2022年、海外投資家が関心を寄せる投資対象とは?CBREがレポート

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シービーアールイー株式会社(CBRE)は4月26日、スペシャルレポート「市場を牽引する海外投資家2022年の投資対象とは」を公表した。それによると、2020年から21年の日本の不動産投資額で海外投資家が占める割合は3割前後で推移しており、19年以前の過去5年間の平均値24%とほぼ同じ水準だった。同社は「コロナの影響下でも日本の不動産投資市場に対する海外投資家の関心は薄れていない。22年も投資意欲は高く、特に物流施設や住宅については国内投資家をしのぐ強いバイヤーとなる可能性がある。大型取引にも引き続き意欲的」と見る。ただし、日本経済は米国の金利上昇による円安の進行やウクライナ情勢を背景に依然として不透明感が残り、海外投資家は「これまで以上に選別姿勢を強める」と予測した。

日本を投資対象に含む海外投資家の投資意欲は高い。同社が21年12月に実施した「投資家意識調査2022」では、22年の取得額が「昨年より増加する」と回答した海外投資家の割合は74%。日本の投資家の54%を20ポイント上回った。要因として、資金調達コストの低さ、アジア太平洋地域の他の国・地域に比べて流動性が高いことが挙げられる。また、海外で地政学的リスクが高まる中、相対的に日本に対する安心感が高まっているとも考えられる。

各アセットタイプの価格水準についての質問では、物流施設の価格が「売主の希望価格を上回る」と回答した海外投資家の割合は43%で、日本の投資家の27%を大きく上回った。住宅についても日本の投資家が19%だったのに対し、海外投資家は38%と倍の差が出た。理由として、物流施設、住宅とも安定性が高いことに加え、「物流施設はコロナ禍でも賃貸需要が拡大し、賃料の穏やかな上昇にも投資家は妙味を感じている。住宅も、都市によっては賃料上昇も期待できる」ことが、投資意欲に繋がったと推測する。

海外投資家の取引対象は大型化している。22年も1000億円を超える複数の入札案件に多くの海外投資家の名前が挙がった。過去の海外投資家による取引の価格帯別の件数割合を見ると、100億円以上の件数割合は14年から上昇し始め、17年以降は概ね5割前後で推移。主な理由として、同社は①国内投資家と比較して日本の組織が大きくないこと②投資戦略の多様化の2点を挙げる。投資家によっては、限られるマンパワーで効率的な投資を行うため、より大きな案件を選別する。また、海外投資家は従来から高い利回りを目的とするバリューアッド投資が中心だった一方、14年ごろから安定性を重視してリスクを抑えたコア投資も増加しており、条件を満たす優良な物件を志向しているという見立てだ。

今後、日米間の金利差がさらに拡大することで円安も引き続き進行すると予想される。同社は「円安は海外投資家が日本の不動産を取得する際に基本的にはプラスに働く。ただし、地政学リスクに物価上昇率の加速など、景気先行きの不透明感が高まっているため、海外投資家は選別姿勢をより強めることが予想される」とレポートを結んでいる。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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