不動産投資は、多くのサラリーマンが取り組んでいる投資商品のひとつです。株式投資やFXと比較して、不動産投資はシミュレーション通りに運用することができればとても安定した投資だということが人気の理由でもあります。
しかし、その反面、シェアハウス投資などで痛い目にあってしまったという投資家もいます。そのようなニュースを見ると、本当に大丈夫なのかと不安になる人もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、どのような点に気をつけて物件を選べばよいか、大手不動産会社で数百件の不動産投資物件の販売を手掛けてきた青山和也さん(仮名)にお話をお伺いしました。
はじめに不動産投資と他の投資商品との違いや、不動産の違いによるメリット・デメリットなどを整理した上で、総合的な視点から青山さんが選ぶサラリーマンにおすすめの不動産投資物件をご紹介したいと思います。
目次
- 不動産投資と他の投資を比較する
1-1.不動産投資と株式投資それぞれの初期費用の違い
1-2.不動産投資と株式投資の運用の違い
1-3.手放しで運用できるかどうか
1-4.収益の確定の仕方の違い
1-5.長期投資をする際の運用の違い - 不動産投資の特徴を生かし物件を探すポイント
- 不動産投資の失敗事例
3-1.サブリース契約で失敗した事例(アパート経営編)
3-2.サブリース契約で失敗した事例(シェアハウス編) - サラリーマンが不動産投資物件を選ぶ際のポイント
- 不動産投資物件の種類と特徴
- 不動産投資のプロがサラリーマンにおすすめの物件
- まとめ
1.不動産投資と他の投資を比較する
今回は投資商品の中で代表的な株式投資と比較してみたいと思います。株式投資は配当金を得る手法もありますが、投資金が数百万円から数千万円になってきますので、今回は一般的な株の売買を比較対象にします。
不動産投資と株式投資の大きな違いとして、始める際の資金面の障壁の違いや運用方法の違いなどが考えられます。それぞれ詳細を見てみましょう。
1-1.不動産投資と株式投資それぞれの初期費用の違い
株式投資が1,000円くらいからスタートできるのに対し、不動産投資は頭金が数百万かかることもあります。フルローンで組めた場合は頭金が不要というケースもありますが、その場合でも登記費用や司法書士の報酬、不動産取得税、固定資産税でなどで数十万から100万円くらいはかかります。
不動産取得税や固定資産税は支払うタイミングがずれるだけで、必ず発生する費用の上、数十万円くらいはかかります。株式投資と比較して不動産投資は初期費用の障壁が高いと言えます。それ故に物件選びも含めて慎重な準備が必要になってきます。
1-2.不動産投資と株式投資の運用の違い
不動産投資と株式投資では、運用の仕方の違いが最も大きな違いなのではないでしょうか。次に運用の仕方の違いについて見てみましょう。
1-3.手放しで運用できるかどうか
サラリーマンでも手放しで運用できるという点が不動産投資の魅力です。重要な判断はオーナーがするとしても、賃貸管理や清掃、その他の日常業務は管理会社に任せることができます。売却なども詳細を打ち合わせておけば、不動産会社が手続きをしてくれます。
それに対し株式投資は、銘柄の選択や売買などの実務を自分で行わなければいけません。状況によっては、長い時間パソコンの前に張り付いて、売買のタイミングを見なければいけないことがあるかもしれません。
不動産投資の運用は手放しでできる点で、本業が他にあるサラリーマン向きだということができます。
1-4.収益の確定の仕方の違い
不動産投資の収益の得る方法には、インカムゲインとキャピタルゲインという2種類の手法があります。インカムゲインとは家賃収入でキャッシュフローを得る方法で、キャピタルゲインとは不動産を売却して収益を得る方法です。キャピタルゲインが株式投資と似た収益の確定の方法になります。
インカムゲインは賃借人がいる限り、家賃が毎月入ります。スタート時に頭金を多く入れたり、安い金利の金融機関でローンを組んだりすることで、得る金額は大きくなります。さらに、ローンの返済が終われば、家賃収入がそのまま不労所得になります。リスクヘッジがきちんとできれば他の投資と比較してとても安定した投資と言えるでしょう。
株式投資は、利益を確定する場合はいったん売買して取引を終了しなければいけません。その時いくら利益があったとしてもそこで運用は終わってしまいます。続けて利益を得るには次の株を購入しなければいけません。収益の確定の仕方が家賃収入の毎月発生する不動産投資とは大きく異なる点と言えるでしょう。
1-5.長期投資をする際の運用の違い
株式投資は配当で利益を得ているのではあれば長期保有も考えられますが、売買での利益を目的とした場合は長期の運用を計画的に行うのは難しいと言えます。株の価格は上下しますので、利益が出ているときに手仕舞いしてしまいたいでしょう。もちろん長期的に保有することもできますし、その結果大きな利益が出ることも考えられますが、売買するまでは利益を確定できません。
不動産投資の場合、長期投資が前提となります。家賃収入をキャッシュフローとして積み立てることができます。もちろん賃借人がつかなければその期間は赤字となります。
2.不動産投資の特徴を生かし物件を探すポイント
不動産投資は他の投資と比較して長期投資に向いていることがわかりました。また、初期費用が数十万円以上はかかるので、慎重な計画が必要です。そのような点から物件を選ぶポイントを整理しましょう。
- 慎重に細かい計画を立てるために、見えない損壊や瑕疵が存在する可能性のある中古物件より新築物件を選んだほうが無難。
- 長期投資を前提に計画をする。そのため長期間需要がある地域や間取りを意識する。できれば人気エリアで安い物件があれば尚良い。人気エリアでない場合は周りの環境を調べ、病院や学校、施設などがあり生活する環境があれば選択する価値あり。
- 他の投資と比較して家賃収入があることが大きな強みとなるため、家賃収入を収入の基盤にした運用にすることが重要。そのため有名なエリアの割高物件は避けた方がより収支が安定します
- 収支を良くするために自己資金は余裕を持って準備すること、あるいは頭金の額に見合った物件選びが重要になります。例えば、一棟アパートの経営は家賃収入が20万円を超えることがありますが、頭金が500万円から700万円くらい必要なことが多いです。頭金を入れ資金が底をつくようなことがあれば、空室になったり、修繕をしたりする際に対応ができなくなります。
逆にフルローンが組めるからと頭金を入れなければ、毎月の収支がマイナスということもあります。自己資金は運用のバランスを考えて、余裕を持ってスタートしましょう。
以上の4つの点を頭に入れて物件選びをしましょう。
3.不動産投資の失敗事例
不動産投資で失敗している原因は、当初の収益計画が甘かったケースの他に、業者との契約などが問題になるケースもあります。
3-1.サブリース契約で失敗した事例(アパート経営編)
サブリースは問題として取り上げられることも多いのですが、数年前はアパート経営でサブリースが問題になりました。サブリースは一般管理と比較して手数料は大きくなりますが、家賃が保証される点でメリットがあります。うまく利用できればサブリース自体は悪いものではありません。
アパート経営で問題になったケースでは、もともと賃貸ニーズのない畑などがあった場所でアパートを建てて経営を営んだことが発端です。当初予定していた家賃では賃借人が付かないため、家賃を下げざるを得ません。その間、サブリースではあるものの設定家賃が低すぎるため、オーナーの資金繰りが悪化し問題になりました。
また、サブリースの契約書では管理会社の変更ができない内容になっていたため、賃貸内容を仕切り直ししたくてもできない状態にあったことも経営を圧迫した原因のひとつでした。
3-2.サブリース契約で失敗した事例(シェアハウス編)
サブリースで問題になった事例としてはシェアハウス問題が記憶に新しいのではないでしょうか。このケースでは業者の経営が行き詰まり、サブリースの賃金の支払いができなくなったことが決定的な打撃となりました。
しかし、その点以外にも、間取りがシェアハウスとしては機能が乏しい、家賃設定が現実的ではない、販売価格と実態の物件価格の差が大きすぎる、などの多くの問題が重なっていたことがわかっています。
この2つの事例からサブリースでの契約に遭遇した場合は、
- サブリースしなければならない物件はなるべく敬遠する
- どうしてもサブリースをする場合は契約書を確認し、不利な条件になっていないかを見る
- その際は家賃設定が相場にあっているかを必ず確認する
- 販売価格が適正かどうかを調べる
という視点から物件を見分けると良いでしょう。
4.サラリーマンが不動産投資物件を選ぶ際のポイント
選ぶ際に検討する項目 | 注意点やポイントの解説 |
---|---|
中古か新築か | 新築の方がシミュレーションを想定しやすい、管理会社に任せきりにできる。マンションであれば中古でも良いケースがある |
間取りなど | 長期的に飽きのこない造りになっているか |
エリア | 人気エリアの新築は避けるが中古は収支が良ければ選ぶ価値がある。人気エリアではない場合は環境で選ぶ |
価格帯 | 頭金がほどほどで、収支に余裕があるバランスを考え選ぶ。頭金の額から探すのがコツ |
賃貸契約 | サブリースは極力避ける |
サブリースをする場合 | 相場の家賃、物件価格は適正か、契約書は不利な内容になっていないかをチェックしたうえで契約する |
5.不動産投資物件の種類と特徴
不動産の種類 | 価格帯 | 特徴 |
---|---|---|
区分マンション新築 | 2,500万円前後 | 管理会社に任せきりにできる |
区分マンション中古 | 1,000万円位~ | 手ごろで取り組みやすい |
アパート経営新築 | 5,000万円位~ | 家賃収入が多く収支が良い |
アパート経営中古 | 数百万円~ | 利回りは高いが瑕疵などのリスクが大きい。 |
戸建て | 数百万円 | 中古は数百万円~。利回りが高いがリフォームなどが必要なことが多い。新築は住居使用が多く投資に向きはあまり出回らない。 |
オフィス投資 | 1億円位~ | 投資額が高く空室リスクが高いためサラリーマン向きではない |
ビル1棟 | 数億円~ | そもそも投資額がサラリーマンの範疇にない |
6.不動産投資のプロがサラリーマンにおすすめの物件
- 新築の区分マンション
- 状態の良い区分マンションの中古物件
- 新築のアパート
の物件に絞ることをおすすめします。エリアについては、
- 住みたい街ランキングに入るエリアでは利回りの良い中古に絞って探す。多少高くてもすでに高い利回りで運用できているのであれば問題はない。管理状態の良い物件は管理会社に任せきりにできるうえ、入居率が高いため。
- 住みたい街ランキングに入らない物件を探す際は周りの環境を見ること。病院や学校、福祉施設が整っている。駅からの徒歩での時間が10分以内。
まとめ
不動産のプロにサラリーマンにおすすめの物件についてお聞きしました。上記で触れているように、サラリーマンが取り組む物件は必ずしも新築でなければいけないということはありません。また人気エリアは物件価格が高く手が出しにくい印象がありますが、利回りが良ければ十分投資対象になると言えます。
人が住みたい環境やエリアで、なるべく利回りが高い物件であれば、本業があるサラリーマンも効率的な運用ができるのではないでしょうか。
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西宮光夏
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