空き家を買取業者に直接売却する場合、できるだけ高く売却するにはどのようにすればよいでしょうか。
買取では、基本的に売主が買取業者と直接交渉する必要があり、仲介で売却する場合のように不動産会社にすべて任せるということは難しくなります。売主自身が相応の行動をしないと、高値で売却できない場合もあるため注意が必要です。
本記事では、空き家買取について、仲介との違いから、高値で売却するための手順、業者選びのポイントを解説していきます。
目次
- 空き家買取と仲介との違い
- 空き家買取で、できる限り高く売却する手順
2-1.瑕疵(欠陥)や問題があれば解決・改善する
2-2.買取業者に買取査定依頼をする
2-3.買取依頼する業者と売買契約を結ぶ
2-4.決済と引渡しをおこなう - 空き家買取の業者選びのポイント
3-1.複数の業者の査定価格を比較する
3-2.類似物件の買取実績の豊富な業者を選ぶ
3-3.買取業者がどのように利用するかを考慮して選ぶ - まとめ
1.空き家買取と仲介との違い
買取は、直接不動産会社などの業者に買い取ってもらう不動産の売却方法です。仲介と異なり、不動産会社が買手を探すわけではないため、短期間に確実に売却することができ、仲介手数料もかからないメリットがあります。
また、仲介で買手が見付からなかった空き家であっても、買い取ってもらえる可能性もあります。買手は専門業者となるため、売手が契約不適合責任を負う必要がないケースも多いという点もメリットです。
その反面、買取業者は買取によって仕入れた物件を次の顧客へ販売して利益を得るため、売却価格は低くなります。仲介と比較しておおよそ2~3割程度売却価格が安くなる傾向がある点に注意が必要です。
2.空き家買取で、できる限り高く売却する手順
空き家買取の流れとしては、売主側で買取を扱っている不動産会社にアプローチをすると、不動産会社が調査をして価格査定を行います。
不動産会社が提示してきた、買取価格、買取条件に納得したら、売買契約を行います。契約後、空き家の引渡しまでは1カ月程度あけて、代金も契約時は手付金、引渡し時に残金を受け取る流れとなります。
- 瑕疵(欠陥)や問題があれば解決・改善する
- 買取業者に買取査定依頼をする
- 買取依頼する業者と売買契約を結ぶ
- 決済と引渡しをおこなう
以下で、それぞれの内容を詳しくみてみましょう。
2-1.瑕疵(欠陥)や問題があれば解決・改善する
買取を依頼しようとしている空き家について、権利関係が複雑であったり、土地の境界に争いがあったり、あるいは、建物に瑕疵があったりなど、問題があることがあります。
そのような場合は、問題をできる限り解決・改善してから買取依頼をする方が高値での売却が期待できます。
また、空き家に問題が無いか確認するのと同時に、登記簿謄本や購入時の資料、土地の境界に関する資料、建物の図面など、買取依頼時に必要となる書類を準備しておきましょう。
2-2.買取業者に買取査定依頼をする
不動産一括査定サイトを利用したり、ネット検索や空き家周辺の地域を歩くなどして買取業者を探します。
空き家を買い取ってもらえそうな買取業者を見付けたら、まずは買取査定の依頼をします。査定依頼をすると、買取業者が空き家の調査をおこない、査定価格を提示してきます。
買取査定は、価格相場を知り、高値で売却する可能性を広げるために、複数の業者に依頼して比較検討するようにしましょう。
下記、複数の不動産会社に査定が依頼できる主な不動産一括査定サイトの一覧です。物件情報の登録時、備考欄に「仲介査定と合わせて買取査定の依頼も依頼したい」旨を記載しておくことで、両方の価格を査定することも可能です。
主な不動産一括査定サイト
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2-3.買取依頼する業者と売買契約を結ぶ
買取業者が提示してきた条件、価格に納得し、買取依頼をする業者が決まったら、その業者と売買契約を締結します。
売買契約の相手方は買取業者となるため、スケジュール調整や融資審査などもなく、契約まではスピーディーに進む場合が多いでしょう。場合によっては、買取に条件が付けられたり、買取査定後さらに詳細な調査がおこなわれて買取価格が変更されることもあるので注意しましょう。
2-4.決済と引渡しをおこなう
売買契約後、通常は1カ月程度経過してから空き家の引渡しと残代金の決済がおこなわれます。
一方、買取の買手は不動産会社などの専門業者であり、買取の手続きは業務の一環としておこなわれます。空き家買取専門の業者 など、空き家買取の実績が豊富な業者で、条件に合う空き家である場合、3日~1週間程度で引渡しと代金の決済ができることもあります。
3.空き家買取の業者選びのポイント
空き家買取の業者選びのポイントとしては、次のような点が挙げられます。
- 複数の業者の査定価格を比較する
- 類似物件の買取実績の豊富な業者を選ぶ
- 買取業者がどのように利用するかを考慮して選ぶ
以下で、詳しくみてみましょう。
3-1.複数の業者の査定価格を比較する
買取では、買取業者の査定価格が直接買取価格につながります。査定価格は、買取をする不動産会社の内部事情などによって異なります。
買取ニーズが少ない空き家である場合は、検討する買取業者の数が少なくなってしまうこともありますが、多くの買取業者へ接触すれば、その分だけ買取の査定価格の可能性も広がることになります。
複数の買取業者の査定価格を比較し、高値の査定価格を付けた業者に買取を依頼するようにしましょう。
3-2.類似物件の買取実績の豊富な業者を選ぶ
一戸建てやマンションのような物件の種類、あるいは、物件が所在する地域によって、不動産会社などの買取業者の得意、不得意が分かれることが多いといえます。
不得意とする物件の買取はその業者にとってはリスクが高いため、そのリスクの分が買取価格に反映されてしまうことで買取価格が低くなる可能性があります。
買取業者の得意、不得意を見極めるには、物件の種類、立地が類似する物件の買取実績をみるとよいでしょう。買取を依頼したい空き家と類似する物件の買取実績が豊富な業者を選ぶようにしてみましょう。
3-3.買取業者がどのように利用するかを考慮して選ぶ
類似物件の買取実績という観点と重なりますが、買取業者が、買い取った空き家をどのように利用するかを考慮するという視点を加えることを検討してみましょう。
たとえば、一戸建ての買取実績が多い業者の中でも、新築分譲販売を得意とする不動産会社、リノベーションによる再販売を得意とする不動産会社、あるいは、新築分譲販売を得意とするハウスメーカーなど、それぞれ事業者によって利益構造が異なります。
比較的に築年の浅い空き家であれば、新築分譲販売を得意とする不動産会社よりも、リノベーションによる再販売を得意とする不動産会社の方が、空き家をそのまま利用できる分、その価値を買取価格に反映してもらえる可能性が高いでしょう。
このように、「どのような業者に最もニーズが多いだろうか、ということを考え、高値を付けそうな買取業者を絞っていくのも、空き家買取の業者選びのポイントとなります。
まとめ
空き家買取では、瑕疵や問題を解決してから、買取業者に査定依頼をすると高値で売却できる可能性が高まります。また、買取では、買取業者に直接売却することになるため、買取業者の選択肢を広げ、複数の査定価格を比較することが大切です。
高値で買い取ってもらえるための業者選びのポイントとしては、条件が類似した物件の買取実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。買取実績が豊富であれば、実績の少ない業者よりも、業者にとって買い取るリスクは低く、高値で売却できる可能性が高まります。
その他、買取業者が買い取った空き家をどのように利用するかを考え、買取ニーズの多そうな業者を絞っていく方法もあります。
いずれの方法にしても、高値売却を行うには複数の業者とのやり取りを行いながら売主が自ら交渉を行うことが重要となり、手間がかかる作業と言えます。不動産一括査定サイトを利用するなどして、効率的に空き家売却を進めていくことも検討してみましょう。
佐藤 永一郎
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