イギリスに拠点を置く、グローバルコンサルタント企業PriceWaterhouseCoopers(PwC)は、防衛分野で活用できるブロックチェーンテクノロジーについてレポートを発表した。9月7日、ブロックチェーン関連やテクノロジーニュースメディアLedger Insightsが伝えている。
同社は、既存のサプライチェーンシステムについて、その複雑さをF-35戦闘機に例えて説明した。F-35戦闘機は一機を完成するために約30万個もに及ぶパーツの組み立てを要し、1,900ものサプライヤーによって製造される部品を使用する。そればかりか1つの部品がすでに複数のサプライヤーによって組み立てられるため、完成までに多くの製造過程を通過することになる。このような状況下では、より高度なサプライチェーンではより混乱やサイバー攻撃への対処が必要となる。
PwCは、こうしたサプライチェーンの効率性と透明性の向上にブロックチェーンが有効であると主張している。ブロックチェーンはあらゆる材料のライフサイクルの過程を検証でき、すべてのサプライヤーの透明性を確保することができるためだ。こうした検証性と透明性はサプライチェーンにとどまらず、デジタルIDや資格管理といった分野にも利用可能で、さまざまなプロジェクトが進行している。
Ledger Insightsによれば、米国国防総省(DOD)はブロックチェーンの有用性を認識しており、過去1年で複数の契約をブロックチェーン会社と行っているという。米海軍がブロックチェーン基盤のメッセージングおよびトランザクションプラットフォームの構築のため、ブロックチェーン企業SIMBA Chainと950万ドルを契約した他、米空軍も部品のトレーサビリティプロジェクトで150万ドルを同社と進める予定となっている。
【参照記事】PWC outlines benefits of blockchain for defense sector
高橋奈夕
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