不動産の相続名義は単独・共有のどちらがいい?メリット・デメリットを比較

相続財産に不動産があり、相続人が複数いて、相続に際して単独名義にした方がよいのか、あるいは共有名義でもよいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

不動産の相続を相続人同士の共有名義で済ませることにはメリットもありますが、様々なデメリットがあります。後の世代に迷惑をかけないためにも、相続をおこなう前に、メリット・デメリットを考慮して、慎重に検討したいといえます。

本記事では、不動産の相続名義を単独にするのがよいのか、あるいは共有にするのがよいのか、という点について、共有名義のメリット・デメリットを比較して考えていきます。

目次

  1. 共有名義の不動産の権利
    1-1.相続と共有の関係
    1-2.共有持分権者の権利
  2. 不動産の相続、共有名義のメリット
    2-1.相続人同士の公平さを図ることができる
    2-2.費用や手間を抑えることができる
  3. 不動産の相続、共有名義のデメリット
    3-1.共有者と管理や収益をめぐってトラブルになることがある
    3-2.共有者と権利関係をめぐってトラブルになることがある
    3-3.共有者の同意が得られず売却が難しいことがある
  4. 共有名義で不動産相続せず、単独名義で相続する方法
  5. まとめ

1.共有名義の不動産の権利

不動産を相続する際、共有名義あるいは単独名義、どちらがよいのかを考えるにあたり、まずは、相続と共有の関係、共有とはどのような権利形態なのか、をみていきましょう。

1-1.相続と共有の関係

不動産の所有者である被相続人が亡くなって、相続が始まると、相続人が複数いる場合は、遺産分割が完了するまで、その不動産は相続人の共有状態となるものとされています。(民法898条)

また、被相続人の不動産を相続する際、相続人の共有名義で相続することがあります。この場合、共有者である各相続人は、それぞれの持分割合の範囲で所有権を有することになります。

1-2.共有持分権者の権利

民法では、共有者は共有物の全部について、持分に応じた使用をすることができる、と規定しています。(民法249条)共有者は、持分割合に応じた権能を持つとされており、その中には処分権が含まれますが、他の共有者との調整が必要になります。

具体的には、共有者は、共有名義の不動産について、保存行為、管理行為、変更行為をおこなうことが認められています。このうち、現状維持行為である保存行為は、すべての共有者が1人でおこなうことができます。

しかし、管理行為や変更行為は、共有者の持分権の価格に応じて、他の共有者の同意が必要になることがあります。管理行為は、変更を伴わない利用や改良などの行為のことであり、共有者の持分権の過半数の同意が必要となります。(民法252条)

変更行為は、性質や形状などを変更する行為のことであり、処分もこれに当たります。変更行為をおこなうには、共有者全員の同意が必要となります。

2.不動産の相続、共有名義のメリット

不動産を共有名義で相続することの意義と、不動産の共有持分権者の権利内容がお分かりいただけたかと思います。以下では、不動産の相続で、共有名義にすることのメリットをみていきます。

2-1.相続人同士の公平さを図ることができる

相続不動産を共有にした場合、共有者は、共有持分の割合に応じた権能を持ちます。持分割合という分かりやすい数字によって権能が決定されるため、共有相続人の公平感を得ることができやすい相続方法といえるでしょう。

不動産を単独名義で相続した場合、その不動産を相続した相続人は、他の相続人に対して、その分に代わる現金などの財産を渡して遺産分割をおこなう代償分割という方法をとることになります。
しかし、不動産には、使用・収益に伴って生み出される価値もあり、その価値を客観的に算出することは難しいことから、単独相続をすると他の相続人間で不公平感が生まれやすい傾向があります。

共有名義の相続によって、相続人間の公平感を醸成することができるのは、大きなメリットであるといえるでしょう。

2-2.費用や手間を抑えることができる

相続不動産を遺産分割しないままでおくと、法的には相続人同士の共有という扱いになります。令和6年4月から相続登記は義務化されますが、義務化が施行される以前であれば相続不動産の名義変更をせずに共有状態のままにしておくことも可能です。

不動産の名義を変更するには、登記手続きに関連する費用や手間がかるため、それをしないことで費用や手間を抑えることができます。

また、共有不動産についてかかる費用は、共有者で分担して負担することが原則であることからも、1人で負担する管理費用を抑えることができるというメリットもあります。

3.不動産の相続、共有名義のデメリット

不動産を共有名義で相続すると、相続人間の公平感や費用・手間の観点からメリットがあるといえました。それでは、反対に、共有名義で相続するとどのようなデメリットがあるのでしょうか。以下で考えていきましょう。

3-1.共有者と管理や収益をめぐってトラブルになることがある

不動産から収益を得るために賃貸借契約を締結したり、軽微なリフォームをおこなうなどの管理行為は、共有持分割合の過半数がないとおこなうことができないものとされています。

過半数の持分を持たない共有者が、勝手にこのような管理行為をおこなった場合、他の共有者とトラブルになることがあります。

また、共有不動産から得られた収益は、共有者はその持分割合に応じて受け取ることができます。一部の共有者が持分割合以上の収益を受け取っている場合、他の共有者との間でトラブルになることがあります。

3-2.共有者と権利関係をめぐってトラブルになることがある

共有名義で不動産を相続すると、権利関係をめぐって相続人同士でトラブルになることがあります。

たとえば、過半数の持分を持たない共有不動産の共有者の一人が、独占的にその不動産を利用しているようなケースです。この場合、他の共有者は、少数持分の占有者も共有持分に応じた使用収益権を有するため、共有物の全部の返還を命ずることはできず、裁判で共有物の分割請求などを求めることになります。

相続では、相続財産である不動産に、相続人のうちの一人が居住している場合もあり、相続が発生して共有状態になってもそのまま占有するということも考えられます。占有する代わりに、他の共有者である相続人に対して使用料を支払うこととなると、更なる問題を招く可能性もあります。

また、共有者が死亡すると、代襲相続が発生し共有者がさらに増えることになります。二次相続が起きると権利関係が複雑化していき、トラブルが生じる可能性はますます高くなります。

このように、不動産を共有名義で相続すると、権利関係をめぐって様々なトラブルが発生し得るといえるでしょう。

3-3.共有者の同意が得られず売却が難しいことがある

共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要であるのが原則です。不動産を共有名義で相続した場合、その不動産を売却しようとするときに他の共有者の同意が得られず売却できないことがあります。

また、売却することには同意が得られたとしても、売却活動において売却希望価格などの条件を共有者全員で擦り合わせるのに手間がかかり、売却活動がスムーズに進まない可能性もあるでしょう。

このように、不動産を共有名義で相続すると、売却が難しくなる可能性があることはデメリットといえます。

4.共有名義で不動産相続せず、単独名義で相続する方法

共有名義での不動産相続のデメリットが大きいと判断した場合は、単独名義による不動産相続を考えることになります。この場合、共有分割を除いた以下3つの相続方法が検討できます。

  • 換価分割:売却し現金化して分配する
  • 現物分割:現物のまま相続する
  • 代償分割:1人が代表して相続人となり他の相続人に金銭・財産を譲る

換価分割

不動産の時価を判断することは非常に難しいため、相続時点で金銭的な公平性を保ちやすい方法は売却を伴う換価分割です。換価分割では相続時点で現金化して分配を行うため、相続人同士で不公平感が生まれず、資産を均等に分配することが可能になります。

一方、不動産に想い入れがある場合や、アパートなどの事業性のある不動産である場合などは、売却を行うことで不動産を失ってしまうことになります。このような事態を避ける場合には現物分割か代償分割を行う必要があります。

現物分割

現物分割は土地の分筆や、集合住宅を区分所有するなどして所有者を分割する方法です。不動産の物理的な条件によっては均等に分けることが難しく、不動産全体の資産価値が大きく低下してしまうリスクがある点がデメリットです。

代償分割

代償分割は不動産の代表者1名が不動産を相続し、不動産の資産価値と同等の金銭や代償物を他の相続人に渡して公平性を保つ分割方法です。現金などの他の相続財産が多額である場合や、対象不動産が小規模である場合は容易に行えますが、代償金が用意できない場合には難しい方法となります。

このようにどの分割方法にもメリット・デメリットがあり、それぞれの事情によって適した分割方法は異なってくると言えます。

分割方法に悩む際は、まずは相続不動産の査定を行い、売却した場合の金銭的価値を把握しておきましょう。売却した場合の価格を共通認識としておくことで、それぞれの分割方法のメリット・デメリットについて具体的に判断しやすくなります。

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まとめ

不動産を共有名義で相続すると、一時的な公平さや費用・手間の観点からはメリットはあるものの、管理や収益、権利関係などをめぐって共有者とトラブルになる可能性があり、後のトラブルの大きさを比較してみるとデメリットが大きいといえるでしょう。

また、共有名義の相続不動産を売却するには、共有者である相続人全員の同意が必要になるため、売却しにくくなるのもデメリットです。

相続には個別の事情があり、不動産を単独名義で相続することが難しい場合もありますが、共有名義で不動産を相続するとトラブルを招くリスクがあります。共有名義での不動産相続を検討する際は、これらのデメリットに対して適切に対処できるか慎重に検証することが大切です。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。