東京都が民間事業者等に対して東京都が財政支援を行う「民間空き家対策東京モデル支援事業」の「TOKYO Data Highway等を活用した先端技術を駆使した空き家対策」で、14万件の日本全国の空き家の調査から情報提供を行う空き家活用株式会社の「リモートセンシングを活用した空き家調査の効率化に向けた先進事業」が採択された。同社は9月17日、実証実験など今後の進捗と「空き家調査のデジタル化は新しい市場を創ることができる」とコメントを発表した。
民間空き家対策東京モデル支援事業は、都が民間の力や知見を最大限に活用しながら重層的な空き家対策を展開するため、民間事業者などに対して都が直接財政支援を行う。補助率は補助対象経費の3分の2、限度額3500万円。今年8月7日から8月19日まで募集を行い、同社を含む7者が応募。実現可能性、発展性などの観点から審査を行った。
同社が提案するリモートセンシングを活用した空き家調査の効率化に向けた先進事業は、地域の中で空き家となっている住宅について、その状態や数などの実態を効率的に調査するため、人工衛星による熱赤外画像等のリモートセンシングデータと採択事業者が保有する空き家情報を、AI(人工知能)を活用して分析し、空き家が多いエリアをリアルタイムに検出する技術を実証する。この技術により、従来よりも大幅に少ない費用で空き家を特定する方法を確立、空き家の流通や利活用を促進するというもの。
実証実験は9月から10月にかけ、同社の調査員による対象エリアの実地データを収集。機械学習を通じてモデルを生成、実地データと相関割合を検証する。11月から2021年1月にかけてはフィードバックとモデル再構築を行い、2月には同社が提供する空き家を活用したい不動産関連事業者向けデータベース「AKIDAS(アキダス)」と統合、3月より仮運用を開始する計画。リモートセンシングデータ活用とAI解析にはサグリ株式会社の技術「SAgri」を活用する。
「当社が保有する空き家のデータベースは定期的にメンテナンスを行い、いわゆる“旬な空き家情報”を持っている。しかし空き家が少ないエリアの対応、住居だった空き家も存在するなど、コスト面での非効率も大きな課題だった」と和田貴充社長。これは自治体も同様で、コスト増と懸念される“特定空き家化”を防ぐ意味でも、空き家情報の把握は急務といえる。「今回の取り組みは、空き家のDX(デジタルトランスフォーメーション)化。空き家をリアルタイムで特定でき、民間事業者がその情報を安いコストで収集できれば、不動産価値がある情報を、スピード感をもって多くのエリアで提供できるようになる。コロナ禍により地方へ引っ越す人も増え、空き家の注目度も高まってきた中で、手放すタイミングを見失った空き家オーナーも救うことが出来るかもしれない。空き家調査のデジタル化は、新しい生活様式の中で、新しい市場を創ることが出来ると確信している」(和田社長)と意気込みを語っている。
【関連サイト】空き家活用株式会社
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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