回りか
特に、備考欄の要注意情報に関して不明点がある場合は、必ず不動産会社の担当者や売主に確認しておきましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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