経済規模は22年Q3にはコロナ禍前の水準に回復も、資源価格上昇と円安が企業収益を圧迫か。CBREレポート

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事業用不動産サービスのシービーアールイー株式会社は12月15日、スペシャルレポート「不動産マーケットアウトルック 2022」を発表した。2022年の日本国内の不動産市場について、マクロ経済、オフィス、リテール、ロジスティクス、投資の5分野で展望している。

マクロ経済については新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮する。日本では新規感染者数は今年11月末時点で一日当たり100人前後に抑えられており、ワクチン接種が進展し、経口薬の年内承認の可能性も高いことから、「パンデミックは収束にむけて漸進している」とする。第4四半期以降は消費、生産の本格回復が期待され、経済規模は2022年第三四半期(Q3)にはコロナ禍前のピーク水準を回復すると見ている。ただし、資源価格の上昇と円安の進展が企業収益を圧迫するリスク要因として懸念。また、変異ウイルス「オミクロン型」も、景気回復に対する新たなリスク要因としている。

オフィスは、経済の回復に伴い、テナントの動きは活発になると予想。多くの都市で22年は空室率の上昇ペースは落ち着いてくる。ただし、東京と大阪では、大量の新規供給を控え、向こう3年間は空室率の上昇と賃料の下落基調が続くと予想している。その他の都市では、賃料が上昇に転じる都市も出てきそうだ。地方都市ではリモートワークの影響が相対的に小さく、新規供給が限定的な都市では、景気回復によるオフィス需要の拡大が需給のタイト化に繋がると見られる。

リテールでは、22年の銀座エリアの賃貸市場にクローズアップし、「引き続きラグジュアリーブランドが出店ニーズをけん引しそう」と見る。20年から下落していたハイストリート賃料は、21年第三四半期に底入れした可能性が高く、2022年下期には上昇に転じると予想する。下期には、中心地からやや離れたエリアを含め、銀座ハイストリート全体でリーシングが進むようになるとみる。

ロジスティクスは、首都圏、近畿圏、中部圏のいずれにおいても、むこう2年間、高水準の新規供給が続くとした。特に首都圏では、2年連続で新規供給が過去最大を更新、首都圏全体では需給バランスは大きく崩れなくとも、物件のクオリティ次第でリーシングの進捗には格差が生じると予想する。福岡では、ストック面積が向こう2年間で57%増加するものの、旺盛な需要によって賃料は2年間で7%の上昇を見込んでいる。

投資では、経済回復への期待が高まる中、日本では緩和的な金融政策も続くことで、不動産投資に対する投資家の意欲はさらに高まると見られる。22年は物流、住宅、オフィスに加え、リテールやホテルに対する投資も徐々に再開すると見通し、投資総額は、20年が対前年比11%増、21年は同ほぼ横ばいの着地見通し、22年は前年比約10%の増加を見込む。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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