築30年の一戸建て売却相場は?4つの調査方法と売却のコツも解説

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不動産は築年数を経過するごとに経年劣化によって資産価値が目減りしていきます。築古の一戸建ての売却相場はどのくらいになるのか、希望する条件で売却することはできるのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、築30年の一戸建ての売却相場と自分で相場を調べる際の4つの方法、売却のコツについて解説していきます。

目次

  1. 築30年の一戸建ての売却相場
    1-1.築年数による相場価格への影響
    1-2.建物価値はゼロだが状態や市況によって値が付くことも
  2. 一戸建ての売却価格の相場を調べる方法
    2-1.成約事例情報サイトから調べる
    2-2.売出事例情報サイトから調べる
    2-3.土地価格から算定する
    2-4.不動産会社へ査定を依頼する
  3. 築30年の一戸建ての売却のコツ
    3-1.建物を使用できる状態にし、インスペクションをする
    3-2.相場を知った上で売却戦略を立てる
    3-3.販売力のある不動産会社に依頼する
    3-4.建物を解体するか、解体を前提に売却する
  4. まとめ

1.築30年の一戸建ての売却相場

まず、一戸建ての場合の築年数が相場価格に及ぼす影響をみていきましょう。その上で、築30年の一戸建ての売却相場について考えてみます。

1-1.築年数による相場価格への影響

中古戸建の売却価格相場は、築年数の影響が非常に大きいといえます。国土交通省の資料「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、木造戸建ては、法定耐用年数が22年であることから、22年でほぼ価値がゼロになるだけでなく、市場価格の査定は10年で約半分以下になり、20年でほぼゼロにまで落ち込むことが示唆されています。

法定耐用年数が22年に設定されている木造戸建ては、法定耐用年数が47年である中古マンションと比較すると、ほぼ2倍の速度で価格下落が進むことが分かります。

1-2.建物価値はゼロだが状態や市況によって値が付くことも

築30年の一戸建ては、上述したように建物価値はほぼゼロになっているケースが多いと言えるでしょう。一方でリノベーションをしていたり、劣化・陳腐化した内装や設備をリフォームや修繕していたりする場合など、建物の状態が良い場合には、建物に値段が付くこともあります。

また、一戸建ての売却価格は、地域や景気などの需給にも影響を受けるため、需要に比べて供給が少ないような市況・エリアであれば、築古の建物に値段が付く場合もあります。

なお、建物価値はゼロであっても土地価値は残るため、土地としての売却価格を期待できるということに変わりはありません。

2.一戸建ての売却価格の相場を調べる方法

一戸建ての売却価格相場は、立地する地域や築年数その他の条件によって大きく変わってきます。実際に売却しようとしている一戸建ての価格相場を知るには、自分で条件が類似した物件の取引事例情報を調べるのがよいでしょう。

まず、成約事例情報サイトから、類似の戸建事例の価格を調べます。ただし、成約事例の情報は大まかな情報になるため、より、詳細な情報を得るために、売出事例情報サイトも参考にします。

事例情報サイトから、売却しようとする一戸建ての相場を調べるときは、地域、最寄り駅、最寄り駅からの距離、土地面積、建物面積、築年数、の項目が類似する物件の価格を参考にするのが、基本的な方法といえます。

また、シミュレーションサイトを用いて相場を調べる方法もあります。

2-1.成約事例情報サイトから調べる

成約事例情報サイトには、国土交通省運営の「土地総合情報システム」 と、不動産流通機構運営の「レインズマーケットインフォメーション」 があります。

土地総合情報システム」は、取引時期、不動産の種類、地域の3ステップで、成約事例情報を検索できるようになっています。

地域は、町名や最寄り駅でも検索対象を絞ることができるようになっており、一覧情報としては土地の面積、建物の面積、築年数なども掲載されているため、類似の成約取引事例を細かいところまで調べることができ、相場を知るには非常に有用であるといえます。地図上でみることもできるので、取引事例の比較を直感的におこなうこともできます。

レインズマーケットインフォメーション」は、都道府県、地域の2ステップで検索できるようになっており、それ以上の細かい情報を絞ることもできますが、土地面積・建物面積が「80~100㎡」のように登録されており、正確な情報がわかりません。

特に、土地価格の割合が大きい戸建では、面積の正確性は価格にかなり影響を及ぼすため、参考として利用するとよいでしょう。

2-2.売出事例情報サイトから調べる

スーモ、アットホーム、ホームズなどの実際に売り出されている不動産情報のポータルサイトから、売出事例情報を収集して相場を調べる方法もあります。

地域(市区町村)や最寄り駅、最寄り駅からの距離、土地面積、建物面積、間取り、築年数などの基本的な情報で検索できるほか、設備や土地の特徴などについて細かい条件で設定して検索ができます。長期優良住宅、リノベーションの有無、駐車場の有無、整形地かどうかなどの条件についても指定することが可能です。

売出事例情報を調べることで、売却しようとしている一戸建てにより近い条件の事例情報を調べることができます。一戸建ての売却価格は個別性が高いことから、できる限り細かい類似の条件の価格情報を収集して比較するために、このようなサイトも活用するとよいでしょう。

なお、不動産情報のポータルサイトは売却が成立した価格ではなく、売主が希望している売出価格になります。実際の取引価格については、やや低下するということを考慮して、売却価格を類推していくと良いでしょう。

2-3.土地価格から算定する

土地価格から、売却価格相場を算定する方法もあります。以下の算式で計算します。

土地価格=土地の面積×相続税路線価÷0.8

土地価格は、国税庁の「財産評価基準書・路線価図」 、あるいは、一般財団・地価評価システム研究センターの「全国地価マップ」 から、建物が面する道路の路線価(平米単価)を調べ、その路線価に土地面積(平米数)を乗じて求めます。

相続税路線価は、一般的に市場価格の80%程度が目安になるため、市場価格は、これを0.8で割ることによって算定できます。

なお、建物価格については、築30年の一戸建ての再調達価格はゼロになるためゼロで算定します。解体して新しい建物を建てることを考慮し、解体費用を差し引くこともあります。

土地の形状・接道状況などによって相場は異なる

成約事例情報サイトや売出事例情報サイトから価格相場を調べる方法、土地と建物価格を計算する方法などをご紹介しました。

しかし、一戸建ての売却価格を左右する土地の価格は、土地の形状・接道状況によって大きく変わってきます。形状は、整形地や高低差のない土地の方が高くなります。また、接道については、私道より公道である方が、そして、幅が狭いより広い方が価格は高くなるといえます。

接道が建築基準法の道路でない場合、建物の再建築ができず、相場の半分以下の価格になることもあるので注意しましょう。

2-4.不動産会社へ査定を依頼する

不動産会社へ査定を依頼することで、戸建の価格を調査する方法です。不動産会社は無料で査定を行ってくれるため、売却を前向きに考えている場合には依頼を検討してみると良いでしょう。

ただし、不動産会社によってはあえて相場よりも高い金額をつけて売却を促し、媒介契約をした後に大幅な価格交渉を行ったり、逆に相場よりも低すぎる価格をつけて利幅を取ろうとする悪質な業者も存在しています。または単純に販売力が低かったり、戸建売却の実績がないなどで、相場感を有していないケースもあります。

このような事情があるため、不動産会社へ査定を依頼する際は1社だけではなく、複数社に査定依頼し、それぞれの査定結果を比較することが大切です。また、査定価格だけでなく、査定の根拠や担当者の対応内容も含めて比較することで、より良い不動産会社にアプローチすることにもつながります。

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まずは実績のある1社に査定依頼をして様子を見たい、ということであれば大手不動産会社の無料査定サービスを利用するのも良いでしょう。例えば、三井グループの三井不動産リアルティが提供する「三井のリハウス」では、不動産売買のプロによる査定を依頼することができます。売却するかどうかの判断は査定後に決められるため、「まずは価格を知りたい」「売却するか活用するか悩んでいる」という方にも利用しやすいサービスと言えるでしょう。

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3.築30年の一戸建ての売却のコツ

築30年の一戸建てを少しでも高く売るコツについて考えていきましょう。

3-1.建物を使用できる状態にし、インスペクションをする

建物に値が付くようにするには、少なくとも、使用できる状態である必要があります。水回りなど、生活に必須の設備で壊れているものがある場合には、修繕することを検討してみましょう。ただし、金融評価としては建物の価値がつかないのが基本ですので、多額の支出を伴うリフォームなどは控えた方がよいでしょう。

ホームインスペクションをおこない、建物の強度や状態を客観的に判定してもらうことで、建物を使用したい買い手にアピールすることも検討できます。国に登録した建築士が、建物の劣化や不具合の有無を調査する制度もあるため、利用を検討してみましょう。

住宅の構造上主要な部分や雨水の侵入防止部分の瑕疵を保証する既存住宅売買瑕疵保険もあります。保険加入することで買い手へのアピールにつながるでしょう。

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3-2.相場を知った上で売却戦略を立てる

一戸建てを高く売るには、売出価格をいくらで設定し、価格交渉が入ったときはいくらまで妥協するのか、あるいは、売出価格をいつどのくらい下げるのか、などの売却戦略を立てることが重要です。

そのためには、事前に適切な相場価格を把握することが必要になるでしょう。売出価格が相場価格より高いと売却期間が長引き売れ残ってしまい、最終的に大幅に価格を引き下げなければならない場合もあります。

また、一戸建ての場合、個別性が特に高いことから、土地や建物の個別条件をどのようなターゲットに対してアピールしていくのか、そして、どのように価格に織り込んでいくかが売却戦略の大きなポイントになるでしょう。

3-3.販売力のある不動産会社に依頼する

不動産の売却は、不動産会社によって得意不得意があります。一戸建ての売却を専門としていて、できれば、売却しようとしている一戸建てと似たような物件の売却実績がある不動産会社に売却を依頼した方がよいでしょう。

販売力があるかどうかは、売却に関する提案力があるかどうかも判断要素として考慮することも大切です。不動産一括査定サイトを活用するなどして、複数社の実績や提案力も比較検討されていくと良いでしょう。

3-4.建物を解体するか、解体を前提に売却する

建物が使用できない状態であったり、建物のある状態では売りにくい場合には、思い切って解体してから売却することも検討してみましょう。建物を解体することで、新築一戸建ての建築用地を探している買い手のニーズなどを取り込むことができます。

解体費用を捻出することが難しい場合は、解体を前提に、解体費用分を差し引いて売却する方法があります。

なお、土地の固定資産評価額は、その上に住宅が建っているか、または更地の状態かによってその金額が変わってきます。(※総務省「固定資産税制度について」)解体して翌年の1月1日を迎えた場合、固定資産税・都市計画税が増えるので注意しましょう。

まとめ

築30年の一戸建ては、建物価値がゼロであるため、土地値が基本となります。

一戸建ての売却価格相場を調べるには、成約事例情報サイトや売出事例情報サイトを利用して、地域、最寄り駅、最寄り駅からの距離、土地面積、建物面積、築年数、の項目が類似する物件の価格と比較して相場を調べる方法があります。土地の路線価から価格を算定する方法も有効でしょう。

売主自ら相場を知ることで、一戸建ての売却戦略に活かすことができます。売却する際には、建物の状態、市況を見極め、販売力のある不動産会社に依頼するとよいでしょう。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。