株式会社グローバル・リンク・マネジメントの社内シンクタンクであるグローバル都市不動産研究所は、6月26日、第5回「不動産投資に対する意識調査」の結果を発表した。調査からは、不動産価格の高騰を背景に、不動産投資への関心が過去5年間で最も低い水準になったことや、投資家の注目エリアが都心から周辺地域へ広がりを見せている実態が明らかになった。
今回の調査は、全国の20代から60代の約3万人と、投資用不動産所有者400人を対象に実施された。2021年から続く5回目の定点調査となる。
調査結果によると、投資全般に「興味がある」と回答した層は44.6%で、過去5年の調査で初めて前年比で減少した。特に40代以下の年齢層で関心が薄れる傾向が見られた。不動産投資に少なからず興味を持つ層も35.4%と、過去5年で最も少なくなった。不動産投資をしない理由として最も多かったのは「投資する費用が高い」で32.4%を占め、首都圏を中心とした物件価格の高騰が投資の大きな障壁となっていることがうかがえる。
一方で、すでに投資用不動産を所有している層では、投資目的として「資産運用」を挙げた割合が73%に達し、調査開始以来初めて7割を超えた。これは、守りよりも資産を積極的に増やそうとする“攻め”の姿勢が強まっていることを示唆している。投資のメリットとしては「安定的な不労所得を得られる」が58.5%で最多だった。他方、懸念点としては、短期的には「空室になること」(54.8%)、長期的には「資産価値が下がること」(44.3%)が挙げられ、空室が他のリスクを誘発することへの強い警戒感が示された。
購入を検討したいエリアについては、「東京都心5区」が28.3%で依然としてトップだったが、比率は前年から減少し、初の減少に転じた。代わりに「東京都市部」や「横浜・川崎エリア」、「大阪府」など、都心周辺や関西圏への関心が高まっている。これは、都心部の物件価格高騰を受け、投資家がより値頃感のあるエリアに目を向け始めていることの表れだと考えられる。
同研究所の市川宏雄所長は、コロナ禍後も続く不動産価格の高騰が、高所得者層を除く一般層にとって投資のハードルになっていると分析した。その結果、投資家の関心は購入しやすいエリアへシフトしつつある一方で、富裕層の投資意欲は依然として根強いという二極化の構造が浮き彫りになったと総括した。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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