不動産投資をするなら、人口の多い都心で物件を選びたいと考える人は多いのではないでしょうか。東京都内でも新宿区は特に都心というイメージが強いエリアです。
この記事では、統計に基づいて新宿区が持つ特徴を分析するとともに、新宿区で不動産投資をするメリット・デメリットについても解説します。
目次
- 不動産投資の目線で見た、新宿区の特徴
1-1.若年世代の単身者が多い
1-2.都心5区の中では地価が低い
1-3.外国人居住者が多い - 新宿区の不動産投資の利回りや注意点
2-1.新宿区の想定利回り
2-2.犯罪発生件数が多い - 新宿区で不動産投資をするメリット
3-1.ワンルームまたは1LDKの投資に向いている
3-2.都内で比較しても物件の資産価値は高め - 新宿区で不動産投資をするデメリット
4-1.競合物件との差別化が難しい
4-2.高い利回りを狙った投資には適していない - まとめ
1.不動産投資の目線で見た、新宿区の特徴
新宿区というエリアの特徴について、人口や地価などの統計を用いて分析します。人口や地価の面などから見ると、新宿区は特徴が分かりやすいエリアです。
1-1.若年世代の単身者が多い
新宿区は住宅街というよりオフィスや飲食店などの店舗が非常に多いエリアです。このため、居住者には20代~30代の単身者が多くなっています。新宿区が発表している資料によると、世帯人数別の割合は以下グラフの通りです。
新宿区の単身者世帯割合は東京都全体と比較しても17.6%多く、日本全国の傾向と比較するとかなり多い方であることがわかります。単身者世帯と2人世帯を合わせて全体の約85%を占めていることから、新宿区で投資するなら、比較的小さめのマンションなどが向いていると言えるでしょう。
また、新宿区の年齢別人口分布を見ると、25歳~30歳前後の人口が最も多いことがわかります。2022年1月時点における年齢別人口分布は以下の通りです。
働き盛りである若い世代が比較的多いのは都心ならではの特徴と言えるでしょう。また、子ども世代がかなり少ないことからもファミリー向けの物件よりは単身者またはDINKS向けの物件が投資に向いていることがわかります。
1-2.都心5区の中では地価が低い
東京都内でも都心のイメージが強い新宿区ですが、都心5区の中で比較すると、2022年における新宿区の公示地価は最も低くなっています。
地価は物件価格とイコールではありませんが、例えば新築マンションを建設する際にはデベロッパーが支払う土地の仕入れ値に影響するため、少なからず物件価格にも関係してきます。
都心5区はいずれもネームバリューの強いエリアですが、その中で比較すれば新宿区では相対的に安く物件を購入しやすいエリアと考えることもできるでしょう。
1-3.外国人居住者が多い
東京都心の中でも特に新宿区が持つ強い特色として、外国人居住者の多さが挙げられます。以下のグラフは、新宿区が公表している資料に基づいて都心5区における外国人人口を比較したものです。
新宿区の外国人人口は港区の約2倍となっており、都心5区の中で比較するとかなり多い方であることがわかります。なお、2022年1月時点の東京都内で最も外国人人口が多いのは江戸川区で35,220人です。新宿区の外国人人口は23区内で2番目に多くなっています。
また、外国人人口の国別内訳を見ると、新宿区で特に多いのは中国人です。2番目に韓国人、3番目にネパール人、4番目にベトナム人と続きます。
ちなみに、江戸川区で1番多い外国人人口が中国人である点は新宿区と同様です。しかし、江戸川区で2番目に多い外国人人口がインド人である点は新宿区と異なっています。
外国人人口の多さを鑑みると、新宿区では外国人向けの賃貸経営も有効です。ただし、外国人向けの賃貸経営には日本人向けのものとは異なるノウハウが必要となります。
2.新宿区の不動産投資の利回りや注意点
新宿区ではどの程度の利回りを期待できるのか、またどんなポイントに注意が必要なのか、こちらも統計を分析しながら解説します。
2-1.新宿区の想定利回り
不動産ポータルサイトのLIFULL HOME’S 不動産投資が発表している統計によると、2023年1月時点で確認できる新宿区内の想定利回りは以下の通りです。
物件種別 | 区分マンション | 一棟アパート | 一棟マンション |
---|---|---|---|
利回り | 5.0% | 4.6% | 4.9% |
※参照:LIFULL HOME’S 不動産投資「東京都の賃貸用住宅の空室率一覧」
例えば、区分マンションで比較すると、都心5区における想定利回りは以下のようになっています。
- 新宿区:5.0%
- 千代田区:4.4%
- 中央区:4.5%
- 港区:4.1%
- 渋谷区:4.6%
参照:同上
新宿区の想定利回りが特に高いというわけではありませんが、都心5区の中で比較すれば新宿区は高い方であることがわかります。なお、2023年1月時点で公表されている統計に基づくものですが、港区の区分マンション想定利回りは23区の中で最低値です。
2-2.犯罪発生件数が多い
新宿は歌舞伎町など都内でも有名な繁華街を含むエリアであり、あまり治安が良くないイメージを持っている人も少なくありません。実際に警視庁が公表している統計によると、都心5区における2022年11月の累計犯罪発生件数は以下のようになっています。
新宿区の犯罪発生件数は、都心5区で比較するとかなり多い上に23区内で比較しても最多です。多くの人が新宿区の治安に対して持っているイメージは、実際の犯罪発生件数に裏打ちされたものであると考えられます。
借りる家を選ぶにあたって治安を重視する女性の単身者は特に多いものです。新宿区で女性向けの賃貸経営をしようと考える場合には、エリアと物件のセキュリティについてよく考える必要があるでしょう。
3.新宿区で不動産投資をするメリット
統計を分析しながらここまで解説してきた内容に基づき、新宿区で不動産投資をするメリットをご紹介します。
3-1.ワンルームまたは1LDKの投資に向いている
既に解説した通り、新宿区の住民には1人世帯と2人世帯が非常に多くを占めています。このため、入居者のターゲットを絞りやすく、間取りも選びやすいと言えるでしょう。
1人世帯~2人世帯には1ルームまたは1LDKの物件などが向いており、これらの物件は面積がそこまで広くないため、他の間取りと比較すれば安価に購入できます。
エリアの特徴が明確なため投資戦略を立てやすく、物件選びに迷うことが少なくて済む点は新宿区で不動産投資をするメリットと言えるでしょう。
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3-2.都内で比較しても物件の資産価値は高め
新宿区の地価は都心5区で比較すれば割安ですが、23区内で比較すると高い方に分類されます。地価は物件の資産価値に影響するため、金融機関がローン審査をする場合にも、新宿区の物件は資産価値が比較的高いと判断される可能性が高くなります。
後々売却することを考慮しても、物件が持つ資産価値の高さは重要なポイントです。融資を利用しやすい物件は買手が付きやすく、早期売却も行いやすいと考えられます。
4.新宿区で不動産投資をするデメリット
4-1.競合物件との差別化が難しい
新宿区で不動産投資をするデメリットとしては、競合物件との差別化が難しいという点が挙げられます。ここまで解説してきた通り、年齢別の人口分布や世帯当たり人口を考慮すると、新宿区は単身者またはDINKS向けのワンルームや1LDK物件などが適したエリアです。
しかし、ワンルームマンションや1LDKなどの物件には、間取りや意匠などが似通ったものも多くなります。似たような物件が多いエリアでは、競合との差別化を図るのが難しいものです。
4-2.高い利回りを狙った投資には適していない
また、単身者やDINKS世帯は交通利便性・生活利便性の高いエリアを好みます。一方で、新宿区内で駅近の物件は価格が割高であり、高い利回りを狙った投資にはあまり適していません。
新宿区内で投資用物件を購入するのであれば、比較的に低リスクの長期的な運用になることを視野に入れ、購入後の客付けなどについて戦略を考えておく必要があります。
まとめ
新宿区が持つ特徴としては、若年世代の単身者やDINKS世帯と外国人居住者が非常に多いなどのポイントが挙げられます。物件の取得価格から鑑みても、新宿区ではワンルームや1LDKなどのマンションなどが投資対象として検討していきやすいと考えられるでしょう。
その一方で、23区で比較すると犯罪発生件数が多く、治安があまり良くないというイメージがあることから、物件のセキュリティやエリア選びには要注意です。また、ワンルームや1LDKなどのマンションは競合との差別化を図る必要があります。
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