不動産投資の株式会社グローバル・リンク・マネジメントは12月25日、「これからどうなる? 東京の空き家~23区別の空き家数・空き家率の傾向を詳細分析」と題したレポートを公表した。全国と東京都の空き家数と空き家率の推移に加え、23区別の空き家数・空き家率の増減実態を分析している。結グローバル都市不動産研究所の第31弾レポートで、監修は市川宏雄氏所長。
日本全国の空き家数はここ30年で約2倍に増加し、特に「その他空き家」(賃貸・売却用を除く長期不在の空き家)が急増している。レポートによると、空き家数は2018年から51.3万戸増え、空き家率も13.8%に達した。「その他空き家」は2.6倍に増加、総住宅数に占める割合も上昇している。
東京都の空き家数と空き家率の動向は、直近15年でほぼ横ばい。23区別にみた空き家数と空き家率の動向は、直近20年間の平均空き家率はわずかに減少したが、千代田区・台東区では大幅減が目立つ。また、世田谷区・江戸川区・台東区等を中心に、維持管理が不全となるおそれの空き家数が急増していた。
空き家数全体でみると、1993年(52.7万戸)から2023年(89.7万戸)の30年間で約1.7倍に増えている。この間、大きく増えているのは「賃貸用の空き家」(1993年38.8万戸→2023年62.9万戸)だが、今後大きく問題化すると考えられる「その他空き家」も1993年(11.0万戸)から2023年(21.4万戸)の30年間で、約1.9倍増となっている。
さらに、2023年の空き家率(種類別)を都道府県ごとにみると、東京都のランキングは空き家率では44位(1位の徳島県は21.3%)、「その他空き家」率では最下位(1位の鹿児島県は13.6%)だが、空き家数でみれば、東京都の空き家数は1位(全国の空き家数の10%)、「その他空き家」数は2位(全国のその他空き家数の5.6%)となっており、空き家の実数自体は極めて多いことが明らかになった。
空き家は維持管理費がかかる一方で、資産価値が低下していくため、所有者にとっても負担になる。放置による老朽化は周辺環境の悪化、さらに地域の活力の低下にも影響する。特に、「その他空き家」は、高齢化や相続問題などによって今後も増加が懸念されている。
市川所長は、東京の空き家の現状について「都心回帰の人口増による住宅需要の高まり、相続した親の家屋の放置など、複数の絡み合った要因が各区にある」と、東京の地域性を挙げ、改めて「空き家施策の実施は焦眉の急」と促す。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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