日本の地方中枢都市である「札仙広福」の一つに数えられる仙台は学生が多いことでも知られており、アパート経営の候補として挙げられる都市の一つです。しかし、どのような手順で始めたら良いのか、何に注意すればいいのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、仙台のアパート経営に強い不動産会社を2社紹介し、始め方や注意点についても解説していきます。
目次
- 仙台でアパート経営を始める前に注意しておきたいポイント
1-1.学生は多いが、若者世代の転出も多い
1-2.災害リスクへの対策が不可欠 - 仙台のアパート経営の始め方・流れ
2-1.中古アパート経営を行う場合
2-2.新築アパート経営を行う場合 - 仙台の新築アパート経営に強い不動産投資会社
3-1.シノケンプロデュース
3-2.アイケンジャパン - まとめ
1 仙台でアパート経営を始める前に注意しておきたいポイント
この項目では、仙台でアパート経営を始める前に注意しておきたいポイントについて解説していきます。
1-1 学生は多いが、若者世代の転出も多い
仙台市でアパート経営を考える際、注目したいのが学生の多さです。仙台市が2021年3月に公表した「第2期 仙台市まち・ひと・しごと創生総合戦略 (人口ビジョン及び総合戦略)」によると、人口10,000人あたりの学生数は476人で、京都市、福岡市に次いで政令指定都市では3番目に位置しています。また人口あたりの若者(15歳〜29歳)の割合は17.1%(平成27年国勢調査結果)を占めており、こちらも福岡市、京都市に続いて政令指定都市では3番目の高さです。
その一方、大きな特徴となっているのが若者の東京圏への転出です。2010年から 2015年における年齢別階級別純移動数では、20~24歳から25~29歳になるときに5,960人の減少が見られます。東京から新幹線で1時間半程度とアクセスが良いため学生が集まりやすい反面、社会人になると東京圏に転出してしまうという、といった傾向があることが伺えます。
学生向けのアパートでは入居者の確保がしやすいと考えられますが、単身者をターゲットにするのであれば社会人となるのを機にアパートから退去する入居者が増える可能性があります。そのため一時的に家賃収入が途絶えたり、修繕費用がかさむといった経営状況に陥ることも考えられ、仙台でアパート経営を行う際の注意ポイントと言えます。
1-2 災害リスクへの対策が不可欠
仙台市でアパート経営をする際は災害リスクへの対策が不可欠です。地震ハザードマップは、仙台市のホームページ「仙台市地震ハザードマップ」で閲覧することができますので、確認してから土地選定を行うようにしましょう。
土地の選定を適切に判断することも重要なポイントになります。この地震ハザードマップは詳細に作成されており、マップの種類は次の3つあります。
- 揺れやすさマップ
- 地域の危険度マップ
- 液状化予想マップ
さらに想定した地震も次の3つあり、合計9パターンの地震ハザードマップが提供されています。
- 宮城県沖地震(単独型):想定した地震の規模:マグニチュード7.5
- 宮城県沖地震(連動型):想定した地震の規模:マグニチュード7.9
- 長町-利府断層による地震:想定した地震の規模:マグニチュード7.5
また入居者の安全を確保するための対策も、仙台でアパート経営を行う際の重要なポイントとなります。一般社団法人日本損害保険協会の「地震保険と都道府県別付帯率の推移」によると、2021年度の地震補償付き火災保険の加入率は全国平均で69.0%ですが、宮城県は88.7%で都道府県別で1位となっています。地震保険を厚くかけるなど、他地域でアパート経営を行うよりも経費がかかる可能性もあるため、注意点として把握しておきましょう。
2 仙台のアパート経営の始め方・流れ
アパート経営を始めるには、市場で売りに出されている中古アパートを購入する場合と、アパート建築会社が建てる新築アパートを購入する2つの方法があります。それぞれの始め方や流れについて見ていきましょう。
2-1 中古アパート経営を行う場合
中古物件を購入してアパート経営を始めるには、不動産市場で販売されている物件を探すことがスタートとなります。主にインターネットで調べたり、不動産会社に問い合わせるといった方法があります。それ以降の流れは概ね下記のような流れになります。
- 中古アパートを探す
- 購入を申し込む
- 金融機関に融資を申し込む
- 売買契約を締結する
- アパートが引き渡される
- 物件の登記を行う
仙台市では2015年に地下鉄東西線が開通しており、市内の交通アクセスがさらに良くなっています。それに伴い大型商業施設や高層マンションなども建ち始め、エリアの利便性が向上されています。そのため市内全域で地価の上昇傾向が見られますが、区によって上昇率が異なります。下記は仙台市5区の地価をまとめたものです。
集計日 | 青葉区 | 宮城野区 | 若林区 | 太白区 | 泉区 |
---|---|---|---|---|---|
2017年7月1日 | 112,200円 | 87,700円 | 105,600円 | 84,500円 | 64,000円 |
2019年7月1日 | 132,900円 | 96,000円 | 121,300円 | 97,900円 | 71,100円 |
2020年7月1日 | 140,600円 | 99,000円 | 125,300円 | 102,900円 | 79,400円 |
2021年7月1日 | 146,400円 | 103,200円 | 136,100円 | 107,200円 | 83,600円 |
2022年7月1日 | 152,400円 | 110,200円 | 143,200円 | 112,600円 | 88,900円 |
※出典:宮城県「令和4年度宮城県地価調査について」より抜粋
こうした情報を把握し、将来性の高いエリア、入居需要が見込めるエリアの物件を選定することが重要です。
2-2 新築アパート経営を行う場合
一方、新築物件でアパート経営を始める場合は、アパート建築会社が供給する物件を購入する場合と、土地を購入してアパート建築会社に建ててもらう方法があります。下記に代表的な流れを記載していますので、参考にしてください。なお、アパート建築会社が供給する物件を購入する場合は、①〜④は省略されます。
- 土地を選定する
- 購入を申し込む
- 金融機関に融資を申し込む
- 売買契約を締結する
- アパート建築会社を選定する
- 工事請負契約を締結する(新築アパートを購入する場合は売買契約を締結する)
- 入居者募集を開始する
- アパートが引き渡される
- 物件の登記を行う
仙台市の賃貸ニーズは政令指定都市の中でも高く、借家の単身世帯比率も高い
仙台市の民営借家率は42.9%(2018年度)となっており、46.7%の持ち家率とほぼ変わらない状況です。民営借家率は政令指定都市の中で5番目に高く、反対に持ち家率は4番目に低い数値です。つまり、仙台市民は賃貸住宅に住むことに対する抵抗感がないということが伺えるでしょう。
また「仙台市住宅白書」の「仙台市の居住世帯の姿と意識」によると、民営借家では1人世帯の割合が全体の64.6%を占めていることがわかります。つまり、民営借家に住む方の多くは1人暮らしの人であり、単身者向けのアパートに対する需要は多いと考えられるのです。このように仙台の住宅事情を把握することでターゲット層を明確化し、どのような間取りで家賃設定を行っていくのが良いか判断する際に役立ちます。
3 仙台の新築アパート経営に強い不動産投資会社
これまで解説したように仙台でのアパート経営では、災害リスクを加味したエリアの選定、単身者向けや若者向けなどターゲットを絞った物件選定が必要といった注意点があります。そこで、仙台に拠点を持ち、実績が豊富な不動産投資会社(アパート建築会社)の情報を事前に把握しておくことが重要になります。
この項目では、どちらも仙台市での実績が豊富な「シノケンプロデュース」と「アイケンジャパン」の2社について紹介していきます。
3-1 シノケンプロデュース
シノケンプロデュースは、東京都港区の本社ほか、福岡市、名古屋市、大阪市、仙台市にオフィスを構える不動産投資会社です。「シノケングループ」の100%子会社で、これまで7,000名を超える全国のオーナーと契約し、7,000棟を超えるアパートを自社施工で供給しています。全国賃貸住宅新聞の「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」では、9年連続No.1の実績があります。
シノケンプロデュースは福岡市中央区で創業し、その後、2006年には仙台オフィスを開設しています。2020年に中野栄町や長町駅などで駅近物件を供給するなど、仙台市内でも実績を積み重ねています。
アパートの特徴
シノケンプロデュースのアパートは、入居者の快適性と投資用不動産としての資産性を合わせ持っていることが大きな特徴です。下記に、代表的な特徴を挙げていきます。
- 土地の取得は、独自ルートにより最寄り駅から徒歩10分以内の入居ニーズの豊富なエリアを厳選
- 耐震性を高めて、震度7でも倒壊しない建物をつくる
- 入居者へのアンケートをもとに、サーモスタット付水栓など人気の高い設備を標準装備
- 独自工法を採用し、防音対策を徹底
- 劣化対策等級2に適合し、概ね50〜60年の長期耐久性能を持っている
- エアコンなどの保証や原状回復時の定額リフォームなどを保証する「シノケンあんしんシステム」を提供
また、主力商品の「New Standard」が2016年度のグッドデザイン賞をダブル受賞するなど、高いデザイン性も高い評価につながっています。一方、管理業務はグループ企業のシノケンファシリティーズが担当しています。47,000戸以上(2023年12月末時点)の入居率は、98.56% (2023年年間平均入居率)と高い入居率を維持しています。
耐震性を高めて、震度7でも倒壊しない建物をつくる
シノケンプロデュースのアパートは、1990年の創立から30年以上経った2022年時点まで、震度7クラスの地震を経験しても倒壊半壊・液状化による被害が0棟という実績を持っています。このような高い耐震性の背景には、地盤調査、対策工事、基礎構造の3つのポイントがあります。
シノケンプロデュースでは全ての土地に対して地盤調査を必ず実施。 第三者の地盤調査会社の調査内容に基づき、必要に応じて、 その地盤の性質にあった適切な対策工事を行います。さらに、強固な土地の底面全体に鉄筋コンクリートを打ち込む「ベタ基礎」構造により、高い耐震性を保ちます(※引用:シノケンの品質・技術安心の耐震設計)
金融機関との信頼関係による豊富な融資実績
シノケンプロデュースが評価される要因の一つが、金融機関との信頼関係による融資実績です。30年以上にわたり金融機関と信頼関係を築いてきており、日本で初めて独占業務提携による新築投資用アパート100%ローンを提供した実績もあります。
2023年1月時点で独占契約の金融機関を含めて20行以上と提携しており、オーナーの属性などに合わせて適切な金融機関を紹介しています。通常、アパートローンは金利が高めで融資期間も短くなりがちですが、シノケンプロデュースの物件の場合、金利は1%台から、住宅ローンやRC造と同じ融資期間である35年間のプランも用意しています。
シノケンプロデュースでアパート経営を始める流れ
シノケンプロデュースでアパート経営を始めるには、主に次の3つの方法があります。
- オンラインセミナーを受ける
- 個別相談会に参加する
- 資料を請求する
それぞれの方法について流れを解説していきます。
オンラインセミナーを受けるには、「無料セミナー」のページで申し込みをします。オンラインセミナーの時間帯が複数表示されるので、参加希望のセミナーを選び、氏名や住所などの必要事項を記入して送信します。
個別相談会については、仙台をはじめ、東京、名古屋、大阪、福岡の各会場でセミナー講師に個別で相談できる「プライベート個別相談会」を行っています。オンラインで相談をすることも可能です。
「まずはシノケンのアパート経営について詳しく知りたい」という方は資料請求も可能です。ノウハウブックを入手することで、自宅でシノケンプロデュースのアパート経営について学ぶことができます。「申し込みページ」から資料請求のページに行き、入力フォームに住所などを記載して送信することで申し込みが完了します。届いた資料を確認し、アパート経営を検討する場合は、個別相談などでさらに詳しい相談をする流れになります。
3-2 アイケンジャパン
アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトとして掲げる不動産投資会社です。2006年8月に福岡市中央区で設立し、現在では国内の10カ所と海外1カ所に拠点を展開しています。仙台オフィスは2017年に開設し、翌年には業務拡張のため仙台支店に変更しています。
供給実績は、主力商品である投資用木造アパート「グランティック」シリーズなどを中心に、全国各地に1,000棟超を数えています。仙台市でも、2022年12月末までに「REGALEST SENDAI」「GRANDTIC東照宮」など約50棟のアパートを供給しており、すべて成約となっています。
コンセプトである「堅実なアパート経営」の実現のため、アパートを供給する際は「入居者に選ばれるかどうか」を徹底的に追求しているのが特徴です。また、入居者からの問い合わせに適切に応えられるよう24時間体制を構築しているほか、初回満室保証制度といった保証制度も4つ用意するなど、充実した管理体制・サポート体制を築いています。
アパートの特徴
アイケンジャパンでは、アパート経営の成功の本質を「入居者に選ばれるかどうか」としています。そのため、アパートの設計および建築の際には、下記のようなこだわりを持って行っています。
- 土地を選定する際は、最寄り駅から徒歩15分以内で「老朽化しても入居者から選ばれるかどうか」を判断する
- 住み心地や快適性に配慮し、ビルトインキッチンや温水洗浄便座、浴室テレビといったアパートとは思えないような設備を標準とする
- RC造と遜色のない防音性能を提供する
- 「キソゴム」と耐力壁を用いた独自のBSP構造で、建築基準法で定められている基準以上の強度を確保する
- 劣化対策等級は3を獲得し、建物が長持ちするだけではなく、メンテナンス費用も軽減する
上記の取り組みなどにより、金融機関からも高い評価を獲得しています。
このほか各部屋には、スマートフォンが部屋の鍵となる「スマートロック」、家電の遠隔操作なども行える「ホームIoT」といった最新設備が標準装備となっており、単身者女性から選ばれる物件づくりを行っている点も特徴的です。
業界トップ水準の入居率と収益稼働率
アイケンジャパンでは、これまで企画施工した物件のうち2021年12月末時点まで継続して賃貸管理を行っているのは7,232戸あります。この7,232戸における2021年1月から12月までの平均の入居率は99.7%となっています。アパート経営は長期間の投資になるため、物件の将来の収益性・資産性について検討しておくことが重要ですが、アイケンジャパンでは豊富な実績と高い入居率を維持していることがわかります。
またアイケンジャパンで集計している入居率は、フリーレントや家賃の値下げなどオーナーの経営状況に負担を与える施策を行っていない実績値です。同社が企画開発した物件の収益稼働率は2021年12月末時点で98.3%となっています。収益稼働率とは新築時に提案した年間の想定家賃収入に対して、どれだけ家賃収入があったのかを示すもので、こちらも高い水準を維持していることがわかります。
キソゴムにより地震による建物の揺れを最大30%~50%軽減
アイケンジャパンのアパートでは、同社独自のBSP構造(Basic rubber Seismic board Protect)を採用しており、耐震性能は、建築基準法で定められている基準の約1.3倍。劣化対策等級は最高レベルの等級3に適合しています(平成29年3月以降販売物件)。
このような高い耐震・免震性能を得るために、アイケンジャパンではアパートの土台と基礎の間に設置する積層ゴム「キソゴム」により、建物に伝わる揺れを最大30%~50%軽減しています。仙台市でのアパート経営では、入居者の方の信頼を得るために、アパートの構造としてこのような対策を講じているという点も重要なポイントと言えるでしょう。
アイケンジャパンでアパート経営を始める流れ
アイケンジャパンでアパート経営を始めるには、下記のような方法があります。
- セミナーに参加する
- 個別相談会に参加する
- 資料を請求する
セミナーや個別相談会に関する情報は「セミナー情報」のページで確認することができます。専用の申し込みフォームがあるので、そちらに入力して送信すると申し込みが完了します。
セミナーへの参加前にアイケンジャパンについて詳しく知っておきたいという方は、同社のパンフレットと「アパート経営成功の秘訣55」を無料でプレゼントしてもらうことも可能です。気になる方は「資料請求」のページから申し込みをされてみると良いでしょう。
まとめ
学都としても知られる仙台は若者が多く、学生向けなど単身者用のアパートに対する需要が高いという特徴があります。しかし、地下鉄が開通するなど交通アクセスに変化もあるため、より詳細なエリアごとの特徴に分けてターゲットを絞り込み、アパート経営を検討することが重要と言えるでしょう。
特に新築アパート経営では、土地の習得や調査、耐震性能の担保など専門性の高い不動産知識が必要になります。今回は、仙台のアパート経営に強い「シノケンプロデュース」と「アイケンジャパン」の2社を紹介しました。アパート経営を始める流れも参考に、まずは情報収集から始められてみると良いでしょう。
倉岡 明広
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