マンション投資で安定的に家賃収入を得るためには、入居者の方から「住みたいな」と思っていただける投資用マンションを購入する必要があります。投資家が気にする「利回り」は「入居者の方が快適に住めるか」が前提になることを忘れてはいけません。
マンション投資では良い物件を購入できれば長期的な家賃収入を得られる一方、物件選びで失敗をしてしまうと、購入当初に想定していた家賃収入が得られない上、売却をすることも難しくなってしまい、不良債権化してしまうリスクもあるため、物件選びは特に慎重に行う必要があります。
そこで今回は、不動産投資家として多くのマンションを購入し、運用をしてきた私が、安定的に家賃収入を得られるマンション選びの7つのポイントについて解説していきます。私自身、先日13部屋目となるマンションを購入したばかりですので、今の市況においてどういう観点でマンションを選べば良いかを具体的にお伝えしていきたいと思います。
目次
- まず注目するべきは「最寄り駅」の魅力
1-1.駅の利便性が最も重要
1-2.駅のブランドイメージもチェック、定量的な数値は参考程度に - 駅からの距離は徒歩5分以内を目安にする
- 物件周辺の施設は、利便性と騒音をチェック
- 物件の総戸数は最低30戸以上
- 部屋の面積は最低15㎡以上、設備は水回り等をチェック
- 管理状態は、共有部分や修繕積立金でチェック
6-1.定性的な視点
6-2.定量的な視点 - 管理会社が中小企業の場合は注意
- まとめ
1 まず注目するべきは「最寄り駅」の魅力
マンションを選ぶ際、最も重要なのが「どの駅の物件を買うか」という点です。その理由や選び方のポイントについて詳しく見ていきましょう。
1-1 駅の利便性が最も重要
入居者が物件を探すにあたって、駅を起点として、住みたいエリアや不動産を探すというケースが主流となってきています。たとえば、自分が入居者の立場になった際に「どういう駅に住みたいか」を考えてみると、以下のようなことが気にかかるのではないでしょうか?
- 職場から近い駅か、通勤しやすいか
- 複数路線が利用できるか
- 駅周辺の買い物環境や飲食店などが充実しているか
- 駅周辺の治安が良いか、災害時に被害を受けずに済むか
- 駅周辺の家賃相場はいくらか(他の駅に比べて高いか安いか)等
最寄り駅の利便性が非常に高いにも関わらず駅周辺の家賃が割安となれば入居者からの人気が集中しますし、駅の利便性が低いにも関わらず家賃は高いとなれば、いずれは家賃が下落していきますので、基本的に最寄り駅の利便性の高さと入居需要や家賃相場は比例していくことになります。
マンション選びの際には、現在だけでなく将来にわたっても利便性が高く、入居者の方が快適に住み続けることができる駅を選ぶことが大切です。都内では、千代田区、中央区、港区といった都心周辺の駅や山手線内の駅などであれば、上記のような利便性を確保しやすいため、購入後に立地面で失敗するという可能性も低くなります。
もし、郊外物件を選ぶとしても、JR線と私鉄が両方使える、始発駅である、駅前の大きな商業施設がある、将来性があるエリアかどうか等を総合的に判断し、「駅の利便性」を最重要視したほうが良いでしょう。マンション選びは、立地選びが非常に重要ですので「どの駅の物件を購入するか」という点については納得のいくまで情報収集やリサーチを行い、妥協しないようにしましょう。
1-2 駅のブランドイメージもチェック、定量的な数値は参考程度に
利便性が高い駅や住む人からの評価が高いエリアなどはブランド化していきますので、駅名を聞いた時に想起されやすいブランドイメージを確認することも重要です。購入を検討しているマンションの駅についてあまり詳しくないという方は、実際に駅周辺に住んでいる方や、周りの方にその駅のブランドイメージをヒアリングしてみるのもお勧めです。
一方、定量的な「乗降客数」などについては参考程度に留めましょう。近隣の学校や企業の移転などはいつでも起こりえますし、その数字が将来にわたって保証されるとは限りません。「乗降客数」は現在だけの数値ですので、これに惑わされてはいけません。大切なのは、その駅周辺が入居者の方にとって実際に住みやすいかどうか、そして将来的にもそれが続くかどうかです。
2 駅からの距離は徒歩5分以内を目安にする
「不動産の表示に関する公正競争規約施行規約」第5章 表示基準 第10条「物件の内容・取引条件等に係る表示基準」には「徒歩による所要時間には、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること」を規定されています。
つまり80m につき1分という表示をしなければならないわけです。80mであれば徒歩10分という表記になります。直線距離ではないので注意しましょう。この規定を順守せず、販売会社が販売図面を作成しているケースがありますので、駅から物件までの距離は必ずご自身で歩いてみることをお勧めします。
不動産投資の本の中には「朝、昼、晩でそれぞれ駅から物件まで歩いてみるべきだ」というものもありますが、日中は仕事で忙しいという方も多いでしょうし、良い物件はすぐ売り切れてしまうため、そこまではしなくても良いでしょう。駅と物件の間を一度歩いてみて、入居後の生活のイメージを掴むことも物件選びにおいては重要な能力と言えるかもしれません。
私が持っている区分マンションの中で、駅から一番遠い物件は徒歩8分です。しかしこの物件は、駅からの途中に商店街がありますので実際に歩いてみるとそんなに遠さも感じませんし、「仕事帰りにいろいろ買い物ができて楽しいな」とも思います。今後の賃貸需給を考えると、駅からより近いマンションが選ばれていくことになるかと思いますので、「駅徒歩5分以内」というのが今後物件を選ぶ際の目安になるでしょう。
なかには、「徒歩15分の物件で利回り10%以上を獲得できました」といった成功事例が無いわけではないと思いますが、そういった物件で5年、10年と家賃収入を安定的に得続けるのは難しいと考えられますので、駅から遠い高利回りの物件はハイリスクだと考えたほうが良いでしょう。
3 物件周辺の施設は、利便性と騒音をチェック
駅から物件までの間に、コンビニ、スーパーなどの商業施設、役所、郵便局などの公的機関などがあると、入居者の方に喜ばれますし、他物件と比べても差別化を図ることができます。
ただ、駅に近い物件を選ぶ上で一点気をつけなければいけないのが、駅の近くにある飲み屋などの騒音です。入居者の方の快適な生活を考えると、施設からの騒音はできれば避けたいですし、暴力団の事務所やお墓などが近くにある物件なども避けたいところです。
私がいま注目している施設はコインランドリーです。今のコインランドリーは、昔と違ってお洒落ですし、機能も充実しているため、入居者の方に喜んでもらえるポイントの一つになるのではないかと考えています。そういった物件周辺の施設も、現地調査の際にしっかりご自身の目で確認されることをお勧めします。
4 物件の総戸数は最低30戸以上
総戸数が少ない物件を購入してはいけません。なぜなら投資用マンションのメリットの一つである大規模修繕等費用の拠出において規模のメリットが利かないからです。戸数が多ければ多いほど、修繕積立金も積みあがっていきますし、逆に戸数の少ない投資用マンションはなにか急な修繕が必要になったときに対応できなくなる可能性があります。
私の過去の経験でいうと総戸数は最低30戸以上欲しいですし、それ以下の戸数であれば、将来的に管理状態が不安定になる可能性があることも留意すべきです。私は、以前総戸数が29戸のマンションを持っていたこともありますが、修繕のたびに一時金を徴収され、年間のキャッシュフローが飛んでいくような経験もしました。「総戸数が何戸あるか」という点は、購入後の費用面で重要な要素となってきますので、注意をしたいポイントの一つです。
5 部屋の面積は最低15㎡以上、設備は水回り等をチェック
入居者の気持ちを考えると部屋は狭いよりも広広いほうが快適です。具体的な広さとしては、最低15㎡以上は欲しいところです。私が以前所有していた、渋谷区にある13㎡の物件は、富裕層の方が「ヨガの練習をするので貸して欲しい」という珍しい理由でお貸ししたことがありましたが、これはかなり特殊な例でしょう。
設備はバストイレ別であればベストですが、その多くは築浅の物件であり、価格も高くなりがちです。バストイレが同じ物件でも、エリアによっては競争力がありますが、そうでない場合はバストイレの分離工事が必要になる場合もあります。
また水回り関連では、洗濯機置場がある物件を選ぶことも大切です。洗濯機置場もなく、コインランドリーが建物内にない、近くにもない物件は入居者からも敬遠される可能性が高いため、できる限り避けなければなりません。
収納については、入居者が男性か女性かで大きく違いますし、今の若い方の中には物を持たないという方も増えているなど、ケース・バイ・ケースですので、あまり気にする必要はないと思います。たまに備えつけの机やベッドなどがある物件もありますが、これは無いほうがいいと思います。入居者の方の中には「人が使ったものは気持ち悪い」と感じる方もいますので、処分するにもお金がかかることを考えると最初から無いほうが良いでしょう。
一つ気をつけなければいけないのが、電気温水器がある物件です。これを修理・交換をすると多額の費用がかかります。電気温水器がある物件は基本的に購入しないほうが良いかと思いますが、もし電気温水器がある物件を購入するとしたら売主に「いつ購入したか」「いつ修繕したか」などの確認をするようにしましょう。これを確認しないと、修理・交換で数年分のキャッシュフローが吹っ飛ぶという事態を招きかねませんので注意が必要です。
また部屋の所在階ですが、高層階にある部屋は、眺望・日当たり等で競合する木造一棟アパートと差別化でき、低層階よりもセキュリティが高い点や蚊や虫の侵入が少ないことなどから入居者には選ばれやすい傾向にあります。
6 管理状態は、共有部分や修繕積立金でチェック
「マンションは管理を買え!」と言われているほど、家賃収入を将来にわたって安定的に得ていくにあたっては、マンションがきちんと管理されているかということが重要になります。マンションの管理について見極める上で、定性的な視点と定量的な視点の2つがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
6-1 定性的な視点
自転車置き場やごみ置き場は目視で確認します。これが乱雑な状態ですと、管理が十分ではない可能性があります。後はマンションの掲示板で騒音等に関して注意書きがあるような物件は不良入居者がいる可能性があります。
また細かい部分ですが、消防設備等を更新するには多額の費用がかかります。「いつごろ交換したか」「古くて交換できない設備ではないか」?を確認する必要があります。ファミリー向けの居室が混在している物件ですと、管理状態が良好に保たれていることが多いです。
6-2 定量的な視点
定量的な面からは、「修繕積立金が総額でいくら溜まっているか」と、「直近でいつ修繕したか」を確認しましょう。修繕積立金はマンションの規模によりますが、足場を組んで修繕をすると最低3,000万円程度はかかります。また特に傷みやすい屋上の防水については約12年に一度修繕を行うことが望ましいと言われています。
また投資用マンションでは長期修繕計画書のない物件もあります。管理会社に依頼すれば50万前後で作成してもらえますので、必ず作成してもらいましょう。
7 管理会社が中小企業の場合は注意
管理会社については、大手であれば一定のサービス品質が期待できますが、中小の管理会社の場合は注意が必要です。国土交通省の定めで30管理組合に1人の管理業務主任者を設置しなければならないのですが、管理業務主任者がアルバイト等の管理会社もあります。
また建築士が社内にいない場合も、依頼の都度でコストがかかりますので、どういう管理会社が管理しているかという点も注意が必要です。私も理事長として管理会社を変更した経験があるのですが、コンペの実施など想像以上に労力がかかりますので、お勧めはできません。
まとめ
マンション投資をする上で最も大切なことは入居者の目線で徹底的に満足度を考えるということです。「利回り」にこだわる投資家は多いですが、入居者の方の満足を実現した投資用マンションを購入しておかないと、その「利回り」は絵に描いた餅になる可能性もありますし、10年後・20年後には収益を得られなくなる可能性もあります。
高い利回りだけに惑わされることなく、今回の失敗しない投資用マンション選びの7つのポイントを参考に投資用マンションを購入し、長期的な収益を獲得していただければと思います。
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ぴおほう
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