日本では、長きにわたり少子高齢化が課題となっています。すでに社会全体では、人口減少が始まっています。現在でも少子化の流れを食い止めるには至っておらず、今後も人口減少が続く見通しです。
内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、出生数は減少を続け、2065年には56万人になると推計されています。この減少により、年少人口(0~14歳)は2056年に1,000万人を割り、2065年には898万人と、2021年時点の約6割程度にまで減少すると見込まれています。
人口減少が進むなかでの不動産投資には、留意すべきリスクがいくつか存在します。今回の記事では、人口減少社会におけるアパート投資のポイントについて紹介します。
目次
- 日本の人口減少と見通し
- 人口減少社会におけるアパート経営のリスク
2-1.賃貸需要の低下による空室率の増加
2-2.賃料水準・地価の低下
2-3.周辺での空き家の増加
2-4.都市の衰退による利便性や魅力の低下 - 人口減少社会で成功するためのエリア選びのポイント
3-1.首都圏近郊か大都市の都心周辺を狙う
3-2.ターミナル駅からのアクセスに着目
3-3.利便性が高い駅の徒歩圏を選択
3-4.特定の施設に依存するエリアに注意 - 人口減少社会でのアパート経営の成功事例
4-1.首都圏の人口増加地域を厳選
4-2.長期的な視点でアパートの建物管理にこだわる
4-3.大手のアパート不動産会社をうまく活用 - アパート経営に強い不動産投資会社
5-1.シノケンプロデュース
5-2.アイケンジャパン - まとめ
1 日本の人口減少と見通し

引用:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
日本では、1990年代ごろから少子高齢化が課題となり、2008年からは、実際に人口減少も始まっています。政府の予測に基づくと、人口減少は今後も続き、2050年頃には1億人程度となる見通しです。
人口減少はアパート経営にとってリスク要因ではありますが、アパート経営が不可能になるわけではありません。これからのアパート経営では、日本の人口減少を前提として戦略を立てましょう。
2 人口減少社会におけるアパート経営のリスク
人口減少が続く中でのアパート経営には、次のようなリスクがあります。
- 賃貸需要の低下による空室率の増加
- 賃料水準・地価の低下
- 周辺での空き家の増加
- 都市の衰退による利便性や魅力の低下
アパート経営を検討する場合には、これらのリスクを踏まえて物件探しや投資計画の策定を進めましょう。
2-1 賃貸需要の低下による空室率の増加
ある地域の人口が減るということは、その地域に住みたいと考える人も減少する可能性が高いと考えられます。居住需要の低下が人口減少につながり、その結果として街の魅力や利便性が低下して、さらに居住需要が出にくくなるという悪循環に陥ります。
賃貸需要が低下すれば、自分が経営するアパートでも空き家が出やすくなると考えられます。空室率の増加により月々の賃料収入が低下し、収支を圧迫しかねません。
ただし、人口減少は日本国内で一様に進行するわけではありません。人口減少社会においては、将来にわたって相対的に人口が減りにくいを探すのが定石です。
2-2 賃料水準・地価の低下
人口減少地域は、基本的に賃料水準や地価が下がりやすくなります。物件の取引価格は、不動産の収益性に大きく依存します。人口が下がって収益性が低下すれば、その地域の物件は安値で取引される可能性が高くなるでしょう。その結果、地域の不動産の取引価格や地価が下がってしまうのです。
たとえ自分の物件の稼働率が良好でも、取引価格や地価の低下により、売却時の価格が下がって、投資成績の悪化につながる恐れがあります。特に、地方でのアパート経営を検討するときには、将来の売却価格が低下する可能性を踏まえながら投資を検討するのが得策です。
2-3 周辺での空き家の増加
人口の減少と足並みをそろえるように全国で問題となっているのが、全国の空き家の増加です。空き家は、人口が減少する中で、家主の老化に伴う退去や死亡などの結果、物件の引き取り手や解体などの処分を担う者がいなくなった結果発生します。
空き家は、その地域の環境や景観の悪化、犯罪者等が住み着くことによる治安の悪化などの問題を併発します。自身の物件の稼働に問題がなくとも、周囲の空き家の増加が嫌気され、アパートの需要に影響を与えかねません。
2-4 都市の衰退による利便性や魅力の低下
人口減少が進む都市は、基本的に発展しづらくなり、次第に衰退へ向かうリスクが高くなります。衰退する都市は、合わせて魅力の創出が難しくなります。
また、公共サービスの低下や鉄道の減便などのインフラの質の低下などが発生するケースも多いと言えます。魅力と利便性の低下は、長期でみたときに入居者の獲得に影響を与えるでしょう。長期にわたり魅力や利便性の維持が期待できる、活気あふれるエリアを選択するのが得策です。
3 人口減少社会で成功するためのエリア選びのポイント
人口が減少する中で堅実なアパート経営を実現させるためには、エリア選びにおいて次の点を意識しましょう。
- 首都圏近郊か大都市の都心周辺を狙う
- ターミナル駅からのアクセスに着目
- 利便性が高い駅の徒歩圏を選択
- 特定の施設に依存するエリアに注意
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
3-1 首都圏近郊か大都市の都心周辺を狙う
特に初心者の場合、首都圏の近郊部か名古屋・大阪・福岡あたりの都心周辺を狙いましょう。これらのエリアには、この少子高齢化の時代でもいまだに人口が増え続けている、将来もほとんど減少が見込まれない自治体が複数あります。
国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口予想を自治体別に出しています。たとえば、次のような自治体は、2045年の人口が2020年対比で増加する見込みです。
東京・大阪・愛知で人口増加率の見通しが大きい上位5自治体(2045年対2020年)
(参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口 令和5(2023)年推計」)
特に人口増加が顕著な東京は、少々都心から離れた近郊部での安定した需要が見込まれます。東京以外の大都市の場合は、都心まで20〜30分以内でアクセスできるエリアから優先して検討していくと良いでしょう。
東京については、価格が高く、都心部でアパートを入手するのが困難です。賃貸需要が強いため、ターミナル駅まで30分強のエリアでも、場所によっては安定した需要が期待できます。
3-2 ターミナル駅からのアクセスに着目
さらに細かい立地選びのときには、最寄駅のターミナル駅へのアクセスに着目しましょう。さらに最寄駅から乗り換えなしでターミナル駅にアクセスできて、運行本数も多い路線を選びましょう。
ターミナル駅に厳格な定義はありませんが、たとえば以下のような、利用者が多くとりわけオフィス・商業が発達している駅です。
- 東京:東京駅、上野駅、池袋駅、新宿駅、渋谷駅、品川駅
- 大阪:大阪(梅田)駅、新大阪駅
- 名古屋:名古屋駅
- 福岡:博多駅
まずこれらの駅に1本でアクセスできる路線をピックアップして、ターミナル駅までの所要時間をもとに、具体的な駅を絞り込んでいくとよいでしょう。
3-3 利便性が高い駅の徒歩圏を選択
アクセスの良い路線のなかから魅力的な駅を基準として、立地を絞り込んでいきます。ターミナル駅まで近い駅の方がよいのは基本として、以下のようなポイントにも着目しましょう。
- 運行本数は多いか
- 速達電車の停車駅か
- 始発駅か途中駅か
- 最寄り駅自体の発展度
運行本数が多い路線の方が、待たずに電車に乗れて便利なので、人気が出やすいのはいうまでもありません。また、快速や特快、準急など、速達電車が停まる駅の方が、人気化しやすい傾向にあります。
そのほか、始発駅は、朝のラッシュ時でも着席しやすいなどの理由で、他の条件が同じ場合に競合優位に立てる場合があります。最後に、最寄り駅自体も発展していると便利です。普段使いする商業施設や公共施設、医療施設などが集積していると、暮らしやすく人気が出るでしょう。
さらに、駅からの近さも重要な要素です。特に大都市圏の場合は、最寄り駅から徒歩圏であった方が、賃貸需要が見込みやすいといえます。理想としては、徒歩10分圏内くらいをターゲットに、物件を探すのがよいでしょう。
3-4 特定の施設に依存するエリアに注意
特定の施設が継続的な賃貸需要を生み出しているケースは少なくありません。特に顕著なのは「大学」で、大学周辺では一人暮らしを始める学生による需要を毎年見込めます。また、大企業の工場などが所在する地域でも、従業員の住まいとして賃貸ニーズが増加することがあります。
このような施設に着目したアパート投資を行う場合は、大学や工場の移転リスクに留意する必要があります。大学については、近年、少子化による学生数の減少を背景に、利便性の高い都心部などへのキャンパス統合・移転が見られるため、将来的な動向に注目してみましょう。
企業においても、経営方針の変更や戦略的な拠点見直しにより、移転が発生する可能性があります。こうした施設が移転した場合、それまで賃貸需要を支えていた背景が失われることで、空室が増加し、アパート経営に支障をきたすことが懸念されます。
特定の施設を前提とした賃貸経営は一つの有効なアプローチではありますが、対象施設の中長期的な存続性や地域の需要構造も踏まえて判断することが重要です。たとえば、大学に着目する場合には、複数の大学へのアクセスが可能な立地を選ぶことで、移転リスクをある程度分散させるといった対策が考えられます。
4 人口減少社会でのアパート経営の成功事例
- 首都圏の人口増加地域を厳選
- 長期的な視点でアパートの建物管理にこだわる
- 大手のアパート不動産会社をうまく活用
4-1 首都圏の人口増加地域を厳選
日本全体では人口減少が進行していますが、首都圏における交通利便性の高いエリアでは、依然として一定の賃貸需要が見られます。特に東京近郊では、現在も人口が増加傾向にある自治体が存在し、それらの地域におけるアパートでは、一定の賃料収入を得ている投資家も少なくありません。
このようなエリアでは、物件価格が比較的高く利回りは抑えられる傾向にありますが、賃貸需要の継続性や資産価値の下支えを評価して投資対象とするケースが見受けられます。
また、地価や取引価格が大幅に下落しにくい傾向があるため、売却時に比較的良好な価格で取引される事例も見られます。利回りの水準は控えめでも、将来的な売却益を含めたトータルリターンを見込む投資判断が行われる場合があります。
4-2 長期的な視点でアパートの建物管理にこだわる
アパート経営では、建物を長く良好な状態で保つことが収益の継続につながります。屋根や外壁の劣化、設備の不具合といった問題は、放置すれば費用も手間も増えていきます。だからこそ、点検・清掃・修繕を計画的に行い、トラブルの芽を早めに摘むことが重要です。こうした管理の姿勢が、入居者の満足度や空室リスクの低減にも直結します。
加えて、建物の性能を客観的に把握する手段として「住宅性能評価」を活用するのも一案です。耐震性や劣化対策、省エネ性能などを第三者が評価する仕組みで、長期保有を見据えた建物選びや維持方針の判断材料になります。
【関連記事】アパート経営で注目される「住宅性能評価」とは?導入しているアパート経営会社も
4-3 大手のアパート不動産会社をうまく活用
初心者の場合は、ノウハウが蓄積した大手のアパート不動産会社を利用することで、多くの方が優良物件でのアパート経営を実現させています。
全国で事業展開するアパートの不動産会社は、各地の強み・弱みや人口動態の観点から堅実な不動産投資が可能な物件を数多く所有しています。このような良い立地のアパート経営に強い不動産会社から物件の購入を検討するのも良いでしょう。
また、大手のアパート不動産会社は管理にも強みがあります。アパート経営は30年~50年などの長期的な資産運用の方法です。購入時点の利回りや入居率だけでなく、長期的なパートナーとして信頼ができるかどうかという点から、不動産会社選びを検討されてみると良いでしょう。
5 アパート経営に強い不動産投資会社
アパート経営においては、物件の管理力や入居者対応の質が収益の継続性に大きく関わります。ここでは、管理実績や入居者サポートに定評のある不動産投資会社を紹介します。各社の特徴を比較し、自身の投資スタイルに合ったパートナー選びの参考にしてください。
5-1.シノケンプロデュース
- 駅徒歩10分以内の土地にこだわり、入居率98.75% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
- 管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の豊富な管理実績
- 初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」
シノケンプロデュースは、東京・福岡・大阪・名古屋・仙台の都市圏で投資用アパートの販売を中心に行っているシノケングループのグループ企業です。管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の実績があり、入居率98.75% (2024年年間平均/自社企画開発物件)を実現しています。初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」や、入居者からの家賃の支払いが遅れた場合の家賃滞納保証などオーナーが安定した収益を生むための保証制度も充実しています。購入者の半数以上がリピーターとなっており、会社員・公務員からの評判も良い会社です。
さらに、シノケンでは入居者向けコールセンター(24時間365日8カ国語対応)で、外国人や高齢者など敬遠されがちな方にも手厚い対応を行っています。このような入居者向けサービスは、高齢者の継続的な安否確認、外国人の言語の壁によるコミュニケーションや生活マナーの改善などが期待でき、オーナーにとっても入居者層を広げられるメリットや将来的な入居需要に応えることができるメリットがあります。
【関連記事】シノケンのアパート経営の評判は?営業、融資、物件、入居率の評判・口コミ
5-2.アイケンジャパン

- 入居者のターゲットを社会人女性に絞り、入居率99.3% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
- 入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」
- 女性入居者に合わせた高い防犯性を備えている点も特徴的
アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトに掲げる不動産投資会社で、2006年の創立から1000棟以上の開発・引渡し実績があります。
アイケンジャパンのアパートは、対象エリアを主要駅10分圏内(首都圏は15分圏内)、入居者のターゲットは物件選びの目線が厳しい社会人女性に絞って、防音性・防犯性・デザイン性・コストパフォーマンスなどを追求し、入居率99.3%(2023年年間実績)を実現しています。事業計画の設定家賃に対しても、10年以上経っても98.7%(2024年6月末時点)の高い収益率を達成できており、オーナーからの紹介・リピート率も高い会社です。
さらに、オーナーに対する保証やサポートが手厚いのもアイケンジャパンの特徴です。家賃滞納保証や管理代行サポートなども利用できるため、初心者の方でもアパート経営に取り組むことができます。建物完成後は全部屋に入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」があり、地盤の問題や構造上の欠陥についても、建物引渡日の翌日から20年以内に不同沈下が発生し、建物に被害が出た場合、建物と地盤の修復工事を行う「宅地地盤保証」という保証があります。
また、アイケンジャパンの入居者のターゲットとして想定しているのは「社会人女性」のため、①オートロック・カラーモニターフォン、②共用廊下・共用階段が屋内となるように設計、③バルコニー前をライトで照らすなど、④高さのあるベランダにする、⑤防犯シャッター、⑥防犯カメラの設置など、ターゲットから求められる高い防犯性を備えている点も特徴的です。
【関連記事】アイケンジャパンのアパート経営、メリットやリスクは?オーナーの口コミ・評判を分析
まとめ
人口減少が続く社会においては、不動産投資は難しいという印象をもたれがちです。しかし、人口が増える、もしくは減りにくい立地を慎重に選べば、堅実なアパート経営を実現できます。
都市の規模やアクセス、周辺環境などを丁寧に分析して、魅力的な物件を発掘しましょう。自力で発掘するのが難しいという方は、アパート物件の販売実績が豊富な不動産会社をパートナーとして、アパート経営をスタートすることを検討されてみると良いでしょう。

伊藤 圭佑

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