伊藤忠商事のESGの取り組みや将来性は?業績や配当も【2022年11月】

伊藤忠商事は日本における5大総合商社の1つで、三菱商事や三井物産と並ぶ存在です。商社は金属やエネルギーなどの資源分野に強みがありますが、伊藤忠商事は非資源分野にも注力しているのが特徴です。またサステナビリティを重視する経営も行っており、ESGに関連する取り組みは高く評価されています。

この記事では伊藤忠商事の概要やESG関連の取り組み、業績について解説します。伊藤忠商事について知りたい方は参考にしてください。

※2022年10月28日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 伊藤忠商事の概要
  2. 伊藤忠商事のESGに関する取り組み
    2-1.基本方針と推進体制
    2-2.環境関連の取り組み
    2-3.社会関連の取り組み
    2-4.ガバナンス関連の取り組み
  3. 伊藤忠商事の10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. 伊藤忠商事の将来性
  5. 伊藤忠商事の配当・優待情報
  6. まとめ

1.伊藤忠商事の概要

銘柄 伊藤忠商事
証券コード 8001
株価 3,829円
PER(会社予想) 7.04倍
PBR 1.24倍
配当利回り(会社予想) 3.65%

※2022年10月28日のデータ

伊藤忠商事の事業の中から、代表的なものをいくつか紹介します。まず金属事業は鉱物資源の開発と供給であり、社会インフラの基礎産業を原料・燃料の面から支えています。具体的な事業として、鉄鉱石や石炭の他、非鉄製品・金属原料トレードおよびリサイクル・廃棄物処理などがあります。

住生活事業は生活資材、住宅の開発、それらを支える物流までを事業単位として取り組んでいます。「生活資材・物流部門」では北米建材・紙パルプ・天然ゴムなどを取り扱います。「建設・不動産部門」では建設・建材、不動産開発や運用、管理事業を行っています。総合力とグローバルネットワークで社会に新たな価値を提供し、豊かな住生活の実現に貢献することを目指しています。

機械事業は「プラント・船舶・航空機部門」と「自動車・建機・産機部門」の2部門の構成です。大型プラント、インフラ、航空機、船舶、建機など幅広く展開しています。その他に水・環境・再生可能エネルギーや医療ビジネスなども手掛けています。

エネルギー・化学品は「エネルギー部門」「化学部門」「電力・環境ソリューション部門」の3つの分野で構成されています。エネルギー部門は原油やLNG、化学部門は化学品や合成樹脂、電力・環境ソリューション部門は太陽光発電やバイオマス発電事業を推進しています。部門間でシナジーを発揮し、石油・ガス・化学などの分野で最適なバリューチェーンを創出する方針です。

2.伊藤忠商事のESGに関する取り組み

伊藤忠商事はサステナビリティに積極的な企業でもあり、「環境省第3回ESGファイナンスアワード」銅賞、「大和インベスター・リレーションズ「インターネットIR表彰 サステナビリティ部門」最優秀賞、「Gomez ESGサイトランキング2022」3年連続で最優秀企業に選出され、2年連続で全業種総合第1位を獲得するなど、外部機関からも取り組みが高く評価されています。

ここでは、同社のサステナビリティに関する方針、推進体制、具体的な取り組みについて解説します。非常に広範囲かつ多数の取り組みを行っており、詳細は「ESGレポート」にまとめられています。

2-1.基本方針と推進体制

企業理念や外的環境の変化を踏まえて「サステナビリティ推進基本方針」を定めています。特に優先的に解決すべき重要課題として定めた項目に関して、各カンパニーや組織が「サステナビリティアクションプラン」に落とし込んでいきます。収益力の維持・向上の一方で、持続的な企業価値向上と社会課題の解決の両立の実現を目指します。

サステナビリティ推進の施策は、サステナビリティ推進部が企画・立案し、各組織が実行します。重要案件や基本方針の見直しなどにおいてはサステナビリティ委員会で決定。ステークホルダーなどの対話もサステナビリティ推進に生かしています。

2-2.環境関連の取り組み

環境問題に関して、下記7つの方針を掲げています。

  • 法規制等の遵守
  • 気候変動への対応
  • 環境汚染の防止
  • 資源循環の推進
  • 水資源の保全・有効活用
  • 生物多様性の保全
  • 情報開示とコミュニケーション

このうち気候変動に関しては、温室効果ガスの排出削減、エネルギーの効率的で持続可能な使用、気候変動の緩和・適応に貢献する商品およびサービスの開発と提供に努めるとしています。また、以下の目標を設定しています。

  • 2050年までにGHG(温室効果ガス)排出量の実質ゼロを実現
  • 2040年までに2018年度比75%削減を実現
  • 2030年までに2018年度比40%削減を実現

2-3.社会関連の取り組み

ダイバーシティに関して、伊藤忠商事では2003年以降に「人材多様化推進計画」を掲げ、女性従業員を含め多様な人材の拡大、定着、活動支援に向けた制度の拡充を推進。2010年以降は「働き方改革」として、朝方勤務、がんと仕事の両立支援などの取り組みを行ってきました。

現在は個々人のライフステージやキャリアに応じたきめ細かい個別支援を実施。多様な人材が活躍できるような社内風土の醸成や女性活躍推進策への賛同表明などにより、日本全体へのジェンダー平等へ貢献する方針です。

具体的な施策の例は下記のとおりです。

  • 女性総合職の支援
  • 女性活躍推進委員会による活動
  • 事務職のキャリア支援
  • LGBT等性的マイノリティ対応
  • 「伊藤忠ユニダス」における障がい者への働く場の提供
  • シニアの活躍支援

2-4.ガバナンス関連の取り組み

伊藤忠商事の企業理念は「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)の精神」です。創業者である伊藤忠兵衛の言葉から生まれたものであり、自社の利益だけでなく、取引先や株主、社員を含めたステークホルダーの期待と信頼にこたえて持続可能な社会に貢献することを目指しています。

この企業理念に則り、意思決定の透明性を高めるとともに、監視・監督機能を組み込んだコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。2017年には業務執行取締役を大幅に減らし、社外取締役比率を1/3以上に高め、今後もこの水準を維持していく方針です。社外取締役や社外監査役の選任の際は、独立性の確保を重視し、独自の独立性判断基準を策定しています。

また株主や投資家等に対する情報発信もコーポレート・ガバナンス上の重要な課題と認識しています。IR基本方針を定め、適時・適切な情報開示に努めています。

3.伊藤忠商事の10年間の株価推移と業績

ここでは、伊藤忠商事の株価推移と近年の業績について見ていきましょう。

3-1.株価推移

10年間の株価推移を見ると、2013年から2022年3月まで、ほぼ右肩上がりに株価は上昇しました。2013年は800円台でしたが、2022年には一時4,000円以上を記録し、5倍近くに成長したことになります。

2022年4月以降の株価はもみ合う展開となっています。下落の動きもありますが底堅く、3,500円あたりがサポートラインとなっているようです。現在は3,900円前後で推移しています。

3-2.業績

伊藤忠商事の過去の業績トレンドは下記のとおりです。

項目 売上総利益 当社株主帰属当期純利益
2013年度 10,283 3,103
2014年度 10,891 3,006
2015年度 10,697 2,404
2016年度 10,935 3,522
2017年度 12,104 4,003
2018年度 15,638 5,005
2019年度 17,978 5,013
2020年度 17,807 4,014
2021年度 19,372 8,203

※単位:億円

業績トレンドを見ると、売上総利益はおおよそ毎年右肩上がりで成長してきています。当社株主帰属当期純利益は年度によって変動がありますが、近年は増加しています。2020年度はコロナの影響で減益となりましたが、2021年度は反動の需要回復で大幅な増益になりました。

2021年度の当社株主帰属当期純利益は過去最高の業績となりました。金属事業は前期比+1,219億円で、鉄鉱石や石炭価格の上昇などが主な要因です。エネルギー・化学品も市況価格上昇により前期比+536億円でした。住生活事業は建材関連の好調さ、コロナ影響軽減による需要回復、パルプ市況上昇などによる増益などにより+840億円でした。

4.伊藤忠商事の将来性

伊藤忠商事の将来性について、業績とESGの両面から考えていきます。まず業績については好調で、過去のトレンドを見ても売上総利益・当期純利益ともに成長しています。2022年度については、業績見通しの上方修正が行われ、増配も決定しました。

伊藤忠商事は非資源分野へ注力しているのも特徴で、金属などの資源分野以外の事業の収益も徐々に増加しています。エネルギー・金属など資源分野の業績は、市況価格の影響を大きく受けますが、非資源分野の割合を高めることで景気変動リスクの減少につながります。

ESGに関しては、E・S・Gの3つの領域で、いずれも数多くの取り組みを実施しています。「ESGレポート」では課題の設定、目標内容、取り組み内容まで細かい情報が掲載されています。情報開示にも積極的な姿勢が見られ、長期的な目線でも価値創造に向けた経営に取り組んでいることがわかります。

5.伊藤忠商事の配当・株主優待

1株あたり年間配当(2022年度予定) 140円
主な株主優待 なし

2022年度の業績見通しは、当社株主帰属当期純利益について、7,000億円から,8000億円に上方修正するとしています。また1株あたり配当金は前期比30円増額して140円にするとしています。

まとめ

伊藤忠商事の概要、ESGの取り組み、業績などについて解説しました。日本を代表する商社の1つで、エネルギー、機械、住生活などスケールの大きい事業を広範囲に展開しているグローバル企業です。

近年の業績は好調で、今年度は増配も予定されています。サステナビリティやESGに関する取り組みも積極的に数多く行っており、ESGを重視する株主の期待にも応えられるものと思われます。今後もESGをどのように業績向上に生かしていけるかに注目です。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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