1棟目のアパート経営が軌道に乗り始めると、棟数を増やして月々の収入を増やそうと考えている方も多いのではないでしょうか。2棟目のアパート投資を始めるタイミングは人それぞれですが、年収や自己資金の状況によってはアパートローンの審査に苦戦してしまうケースも少なくありません。
またアパートローンの審査では、1棟目の経営状況や、購入を検討する物件の評価などもポイントとなります。今回の記事では、2棟目のアパート経営に必要な年収や、それ以外のポイントをまとめました。1棟目の経営が軌道に乗って、次の投資を検討し始めている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 2棟目のアパートを購入するときの年収と自己資金の目安
1-1.年収は1,000万円前後が一つの目安
1-2.投資に回せる自己資金が500万円~1,000万円あるのが目安 - 2棟目購入を考えるうえでのそれ以外の着目点
2-1.投資に適した物件があるか
2-2.減価償却期間
2-3.売却のタイミング
2-4.将来の年収
2-5.1棟目の経営状況 - 2棟でのアパート経営のメリットとデメリット
3-1.2棟でのアパート経営のメリット
3-2.2棟でのアパート経営のデメリット - 2棟目のアパート経営の融資に強いアパート経営会社
4-1.シノケンプロデュース
4-2.アイケンジャパン - まとめ
1 2棟目のアパートを購入するときの年収と自己資金の目安
2棟目のアパートを購入するタイミングは、自分の年収や資金の状況を踏まえて検討しましょう。それぞれのポイントについて順番に紹介します。
1-1 年収は1,000万円前後が一つの目安
2棟目のアパートを検討するうえでは、年収1,000万円前後が一つの目安となります。年収は、主に借入余力を考えるうえで重要なポイントとなります。
アパート経営の規模が大きくなって、事業として認められる前の段階では、個人の年収が審査における重要な要件です。概ね借り手の年収の10~15倍程度が、総借入額の上限の目安となります。年収1,000万円であれば、借入総額は1億円強まで伸びると期待されます。
2棟目を所有する時点では、すでに1棟目のアパートの債務が存在しているため、総借入総額の上限と1棟目の残債の差額が2棟目のアパートで借りられるローンの上限となります。年収が1,000万円あれば、仮に1棟目で5,000万円前後の借入を行っていたとしても、さらに5,000万円程度の借入余地が出てくるため、2棟目の購入余地が充分にあるでしょう。
1,000万円を下回ったからと言って、直ちに2棟目購入が難しくなるとは限りません。しかし、購入する物件の価格目線を下げる、自己資金を増やすなどの工夫が必要となるでしょう。
1-2 投資に回せる自己資金が500万円~1,000万円あるのが目安
年収に加えて、不動産の購入に回せる自己資金が500万円~1,000万円程度あるかどうかも、2棟目を購入する目安となります。これは1棟目でも2棟目でも同様ですが、不動産を購入する際には、一定の自己資金が必要となります。
物件価格に対してローンの借入額が低ければ、差額を自己資金で用意する必要があります。さらに、登記費用やローンの事務手数料、税金の諸費用を賄うためにも自己資金が必要です。フルローンで取り組める場合で、最低でも物件価格の10%程度は自己資金を確保しておく必要があります。
仮に5,000万円程度の物件を購入するのであれば、不動産投資に充当できる現金が500万円以上必要な計算です。物件価格が高額であったり、ローン借入額が物件価格を下回ったりするときには、さらに潤沢な自己資金を用意しておかなければなりません。年収だけでなく、貯蓄状況にも目をむけて、2棟目の購入タイミングを検討しましょう。
2 2棟目購入を考えるうえでのそれ以外の着目点
自身の現年収や貯蓄の状況以外に、次のようなポイントも2棟目購入を検討するうえでのポイントとなります。
- 投資に適した物件があるか
- 減価償却期間
- 売却のタイミング
- 将来の年収
- 1棟目の経営状況
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
不動産投資を検討したり、物件を運営したりするうえで、ぜひ利用してみてください。
2-1 投資に適した物件があるか
自身が投資するうえで適した物件が出てくるタイミングをじっと待つのも重要です。多くの場合、2棟目のアパートを購入するときには、1棟目よりも購入の条件が厳しくなります。まず、融資の上限が厳しくなり、高額な物件の購入検討が難しくなります。一方で、物件価格が安くとも、銀行の担保評価が低く融資が伸びない物件も検討しづらいでしょう。
そのようななかで、自分の借入余地と自己資金を踏まえたうえで、希望に合った投資物件が見つかった場合には、好機ととらえて前向きに検討を進めるのが得策です。
2-2 減価償却期間
1棟目が築年数の古い物件の場合は、減価償却期間を見据えて購入を検討するのも一つのアイデアです。不動産投資においては、減価償却期間が終了すると、経費の計上額が減少し、見かけの所得が急増します。
その結果、所得税が増大して、税引き後の収支が悪化する場合が多いのです。仮にローン返済がまだ続いている場合、税引後のキャッシュフローが赤字化する場合も少なくありません。
そこで、1棟目の減価償却期間が終了した翌年に、2棟目を購入するのも一つの戦略といえます。アパート購入の年には、さまざまな経費が計上できるため、所得税を大きく減らすことができます。
また翌年以降、当面は2棟目のアパートの減価償却が計上できるため、1棟目の収支悪化を補うことが可能です。1棟目の収支悪化を嫌がって売却するとしても、2棟目の収入があったほうが、冷静に売却タイミングを見極められるのはいうまでもありません。
以上のような観点から、1棟目の減価償却切れを見計らって2棟目を購入するのも、一つの戦略といえるでしょう。
2-3 売却のタイミング
1棟目に売却の予定があるなら、売却直後に2棟目の購入をするという考え方もあります。1棟目の売却によって残債が処分され、さらに売却代金が手元に残るなら、2棟目はその代金を活用して、より大規模な物件を購入するのも一つの選択肢です。
この場合は先ほどの前提と異なり、残債が解消されているため、仮に年収1,000万円であれば、1億円程度の借入も視野に入ってきます。売却で得た現金をそのまま活用できるため、自己資金も用意しやすいでしょう。
2-4 将来の年収
現在だけでなく、将来の年収も加味して購入タイミングを検討するのもよいでしょう。特に、もし近い将来に一気に年収が上がる見込みがあるなら、その年まで購入を待つのも有効な選択肢といえます。
単純に年収が高いタイミングの方が審査が通りやすく、借入額も伸びやすいと期待されます。また、年収が高いと翌年の所得税が高額化するため、そのタイミングに不動産投資の経費を充てた方が、翌年の還付や所得税の圧縮額が大きくなるという効果もあります。
2-5 1棟目の経営状況
1棟目の経営状況も、2棟目の購入を検討するうえでのポイントとなります。金融機関によっては、1棟目の経営状況を重視する場合があります。この時には賃料収入の安定性や、賃料収入と手残りのキャッシュフローの比率などが重視されます。
このときにしばしば見られるのは返済比率とDSCRです。
- 返済比率(%)=(ローン返済額/満室時収入)×100
- DSCR(倍)=営業利益/ローン返済額
個人の不動産投資の場合は、簡便化のため営業利益を年間の総家賃収入で代替してよいでしょう。
返済比率が50%以下、DSCRは1.2~1.5倍以上が理想と考えられています。借入を積極的に活用したアパート投資では、この基準を満たすのは容易ではありません。それでも、これらの数値が良いタイミング(返済比率は低く、DSCRは高い状態)の方が、2棟目の審査を進めやすいといえるでしょう。
3 2棟でのアパート経営のメリットとデメリット
2棟目の購入を具体化する前に、2棟でアパート投資をするメリットと注意点についても整理しておきましょう。メリットが魅力的で、かつ注意点について適切な対策を取れるという方は、2棟目のアパート投資をぜひ検討してみてください。
3-1 2棟でのアパート経営のメリット
2棟のアパート経営に取り組むメリットは次のとおりです。
- 月々のキャッシュフローが潤沢になる
- 減価償却による節税効果が拡大する
- リスク分散になる
2棟でアパート経営をすれば、基本的には月々のキャッシュフローの増加が期待できます。アパート経営の場合、ほとんどの場合は黒字もしくは黒字化の見通しが立った状態で開始します。すなわち、2棟目のアパートからもプラスのキャッシュフローが生まれるケースがほとんどのため、これまでより潤沢な現金を獲得できます。
比較的築年数が経過した物件を2棟目とする場合、減価償却の計上による節税効果も拡大します。年収が比較的高く、1棟目の赤字だけでは充分に税負担額が減らないという方は、物件を増やすことでより大きな節税効果を享受できるでしょう。
1棟目とは異なる場所に2棟目をもつことで、リスク分散が可能です。複数の区画がある分、アパート一棟経営は、区分マンション投資よりもリスク分散が働きます。
ただし、区画数が複数あっても、同じ建物中では物件の立地や利便性などの条件はほとんど変わらないため、リスク分散の効果は限定的です。そこで、立地などの諸条件の異なる物件をもう一つ所有することにより、分散効果を高められます。
3-2 2棟でのアパート経営のデメリット
2棟のアパート経営を考える場合、次のような点に注意しましょう。
- 残債が増大する
- 住宅ローンを組むときに支障がでる恐れがある
- 修繕費用やランニングコストも増大する
1棟目のローンがまだ返済されていないことを前提とすると、2棟目の購入により残債が増大します。経営が順調で返済が進むうちはいいですが、空室が多くなると、赤字化して返済に苦慮するリスクもあるため、注意しましょう。
ローンの借入額が多いと、住宅ローンを組むときに不利に働く恐れがあります。不動産経営が事業規模(5棟/10室)以上のときに、住宅ローンの審査でアパートローンがどのように評価されるかは不確実です。しかし、借入額が多く見える以上、有利に働くことは考えにくいでしょう。
また、将来の修繕費用やランニングコストも倍増する点に注意が必要です。物件が2棟になる以上、それぞれにコストが発生します。
ランニングコストは、日々の賃料収入から賄えていれば問題ありませんが、10年~15年程度に1度発生する大規模修繕では、1棟あたり数百万円程度の出費となります。2棟ともなると、500万円近いコストがかかる可能性もあり、将来に向けた早めの資金対策が必要です。
4 2棟目のアパート経営の融資に強いアパート経営会社
4-1.シノケンプロデュース
- 駅徒歩10分以内の土地にこだわり、入居率98.75% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
- 管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の豊富な管理実績
- 初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」
シノケンプロデュースは、東京・福岡・大阪・名古屋・仙台の都市圏で投資用アパートの販売を中心に行っているシノケングループのグループ企業です。管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の実績があり、入居率98.75% (2024年年間平均/自社企画開発物件)を実現しています。初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」や、入居者からの家賃の支払いが遅れた場合の家賃滞納保証などオーナーが安定した収益を生むための保証制度も充実しています。購入者の半数以上がリピーターとなっており、会社員・公務員からの評判も良い会社です。
融資の面では、同社は長年にわたって独占契約を含む多くの金融機関を開拓しており、その中からオーナーにとって合う金融機関を紹介してもらうことが可能です。大手企業としての信用、過去の紹介実績、物件の品質の高さ、物件の収益性の高さといった点が金融機関からも評価されており、他の不動産会社から取得不可能と言われた場合でも融資が成功したケースもあります。
賃貸管理では、入居者向けコールセンター(24時間365日8カ国語対応)で、外国人や高齢者など敬遠されがちな方にも手厚い対応を行っています。このような入居者向けサービスは、高齢者の継続的な安否確認、外国人の言語の壁によるコミュニケーションや生活マナーの改善などが期待でき、オーナーにとっても入居者層を広げられるメリットや将来的な入居需要に応えることができるメリットがあります。
【関連記事】シノケンのアパート経営の評判は?営業、融資、物件、入居率の評判・口コミ
4-2.アイケンジャパン

- 入居者のターゲットを社会人女性に絞り、入居率99.3% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
- 入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」
- 女性入居者に合わせた高い防犯性を備えている点も特徴的
アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトに掲げる不動産投資会社で、2006年の創立から1000棟以上の開発・引渡し実績があります。
アイケンジャパンのアパートは、対象エリアを主要駅10分圏内(首都圏は15分圏内)、入居者のターゲットは物件選びの目線が厳しい社会人女性に絞って、防音性・防犯性・デザイン性・コストパフォーマンスなどを追求し、入居率99.3%(2023年年間実績)を実現しています。事業計画の設定家賃に対しても、10年以上経っても98.7%(2024年6月末時点)の高い収益率を達成できており、オーナーからの紹介・リピート率も高い会社です。
さらに、オーナーに対する保証やサポートが手厚いのもアイケンジャパンの特徴です。家賃滞納保証や管理代行サポートなども利用できるため、初心者の方でもアパート経営に取り組むことができます。建物完成後は全部屋に入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」があり、地盤の問題や構造上の欠陥についても、建物引渡日の翌日から20年以内に不同沈下が発生し、建物に被害が出た場合、建物と地盤の修復工事を行う「宅地地盤保証」という保証があります。
また、アイケンジャパンの入居者のターゲットとして想定しているのは「社会人女性」のため、①オートロック・カラーモニターフォン、②共用廊下・共用階段が屋内となるように設計、③バルコニー前をライトで照らすなど、④高さのあるベランダにする、⑤防犯シャッター、⑥防犯カメラの設置など、ターゲットから求められる高い防犯性を備えている点も特徴的です。
【関連記事】アイケンジャパンのアパート経営、メリットやリスクは?オーナーの口コミ・評判を分析
5 まとめ
今回の記事では、2棟目のアパートを購入して、複数棟経営を始めるタイミングについて整理しました。2棟のアパートを持つハードルは相応に高いものの、1,000万円程度の年収があれば、サラリーマンでも取り組む余地は充分にあります。自分の年収と貯蓄、そして1棟目の残債をふまえて、適切な購入タイミングを検討しましょう。
そのほか、1棟目の減価償却の終了や売却タイミング、経営状況なども踏まえて、2棟目購入の是非を考えてみてください。2棟目の購入を検討するうえで、有力な不動産会社が見つからないという方は、今回紹介した不動産会社に相談してみるのも一案です。

伊藤 圭佑

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