不動産投資の初心者が失敗してしまう原因は?6つの事例と対策を解説

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不動産投資の初心者が失敗してしまう主な原因として、勉強不足なまま安易に始めてしまい、他人任せにしてしまうことが挙げられます。

不動産投資に必ずしも利益を得られる保証はなく、リスクのある事業性の高い投資方法です。リスクやデメリットにも目を向け、自身の投資目的に合った対策ができるかどうかも重要なポイントとなります。

そこで今回のコラムでは、不動産投資の初心者が注意しておきたい6つの失敗事例を紹介し、その対策を解説していきます。

目次

  1. 不動産投資の初心者に多い失敗事例とその対策
    1-1.【失敗事例1】不動産会社の言葉を鵜呑みにしてしまう
    1-2.【失敗事例2】甘めの計画を立ててしまった
    1-3.【失敗事例3】物件管理を適切にしなかったため修繕が大掛かりになった
    1-4.【失敗事例4】利回りだけを見てしまい、出口戦略が見えない
    1-5.【失敗事例5】不動産投資の目的を見失い、想定外の物件に飛びついてしまった
    1-6.【失敗事例6】フルローンで購入したため、月額の支払いが毎回大変だった
  2. 不動産投資を始める前に注意しておきたい3つのポイント
    2-1.投資ではなく経営として行う
    2-2.リスクを事前に把握して対策をとる
    2-3.リスクに対応できるよう資金を蓄えてお
  3. まとめ

1 不動産投資の初心者に多い失敗事例とその対策

1-1 【失敗事例1】不動産会社の言葉を鵜呑みにしてしまう

『自己資金がまとまったので不動産会社に問い合わせてみたら、「ちょうどいい物件があります」と言われ、銀行の審査も通ったのでそのまま運用を始めてみました。物件はよかったのですが、税金や設備投資など見えない(知らない)支出がいろいろとあって、すぐには軌道に乗せられませんでした。』

失敗の要因と対策

不動産投資は、所有する不動産を他人に貸して得られる家賃収入が売り上げになります。不動産投資を推奨する謳い文句には「何もしないでも収入が得られる」「大家さんは家賃を振り込まれるのを待つだけ」といった表現をされることもありますが、利益を得られる保証はなく、その投資のリスクはオーナーが負うことになります。

特に気をつけたいのが不動産会社の言葉を鵜呑みにしてしまうことです。しかし知識があれば、営業マンの言っていることも慎重に捉えることができます。不動産投資を始める前も、始めた後も時間のあるときに勉強をしながら、知識を積み重ねていくようにしましょう。

1-2 【失敗事例2】甘めの計画を立ててしまった

『空室が2つある物件だったのですが、立地も、状態もよかったので、すぐに埋まるだろうと安易な予測をしてしまいました。結局、埋まらない要因は競合物件が多かったためで、家賃を下げて募集し直しました。すぐに入居者が決まりましたが、予定していた利回りよりも低くなってしまいました。』

失敗の要因と対策

不動産投資ローンなどを活用して不動産を購入する際には、金融機関に提出するため事業計画書を作成します。しかし、税金などの決まった金額以外は、自分のさじ加減で数字を調整することができ、希望的観測で見通しを甘くしてしまうことがあります。

投資シミュレーションの見通しが甘ければ、状況が変化した際に適切な対応ができなくなる可能性を高めてしまいます。この失敗事例では家賃設定を下げることで対応したため、入居者は見つかったものの想定した利回りよりも低くなりました。これによって修繕工事など他の計画に影響が出ることも考えられます。

不動産投資にはリスクはつきものです。シミュレーションをして、賃貸用物件を手堅く運営していくようにしましょう。

1-3 【失敗事例3】物件管理を適切にしなかったため修繕が大掛かりになった

『手元に残る資金を増やしたくて、無駄なコストは徹底して省いていました。しかし物件のメンテナンスはちゃんとしておくべきだと反省しています。それは管理会社にひび割れを見つけてもらったのですが、少しならと放置しておきました。するとそこから雨が侵入したようで、修繕工事が大掛かりになってしまいました。』

失敗の要因と対策

物件の維持管理はコストがかかるため、利益を出すために管理やメンテナンスの費用を削減する方も少なくありません。しかし、建物は経年劣化によって年々陳腐化が進んでいくため、適切なメンテナンスを行わないと大がかりな修繕が必要となるケースがあります。売り上げを生み出す建物の劣化を、できるだけ避けるように対策をすることが重要なのです。

事例のように、小さなひび割れも時間が経てばやがて大きくなることが予測できました。一つの判断ミスが経営を大きく左右することにも注意しておきましょう。

1-4 【失敗事例4】利回りだけを見てしまい、出口戦略が見えない

『投資する元手が5年で回収できると思い、利回りが20%を超える築古のアパートを購入しました。購入時は満室だったので、想定通り5年で回収できると思っていたのですが、空室になるとなかなか部屋が埋まらなくなり、やがて半数の部屋が空室になってしまいました。なんとか元手の回収はできましたが、今後どのように出口戦略を立てようか先が見えていません。』

失敗の要因と対策

築古物件は部屋の修繕や外壁塗装工事、水道管工事などの工事が必要になることが想定されます。そうなると利益幅が縮小し、あるいはマイナスになってしまう可能性があります。ハイリスクな物件は金融機関からの融資も受けづらく、次の買主を見つけるのに苦戦してしまう傾向にあるため注意が必要です。

高い利回りの築古物件にはメリットもある反面、修繕リスクや空室リスク、出口戦略の高い難易度など、リスクが少なくありません。利回りだけでなく多角的な視点から物件を評価し、慎重に物件を選ぶことが重要です。

1-5 【失敗事例5】不動産投資の目的を見失い、想定外の物件に飛びついてしまった

『老後のために収入を得ようとファミリータイプの投資用マンションの購入を検討していましたが、相場よりも安い価格でワンルームマンションが売りに出されたためすぐに飛びついてしまいました。専門学校に近いので一定の収入が見込めるかと思いましたが、2年で入居者がどんどん入れ替わっていて、3月や4月に決まらないと1年間空室のままということもありました。』

失敗の要因と対策

不動産投資とひと言で言っても、運用する物件のタイプで経営スタイルも得られる結果も異なります。学校の近くや、都心の単身者向けマンションは入退居が多く、入居期間も短くなりがちです。経営判断を求められることも多くなり、仕事をリタイアした後にゆっくり運用するには向いていないと考えることもできます。

不動産投資は物件を購入して運用を始めると、他の物件にすぐに切り替えることは難しいものです。物件を購入する前にご自身の不動産投資を始める目的を確認し、それにふさわしい物件を選ぶようにしましょう。

1-6 【失敗事例6】フルローンで購入したため、月額の支払いが毎回大変だった

『自己資金が乏しかったために、フルローンを活用してワンルームマンションを購入しました。想定していたことですが、ローンの返済が終わるまでの10年間は家賃収入と支出がトントンでほとんど利益を出せませんでした。空室になるとできるだけ早く入居者を入れたいために、家賃を下げてしまったのも失敗の要因かもと思っています。』

失敗の要因と対策

不動産投資を始めるには自己資金は重要な要素となりますが、フルローンを活用すれば自己資金が少なくても始められます。しかし、事例のように借入金が多くなると支払う利息が多くなり、利益を出しづらくなります。フルローンが必ずしも悪い訳ではありませんが、借入金が増えることによるリスクもあることを踏まえた事業計画を立てましょう。

2 不動産投資を始める前に注意しておきたい3つのポイント

これまで紹介してきた失敗事例を踏まえて、投資前に注意しておきたい3つのポイントについて解説していきます。

2-1 投資ではなく経営として行う

不動産投資は「投資」という名称がついていますが、金融機関からの借入が可能である事業性の高い資産運用方法です。賃貸用物件を購入する前には事業計画書を作成することとなり、ローンの返済を含めた資金計画なども必要です。

入居者をお客さまととらえ、どのような物件であれば賃貸ニーズが獲得できるのか、対象エリアで家賃相場がどのように推移しているのか、事業を左右する「所有不動産」と「入居者」についてしっかりと調査を行いながら経営判断をしていくことが、不動産投資で重要なポイントとなります。

不動産投資会社は不動産情報を多く取り扱っており、様々な情報提供を受けられるパートナーとなりますが、最終的な投資判断を行うのは投資家となります。適切な判断を下せるように情報を比較し、慎重に検討していきましょう。

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2-2 リスクを事前に把握して対策をとる

不動産投資を事業として捉えると、想定されるリスクもあれば、想定していないトラブルに遭遇することもあり得ます。どのような状況でも的確な判断ができるように、さまざまな事態を想定しておくことも経営者として大切です。

不動産投資には代表的なリスクとして下記のものが挙げられます。

  • 空室リスク:入居者が退居し、部屋が空室になることで家賃収入が途絶える
  • 家賃滞納リスク:入居者の経済的な理由などで家賃が支払われないこと
  • 家賃下落リスク:入居者が決まらないために、募集する際に家賃を下げてしまうこと
  • 災害リスク:台風や大雨、洪水、地震などによって建物に被害が発生すること
  • 資産価値下落リスク:資産価値が経年劣化や何らかの損傷によって減少すること

まずはこれらのリスクを回避するように、できる対策を講じておくことが重要です。家賃が回収できない、契約に不備がある、占有されたままになっている、など想定外のトラブルが起きた際にも適切な対応ができるように、不動産投資についての勉強も続けていきましょう。管理会社など、信頼できるパートナーと協力体制を築いていくことも重要です。

2-3 リスクに対応できるよう資金を蓄えておく

どれだけリスク対策を講じていても、想定外の状況に陥ってしまう可能性を0にすることはできません。大きな失敗を避けるためには、手元の資金を蓄えておき、損害を小さくできるようにしておくことも重要となります。

例えば、大学の閉校など周辺環境の変化によって家賃相場が大きく下がってしまい、賃貸経営が難しくなってしまったとき、売却価格も大きく低下していることが予想されます。このような時、手元の資金が少ないとローンの残債を支払うことができず、物件を手放すことが出来なくなってしまうケースがあります。

このような状況を防ぐためにも、想定外の状況に備えた資金を蓄えておくことは重要なポイントです。不動産投資で得た収益は消費に使ってしまうのではなく、貯蓄しておいたり他の現金化しやすい投資対象へ再投資するなど、計画的に資金バランスを整えてみましょう。

まとめ

不動産投資は気軽に始められるように思う方も少なくありませんが、賃貸物件を取得して不動産投資を始めると、収益を得られる可能性がある反面、様々なリスクを負うことにもなります。経営者としての知識や技量を備えていなければ、不動産経営を破綻させてしまう可能性を高めることになります。

本記事で紹介した不動産投資の失敗事例は基本的な部分ですが、これらのリスクがあることを理解し、対策までしっかりと押さえておくことが大切です。生活資金と投資資金を分けておき、想定外の状況になっても焦らず対処できるよう、工夫していきましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。