実は狙い目?1棟マンション投資の5つの魅力と投資の注意点

これから不動産投資をされる方の中には思い切って1棟マンションに投資してみようという方や、区分所有マンションと比較してどちらにしようか悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。

区分所有のマンションが1,000万円台から2,000万円くらいで売買されているのに対し、マンション1棟になると価格が1億円を超えることもありますので、慎重にならざるを得ないでしょう。

今回は1棟マンションと区分所有マンションのメリット、デメリットを比較しながら、1棟マンションの5つの魅力と投資する際に注意したい点について解説します。

目次

  1. 1棟マンションの5つの魅力
    1-1.建て替えや修繕が自分の判断でできる
    1-2.土地があるぶん資産価値がある
    1-3.部屋数が多い分利回りが高い
    1-4.空室リスクを軽減できる
    1-5.1棟マンションは長期投資に向いている
  2. 1棟マンションに投資をする際の注意点
    2-1.1棟マンションは空室率を見ながら慎重に検討する
    2-2.修繕費用、維持管理費が大きいので資金に余裕を持つ
    2-3.出口戦略は早めに立てる
    2-4.劣化対策などが必要、状況によっては建て替えも
    2-5.中古物件の場合は返済額と収支に注意
  3. まとめ

1.1棟マンションの5つの魅力

1棟マンションの1番のメリットは自由度が高いという点ではないでしょうか。建て替えや修繕などが自由にできますし、部屋の家賃も自由に決められます。近隣の他の物件と比較されて家賃の価格競争に巻き込まれることもありません。自分の判断で色々な問題をクリアできる点は区分所有マンションにはない魅力です。

自由度が高いというメリット以外に、スケールメリットも享受できます。物件が大規模になった分、ローンの支払いと比較して家賃収入が大きく上回ることが多くなりますので、その点で区分所有マンションより有利です。しかし、反面リスクが大きくなるというデメリットもあります。

ここでは、自由度とスケールメリットという視点から解説します。

1-1.建て替えや修繕が自分の判断でできる

1棟マンションは修繕や建て替えの判断が自分でできます。区分所有のマンションの場合、所有者全体の5分の4以上の賛同がなければ建て替えができないため、老朽化しても建て替えができないリスクがあります。

また、大規模修繕は国土交通省の指標では12年に一度が望ましいとされています。その前後で修繕が行われることになりますが、区分所有マンションの場合、自分だけが早期に修繕の必要性を感じても勝手には修繕できません。

1棟マンションのオーナーは物件の状態を見ながら早期に必要性を感じた場合は、そのタイミングで修繕を行うことができます。小さな劣化が数年後には大きな損壊に拡大することもありますし、目立つ劣化になると入居率にも影響してきますので、適切なタイミングで修繕できるメリットは大きいと言えます。修繕の際は入居率を上げるために、外壁の色を変えたり、デザインを一新したりすることが自分の判断でできるという点も魅力の一つではないでしょうか。

1-2.土地があるぶん資産価値がある

区分所有マンションの場合、物件価格に対し土地の評価分がかなり少なくなります。仮に建物を取り壊し土地だけを売りに出した場合、全所有者で区分所有の面積の比率分で分けることになりますので、物件価格に対しての土地の評価がかなり低いことが予想されます。

それに対し1棟マンションは敷地が全てオーナーの所有物になります。土地が広い分購入の際の融資条件に有利になります。売却をする際にも土地の分、高く評価されるというメリットがあります。また、老朽化などが原因で賃貸事業を辞める場合でも、解体をして土地を売却する場合も、土地の評価によっては利益が大きくなることもある点でメリットがあります。

1-3.部屋数が多い分利回りが高い

1棟マンションだと部屋数が多い分、ローンの支払額より家賃収入が多くなるメリットがあります。そのため1棟マンションの方が区分所有マンションと比較して利回りが高くなる傾向にあります。以下の表で確認してみましょう。以下は全国の1棟マンションと区分所有マンションの平均価格と平均利回りを比較した表になります。

平均価格 平均利回り
1棟マンション 1億5,607万円 8.05%
区分所有マンション 1,394万円 7.75%

健美屋調査2018年7月~9月資料から引用

このように1棟マンションは規模が大きい分、家賃収入にスケールメリットが発生します。区分所有マンションの場合、頭金が少ないと手残り金額がかなり少なくなりますので、1棟マンションの手残りと比較すると大きな差になってきます。

上記のマンションの平均価格と利回りの数値から年間家賃収入を割り出し、それぞれローン金利を2%、期間を30年で組んだ場合の手残り額を比較してみましょう。経費は含めずに試算してみます。

1棟マンション 区分所有マンション
年間家賃収入 1,256万3,635円 108万350円
月々の家賃収入 104万6,970円 9万29円
月々の返済額 57万6,865円 5万1,524円
月々の手残り額 47万105円 3万8,505円

*物件の家賃収入は上記表から試算(物件価格×利回り)

全国平均の物件価格と利回りをもとに試算した場合、1棟マンションでは毎月47万105円、区分所有マンションでは3万8,505円の手残りがあることがわかりました。1棟マンションのスケールメリットがかなり大きいことがわかります。

1-4.空室リスクを軽減できる

1棟マンションの場合、部屋数が多いので空室リスクは高いように感じます。確かに多くの部屋が空室になると利回りは一気に悪くなりますが、立地が良ければ、いくつか空室になっても表面利回りでは区分所有マンションより大きくなります。

区分マンション1部屋ではその部屋が空室になった場合収入はゼロになりますが、1棟マンションはいくつか空室になっても収入が発生するからです。何室か空室になっても手残りが発生する点でもスケールメリットを享受できていると言えるでしょう。

上記の手残り額を試算した表から試算してみましょう。1棟マンションの月々の手残り額は47万105円でした。また区分マンションの月々の家賃収入は9万29円が平均値でしたので、その数値をもとに何室分の空室までマイナスにならないかを試算してみます。

470,105円÷90,029円=5.2室(小数点2位以下切り捨て)

となります。5室までは同時に空室になっても収支がマイナスにならないことがわかります。

この数値には経費が含まれていませんので、経費を含んだ場合は4室と見た方が良いでしょう。その場合、5室以上空室になった場合は赤字になってしまうことがわかります。このリスクを軽減するためには、物件を探す際に物件が建っているエリアの空室率などを調査しながら、立地の選択を慎重に行うことが重要になってきます。

1-5.1棟マンションは長期投資に向いている

1棟マンションは建物、土地ともにオーナー所有である場合は長期の運用に色々なバリエーションが持てることが強みです。よく見られるのが、ウィークリーマンションにしたり、1階の1室をレンタルスペースやコインランドリーにしたりする手法です。数十年経って一般的なマンションとしてニーズが無くなってきた場合は、外壁などを張り替えて違う事業に取り組むことも可能になります。

住居としてニーズが無くなった場合は、解体して違う建物を建てることもできます。解体後は建物を建てずに土地活用することもできますし、土地を売却することもできます。

区分マンションの場合は土地が無いため活用の仕方が限られてきますが、1棟マンションは建物と土地をうまく活用することで、長期的に運用するには有利になります。

1棟マンションの5つの魅力について解説しました。1棟マンションは高額でリスクが大きいように思えますが、自由度とスケールメリットを生かすことで軽減できるリスクもあり、区分マンションにはないメリットを享受できることがわかりました。では、逆に1棟マンション投資を始める場合に気を付けたい点を見てみましょう。

2.1棟マンションに投資をする際の注意点

1棟マンションは区分所有マンションと比較して価格が高額になりますので、無計画に運用すると大きな損失を招いてしまいます。計画的に運用するために注意しておきたい点を見てみましょう。

2-1.1棟マンションは空室率を見ながら立地を慎重に検討する

1棟マンションの場合、多少の空室であれば利回りは悪くならないということに触れましたが、空室の部屋が多いと逆に大きな赤字になってしまいます。そうならないためにも立地は慎重に検討するようにしましょう。

先ほどの平均値から試算した場合、4室までは空室でも収支は黒字でしたが、5室以上空室ができると赤字に転換することがわかりました。しかし、必ずしも5室以上空室になる物件の収支が悪いわけではありません。

立地が良ければ一時的に5室以上空室になっても、黒字の月のキャッシュフローで補うことができます。このように、赤字になることがあっても黒字の時にその埋め合わせができるように立地の良い物件を探すことが大切です。

エリアによって空室率などが違ってきますので、1棟マンションの空室率を調べながら物件を探すことが、収支を良くするコツになるでしょう。

2-2.修繕費用、維持管理費が大きいので資金に余裕を持つ

区分所有マンションであれば、修繕費用は所有する部屋の中の範囲になりますが、1棟物件のオーナーになると室内の躯体部分だけでなく、建物や共有部分などの修繕責任が発生します。修繕費用や、維持管理費は大きな額になることもあり、特に急を要する修繕などはリスクになってきます。まずは定期的な修繕や維持管理を計画的に行い、突発的な修繕を極力無い状態に保つことが大切です。

維持管理する箇所はエレベーターや屋内消火栓、給水用の貯水タンクなどが含まれます。それぞれ定期的な清掃やメンテナンスが必要ですが、特に屋内消火栓や避難ハッチなどの非常用設備については法定点検や、整備、補修が必要になります。ビル全体の光熱費などもオーナーが支払います。細かい整備などを想定し、資金は余裕を持ってシミュレーションするようにしましょう。
 

2-3.出口戦略は早めに立てる

1棟マンションは価格帯が大きくなるため、売りに出してもなかなか売れない可能性があり、流動性が低い物件と言えます。区分所有であれば1室あたり2,000万円前後の価格帯の物件が多くなりますが、1棟になると1億円から数億円することもあります。

1棟マンションを購入したいという人の数が、区分所有マンションを購入する層の人数と比較すると少ない傾向にあることと、仮に購入したいという人がいても、ローンが通らないことがある、ということが流動性を低くしている要因と言えるでしょう。そのようなことから1棟マンションの出口戦略には時間的に余裕を持って取り組むことが必要になります。

ただ、1棟マンションの場合は、買い手がつかず、自分で賃貸経営を続ける意思がない場合でも建物を解体して土地だけを売却するという選択肢もあります。土地だけでも取引できるという点で区分所有マンションにはないメリットと言えます。

2-4.劣化対策などが必要、状況によっては建て替えも

不動産を長く所有するほどメンテナンスが重要になってきます。1棟マンションの場合は建物全体の劣化対策や防犯対策をしなければならない点で、区分所有マンションでは必要ではない費用が発生します。

築年数が古くなると耐震対策や防犯対策、バリアフリー対策も必要になってきます。あまりにも対策する箇所が多い場合は建て替えも検討する必要もでてきます。オーナーの判断で建て替えはできますが、大きな費用がかかりますので、資金に余裕をもって計画をたてましょう。

2-5.中古物件の場合は返済額と収支に注意

不動産のローンを組める期間は物件の耐用年数によって変わってきます。たいていのマンションはRC造りです。RC造りの建物は法定耐用年数が47年になりますので、新築物件であればどの金融機関でも30年のローンを組むことができるでしょう。しかし、中古物件の場合、一般的には耐用年数から築年数を引いた残り年数がローンを組める期間になります。

例えば築30年であれば、47年-30年=17年がローンの返済期間になります。仮に1億の物件のローンを金利2%で組み、期間を17年と30年で支払額を比較してみましょう。

物件価格 金利 返済期間 月々の返済額 年間の返済額
1億円 2% 30年 36万9,619円 443万5,428円
1億円 2% 17年 57万8,647円 694万3,764円

この試算の場合、ローン期間の違いで月々の返済額が20万円以上も違ってくることがわかります。1棟物件は価格が高いためローン期間の違いが収支に大きく影響してきます。物件を選ぶ際には築年数にも注意しながら探すことが大切です。

まとめ

1棟マンションというと高額なためリスクが大きいイメージがあります。しかし、想定される問題に合わせて対策をすることで、リスクを軽減できることがわかりました。また、1棟マンションでしか得られないメリットも多く存在します。

長期的な資産形成という視点から見ると、1棟マンションは区分所有マンションと比較して、キャッシュフローが大きくなりますので、理想の投資手法と言えるでしょう。資金に余裕ができればぜひ検討してみましょう。

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西宮光夏

西宮光夏

国内、海外の不動産投資の情報を中心に、投資全般とスポーツ関連メディアのライティングを手掛けています。HEDGE GUIDEでは国内外の不動産投資に関する記事を担当しています。初心者の方にもわかりやすい形で情報提供していければと思っています。只今、国内においては東京オリンピック前後の不動産状況に注目です。