株式会社シノケングループは11月24日、「中長期ビジョン2020」を発表した。今年6月に創業30周年を迎えたことを契機、グループのビジョンを 「世界中のあらゆる世代のライフサポートカンパニー」、ミッションを「REaaSで人々や社会の課題を解決する」と掲げた。REaaSは、Real Estate as a Service の略で「不動産のサービス化」を意味し、“ビジネスモデルの革新とテクノロジーの融合により、より多くの人々にとって、手軽に安全に少額からの不動産取引をしやすくする”という同社グループの概念を意味する。ビジョンではこれまでの歩み、REaaSについての解説を含めたビジネスモデルの今後の展望、今後10年間の業績見込みをまとめている。
業績見込みは、2025年12月期の売上高1500億円、営業利益135億円、2030年12月期売上高2000億円、営業利益170億円を掲げた。見込みの検証にあたっては新型コロナウイルス感染拡大の影響から、海外事業や新規事業による業績拡大は考慮せず、既存事業だけの伸長を前提としている。
成長戦略の鍵となるREaaS について同社グループは「不動産テックの隆盛により不動産取引のデジタル化が進み、アプリ一つでより簡単に行えるようになってきた現在の潮流は『不動産流通革新 2.0』」と提起、「REaaSは次世代に続く不変のミッション」と位置付ける。引き続き、先進技術との融合、不動産サービスの国際化、金融サービスや公的サービスおよびモビリティサービスとの融合など「革新的なビジネスを創出していく」とうたう。
同社グループは単身者向けを中心とした収益不動産の開発・販売に強みを持ち、地域の不動産業者と信頼関係を築き、駅近の土地情報を得て厳選した上で仕入れ、土地の条件に合わせた建物を設計・施工し、入居率100%を目指す賃貸管理を行うというビジネスモデルを展開。不動産仲介業者、金融機関、不動産投資を行ったオーナーという、不動産投資に関する利害関係者との「人と人のリアルな信頼関係」を体系的、長期的に蓄積してきた。
これまでは、個人投資家(会社員層)向けに投資用アパートメント経営・投資用マンション経営のビジネスモデルを提案してきたが、それに加わる販売チャネルとして不動産投資法人「シノケンリート投資法人」を設立、REIT への物件供給を強化していく。今年7月に100億円規模の私募REIT組成が完了しており、21年内を目途に組入資産を300億円程度まで拡大させた上で東京証券取引所への上場を目指す。上場によって同社グループの物件を国内外の機関・個人投資家が小口で購入できることになり、裾野が広がる。
資産規模の拡大には、シノケンリート投資法人のメインスポンサーであるシノケンプロデュース(アパートメント販売)とシノケンハーモニー(マンション販売)から主に東京23区の物件の供給が必須で、個人向け販売にREITへの販売も加わることで、業績拡大への貢献が期待される。「できるだけ早期に資産規模1000億円以上への外部成長を目指す」としている。
ビジョンでは、同社グループで算定した株主価値(理論値)と時価総額のギャップも分析した。株主価値と足元の時価総額との間に4倍近くのギャップが生じていることがわかった。ビジョンの公表には、ギャップ解消のために同社グループの実績や事業内容、長期展望をより広く、より多くの投資家に周知させる狙いもある。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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