JPモルガンが暗号資産(仮想通貨)取引ビジネスに銀行サービスの提供開始

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これまでビットコインに対して否定的な態度を示してきたJPモルガン・チェースが、初めて仮想通貨サービスプロバイダーを顧客に加えた。JPモルガンは既に米国の2つの仮想通貨取引企業コインベースとジェミニ・トラストに銀行口座と金融関連サービスを提供している。5月12日、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えている。

JPモルガンが仮想通貨事業者にサービスを提供するのは初めて。情報筋によると、コインベースとジェミニの銀行口座は4月に開設され、トランザクション処理がスタートしたばかりだ。銀行は2社にキャッシュマネジメントサービスを提供し、米国居住のエンドユーザーによる米ドルの入出金を処理する。

注目すべき点は、JPモルガンが長年の懸念を払しょくしてビットコイン取引ビジネスに間口を開いたことだ。これまで多くの大手銀行は、仮想通貨が詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)に使用される側面を恐れ、規制の不確実性に晒されるリスクを避けてきた。

コインベースとジェミニがJPモルガンの審査プロセスを通過した背景には、両社の規制に準拠した運営体制がある。2012年に設立されたコインベースは、顧客規模が3,000万口座を越えている業界のリーディングカンパニーだ。同社はニューヨーク州の規制許可であるBitLicenseを保有し、マネーサービス事業(MSB)として金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の規制下にある。2014年に設立されたジェミニは、ニューヨーク州財務サービス局の信託会社憲章を取得しており、金融サービス会社に適用されるのと同じ州・連邦規制を受けている。

JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、かつてビットコインを「詐欺」と酷評しており、仮想通貨に否定的だった。一方でJPモルガンは、ビットコインの基盤となるブロックチェーン技術を取り入れて、クライアント間のデジタル決済を目的とした独自のデジタル通貨「JPMコイン」を開発している。

昨年5月のウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、仮想通貨企業はしばしば銀行問題に苛まされており、顧客の入出金経路だけでなく従業員への給与支払い手段を確保することさえ工面してきた。米銀最大手のJPモルガン・チェースが仮想通貨ビジネスとの取引を開始したことで、業界の信頼面が向上した裏付けとなっている。今後の発展に注目したい。

【参照記事】JPMorgan Extends Banking Services to Bitcoin Exchanges

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