アパート経営で1棟目の運営が軌道に乗ったら、2棟目をいつ購入したらいいのか、そのタイミングが気になるものです。
また、アパートの規模拡大は収益を大きくできるメリットの反面、投資額が大きくなることで不動産投資のリスクが増大するメリットがあります。タイミングを見計らいながらも、規模拡大のメリット・デメリットについても改めて確認し、慎重に検討したいポイントと言えます。
そこで今回のコラムでは、アパート経営で2棟目を購入するタイミングについて解説していきます。またアパートを複数棟所有するなど、不動産投資で事業規模を拡大していくメリットとデメリットについても紹介していきます。
目次
- アパート経営で2棟目を購入するタイミング
1-1.経営ノウハウが身に付いている
1-2.1棟目の経営キャッシュフローに問題がない
1-3.自己資金を十分に確保している - アパート経営の規模を拡大するメリット
2-1.収入を増やすことができる
2-2.リスクを分散することができる
2-3.アパートローン返済後の純資産を増やすことができる - アパート経営の規模を拡大するデメリット
3-1.アパートローンの借入額が増える
3-2.トラブルが増える可能性がある
3-3.時間や労力がより必要になる - まとめ
1 アパート経営で2棟目を購入するタイミング
アパート経営の規模を拡大するには、メリット・デメリットがあります。1棟目の運営が軌道に乗っていたとしても、2棟目が必ずしもうまく行くとは限りません。そこで2棟目のアパートを購入するタイミングとして、次の3つについて解説していきます。
- 経営ノウハウが身に付いている
- 1棟目の経営キャッシュフローに問題がない
- 自己資金を十分に確保している
この3つのポイントはそれぞれ関連しており、1棟目のアパート経営を適切に行うこと自体が、2棟目を購入するための準備になっているということでもあるのです。それぞれに見ていきましょう。
1-1 経営ノウハウが身に付いている
アパートが1棟から2棟に増えると、管理や経理などアパート経営に関する業務が増えることになります。委託できる業務はありますが、それでもオーナーとして投資判断するべき対象が増えるためです。
アパートを経営していく上で必要なノウハウや知識が備わっているかどうかが、2棟目の購入を検討するポイントになります。このとき、注目したいのが空室率と経費率です。空室が多いということは、改善できる点や足りないポイントがあるということが考えられ、それを放置したままで、次のアパートを購入しても同じような状態になることが考えられます。
1棟目の空室率が高いときは、まずは空室をある程度埋められないか対策を検討してみましょう。またアパート経営の経費率は家賃収入の10〜30%が目安となり、目安よりも高い場合は改善の余地があると考えられます。オーナーとして経費率を抑える工夫を試してみましょう。
1-2 1棟目の経営キャッシュフローに問題がない
アパートを購入すると、初期費用などによって購入後数年は出費が多くなる傾向があります。1棟目の経営キャッシュフローが不安定な状態のまま2棟目を購入してしまうと、利益の出しづらい経営が続き、手元のキャッシュが不足してしまう可能性が高まります。
1棟目のアパートの運営に問題がないかの判断基準は、想定通りの利益が出ているかどうかです。想定通りに利益が出ていると、自己資金の確保にもつながります。そのため2棟目の購入が検討しやすくなるのです。
1-3 自己資金を十分に確保している
多くの場合、アパートを購入する際は金融機関から融資を利用することとなりますが、アパートが2棟になるとそれだけ借入金が増えることになります。自己資金が乏しいと新たな融資を得るのが難しくなるため、キャッシュフローを確保しながら経営していけるように、自己資金を十分に確保してから2棟目を購入しましょう。
例えば、2棟目を購入したことでキャッシュフローに余裕がなくなると、修繕などで急な出費が必要になったときや、空室が続いたときなどに対応できないことも考えられます。2棟になれば部屋数も増えるため、余剰資金を残しておいた方がより良好な経営環境が構築できるのです。
アパートを購入する際の自己資金は、物件価格の1割〜3割が目安です。1棟目の利益率なども関係しますが、できるだけ多めに自己資金を用意するようにしましょう。
2 アパート経営の規模を拡大するメリット
この項目では、アパート経営の棟数を増やすことでどのようなメリットがあるのか、解説していきます。
2-1 収入を増やすことができる
アパート経営では、運用する部屋の数を増やしていくことで収入を増やしていくことができます。
単純計算になりますが、10室の1棟アパートを家賃10万円で運用している場合、アパートが1棟から2棟に増えると、毎月の家賃収入は100万円から200万円になります。1棟で毎月50万円の利益を得ていれば、2棟では100万円の利益を毎月得られるということになります。
これがアパート経営で規模を拡大していくメリットの一つです。
2-2 リスクを分散することができる
アパート経営には下記のようなリスクがあります。
- 空室リスク
- 家賃下落リスク
- 修繕リスク
- 資産価値下落リスク
- 家賃滞納リスク
- 金利変動リスク
- 災害リスク、など
アパート経営の規模を拡大することによって、これらのリスクを分散あるいは軽減することができます。一例として空室リスクを取り上げてみます。
空室リスクとは、入居者が退去すると予定の家賃収入を得られなくなるリスクです。この空室リスクは部屋数を増やすことで軽減することができますが、2棟のアパートを運営するポイントは家賃収入の減少率です。部屋数が多いと、家賃収入の減少率が軽減されるためです。
先程の例と同様に、1棟10部屋のアパートで、ひと部屋の家賃を10万円で運営していた場合を見てみましょう。下記が1棟と2棟、4棟をそれぞれ運営していた際に、1部屋が空室になった際の家賃収入の総額と減少率です。
棟数(部屋数) | 満室時の月間家賃収入 | ひと部屋空室になった際の月間家賃収入 | 家賃収入の減少率 |
---|---|---|---|
1棟(10室) | 100万円 | 90万円 | 10% |
2棟(20室) | 200万円 | 190万円 | 5% |
4棟(40室) | 400万円 | 390万円 | 2.5% |
家賃収入の減少率で見てみると、1棟の場合は10%減少となりますが、2棟の場合は5%減少となり、4棟であれば2.5%の減少となります。つまり規模が大きいほど、それだけ空室が1室出た時の収入が減少する幅を小さくすることができるのです。
また災害リスクに関しても、アパートの地域を分散しておくと、1つのアパートが被害に遭っても、もう1つのアパートが被害から逃れる可能性があります。つまり複数のアパートを所有することで、リスクが分散できるということなのです。
2-3 アパートローン返済後の純資産を増やすことができる
キャッシュフローに問題の無いアパート経営を継続していると、最終的にアパートローンを完済することが出来ます。アパートローンの完済後は、土地と建物に設定されている抵当権が外れ、自身の純資産となります。
アパート経営の規模を拡大していることで、最終的にローンを完済した後の純資産総額も増えることになります。
3 アパート経営の規模を拡大するデメリット
アパート経営の規模を拡大するメリットを解説しましたが、デメリットもあります。そこでこの項目では、アパート経営の規模を拡大することによるデメリットについて解説していきます。
3-1 アパートローンの借入額が増える
金融機関から融資を借りてアパートを購入した場合は毎月返済していきますが、ローン残高がある中で次のアパートを購入すると、ローン残高がさらに増えることになります。
アパート経営の場合、想定通りに運用できていればローンの返済に困ることがないように返済計画が立てられています。しかし想定よりも空室が増えたり、空室期間が長引いたり、修繕に費用がかかりすぎたりすると、返済計画通りに返済できないことになります。
これにより、精神的な負担が大きくなるのもデメリットの一つです。借入金が小さければ本業で稼いだ資金でまかなったりできる可能性もありますが、借入額が大きいと所有しているアパートを手放したり、アパート経営から撤退せざるを得ないことも考えられます。
3-2 トラブルが増える可能性がある
アパートの入居者が増えると、その分、トラブルが増加する可能性があります。例えば、家賃を滞納したり、家の中で大きな声を出したりする人が入居することも考えられます。
また、所有するアパートの棟数が増えるということは、同時に雨漏りやシロアリ被害などのトラブルが起きるリスクを抱えるということにもなります。部屋に設置されている給湯器やエアコンなどの機器や、共用部に設けられた蛍光灯に不備が発生したりといったトラブルも考えられます。
3-3 時間や労力がより必要になる
めアパート経営の規模を拡大すると、アパート経営に関わる時間や労力が増える可能性があります。特に1棟目のアパート経営で満足のいく利益が得られている場合は、経営に関わる時間が増えることにデメリットを感じることもあります。
本業や家庭での過ごし方などを考慮して、規模を拡大するのか検討するようにしましょう。
まとめ
今回のコラムでは、2棟目のアパートを購入するタイミングについて解説しました。自己資金、経営ノウハウなどが得られていれば、2棟目を検討する時期にあるでしょう。
ただし不動産投資は規模を拡大していくことで、メリットもデメリットもあります。それらも理解した上で、2棟目の購入を検討しましょう。
倉岡 明広
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