2020年に入り、不動産の売却を検討している方も多いのではないでしょうか。不動産売却では、人口推移などのデータを含めて不動産市場の動きを検証し、不動産を売り出すタイミングを見計らうことが重要になります。
この記事では、不動産売却のタイミングを見計らう方に向けて、不動産市況や人口の移動状況などを確認した上で、失敗しない売却のタイミングについて考えていきたいと思います。
目次
- 近年の不動産価格推移
- 人口推移から不動産市況を予測
2-1.日本の人口推移
2-2.都道府県別転入超過数
2-3.今後の人口予測 - 不動産の売却価格は必ずしも市況に連動しない
- 実際に所有する不動産の価格を知っておく
- まとめ
1.近年の不動産価格推移
近年の不動産価格がどのように推移しているのかを見てみましょう。以下のグラフは健美家のレポートから引用したものです。こちらのグラフでは2010年1月から2019年12月までの一都三県の収益不動産価格推移を確認することができます。
*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家作成「収益物件市場動向年間レポート2019年」から引用
こちらのグラフから一都三県の不動産価格は2013年くらいから大きく上昇していることが確認できます。2013年前後に平均的な価格で購入した物件については、物件価格が上昇している可能性が高いと言えます。
2.人口の移動などから予測
次に国内の人口がどのように推移しているのかを見てみましょう。
2-1.日本の人口推移
以下のグラフは総務省の人口推計資料から引用したものです。こちらのグラフでは2008年10月から2019年3月までの日本の人口を確認することができます。(2018年8月以降は概算値)
*総務省作成「人口推計-2020年(令和2年)1月報-」から引用
こちらのグラフから日本の人口は2010年までは横ばいだったものが、2010年半ばから減少を始めていることが確認できます。
日本全国の人口推移動向でみると、国内不動産の賃貸ニーズは減少する可能性があると言えます。次に、各都道府県の人口がどのように推移しているのかを見てみましょう。
2-2.都道府県別転入超過数
以下のグラフは総務省が作成した住民基本台帳人口移動報告から引用したものです。こちらのグラフでは2017年と2018年の各都道府県の転入超過数を確認することができます。
*総務省作成「住民基本台帳人口移動報告平成30年(2018年)結果」から引用
こちらのグラフから2017年と2018年に転入超過数がプラスになっている都道府県は7都道府県あります。特に東京都は、転入超過数が大きくプラスになっていることが確認できます。
このことから人口の移動から見た場合、全国では東京を筆頭に7都道府県が賃貸ニーズは多く、継続して所有しても運用効率が大きく落ちる可能性が少ないと言えます。
2-3.今後の人口予測
現状は東京都の転入超過数が大きくプラスになっていますが、将来はどのようになっていくのでしょうか。
以下の表は国立社会保障・人口問題研究所が作成した日本の地域別将来推計人口から引用したものです。こちらの表では2015年の都道府県別人口と、2030年と2045年の都道府県別の予測人口を確認することができます。
*国立社会保障・人口問題研究所作成「日本の地域別将来推計人口」から引用
こちらの表から東京都は2030年時点では2015年より人口が増えていることが予測されています。このことから、東京都では賃貸ニーズが低くなる可能性が低く、継続所有しても効率的に運用できることが考えられます。
しかし、利益が出るかどうかは購入価格や売却価格、賃貸状況などにより物件ごとに異なるため、個別に考慮する必要があります。
3.不動産の売却価格は必ずしも市況に連動しない
先に触れた不動産価格の推移グラフでは上昇しています。しかし、個別に不動産価格を見た場合は、築年数の経過とともに緩やかに下落している傾向があります。
以下のグラフは公益財団法人東日本不動産流通機構が作成した資料から引用したものです。以下のグラフから築年数別の不動産価格を確認することができます。
*公益財団法人東日本不動産流通機構作成「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)」から引用
このように不動産価格は築年数の経過とともに緩やかな下落傾向にあることが確認できます。
不動産全体の価格が上昇していたりしたとしても、実際の物件に価格には築年数や周辺エリアの賃貸需要の影響が大きいことが分かります。売却のタイミングを計るには、不動産全体の市況も参考にしながら、所有物件ごとにニーズを測ることが大切です。
4.実際に所有する不動産の価格を知っておく
不動産全体の市況動向だけでなく、実際に所有する物件の価格がどのように推移しているのか、確認しておくことが重要です。
定期的に所有する不動産を査定し、「今、売却したらいくらになるのか?」ということを定点観測することで、不動産全体の市況と見比べると良いでしょう。
また、不動産の査定を不動産会社に依頼する際は、1社だけでなく複数社に依頼することが重要です。複数社から査定を受け取ることで、査定額の比較検証が出来るため、より正確な査定結果を知ることが出来るようになります。
まだ真剣に売却検討をしていない物件を査定したい場合、不動産会社に直接問い合わせるのではなく、不動産一括査定サービスを利用すると良いでしょう。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
SUUMO(スーモ)不動産売却[PR] | 株式会社リクルート | 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。 |
すまいValue[PR] | 不動産仲介大手6社による共同運営 | 査定は業界をリードする6社のみ。全国841店舗。利用者の95.5%が「安心感がある」と回答 |
リガイド(RE-Guide)[PR] | 株式会社ウェイブダッシュ | 15年目の老舗サイト。登録会社数800社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり |
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス[PR] | 株式会社LIFULL | 全国3100社以上の不動産会社に依頼できる。 |
【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
このような不動産一括査定サービスを利用することで、売却検討段階でも不動産の価格を知ることが可能です。物件情報を登録するだけで複数社から同時に査定をしてもらえるため、1社ずつ不動産会社へ問い合わせるより手間がかかりません。
不動産会社の査定理由や、不動産全体の市況感を聞くことで、より売却のタイミングを計りやすくなるでしょう。
【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
まとめ
今回は2020年の不動産市況と、不動産売却のタイミングの見極めについて取り上げました。一都三県の不動産価格は堅調な傾向にありますが、不動産投資は個別の案件になり、全ての不動産が必ずしも不動産市況と連動しているわけではありません。
売却タイミングを掴むために、数年ごとに個別の状況や所有する不動産の価格を把握して売却に備えておくようにしましょう。
西宮光夏
最新記事 by 西宮光夏 (全て見る)
- 投資用ワンルームマンションを売却するなら知っておきたい7つのこと - 2024年4月23日
- 低金利はいつまで続く?マンション投資で金利上昇に備える4つのポイント - 2023年4月21日
- 不動産投資セミナーのメリットや注意点は?オンラインで話が聞ける不動産会社も紹介 - 2023年1月8日
- 中古マンション投資のメリットや注意点は?役立つセミナーも紹介 - 2022年6月4日
- 収益不動産、購入するなら大手と中小どちらがいい? - 2022年1月10日