不動産サービス大手のCBRE(日本本社:東京都千代田区)は5月14日に発表した特別レポート「横浜みなとみらいオフィスレポート 研究開発拠点が集積する都市」で、研究開発拠点が集積する横浜みなとみらいのオフィスマーケットが注目される要因を分析するとともに、今後のオフィス市況や投資のポテンシャルから、横浜市中心部の平均オフィス賃料は21年までの2年間で10.5%の上昇を予想している。
レポートは2021年1Q(1~3月期)予測と19年1Q実績を比較。それによると、横浜駅周辺、みなとみらい21地区のオールグレードの空室率は好調な企業業績を背景に1年前(2018年Q1)の4.9%から3.3ポイントと大きく低下した。近年は、研究開発拠点が横浜でのオフィス需要のドライバーになっており、企業の研究開発費はリーマンショック以降、増加傾向にある。中でも成長が期待されるIoT関連のメーカーは、その研究開発拠点をみなとみらいに新規開設または移転することを決めている。同エリアに進出を決めた企業として野村総合研究所、資生堂、村田製作所、LGホールディングスジャパン、ソニーがある。
同エリアの利点は3つ。神奈川県には技術系人材や「ミレニアル世代」が多く居住。ミレニアル世代は、ワークライフバランスを重視し、通勤にかかる時間を短くしたいと考える傾向にあり、横浜に事業所を置くことは採用の観点からもメリットがある。また、研究開発拠点に適した大型ビルの供給が続いている横浜では大型ビルの新規供給が続く。19年Q1時点のオフィスビルのストックは38万坪に及ぶ。ストックに対する23 年までの新規供給の割合は 19%(約7万坪の供給)で、全国で最も高い割合となる。さらにオールグレードオフィスで比較すると、横浜の賃料は東京の賃料を坪あたり約7000 円下回っている。ほか、自治体からの助成金、税軽減優遇措置などのインセンティブも大きな利点だ。
こうした要因と、横浜のオールグレード賃料は18年Q1 から19年Q1の1年間で4.6%上昇していることから、レポートは19年Q1から21年Q1の2年間で10・5%の上昇を予想する。
CBREリサーチシニアディレクターの鈴木孝一氏は「労働人口減少の影響により労働需給が逼迫するなか、技術系人材を確保しようと考える企業が横浜でオフィスを構える動きが拡大しつつある。横浜みなとみらいは、企業の受け皿となる大型ビルの新規供給が続くことに加えて、東京と比較して賃料が割安なため、IoT関連の研究開発拠点として魅力的なマーケットになっていくだろう」とコメントする。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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