不動産投資の修繕リスク対策は?建物管理に強い・設備保証付きの不動産投資会社も

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不動産投資の修繕リスクとは所有する賃貸物件の劣化・損傷に対して修繕を行う可能性があることです。修繕工事は費用が高額になることもあり、その度に経営を圧迫する懸念があります。

特に区分マンション投資では、一人のオーナーの意思で管理方針を決定することができません。つまり、管理組合や管理会社によって適切な管理が行われていないと、大きな修繕費を必要とする可能性もあります。

そこで今回のコラムでは、修繕リスクを回避および軽減する方法を解説し、さらに建物管理に強い不動産投資会社の紹介も行います。

目次

  1. 不動産投資の修繕リスクとは
    1-1.不動産投資でかかる修繕費用・時期の目安
  2. 不動産投資の修繕リスクを回避・軽減する方法
    2-1.老朽化が見られない物件を購入する
    2-2.清掃やメンテナンスを適切な時期に行う
    2-3.修繕費用の積み立てをしておく
    2-4.修繕に強い管理会社を選ぶ
  3. 設備保証サービスを提供する不動産投資会社3社
    3-1.プロパティエージェント
    3-2.湘建
    3-3.エイマックス(A-MAX)
  4. 建物管理に強い不動産投資会社4社
    4-1.トーシンパートナーズ
    4-2.インヴァランス
    4-3.FJネクスト
    4-4.グローバル・リンク・マネジメント
  5. まとめ

1 不動産投資の修繕リスクとは

建物は時間経過とともに劣化や不具合を避けることができません。このような経年劣化は、不動産投資に下記のような3つの損失を与えることになります。

  • 稼働率(入居率)の低下
  • 賃料(収入)の低下
  • 資産価値(売却時価格)の低下

こうした不動産価値の低下を招かないように行うのが修繕です。賃貸用物件を所有している間は、物件の状態に合わせて下記のような修繕を行うことになります。

  • 室内のリフォーム
  • エアコンや給湯器の交換
  • 壁紙や床材の張り替え
  • キッチンやトイレ、バスルームなどの交換
  • 水道管の交換
  • ドアや網戸、ガラス、棚などの補修
  • (一棟物件の場合)外壁や屋根の塗装、など

このような修繕には資金が必要になるため、物件オーナーとして適切に対処できるように、事前に対策を立てておくことが大切です。

1-1.不動産投資でかかる修繕費用・時期の目安

不動産投資を行うにあたり、目安としてどれくらいの修繕費用がかかるのでしょうか。国土交通省の「計画修繕ガイドブック」から、ワンルームマンションで必要な修繕費用と時期について見て行きましょう。

RC造10戸(1K)修繕時期・費用イメージ

※画像引用:国土交通省「計画修繕ガイドブック

新築から5~10年目に差し掛かったワンルームマンションでは、始めに1戸あたり約7万円の修繕が発生し、その後は5年ごとに修繕のタイミングがあるということが分かります。特に注意しておきたいポイントは、11~15年目の約46万円、21~25年目の約90万円という高額な修繕費用です。

不動産投資を行う際は、毎月の収入からこれらの修繕費に備えて適切に資金を蓄えていくことが重要になります。

一方、複数の所有者がいる区分マンションの場合、管理組合が設定した修繕積立金によって外壁や共用部分の修繕を行います。長期的に不動産投資を行う際は、マンションの管理組合がきちんと機能しており、管理費が適切に積み上げられているかどうかという観点も重要になってきます。

2 不動産投資の修繕リスクを回避・軽減する方法

建物や設備機器は時間とともに劣化するため、修繕を回避する方法はありません。どうしても修繕費用を支払いたくない場合は、新築や未入居物件などの築浅物件を購入して修繕が必要になる前に売却することになります。

しかし、売却の際にも適切な修繕が行われていない物件は資産価値を低下させている可能性が高く、売却価格の低下にもつながります。経営全体として見るとマイナスになる可能性もあると言えるでしょう。

修繕リスクに対しては必ず起こり得るものであるととらえ、事前に適切な対策を行っておくことが重要です。詳しく見ていきましょう。

2-1 老朽化が見られない物件を購入する

新築物件であれば設備を含めてすぐに修繕が必要になることはありませんが、中古物件を購入する場合は壁紙や床、キッチンやバスルームなどの設備の状況を慎重に確認しましょう。

状態が悪ければ購入後すぐに修繕が必要になり、取得後すぐにリフォーム費用の資金を必要とする可能性があります。反対に、室内をリフォームしたばかり、設備を交換したばかりといった状態であれば、修繕はしばらくの間は必要ないと推測できます。

物件を見学に行く際には自身の目で状態を確認することに加えて、事前に修繕履歴や設備の交換履歴などを確認しておくことが大切です。リフォームしたばかりなど修繕および交換履歴が新しければ、大きな修繕費を必要とするのは5年後や10年後などになることもあります。

2-2 清掃やメンテナンスを適切な時期に行う

建物の損傷や設備機器の故障を防ぐには、清掃やメンテナンスを適切な時期に行うことです。例えば、エアコンなどの設備機器は、小さな異常の段階で修理をすると小さな部品の交換だけで済むことがあります。またバスルームのカビなども、設備へのダメージを最小限に食い止めることができる可能性があります。

一方、小さな異常を見過ごしたり、放置してしまうと大きな損傷につながり、大規模な修理あるいは交換が必要になります。そのためできるだけ小さな故障の段階で発見できるように、入居者が退室した後などを見計らって丁寧に清掃したり、メンテナンスを適切に行うようにしましょう。

2-3 修繕費用の積み立てをしておく

修繕リスクの特徴は、一度に必要な費用が高額になる可能性があることです。エアコンを交換する際には10万円程度、バスルームの場合は60万円~100万円、壁紙の張り替えは規模にもよりますが5万円程度〜といった費用がかかるため、経営を圧迫してしまうことが考えられるのです。

修繕はやがて必要になるため、修繕費用を準備しておき、突発的なキャッシュフローの悪化に備えることが大切です。毎月の利益から修繕費用のために積み立てておくほか、管理会社の設備保証なども活用されると良いでしょう。

2-4 修繕に強い管理会社を選ぶ

管理会社や不動産投資会社では独自に管理ノウハウを積み上げていますが、知識や対策方法は各社によって異なります。管理会社を選ぶ際には修繕に関してどのような対策をしているのかも確認しましょう。具体的には、下記のようなことが考えられます。

  • 施工会社と提携をしている
  • 施工部門や施工会社を所有している
  • 修繕リスクに関する保険を取り扱っている
  • 設備の修理や交換に関する保証プランがある
  • 社内にマンション維持修繕技術者など建物管理に関するプロがいる、など

管理会社が上記のような対策を行っていると、修繕が必要になったときにアドバイスをくれたり、サポートしてくれます。そのため物件運営での不安を軽減させることができます。

3 設備保証サービスを提供する不動産投資会社3社

設備保証サービスは、設備機器の修理や交換を管理会社が負担してくれる仕組みです。保証料は必要ですが、故障が発生した際のオーナー負担が必要ないため、修繕リスクを軽減する対策方法と言えます。そこで設備保証サービスを取り扱っている不動産投資会社について紹介していきます。

3-1 プロパティエージェント

プロパティエージェントのマンション投資プロパティエージェントは、東京23区・横浜エリアに特化してマンション開発・販売を手掛けている不動産投資会社です。新築マンションと中古マンションのどちらも取り扱っており、創業以来20期連続で増収増益を続けている東証プライム市場上場グループ企業です。

管理業務は専門の建物管理事業が、管理のプロとして行っています。入居管理や設備故障などのサポートに加えて、物件運用の再プランニングなども専門のスタッフが提案しています。

設備保証サービスは2種類あり、「プランA」(月額1,480円)は6品目、「プランB」(月額4,980円)は13品目が対象となっています。同社で購入した新築・中古、他社ブランド物件すべてが対象となっており、築年数も無制限なのが特徴です。1回の修理代は10万円まで、修理回数は無制限となっています。

名称 設備保証サービス
保証料 月額1,480円、月額4,980円
内容 「プランA」はルームエアコン、給湯器などの6品目、「プランB」は「プランA」の6品目にインターホン、ガラスなどの6品目がプラスされます。

3-2 湘建

湘建は、「都市部物件」「1R」といったテーマで、賃貸需要の高い東京・横浜に物件を供給する不動産投資会社です。中古マンションの販売だけではなく、オリジナルブランドの新築マンション開発も手がけています。

管理業務は、入居者募集から入居者審査、家賃集金送金、解約精算まで一貫して担当しており、「集金代行システム」と「家賃保証システム」の2つのプランが用意されています。設備保証がついているのは「家賃保証システム」で、設備トラブルが発生した際に必要な修理費や原状回復のための修繕費用は同社が負担する内容になっています。

名称 家賃保証システム
保証料 査定賃貸料金の10%
内容 本来は家賃を保証するシステムで、査定家賃の90%を保証するほか、設備トラブルがあった場合の修理費も保証しています。また原状回復のための修繕費なども保証されます。契約期間は原則3年ごとに更新されます。

3-3 エイマックス

A-MAX(エイマックス)エイマックスは、東京23区内で投資用マンションの仕入れ・販売を行う不動産投資会社です。日本でトップの不動産販売実績(※)を有する代表の天田浩平氏を中心に、投資用マンションを厳選して提供しています。(※投資用マンション部門 天田氏の個人取引実績 年間最高売上高83.9億円)

管理費用は月額2,200円(税込)で、あらゆる管理業務を担うほか、家賃保証と設備保証がセットになっているのが特徴です。物件購入から3年間は設備交換および内装工事費用が発生した場合、どちらも同社が負担する内容になっています。

名称 サポートシステム
保証料 月額2,200円(税込)
内容 物件購入後、5年間利用できる、空室時の家賃保証と設備保証がセットされている管理業務プランです。設備交換および内装工事費は物件購入後、何度でも無料です。家賃保証は空室発生60日経過後から入居決定までの期間、査定家賃の80%が保証されます。

4 建物管理に強い不動産投資会社4社

賃貸用物件の管理業務には、入居者管理と建物管理の2種類がありますが、そのうち建物管理について特徴的な業務を行っている4社について紹介していきます。

4-1 トーシンパートナーズ

トーシンパートナーズの不動産投資トーシンパートナーズは、東京都心部・横浜市・川崎市でマンション販売を手掛けている不動産投資会社です。「フェニックス」と「ZOOM」という2種類のブランドマンションを展開しており、特に「ZOOM」シリーズは9年連続13物件でグッドデザイン賞を受賞しています。

マンション管理については、清掃スタッフを配置し、共用スペースの日常清掃や貯水槽・貯水管の清掃なども行っています。また各種設備をオンラインシステムで24時間監視を行っているのも特徴です。エレベーターや消防・建築設備法定などの保守点検も定期的に実施しています。

建物は日常的に巡回点検を行い、特殊建築設備は定期的に検査しています。またマンションの寿命を60〜80年と考え、30年サイクルの長期修繕計画を策定しています。この計画に基づいて、定期的に修繕やリフォームも行っている点も特徴的と言えます。

4-2 インヴァランス

インヴァランスのマンション投資セミナーインヴァランスは、「CREVISTA」「LUXUDEAR」などの投資用マンションを、東京都心を中心とした23区内で開発・販売する不動産投資会社です。これまで100棟以上の投資用マンションを供給しており、株式会社不動産経済研究所が発表した「2019年上期首都圏投資用マンション市場動向」では供給実績で2位となっています。

50年、100年と続く資産を守り続けるために、用地取得から設計、建設、建物管理などを一気通貫で行っているのが特徴です。100棟以上を供給し、管理しているこれまでの経験から、物件の維持管理・修繕のほか、設備の改善提案なども物件に合わせて適切に行っています。

4-3 FJネクスト

FJネクストの不動産投資セミナーFJネクストは、東京都内を中心に高品質なマンションブランド「ガーラ」シリーズを供給している不動産投資会社です。株式会社不動産経済研究所が発表する「首都圏投資用マンション市場動向」では、年間供給実績第1位を2019年、2020年、2021年の3年連続で獲得しています。2022年3月末時点のマンション供給実績は業界トップクラスの327棟です。

管理業務は、グループ会社のFJコミュニティが担当しています。管理戸数は17,400戸を超えており、豊富なノウハウによって投資用マンションの資産価値維持および向上を実現しています。

代表的なのが清掃管理員の社員化です。管理員を外部委託するデベロッパーが多い中、同社では社員として迎え入れているため、能動的なきめ細かい建物管理と密な連絡体制を確立しています。また各種設備施設の点検といったインスペクションも実施しており、資産価値の維持に注力している点が特徴的な不動産投資会社です。

4-4  グローバル・リンク・マネジメント

グローバル・リンク・マネジメントの不動産投資セミナーグローバル・リンク・マネジメントは、東京23区、川崎市などを中心にデザイナーズマンションブランド「アルテシモ」を供給している不動産投資会社です。「都心からチカイ(近い)」 + 「駅からチカイ(近い)」 + 「高いチカ(地価)」という3つの〝チカ〟がコンセプトで、資産価値の高い物件を提供しています。

マンションをオーナーの大切な資産と捉える同社では、維持管理は重要な使命と考えています。そのためマンション管理業の株式会社合人社計画研究所と共同で、分譲マンション総合管理を主な業務とする合弁会社「株式会社G&G Community」を設立し、物件の管理を行っています。合弁会社で管理事業を行うことで、サービスの向上などオーナーの要望に対応した満足度の高い建物管理となっています。

まとめ

不動産投資にとって賃貸用物件の劣化や損傷は避けることができないものです。そのため修繕リスク対策を行うことは、オーナーとしての重要な業務の一つです。管理会社や不動産投資会社では修繕リスクに対するノウハウを蓄積していますので、ご自身の経営スタイルに合うような管理体制を構築している会社を選ぶようにしましょう。

今回のコラムでは、建物管理に強い不動産投資会社4社と、設備保証サービスを提供している不動産会社4社を紹介しました。賃貸経営をサポートしてくれますので、不動産投資会社選びの際にお役立てください。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。