不動産投資では金融機関の融資を活用したレバレッジ効果を狙うことができます。融資審査では融資を受ける人の年収が大きな要素となり、年収800万円を超えるとさまざまな物件が選択肢として検討できるようになります。
そこで今回のコラムでは、年収800万円以上のサラリーマンの方向けに、不動産投資を始めるときの代表的な戦略について、購入を検討できる物件の目安も合わせて解説していきます。
目次
- 年収800万円のサラリーマンの方が受けられる融資額
- 年収800万円のサラリーマンの方の代表的な不動産投資戦略
2-1.1億円の中古1棟マンション1棟を運用する
2-2.1億円の新築1棟アパートを運用する
2-3.5,000万円の中古アパート2棟を運用する
2-4.3,300万円のワンルームマンション3戸を運用する - 不動産投資戦略の2つのポイント
3-1.出口戦略を見据えた物件選び
3-2.売却のタイミングを図る - まとめ
1 年収800万円のサラリーマンが受けられる融資額
不動産投資の場合、年収をもとにした目安の融資額としては年収の8倍〜12倍程度です。つまり、年収800万円のサラリーマンの方であれば、融資が受けられる金額は6,000万円〜1億円程度がおおよその目安となります。
ただし、金融機関の融資審査では物件の事業計画や申込者の属性、さらには自己資金の金額などで審査するため、融資可能額は個別の案件ごとに異なります。
例えば、同じ年収800万円でも勤め先の業績や給与体系によって融資額が異なってきます。転職回数が多く勤続年数の短い方や、インセンティブ割合の多い営業職の方は年度ごとに収入が大きく変わるリスクがあると見なされ、融資額が低下してしまう可能性があります。
つまり、年収は融資審査において重要な要素の一つと言えますが、その他の項目と合わせて総合的に判断されることになります。実際に物件を選定していく段階では、これらの点にも注意しながら融資審査に備えた準備が必要と言えるでしょう。
2 年収800万円のサラリーマンの不動産投資戦略
不動産投資を始める際の代表的な戦略として、下記の4つを見てみましょう。
2-1 中古1棟マンション1棟を運用する
中古1棟マンションを1棟購入する戦略を見てみましょう。RC造マンションのため、減価償却までの期間を長期で見込むことができ、減価償却費で利益を圧縮しながら、利益を積み上げていくことが期待できます。
ただし、郊外エリアに位置していることも多く、想定よりも空室率が高くなってしまうこともあります。1棟で融資額を使い切ってしまうことで他の物件に分散する余力もなくなってしまうため、ややハイリスクな投資戦略と言えるでしょう。
2-2 新築1棟アパートを運用する
新築アパートでは運用開始時から2~3年ほどは高稼働が見込めることに加え、修繕などの経費が抑えられるため、早期に経営を軌道に乗せられる可能性があります。
新築アパートですから、高稼働のうちに早めに利益を出せるような運営が目標になります。具体的には、退去者を出さない、退去者が出てもすぐに入居者を確保できる、といったように管理の徹底が求められます。
ただし、木造アパートなので出口戦略について早くから考えておくことも必要です。物件価格の下落幅が小さい、将来的に賃貸需要が見込みやすいエリアでの運用が重要となってきます。
【関連記事】【初心者向け】0から学べるアパート経営セミナーは?選び方や注意点も
2-3 中古アパート2棟を運用する
複数の中古アパートを運用する方法です。中古アパートは新築時よりも価格が下がっていることから高利回りを狙える物件も多いメリットがある反面、空室率の低下や修繕リスクが高まっている可能性がある点がデメリットとなります。
退去後の原状回復費用や突発的な修繕費用、設備機器の交換費用などが想定よりかかる可能性もあります。そのため、手元の資金に余裕を持たせながら運用することが必要です。
また法定耐用年数との兼ね合いから、出口戦略を早急に決めることが重要です。早めに売却するのか、投資資金を回収してから売却するのかは入居率の状況や周辺の環境変化なども関わってきます。運営をしながら知識と経験を身につけ、最適な判断を下せるようにしておきましょう。
2-4 ワンルームマンションを複数戸運用する
ワンルームマンション投資は入居者が確保しやすく、運用の手間がかかりづらいなどのメリットがあります。本業に影響を及ぼしたくないサラリーマンの方に適した不動産投資となります。
その一方で、近年は首都圏を中心に価格が上昇傾向にあり、表面利回りが3~4%の物件も少なくありません。高い利回りを狙えないため、長期的な資産形成を検討している方に向いた投資方法と言えるでしょう。
利回りが低く利益が出にくいため長期的な視点に立って運用するか、マンション価格の値上がりを期待してキャピタルゲインを狙った戦略が考えられます。
【関連記事】ワンルームマンション投資のメリット・デメリットは?リスクや注意点も
3 不動産投資戦略の2つのポイント
不動産投資のポイントとなるのが「物件選び」と「出口戦略」です。ここではこの2つのポイントを踏まえて、基本的な不動産投資の戦略について解説していきます。
3-1 出口戦略を見据えた物件選び
不動産投資に欠かせない戦略の一つが、出口戦略を見据えた物件選びです。物件が老朽化しても、収益性を維持し、資産価値を下げない物件を選ぶことが重要です。そのポイントなるのが次の2つです。
- 収益性の高い物件
- 資産価値が下がりにくい物件
賃貸需要の多い投資用物件は、売買価格が下がりにくいことが想定されます。そのため、金融機関からの融資もつきやすく、売却しやすくなる可能性があります。
それに加えて、人気のあるエリアや駅などから近い、土地価格が下がりにくいといったように、資産価値が下がらない、あるいは高くなる可能性のある物件も高く評価される可能性があります。収益物件として建物の老朽化が進んだとしても、建て直したり、更地で売却したりすることもできるからです。
年収800万円のサラリーマンの方であれば、様々な物件が選択肢として検討できる可能性があります。急いで物件を購入するよりも、慎重に物件を精査する戦略をとってみると良いでしょう。
3-2 売却のタイミングを図る
不動産投資における代表的な出口戦略には「売却する」「自身で住む」「活用する」といった方法があり、所有する投資用不動産ごとに下記の表のように分かれます。
投資用不動産のタイプ | 出口戦略 |
---|---|
マンション・アパート一棟 | 投資用不動産として売却する 相続する 更地にして土地を活用する 更地にして売却する |
区分マンション | 投資用不動産として売却する 自分で住む 相続する |
戸建て | 投資用不動産として売却する 自分で住む 更地にして土地を活用する 更地にして売却する 相続する |
売却する場合、建物の状態、入居率の状況などにもよりますが、経営上での代表的なタイミングは次の3つあります。
- デッドクロスになる前
- 減価償却期間が終了する前
- 短期譲渡所得期間が終了したあと
不動産投資におけるデッドクロスとは、減価償却費が減少して利益圧縮効果が失われてしまい、帳簿上で黒字額が増えることです。これによって支払う所得税が増えてしまうのです。2番目に挙げた「減価償却期間が終了する前」も同様の理由で、減価償却費を計上できなくなるため所得税が増え、キャッシュフローが悪化することになります。
一方、短期譲渡所得期間とは、不動産を売却した際に課税される税率に関係があります。不動産を売却すると売却益に応じて税金がかかりますが、その税率は下記のように所有期間が5年未満か5年以上で異なります。
- 短期譲渡所得税(5年未満所有)=課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)
- 長期譲渡所得税(5年以上所有)=課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)
※参照:国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
売却する時期によって税率が異なるため、5年以上所有して税率が低くなってから売却する、ということが一つの売却タイミングの指標となります。
ただし、これらのタイミングは支払う税金の額から見たものであり、長期間所有して利益を継続的に出した方が、金融機関からの評価が高くなるといった可能性もあります。また売却するごとに、仲介手数料などの諸費用もかかります。税額だけではなく、入居率などさまざまな面から物件の将来性を見て、出口戦略を立てるようにしましょう。
まとめ
年収800万円のサラリーマンの方が不動産投資をする場合、「融資が受けやすい」「自己資金を用意しやすい」などのメリットがあります。一方、さまざな選択肢から自身に合った投資戦略を立てることが重要なポイントとなってきます。
本記事では、出口戦略を見据えた物件選びのコツや、売却するタイミングについてもポイントを解説しました。本記事を参考に、どのような不動産投資を行っていくのか戦略を立ててみましょう。
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倉岡 明広
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