人気のインデックスファンドは?販売金額上位10本の成績を比較【2022年5月】

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ウクライナ情勢の緊迫にともなう物価上昇など、不安定な世界情勢が続いています。コロナウイルス感染症も、完全な沈静化にはまだ時間がかかる見込みです。先行きが悪い中、今後の投資環境はどうなるのだろうと気になる方もいるのではないでしょうか。

当記事では、相場の状況をダイレクトに反映するインデックスファンドの直近の情報をまとめています。今後の見通しもレポートしていますので、相場環境が気になる方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 人気のインデックスファンド販売金額上位10本
  2. ファンドごとの概要
    2-1.SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500)
    2-2.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
    2-3.ニッセイ外国株式インデックスファンド
    2-4.ニッセイ日経225インデックスファンド
    2-5.SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・米国高配当株式)
  3. 2022年直近の世界経済の概況
    3-1.IMF発表の2022年成長率予想は大幅下方修正
  4. 日本や中国とヨーロッパの直近の経済概況
    4-1.円安は日本経済へ悪い影響を及ぼす
    4-2.中国経済はコロナウイルス鎮静後に上昇へ転じる
    4-3.エネルギー資源のロシア依存から脱却を目指す欧州
  5. まとめ

1.人気のインデックスファンド販売金額上位10本

SBI証券取扱いのインデックスファンドを、販売金額が多い順にピックアップしました。

ファンド名 基準価額 純資産 トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・S&P500) 17,224円 543,185百万円 29.68% 1.87 0.0938%程度
SBI・V・全米株式インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・全米株式) 10,996円 72,022百万円 0.0938%程度
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 16,678円 89,704百万円 20.46% 18.34% 1.44 0.1144%以内
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 18,798円 502,577百万円 29.99% 23.36% 1.88 0.0968%以内
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 26,090円 1,158,449百万円 25.44% 20.42% 1.62 0.1023%以内
ニッセイ日経225インデックスファンド 31,891円 388,596百万円 -3.18% 11.26% -0.23 0.275%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 19,743円 195,972百万円 25.59% 20.47% 1.62 0.1023%以内
ダイワJ-REITオープン(毎月分配型) 2,842円 322,904百万円 2.33% 4.77% 0.18 0.792%
SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・米国高配当株式) 12,333円 396,502百万円 0.1238%程度
楽天・全米株式インデックス・ファンド (愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式)) 19,408円 10,427百万円 25.60% 22.49% 1.58 0.162%程度

※5月2日時点

インデックスファンドの販売金額上位は、S&P500や全世界株式をテーマとしたファンドが目立ちます。それらのファンドは、6カ月から3年の期間でトータルリターンをプラスにしていますが、日経225インデックスは6カ月と1年の期間ではマイナスになっています。

インデックスファンドの成績を見ると、世界と比べて日本市場の出遅れが鮮明になりました。

2.ファンドごとの概要

人気のインデックスファンドから5つのファンドをピックアップし、概要を紹介します。米国大型株式中心の銘柄構成が多く見られました。米国株式インデックスファンドは、ファンドごとの差別化が難しくなっています。

2-1.SBI・V・S&P500インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・S&P500)

SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、「バンガード・S&P500ETF」を通してS&P500指数に連動する運用成績を目指すファンドです。委託会社のSBIアセットマネジメントを通じて運用がおこなわれます。

2022年3月末日に発行された月次レポートによると、S&P500を構成する業種は、情報技術が28.10%、ヘルスケア13.58%、一般消費財、サービスが11.98%と続いています。主な構成銘柄の上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄名 業種 組入比率
1.アップル 情報技術 7.10%
2.マイクロソフト 情報技術 6.04%
3.アルファベット コミュニケーションサービス 4.22%
4.アマゾンドットコム 一般消費財、サービス 3.71%
5.テスラ 一般消費財、サービス 2.29%

2-2.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は日本を含む先進国や新興国の株式に投資するファンドです。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマークとして、連動する運用成績を目指します。三菱国際UFJ投信を通じて運用がおこなわれます。

2022年3月末日に発行された月次レポートによると、組入上位の国はアメリカが60.5%、日本5.4%、イギリス3.5%と続きます。多くの組入銘柄はアメリカの企業です。組入上位の業種は、情報技術21.9%、金融14.3%、ヘルスケア11.6%となっています。

全組入銘柄2,937の上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄名 業種 組入比率
1.アップル 情報技術 4.3%
2.マイクロソフト 情報技術 3.3%
3.アマゾンドットコム 一般消費財、サービス 2.2%
4.テスラ 一般消費財、サービス 1.4%
5.アルファベットA コミュニケーションサービス 1.2%

2-3.ニッセイ外国株式インデックスファンド

ニッセイ外国株式インデックスファンドは、日本を除く主要先進国の株式に投資するファンドです。MSCI コクサイ インデックスをベンチマークとして、連動する運用成績を目指します。運用はニッセイアセットマネジメントを通しておこなわれます。

2022年3月末日の月次レポートによると、国別の組入比率はアメリカが73.6%、イギリス4.4%、カナダ3.8%、フランス3.3%と続いています。業種別組入比率は、情報技術が23%、金融14%、ヘルスケア13.1%です。前出のファンドよりもアメリカの比率が多い点が特徴的です。

全組入銘柄数1,275のうち、上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄名 業種 組入比率
1.アップル 情報技術 5.2%
2.マイクロソフト 情報技術 4.0%
3.アマゾンドットコム 一般消費財、サービス 2.7%
4.テスラ 一般消費財、サービス 1.7%
5.アルファベットA コミュニケーションサービス 1.5%

2-4.ニッセイ日経225インデックスファンド

ニッセイ日経225インデックスファンドはニッセイ日経225マザーファンドを通じて、実質的に国内の証券取引所に上場している株式に投資するファンドです。日経平均株価に連動する運用成績を目指します。運用は、ニッセイアセットマネジメントを通じておこないます。

2022年3月末日発行の月次レポートによると、組入銘柄の業種比率は、電気機器25.8%、情報・通信業11.9%、小売業9.6%となっています。組入銘柄上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄名 業種 組入比率
1.東京エレクトロン 電気機器 8.0%
2.ファーストリテイリング 小売業 8.0%
3.ソフトバンクグループ 情報・通信業 11.9%
4.KDDI 情報・通信業 3.0%
5.ダイキン工業 電気機器 2.8%

2-5.SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・米国高配当株式)

米国高配当株式インデックス・ファンドは、「バンガード・米国高配当株式ETF」を通じてFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動する運用成績を目指すファンドです。運用は、SBIアセットマネジメントを通じておこなわれます。

2022年3月末日発行の月次レポートによると、組入上位業種は金融が20.48%、ヘルスケア14.42、生活必需品13,62%と続きます。組入上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄名 業種 組入比率
1.ジョンソン&ジョンソン ヘルスケア 3.31%
2.JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 金融 2.84%
3.プロクター・アンド・ギャンブル 生活必需品 2.61%
4.エクソンモービル エネルギー 2.48%
5.ホーム・デポ 一般消費財・サービス 2.26%

3.2022年直近の世界経済の概況

直近の世界経済の動向を、大和総研のレポートを参考資料として解説します(参考:大和総研overview)。

3-1.IMF発表の2022年成長率予想は大幅下方修正

IMFが4月19日に発表した2022年世界経済の成長予想は、1月の+3.6%から0.8%下方修正されました。主な要因は以下の2点です。

  1. ウクライナ侵攻と西側諸国のロシア制裁に起因するインフレ
  2. コロナウイルス感染症による経済活動停滞の懸念

ロシア制裁によるエネルギー資源高騰の影響は世界各地で見られ、日本でもガス代の値上がりや原材料の値上がりなど、影響を身近に感じられます。なかでも欧州はロシアのエネルギー資源への依存度が高いため、より大きな影響をうけています。ウクライナ侵攻が長期化すると、影響はさらに拡大すると見られています。

中国の上海市ロックダウンに見られるコロナウイルスによる経済への影響は、一時的な景気下押し要因に。一方で、世界各国ではコロナ抑制と経済活動再開の両立を図り、ワクチン接種も進んでいることから先行きの見通しは立っています。

今後、注目すべきポイントはウクライナ情勢です。ウクライナ情勢次第では、エネルギー資源高騰など、今後の世界経済へ大きな影響を与える可能性もあります。

米国では金融政策の見通しが明らかになり、経済の堅調さがFOMCの金利引き上げを後押ししています。5月と6月のFOMCでは、0.5%ずつ金利引き上げがおこなわれる見通しです。しかし、7月・9月の利上げは、現状では不明。10月と12月は、景気減速やコロナウイルス感染拡大の影響が考えられ、金利引き上げの見通しが立ちにくい状況です。

今年後半の米国景気動向を占う上で、7月と9月の利上げは注目されています。

4.日本や中国とヨーロッパの直近の経済概況

日本国内を始めとした、各国の経済の現状と先行きを解説します。

4-1.円安は日本経済へ悪い影響を及ぼす

直近で進んでいる円安は、ウクライナ情勢の緊迫とコロナウイルス感染拡大の影響でプラス効果が出にくくなっています。資源高による物価高騰が景気にどう影響を与えるか、という点も注目ポイントです。

日米の金融政策が正反対の方向へ進んでおり、為替レートによる経済への影響に引き続き注意が必要です。

4-2.中国経済はコロナウイルス鎮静後に上昇へ転じる

中国で実施されているゼロコロナ政策は、今後より厳しさを増して各都市で実施される可能性があります。都市のロックダウンは一時的に景気下押しの要因となるでしょう。しかし、ゼロコロナ政策がうまく機能すると、多くの都市で早期にコロナウイルス感染の抑え込みができるため、経済活動の再開も早いと見られています。中国は2022年の後半に、経済活動の再加速を想定しています。

一方で、ゼロコロナ政策が機能せず、感染によるロックダウンが長引く可能性も考えられます。直近の中国経済はゼロコロナ政策の成果次第です。

4-3.エネルギー資源のロシア依存から脱却を目指す欧州

欧州はウクライナ侵攻の影響を大きく受ける地域の一つです。欧州では企業や家庭の活動に必要なエネルギー資源の多くをロシアに依存しています。欧州各国はロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、過度なロシア依存から脱却を図ろうとしていますが、目標の達成には時間と資金が必要です。

欧州も米国と同様に金融緩和策からの転換を計画。欧州経済が後退しない限りECBが年末に利上げを決断する公算が高いとされています。しかし、ウクライナ情勢が悪化すると利上げは見送りとなる可能性もあります。直近の欧州経済は、ウクライナ侵攻の影響を大きく受けるでしょう。

まとめ

インデックスファンドの販売金額は、S&P500をベンチマークとするファンドや世界株式のインデックスファンドが上位を占めていました。引き続き、米国株への期待の大きさが伺えます。

世界経済の現状は、ウクライナ侵攻に起因する物価高騰とコロナウイルス感染症の拡大がポイントです。

コロナウイルス感染症への対策は各国で進んでいます。ワクチン接種の進捗や、感染抑制と経済再開の両立を目指す動きは明るい兆しです。またウクライナ侵攻の状況次第では、今後の世界経済へ大きな影響を及ぼすでしょう。トレンドの転換点となる可能性があるため、今後の動向に注目したいところです。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。