2019年の海外投資家による日本への不動産投資額、前年比91%増。CBRE発表

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CBREは4月9日、「日本のインバウンド&アウトバウンド投資 2019年(In and Out JAPAN 2019)」を発表した。海外投資家による日本への不動産投資と国内投資家による海外への不動産投資既存物件への直接投資の動向についてまとめたもので、毎春発表している。海外投資家による日本への不動産投資額は88億ドル(9550億円)、対前年比91%増と大幅に増加した。18年は大型取引の減少を主因に対前年比61%減の48.8億ドルまで落ち込んだが、19年は豪州などの太平洋地域を除く全ての地域からの投資額が増加。投資額が最も大きかったのはアジア域内からで、全投資額に占める割合は45%。うち韓国投資家が約4割を占めた。

投資主体別で投資額がもっとも大きかったのは「不動産ファンド」の44億ドル(4860億円)で、全投資額の51%を占めた。次いで大きかったのは「機関投資家」(28億ドル)で投資額は前年の約10倍となった。投資額が増加したのは住宅、物流施設、ホテルのアセットタイプ。「マーケットは終盤にさしかかっているとみる投資家が多い中、安定した収益を見込める住宅や物流施設に対する投資意欲が引き続き高い」(CBRE)と見る。

一方、日本からのアウトバウンド不動産投資額は30億ドル、対前年比40%増で2016年以来、3年ぶりに増加した。投資先地域別の投資額は、アジア域内、米州、EMEAでそれぞれ対前年比224%、同40%、同14%のプラスとなった。国別投資額が最も大きかったのは米国で16憶ドル、全投資額の53%を占めた。

投資主体別による投資額が最も大きかったのは「不動産会社・商社」の16億ドル、次いで「不動産ファンド」の10億ドル。ファンドによる投資額は調査開始以来最大となった。アセットタイプ別で投資額がもっとも大きかったのはオフィスで、全投資額の69%を占めた。主要な投資主体である不動産会社・商社は投資額の88%をオフィスに投資。一方、ファンドが投資したアセットタイプは分散傾向にあり、投資戦略としてはコアもしくはコアプラスが中心となった。

インバウンド投資について、CBREは「海外投資家の投資意欲は依然として高い」と展望。日本を魅力的な投資先として選んだ投資家の8割が2020年の投資額を「前年並み」か「前年より増やす」と回答しており、リスクをとりつつも、より高い利回りを求める姿勢がうかがえる。新型ウィルスによる影響で「前年に見られた取引の勢いは失速、投資額は抑制される可能性がある」と指摘する一方、「中長期的な投資を目的とする投資家の意欲に大きな変化はない。海外投資家は、物流施設や住宅、データセンターなど、ディフェンシブとみられるアセットへの投資を更に前向きに検討するだろう」と予測している。アウトバウンド投資では、投資家の9割が2020年の投資額を「前年並み」か「前年より増やす」と回答、投資意欲は引き続き高いとみられる。投資先として、投資家の55%が「最も魅力的な地域」として北米を選択した。ただしこちらも新型ウィルス拡大の影響で、20年の投資は抑制される可能性が高い。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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