働き方・暮らし方・購買行動の変化が不動産市場に及ぼす影響は?世代別のサステナビリティ意識も CBREが世界2万人超に調査

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事業用不動産大手のシービーアールイー株式会社(CBRE)は1月10日、特別レポート「Japan Live-Work-Shop Report 2022」を発表した。世界で2万人以上を対象に実施した意識調査「CBRE Global Consumer Survey」(実施期間:2022年6月21日~7月26日)の結果から「働き方、暮らし方、購買行動」の3点で、人々がどのような点を重視しているのか、またはその意識の変化を分析している。世界比較の中では、日本人の特徴を捉え、不動産市場へどのような影響を及ぼすか、考察を加えている。タイトルは「変わっていくもの、変わらないもの」。

はじめに、ワーカーが職選びで重視するのは「給料」「働く場所と時間の柔軟性」「ワークライフバランス」で、中でも日本は「ワークライフバランス」の回答割合が、韓国(37%)に次ぐ2位(30%)となった。

オフィスと在宅のハイブリッドワークを行っている人は、特にワークバランスの改善を実感している。同社は、日本の住宅事情や通勤事情を勘案すると「改善の効果は大きい。国際的な人材獲得競争が激しくなる中で、より柔軟な働き方を認める重要性が高まっている」と指摘する。

世界比較で、日本人は賃貸志向が相対的に強く、潜在的な賃貸住宅市場規模は大きい。ただし、賃借コストと購入コスト(ローンの返済額)を比較して判断する人も多く、同社は「分譲住宅の価格およびローン金利が上昇する局面では賃借がより選択されるだろう」と見る。

若者を中心に、すべての世代で都心志向が強いのも日本の特徴。雇用機会が都市部、特に首都圏に集中していることがその背景にあると考えられ、都市部では今後も安定した住宅需要が見込まれる。

購買行動では、コロナ禍による外出制限を契機に、多くの人がオンラインでの購買を経験した。にもかかわらず、依然として実店舗で購入したい意向が強かった。特に日本は実店舗志向が強く、実際に見て触れることや、すぐに購入できるというリアルな体験に価値を置いている。よって、実店舗の価値はなお重要と考えられる。

同社はコロナ禍の初期から、仕事とオフィスに関する意識調査を行っており、今回の調査でも「日本人は出社頻度を減らしたいと思っているが、フルリモートを望んでいるわけでもない」という結果を得た。約9割は、週に何度かは出社したいと希望している。「だからこそ、来たくなる、今までよりも高い水準のオフィスづくりも進める必要がある」と説く。

住環境については「日本人が住宅に求める条件はコロナ禍を機に変化している」と分析。以前は転居の主な理由がライフイベントや仕事の都合だったが、コロナ禍後は住宅の快適性や住環境の質改善を求めて転居したいと考える人が増えているという理由だ。

住宅のサステナビリティについて関心が高いのは、世代別では経済的余裕があり、持ち家比率の高いシニア層だった。若い世代は借家比率が高いこともあり、サステナビリティ要件を重視する割合が低い。ただし、パンデミック前との比較では、若い世代ほどサステイナビリティに対する意識は高まっていた。

生活者の環境意識で、日本は後れを取っているとされる。若年層の環境意識は相対的に高いとはいえないが、今後行動を起こそうとしている潜在的な可能性が見られた。

同社は「購買行動が大きく変化する可能性がある」と示唆している。例えば、宝飾品リテーラーは、主要顧客である環境意識の高い高所得者に訴求するマーケティングが重要になる。オーナー側も、リユースやローカルを扱うテナントミックスを柔軟に取り込むことが消費者を惹きつけることにつながると同社は予想している。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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