私は38歳だった2008年に初めて都内に区分マンションを購入し、区分マンション11部屋のオーナーとなり、その後4部屋を売却し、その売却益で都内に新築1棟アパートと区分マンションを新たにポートフォリオに加え12戸+1駐車場になり、“安定的な収入の確保” の目途がたったことで2018年に27年間勤めた会社をハッピーリタイアしました。
ハッピーリタイアして1年3ケ月たちましたが、その経験や感じたことなどを中心に、ハッピーリタイアを目指しているサラリーマンの皆さまへお届けしたいと思います。
目次
- サラリーマンを取り巻く環境が厳しさを増している
- 「ステレオタイプ」なハッピーリタイア像が流布している
- 自分が好きなことだけしかしない贅沢
- 「時間」は有限でもっとも大事なもの
- 会社以外の収入を確保し、永続的にお金が入る仕組み作りをする
- 不動産は資産運用では選択肢に入れたいポートフォリオのひとつ
- ただ 自由で楽しいことばかりではないハッピーリタイア生活
- まとめ
1 サラリーマンを取り巻く環境が、厳しさを増している
ここ最近、トヨタ自動車の豊田社長や経団連の中西会長が「終身雇用を維持するのは難しい」という内容の発言をしたことが報道されたり、老後には2,000万円が必要になるという金融庁のレポートが大々的に取り上げられたりするなど、サラリーマンを不安にさせるニュースが多くなっています。
高齢化にあたって政府も70歳まで働けるような法整備を進めています。しかし、一方でリーマンショックの2008年頃から正社員の解雇規制を緩和するべきではないかというようなトピックも議論・検討がされています。
政府が副業やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを推進していることなども含めて考えると、おそらく「これからは自分のことは自分で守って下さい」というメッセージがあるのかと考えさせられます。サラリーマンの方にとっても、他人事ではいられない状況と言えるでしょう。
2 「ステレオタイプ」なハッピーリタイア像が流布している
さて ハッピーリタイアと聞いてみなさんはどういうイメージをお持ちでしょうか?
平日の昼間から趣味を楽しんでいるような有閑階級を思い浮かべる人も多いのではないかと思います。
皆さんが思い描いたそういう人は、もともと生家が資産家で裕福だった人やビジネスで成功した人などが長らく主流でしたが、現在は株やFX、仮想通貨や不動産で資産形成し、サラリーマンでも若くしてハッピリタイアに至った人も少なくありません。
ハッピーリタイアするには、資産形成を通じて永続的なキャッシュフローを構築することはもちろん、家族構成、家族の理解、親の介護など複雑な要因が影響するため、資産形成ができても、なかなか実行に移すことは簡単ではありません。
そのため、ハッピーリタイアしている人自体が少なく、ハッピーリタイアについての正しい情報は少ないというのが現状ですし、昔ながらのステレオタイプ的なハッピーリタイア像を持っている方も少なくありません。
ハッピーリタイアして、毎日TVを見てゴロゴロしているようなことをする人はまずいないと思いますし、不動産賃貸業の方であれば物件の管理、デイトレーダーの人であれば毎日が取引となります。
時間を自分自身で配分できますから、自分のビジネスを起こして働く、企業の顧問やプロボノとして働く、趣味に没頭するなど選択肢は広がります。
特に自分自身でビジネスを起こす場合は、他者に影響されることなく自分自身で働きかたや仕事内容を決めることもできます。
ビジネスや投資で、ある程度の経済的自由を獲得したうえで、自分で仕事を創り出し、より生産的なビジネスを生み出す人たち、これこそが現代の新しいハッピーリタイア像と言えるかもしれません。
3 自分が好きなことだけしかしない贅沢
私が27年間サラリーマンをしてきて 本当に楽しいと思えたのは営業マンだった1年間だけです。上司に恵まれ、仲間に恵まれ、営業成績は飛ぶ鳥を落とす勢いと本当に楽しい1年でしたが、サラリーマンの宿命で人事異動によりチームは解散してしまいました。
人事異動や転勤はサラリーマンの宿命ですが、この時ほど自分の好きな仲間と好きな仕事ができた幸せを感じたことはありません。
ハッピーリタイアした今は、サラリーマン時代とは異なり、①好きな時に②好きな場所で③好きな人としか仕事をしない自由があります。これはサラリーマン時代にはとても考えられなかったことですし、煩わしい人間関係ほどストレスフルなことはありません。
自分の意志にそぐわない人事異動などで、家から往復2時間の通勤や嫌な上司と仕事しなければならないことをもう経験しなくて良いと思うだけで、ハッピーリタイアすることは十分意義があることだと思います。
4 有限でもっとも大事な「時間」が自由に使える
「ハッピーリタイアすること」は、仕事を完全に引退することではなく、永続的なキャッシュフローを維持しつつ、自身の裁量で好きな時に、好きな場所で、好きな仲間と生産的な仕事をすることも選択することが可能な状況を指す言葉だと考えています。
ハッピーリタイアした今、私が一番重要だと思うのは、「時間」が自由になることです。時間はどんな人にも平等です。小さなお子様がいらっしゃる方はお子さんが小さい時は子供のそばにいてあげたいでしょう。
また70歳で定年しても、あの時こうすれば良かったと思ってももうその時間は戻ってきません。平凡な日常に流されることなく、自分の時間は有限だという意識を常にもち、その時間を有意義に使えるよう意識することが最も大切なことだと思います。
5.不動産は資産運用では選択肢に入れたいポートフォリオのひとつ
では、ハッピーリタイアをするための永続的にお金が入る仕組みについても述べていきましょう。
まずは 月の給与のうち4分の1を積み立てるようにしてください。これは「私の財産告白」でも有名な本多静六さん(明治時代-昭和時代の著名な株式投資家で、東京帝国大学教授も務めた方です)が提唱した手法です。
積み立てる商品はここでは割愛しますが、私は入社直後から住宅財形と社内持ち株を積み立てていました。今はネット証券でいろいろな商品も選べるでしょうから、インデックスファンド等を積み立てていくと良いと思います。
そういった金融商品を積み立てる一方、現物の不動産もポートフォリオに加えて欲しいと思います。REIT(不動産投資信託)の利回りも魅力的で、現在は株価も堅調ですが、大きくレバレッジを利かせることができる現物不動産はハッピーリタイアを目指すのであれば検討したい選択肢の一つです。
ただし気をつけなければならないのは、不動産投資は短期で成果が出ないこと、かつ長期戦だからこそ不動産の物件選定には十分に気をつけなければならないことです。30年後、日本、首都圏、東京はどのような姿になっているか想像力を働かせることが重要です。
少子高齢化や、晩婚化、リモートワークなどが今後どうなっていくのか?晩婚化はより一層進むので単身世帯が今まで以上に増えるのではないか、立地面ではたとえば国道16号線沿線は団塊の世代が住宅を一時所得した戸建てが多いので、今後は益々空き家が増えるのではないか、など様々な想像力を働かせましょう。そこは、短期的な指標である利回りよりもはるかに重要な部分となります。
私は38歳から不動産投資を始めましたが、「もう少し早く始めたら良かった」と少し後悔しています。若いうちから資産運用しつつ、その一部として現物不動産をポートフォリオに加える。それを長期間続けることで永続的にお金が入るベースを若いうちに作ることが可能になります。
6.会社以外の収入を確保し、永続的にお金が入る仕組み作りをする
上記の現物の不動産投資を加えた資産運用に加え、会社の給料以外の収入を確保する努力もしてみて下さい。Uber EatsやAmazonの転売でもなんでも構いません。稼ぐことが出来たら、今度はそれが永続的に得られそうな収入かどうかを考えてみましょう。
ヤフオクやメルカリ、Amazonなどプラットフォームを利用して収入を確保する方も多いと思いますが、プラットフォーマーは規約変更等を突然することがありますので、ある日一気に収入が減ることにもなりかねません。Youtubeでもこれまで稼げた手法が禁止されたり、視聴回数あたりの広告収入などのレートが下がったりするなど、それまでと同じようには稼げなくなってしまうリスクがあります。
3C分析(顧客のニーズが見込める、競合が少ない、自分の強みが活かせる・興味がある)を行った上で、単一のプラットフォームだけに頼らないビジネスで収入を確保することが大切です。
たとえば、自分で興味のある商品を輸入してみるなど、いろいろなチャレンジをすることが大切です。100発100中のビジネスなどありえませんので多くの打席に立つことが重要ですし、それが出来ればハッピーリタイア後の仕事や収入源も確保できるので一石二鳥になります。
7 ただ 自由で楽しいことばかりではないハッピーリタイア生活
私はハッピーリタイア後の生活をエンジョイしていますが、もちろん楽しいことばかりではありません。ハッピーリタイア後の経験や実生活を知る機会はあまり多くないと思いますので、これからセミリタイアを考えていらっしゃる方はぜひ参考にしていただければと思います
7-1.サラリーマン時代よりも孤独を感じやすい
サラリーマンは会社に行くと職場に同僚がいますので、コミュニケーションを取る機会も多いのですが、ハッピーリタイア後は自分から積極的に関わらない限りは誰かと話す機会もなく孤独です。「1人でいるのはつらい」という孤独耐性のない人はハッピーリタイアには向かないでしょう。
7-2.収入が安定しないと精神へのダメージが大きい
ハッピーリタイアをするにあたり、その後にまったく稼がなくて良いケースは非常に稀です。多くの場合、会社員時代に築いた数千万円の資産を老後まで減らさずに、あるいは増やしていくことを目指すことになるため、ハッピーリタイア後も何かしらの収入源が必要となってきます。
私の場合、ハッピーリタイア後1年半になりますが、所有する不動産にほとんど空室がありません。空室になってもすぐ入居者が決まるため、今のところは安定的な収入があります。
これが、入退去が繰り返される状態となると、毎月安定的な収入が得られない状態となり、また多額の借入がある場合は返済が迫ってきます。給与収入のような安定的な収入がないということほど恐怖はありませんし、それが原因で鬱になる人もいます。
不動産の賃貸収入をメインとしたハッピーリタイアを目指す場合、これからの入居率がどうなるかの慎重なシミュレーションは欠かせません。
7-3.「教育(今日行くところ)」と「教養(今日の用事)」の確保
これは想像以上に重要です。私の場合は、自宅に小さいながらも書斎があるので、毎日そこで仕事ができます。
今はコワーキングスペースやカフェ等で仕事をしている人が増えているようですが、それがご自身に合うかどうかはハッピーリタイア前に試しておくことをお勧めします。
7-4.すべての意思決定が自己責任となる
サラリーマンを長くやっていると、仕事のミスを上司にカバーしてもらった経験をしたことがあるという人も多いでしょう。上司がフォローをしてくれるサラリーマン時代のミスと比べ、ハッピーリタイア後のすべての意思決定とミスは誰も責任を取ってくれません。
あらゆる意思決定がすべて自己責任になりますので、ハッピーリタイア後の意思決定には相当の覚悟が必要となります。
このように、孤独に耐えることができない方、安定的な収入がないと不安な方、自己責任を取ることに抵抗がある方などは、ハッピーリタイアについては再考したほうが良いでしょう。
8 まとめ
これから高齢化やグローバル化がさらに進むと、サラリーマンを取り巻く環境は一層厳しくなっていく可能性があります。また、良い大学に入って良い会社に入れば一生安泰、という神話も崩壊しつつあります。
若い時から他社でも通用するスキルを習得しつつ、現物不動産等で資産運用することにより、給与収入以外の安定的な収入源を確保することでハッピーリタイアが近づいてきます。
ハッピーリタイアは、従前の仕事・社会から単純にドロップアウトするようなことではなく、自分で仕事を創り出し、より生産的なビジネスを生み出す「新しい価値の創造」を自分の好きな時に、好きな仲間と好きな場所で行い、そして磨き上げていくことだと思います。
そうすることで、有限な時間をより有意義に使う。これこそが、現代のハッピーリタイア像ですし、多くのサラリーマンの方にこういう新しい生き方、ライフスタイルを目指していただきたいと思います。今回の記事を参考に、ぜひ一度ハッピーリタイアについてお考えになってみてはいかがでしょうか。
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