地方創生を変革するNFT×DAO:2023年上半期国内活動事例まとめ

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近年、NFT(非代替性トークン)やWEB3(分散型インターネット)が注目されています。地方創生や環境事業にブロックチェーンやWEB3が活用されつつあります。特に地方創生のためにNFTが活用され、ふるさと納税の返礼品にNFTが登場すると、人気のコンテンツは即完売するほど注目されます。2023年以降も地方や地方を応援する事業がWEB3を活用する動きは進みそうです。

ここでは今国内でどういったWEB3×地方創生の活動が行われているのか、まとめてご紹介します。今回は、2023年の上半期をまとめていますのでご参考にしてみてください。

目次

  1. 北海道夕張メロンとNFTの出会い:地方創生に新たな一手
  2. 農業支援組織Metagri研究所の「ナカジマみかんNFT」シリーズ
  3. 「CryptoNinja Partners」と「あるやうむ」とのコラボ返礼品
  4. 3月1日よりDAOへの参加権および投票権を付与した『美しい村NFT』の予約販売を開始
  5. 写真投稿者へは証明書としてNFT発行!NFT活用した実証実験を白馬村で開始
  6. 地方創生目指す「にっぽんの宝物DAO」がFiNANCiEにて「宝物トークン」販売
  7. トークンを駆使した地域振興:南沖縄のアドベンチャーツーリズムとサステナブルな地域開発
  8. 和歌山県白浜町がふるさと納税の返礼品NFTを5月下旬よりスタート
  9. まとめ

①北海道夕張メロンとNFTの出会い:地方創生に新たな一手

夕張メロンをモチーフとした「夕張メロンNFT」は、MeTown株式会社と夕張市農業協同組合が共同で取り組んだプロジェクトです。地域特産品を通じて「第二の故郷」と繋がることができるこの革新的なプロジェクトは、全国の農協で初めてNFTを活用した例として注目を集めました。

この夕張メロンNFTの取り組みは、新たな地方創生事業の創出や新たな商流の形成を支援する「ふるさと名品オブザイヤー」2022年度の「地方創生賞(コト部門)」で表彰されています。

夕張メロンNFTは、合計888個のジェネラティブ(一点もの)が用意され、そのうち105個が2023年1月14日のプレセールで完売しました。残りの783個は2023年1月21日から販売が開始され、仮想通貨(ETH)と日本円(14,000円)で購入セールが行われていました。

夕張メロンNFTプロジェクトの特徴的な点は、所有者に対する様々な特典が提供されることです。その中でも、「デジタルアンバサダー」としての認定は大きな特典であり、これにより夕張メロンの生産者たちと一緒にプロジェクトに参加できる権利が得られます。デジタルアンバサダーとなると、夕張メロンを受け取る権利、限定オンラインコミュニティへの参加権、地域産品の限定特典や体験型特典を得ることができます。

夕張メロンNFTプロジェクトは、夕張メロンの生産者を支え、ブランドのファンの輪を世界中に広げることを目的としています。北海道夕張市だけで生産が許可されている夕張メロンは、高級ギフトフルーツとして広く知られていますが、作り手の高齢化等の問題から生産量が減少しています。

そこでNFTの導入により、夕張メロンの魅力をさらに広め、その生産を支援する新たな手法を導入。NFTを通じてコミュニティに参加し、生産者と継続的に交流することで、メロンの生産過程や、その苦労と喜びを直接知ることができます。

②農業支援組織Metagri研究所の「ナカジマみかんNFT」シリーズ

引用:OpenSea

農業ブランディングサービスを展開する「株式会社農情人」が運営する農業支援組織「Metagri研究所」は、愛媛県松山市中島における「ナカジマみかんNFTシリーズ」最終章として、立春の日、2月4日(土)に「ナカジマはるみNFT」を販売しました。

中島は愛媛県松山市の北西沖合、瀬戸内海に浮かぶ怱那諸島(くつなしょとう)は柑橘の栽培が盛んです。オンライン上の新たな交流手段として注目を浴びるメタバース(仮想空間)で、中島の名産である柑橘や六次産業化(アロマオイルなど)による商品をオンラインで販売したり、オンラインのコミュニティを現地におけるオフラインの体験につなげています。

メタ中島コミュニティによるプロジェクトの一つとして、Metagri研究所は中島で生産された柑橘とNFTを掛け合わせた「ナカジマみかんNFTシリーズ」を発行しています。NFTをきっかけとした”つながり”により、DAO(自律分散型組織)のコミュニティ運営支援も手掛けることで関係⼈⼝創出を目指しますとしています。

2月4日(土)21時から12点限定で 価格は0.05ETHです。NFTマーケットプレイス「OpenSea」にて販売開始されています。NFTユーティリティは、コミュニティ内の限定ページへのアクセス特典のほか、メタバース空間でのイベントや、中島におけるいよかんサウナイベントへのご案内、中島特産の柑橘や関連商品の割引購入など、様々なユーティリティを予定しています。

③「CryptoNinja Partners」と「あるやうむ」とのコラボ返礼品


「NFTによる地方創生」を推進する株式会社あるやうむと、国内最大級のNFTプロジェクトCryptoNinja Partners(以下、「CNP」)が、コラボした返礼品企画「ふるさとCNP」は、すでに複数のふるさと納税NFTを返礼品として制作しています。

京都府宮津市は2月26日(日)18:15より宮津市のふるさと納税の返礼品として「宮津市ふるさとCNP2023」を提供開始しました。222種類の一点ものNFTを寄付金額30,000円/種類で用意し、あるやうむ独自のポータルサイト「ふるさと納税NFT β版」上で提供されます。暗号資産を必要としない日本円での寄付によりNFTおよびCNPをカジュアルに体験しつつ、宮津市の魅力を満喫できる仕掛けをしていくとしています。

本NFTは、パーツや背景、キャラ等それぞれ異なる組み合わせの合計222種類となります。宮津市は、アイテムとして、名産品である黒ちくわやコッペガニ、由良みかん、オリーブ、日本酒のほか、背景には上世屋棚田、海燕、昇龍観、金引の滝、飛龍観をモチーフにしたNFTアートを作成します。メインキャラクターにはCNPの人気キャラクター「ヤーマ」を採用し、宮津市を訪れることでNFTのレベルを上げる仕掛けも実装予定です。

「宮津市ふるさとCNP2023」の概要

  • 寄付受付開始:2023年2月26日(日)18:15(予定)
  • 寄付金額:30,000円/種類
  • 注意事項:NFT発行から、1年間の転売制限を施しております。
  • 発行元:株式会社あるやうむ(北海道札幌市)
  • 寄付受付サイト:ふるさと納税NFT β版

返礼品としてNFTを受け取るために、送付先のウォレットアドレスを入力します。そのため予め「メタマスクウォレット」を作成しておきましょう。

④3月1日よりDAOへの参加権および投票権を付与した『美しい村NFT』の予約販売を開始


DAOの立ち上げ支援を提供する株式会社ガイアックスが開発する、複数自治体横断の地域創生コミュニティ『美しい村DAO』は、3月1日よりDAOへの参加権および投票権を付与した『美しい村NFT』の予約販売を開始します。

参加権&投票権が付与された『美しい村NFT』は、NFTの購入により地域の課題解決プロジェクト等に参画できる権利のほか、『宿泊割引』や『温泉入湯割引』などのインセンティブが付与されます。またよりデジタル村民と地域住民が一体となって『未来の地域づくり』に取り組むようDAOを設計していくそうです。なお、『美しい村DAO』は4月1日よりDAOとしての活動を開始する予定です。

「美しい村DAO」とは「日本で最も美しい村デジタル村民の夜明け事業 」として、鳥取県智頭町と静岡県松崎町が取り組んでいます。事業概要は、ブロックチェーン技術に裏付けられたスマートコントラクトを構築し、DAO方式で管理する「デジタル村民コミュニティ」を創設するとしています。具体的な内容としては、デジタル村民証となるNFTの発行や、地方の魅力的なコンテンツを体験できる権利を含む地域資源NFTが購入できるプラットフォームを作成します。そしてデジタル村民証はリアル村民と同じように村民向けサービスを受けられるなどの特典を受けることができるとのことです。

『日本で最も美しい村 デジタル村民の夜明け』イベント概要

  • 開催日時:2023年3月6日(月)~3月12日(日)
  • 開催場所:Marunouchi Happ.、丸の内HaNT
  • 内容:
    • 『Marunouchi Happ.』
      • 地域素材を活用したPOP UP CAFE、美しい村NFTの予約販売
    • 『丸の内HaNT』
      • トークイベントの開催、NFTファッションショー

また、3月9日にはガイアックスweb3事業本部長である峯 荒夢(みね あらむ)が、株式会社デジタルガレージ 共同創業者の伊藤穰一氏らとのトークイベントに登壇する予定です。リアル会場で話を聞くことができ、既に満席となっています。WEB3への関心が集まっているようです。

⑤写真投稿者へは証明書としてNFT発行!NFT活用した実証実験を白馬村で開始

株式会社Final Aimは、株式会社新東通信 / CIRCULAR DESIGN STUDIO.と、一般社団法人白馬村観光局と共同で、WEB3.0技術を活用した実証実験「Non-Fungible HAKUBA(NFH)」を白馬村で実施しました。同社のWEB3.0プラットフォームである「Final Chain」を提供し、冬の白馬の景色を47点の写真と共にNFT化して特設サイトにて公開されます。またNFT化された各写真情報をもとに生成された3Dマップデータから3Dプリントオブジェも制作。ブロックチェーン上と物理層の両面で唯一無二なかたちで残す、新しい記録体験を実現しました。

本プロジェクトは技術パートナーである株式会社Final Aimが提供する、ブロックチェーンプラットフォーム「Final Chain」を使用されています。期間限定での技術検証も目的としており、使用基盤はイーサリアム(Ethereum)のテストネット「Goerli(ゴエリ)」にて行われます。また今回の取り組みを通じた知見をもとに、今後の白馬村における本技術の活用を検討すべくファーストステップとして位置付けられています。

将来的には、白馬村に毎年訪れす観光客やコアなファンを中心に、環境負荷の少ない宿泊施設や移動手段の利用、サステナビリティについて学ぶ自然ツアーなど、サステナブルに向けた行動を可視化し、その貢献度に応じて、それらに応じたインセンティブを提供することで、好循環を目指すとしています。また観光業を中心とした白馬村の環境負荷低減に繋げることも構想しているそうです。

また2023年9月6日から8日の3日間にわたって開催予定のGREEN WORK HAKUBA vol.5において、参加者に向けたデジタル参加証としてのNFT活用も検討しています。

⑥地方創生目指す「にっぽんの宝物DAO」がFiNANCiEにて「宝物トークン」販売

にっぽんの宝物DAOは、地域に眠る商品の開発から販売までを一気通貫で支援する、株式会社にっぽんの宝物が主導するプロジェクトです。日本各地には「にっぽんの宝物」とも言える、食や観光、工芸品など地域に眠る様々なヒット商品の原石があります。しかし、これまでのやり方では売上につながらず、廃業に至るケースも多くありました。そういったヒット商品となる原石を、アクティブラーニングの手法を通じて、世界レベルで売れる商品に育てるのが『にっぽんの宝物』プロジェクトです。

にっぽんの宝物DAOのプロジェクトでは、フィナンシェにて2月23日9:00から4月30日20:00まで、「トークン発行型クラウドファンディング」が実施されました。フィナンシェの活用により、「トークン販売で資金調達→支援金を活用してプロジェクト運営→トークンホルダー限定コミュニティで活動状況の可視化→共創型の取り組みによるプロジェクトの価値向上」という一連のプロセスからなる、エコシステムづくりになっています。

にっぽんの宝物JAPAN事務局は、『にっぽんの宝物 JAPANグランプリ2022-2023』を2月23日・24日に、「東京ミッドタウン日比谷 BASE Q」と「Have a Nice TOKYO! POP UP ZONE」で開催。全国16エリアでの地方大会で選出された上位入賞81社・55組が11部門に分かれて審査され、各部門のグランプリが決定しました。

さらに、その後、部門グランプリ受賞者が部門の域を超えて競い合うグランドグランプリを行い、佐賀県の農業生産法人株式会社Agrishの「濃甘フルーツトマト 太陽のたまもの」が全商品中の頂点に輝きました。部門グランプリ受賞者は、2023年夏にシンガポールで開催予定の世界大会へ駒を進めます。

⑦トークンを駆使した地域振興:南沖縄のアドベンチャーツーリズムとサステナブルな地域開発


トークン発行型のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を提供する株式会社フィナンシェは、地球と人のウェルビーイングを考え実践する、アースデイアクション沖縄実行委員会による「アースデイアクション沖縄」の始動と、トークンの新規発行・販売を4月21日から開始しました。

「アースデイアクション沖縄2023」は、「アースデイアクション」の全国普及を目指すキックオフイベントであり、沖縄における環境に配慮した持続可能な活動の推進役となるものです。活動の地として選ばれた南沖縄は、未だ豊かな自然が保たれており、また沖縄特有の歴史と伝統文化の継承に力を注いでいます。初めての取り組みとして、南城市と八重瀬町を中心に以下の二つの活動を推進するため、「アースデイアクション沖縄トークン」を発行しました。

今回開始するファンディングでトークンを購入することで、その金額に応じた数量のトークンを手に入れることができます。さらにそのトークンを保有することで、「ウミンチュ(船長)」や「運営会社」「地域の事業者」と協力して提供する様々なATのコンテンツ(ボートでのサーフィン、ヨガなど)を優先的に利用することができるのが特徴です。ファンディングが終了した後も、継続的にトークンを保有しサポートを続ける方々への追加特典も計画しています。

また「アースデイアクション沖縄トークン」は共創型コミュニティ、いわゆるDAOに参加することで、二つの目標達成に向けたコンテンツ開発や特典提供、そしてコミュニティとの交流を通じて、持続可能で地球に優しい地域づくりと、関係人口の増加に楽しく寄与するためのものです。「アースデイアクション」が目指しているのは、地域住民の生活の質と環境保全の両立です。そのために、地域の歴史や文化を尊重しながら、公民一体となった持続可能な取り組みを推進します。

⑧和歌山県白浜町がふるさと納税の返礼品NFTを5月下旬よりスタート

和歌山県白浜町では、あるやうむとNFTプロジェクトふるさとCNPとのコラボによる新たな返礼品「ふるさと納税NFT」の提供を開始します。5月下旬より、「白浜町ふるさとCNP2023」がスタートする予定です。一点物のNFTが222種類、寄付金額30,000円/種類で用意されています。これらはあるやうむが運営する独自のポータルサイト「ふるさと納税NFT」で確認・取得が可能となります。

さらにこのプロジェクトでは、暗号資産を必要とせず、日本円での寄付によりNFTやCNPを気軽に体験でき、同時に白浜町の魅力を感じる仕組みが設けられています。なお、今回の取り組みは、KDDI株式会社との業務提携後、初の実施プロジェクトとなります。

本NFTは、パーツや背景、キャラクターなどそれぞれ異なる組み合わせで、合計222種類となっています。特産品である梅干しや真鯛、川添茶をモチーフにし、背景には白良浜、三段壁、円月島をデザインしたNFTアートが作成されます。

メインキャラクターにはCNPの人気キャラクター「リーリー」が採用され、白浜町を訪れることでNFTアートの絵柄が変化する仕掛け(いわゆるレベルアップ)も実装予定です。さらに、CNPとふるさとCNP保有者対象の特典として、白浜温泉「崎の湯」の貸切一番風呂に入る機会が提供されます。そして、CryptoNinjaのコミュニティ「NinjaDAO」のCNP保有者だけが参加できるdiscordチャンネルを1ヶ月体験する権利も与えられます。

⑨まとめ

今回は2023年上半期の間に国内で活動しているプロジェクトなどを紹介しました。地方自治体がWEB3を活用する動きが進んでおり、NFT発行やDAOの創設などが行われており、NFTは投機的な側面だけでなく、何かをするための「媒介」としての活用方法が注目されています。

またブロックチェーンを活用していることでグローバルに応援を受けることができ、支援の追跡や関係性の可視化、デジタル資産としての証明など、従来の支援ではできなかったユーティリティーの提供が可能になりました。WEB3やNFTが気になる方は、まずは地方と関わっているプロジェクトから始めてみてはいかがでしょうか。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。