デジタル証券(ST)のいま

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今回は、様々なモノやサービス、事業を小口化・証券化できる「ST(セキュリティトークン)」事業を2022年7月より開始したHash DasH株式会社から寄稿いただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. デジタル証券(ST)のいま
  2. 資産づくりの世界が変わる
  3. これからも広がる兆し

デジタル証券(ST)のいま

2020年5月にデジタル証券(ST)が金融商品取引法に追加、施行されてから、3年が経ちました。
その間のデジタル証券の成長は、このグラフの通りです。投資家の資金(募集額)にローンを加えた総資産ベースで間もなく800億円を超え、1,000億円に迫る勢いです。

EDINET届出情報からHash DasHが集計・作成

法律の施行から約1年後の2021年4月に、この法令の下での初めてのSTが発売されました。SBI証券が発行する社債で、自らが販売もする自己募集の形でした。発行した1億円分(利率0.35%)が瞬間蒸発的な売れ行きであったといわれています。

その後LINE証券がスパークス・グループ社債STを販売するなどの動きがありましたが、債券を投資対象とするデジタル証券は結果的にお試し程度の販売にとどまっており、盛り上がりを見せているのは「不動産」を投資対象とするデジタル証券となっています。

2021年8月に野村證券、SBI証券という対面型、オンライン型をそれぞれ代表する大手証券会社が共同で販売した東京都内のマンション(募集額14億5,300万円)を皮切りに、17本のSTが販売されました。6月末時点で届出があり、販売は7~8月のものを含みます。

6月までは、大手証券会社のみが販売を行ってきましたが(慣れない不動産商品のせいか、共同販売をはさみながら、ゆっくりペースで・・・)、2023年7月までに17本、募集金額にして約400億円(物件価格にして約850億円)が誕生しています

資産づくりの世界が変わる

この3年で投資家にとって何が変わったのでしょうか?不動産デジタル証券の資産額が成長することは何を意味しているのでしょうか。

ここで一旦、不動産デジタル証券の投資家メリットを整理しておきます。

不動産投資の手触り感

REITは数多くの不動産物件を購入しており、街を歩いていて、自分が保有するREITで投資している物件を認識することが普通は難しいものですが、デジタル証券は「コレが私の投資している物件」と明確に認知しやすいものです。収入源である建物が、テナントさんがそこにある。地に足の着いた投資の手触り、安定収益感を実感することができるでしょう。

価格の安定性

また、REITと違い、不動産の安定した価格変動のなかで取引することができます。REITは株式市場に上場しているため、金利や株式相場の変動に影響されて短期的に価格が大きく動きます。不動産投資をしているのに、不動産価値と関係なく価値が動くことに心がざわつく、値動きが速くて落ち着かない・・・といった経験をしている投資家も多いのではないでしょうか。

ところで、不動産資産は、株式とも債券ともリスク・リターンが違うとして、機関投資家(プロの法人投資家)や富裕層は何十年も前から資産づくりに取り入れてきました。その不動産のなかでも種類によってもまたリスク・リターンが違ってきます。

不動産証券化協会
ARES Japan Property IndexをもとにHash DasHが作成(2013年3月~2023年2月)

デジタル証券の成長は、一般の個人投資家がより多様なリスク・リターンの商品にアクセスすることが可能になっていることを示しています。

不動産デジタル証券には、普通のマンションのほかに学生向けマンション、大手ファーストフードの倉庫、草津や越後湯沢の温泉宿、コロナ禍明けで人気のホテルは舞浜、それから国策でもあるスタートアップ支援のテーマに沿った東京の一等地に建つオフィスビルなど、数は少ないながらも、とてもユニークな物件が出てきています。

加えて、忘れてはならないのがスキームの安全性です。デジタル証券では販売会社や運用会社などの関係会社が倒産しても、投資対象物件が差し押さえられることがないスキームとなっています。この「倒産隔離」措置はクラウドファンディングでは義務化されていませんが、金融庁管轄下のデジタル証券では必須です。このほか、情報開示の充実など安全性の仕組みを支えるために、デジタル証券はクラウドファンディングよりも利回りは抑えられる傾向にありますが、まとまった資金を本格的に運用する場面では、是非重要視したいポイントです。

このように、今までは機関投資家や富裕層にしか提供されなかった投資対象、株式とも債券ともリスク特性が違う不動産投資がグッと身近に、しかも安全な形で個人投資家に提供されるようになりました。

これからも広がる兆し

これまで大手証券会社がけん引してきたデジタル証券の世界に、2023年6月、新しい風が吹き込みました。「三井物産デジタル・アセットマネジメント」が直接販売を開始し、運用会社としても「丸紅アセットマネジメント」が参入するなど商社系の企業が積極参加してきています。証券会社の敷居が高かった投資家にも、新しい入口ができた形で、今後のすそ野の広がりを期待させる動きでもあります。

また、それに加えて、スタートアップ企業(証券会社)で唯一参入しているHash DasH株式会社が不動産デジタル証券の取扱いを始めました。1口10万円から不動産投資ができます。

物件は東京の超一等地・渋谷神宮前のスタートアップ・ベンチャー企業向けオフィス複合ビル。卒コロナの賑わいを見せる東京の経済成長を地方に住む投資家の資産づくりに活用したい、国の力になるスタートアップ企業の支援に参加したい、そんな思いで販売しています。思いを乗せられる新しい資産づくりツールを是非チェックしてみてください!

【公式サイト】Hash DasH

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三好 美佐子

明治大学法学部卒業。1990年東京証券(現東海東京証券)入社、投資信託商品本部に所属、その後、外資系資産運用会社を経て、2004年ユナイテッドワールド証券取締役。銀行のダイレクトマーケティングやおつり投資サービス等にも関わる。2014年には「One Tap BUY(現PayPay証券)」創業、2021年よりHash DasHに参画。個人への財産形成手段の普及がライフワーク・テーマ。Hash DasH株式会社(https://www.hashdash.co.jp/