不動産買取の依頼から売却完了までの流れと注意すべきポイント

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住み替えや買い替えなどで不動産売却を速やかに行いたいと考えている方の中には、買取業者の利用を検討している方もいると思います。
しかし、不動産買取は不動産会社に仲介を依頼するのとは異なります。どのように依頼して売却完了まで進めればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産買取の依頼から売却完了までの流れと注意すべきポイントについて解説します。

記事目次

  1. 不動産買取の流れ
    1-1.不動産の買取査定に必要な書類の準備
    1-2.不動産の机上査定と訪問査定
    1-3.不動産の売買契約
  2. 不動産買取の注意すべきポイント
    2-1.売買契約が成立しない場合もある
    2-2.市場価格よりも1~3割安くなる
    2-3.好立地・築浅の物件は買取のメリットが少ない
  3. まとめ

1.不動産買取の流れ

不動産仲介による売却では、不動産会社が買主を募集し、見つかった買主と売買契約をします。しかし、不動産会社に仲介を依頼した場合は、買主が見つかるまでに時間がかかって、住み替えや買い替えをスムーズに行えない場合もあるので注意が必要です。

一方、不動産買取では、買取業者が売却した不動産を購入します。買主を探す期間が短縮され、手早く売却できるのがメリットです。

不動産買取を検討する場合、まず買取の流れを理解した上で依頼すると良いでしょう。不動産買取の流れは以下の通りです。

  1. 買取査定に必要な書類の準備
  2. 机上査定と訪問査定
  3. 売買契約

それぞれの流れについて詳しく解説します。

1-1 .不動産の買取査定に必要な書類の準備

不動産買取を依頼する際は、買取査定を行ってもらう必要があるため、まずは査定に必要な書類を準備する必要があります。査定に必要な主な書類は以下の通りです。

  • 固定資産評価証明書
  • 登記済権利証または登記識別情報
  • 図面(建物)や地積測量図(土地)
  • パンフレット(マンション)

上記は買取査定を行うために必ず必要な書類ではありません。しかし、これらの書類があるとより正確な査定結果を受けられる可能性があります。可能な分は準備しておくと良いでしょう。

また、買取査定の価格が適正価格かどうかを判断できない状況では、どの買取業者に買取を依頼するかを決めることができません。買取で不利にならないためには、事前に買取相場を把握しておくことも必要です。

買取相場は仲介を行った不動産価格より、1~3割低くなると言われています。そのため、不動産会社に査定を依頼する、不動産ポータルサイトで類似物件の売却価格を調べるなど、事前に相場をしっかりと把握しておきましょう。

1-2.不動産の机上査定と訪問査定

不動産の査定方法には、過去の取引事例や築年数・間取りなどから大まかな査定を行う机上査定と、実際に不動産に足を運ぶ訪問査定の2つがあります。

訪問査定では、不動産の劣化状況や周辺の環境などを踏まえながら査定を行うため、正確な情報を査定結果に反映させることが可能です。そのため、正確な査定結果を知りたい場合は訪問査定を選んだ方が良いと言えます。

買取の査定結果は買取業者ごとに異なります。より良い条件で売却するためにも、複数の買取業者に相見積もりを依頼するのが良いでしょう。

買取業者を決めた後は、買取業者にどのような手順で買取を進めるのかを確認します。売買契約や条件、代金決済がいつ行われるのかをしっかり確認しておきましょう。

1-3.不動産の売買契約

売買契約では、契約書の読み合わせや付帯設備の確認などを行います。売買契約の書類の内容に問題がなければ記名・押印を行い、手付金の受領を経て売買契約が成立します。

売買契約の成立後は、打ち合わせの際に決めていた引渡し日に向けて、引っ越しの手配や公共料金の解約といった手続きを行う必要があります。

引渡し当日は、売却代金の残金決済と、売主から買主への所有権移転登記が行われます。売主側にまだ住宅ローンが残っている場合には、残金決済による抵当権抹消手続きが行われます。最後に鍵の受け渡しを行ってようやく売却完了です。

2.不動産買取の注意すべきポイント

ここまで不動産買取の流れをご紹介しました。次に、注意すべきポイントを見ていきましょう。

不動産買取の注意すべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  1. 売買契約が成立しない場合もある
  2. 市場価格よりも1~3割安くなる
  3. 好立地・築浅の物件は買取のメリットが少ない

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

2-1.希望の価格・条件で売買契約が成立しない場合もある

買取業者は、購入した不動産を売却することで利益を得ています。そのため、再販が難しい物件の場合は売主の希望する条件で物件が売却できないことがあります。

仮に買取率100%を掲げている業者があっても、買取額が市場価格よりかなり低く設定されていたり、買取条件を業者側に有利に設定しているのが一般的です。このような条件で売買契約を申し込むと、仲介と比べて大幅に減額してしまうことになります。

仲介と比較して、買取は希望の価格・条件で売買契約が成立しない場合があることも想定しておく必要があるでしょう。

2-2.市場価格よりも1~3割安くなる

不動産買取はメリットのある売却方法ですが、市場価格よりも1~3割安くなる点が大きなデメリットと言えます。

これは、買取業者が売主から購入した後、不動産のリフォームをしたり、周辺の不動産会社に広告をかけたり、新たな買主を探したりという業務が発生するためです。また、購入した物件の在庫リスクを抱えながら、買取業者には不動産取得税が課税されることになります。

このような買取業者の事情により、買取は仲介と比べて売却額が安くなります。少しでも高く不動産を売却したいと考えている方にとってはデメリットでしょう。

2-3.好立地・築浅の物件は買取のメリットが少ない

事故物件や築年数がかなり経過した物件、立地条件の悪い物件、建築条件付きの物件の場合は、一般的な仲介ではなかなか買い手が見つかりにくいと言えます。そのような条件の物件は、不動産買取を選んだ方がスムーズに不動産を売却できるので有利です。

一方、立地条件が良く築年数の浅い物件の場合は、買取で売却するメリットが少ないと言えるでしょう。仲介を選んでも速やかに買い手が見つかる、買取よりも良い値段で売買が成立する可能性が高いためです。

買取と仲介、それぞれで売却した場合の条件を比較し、所有する不動産の特徴に合わせて検討することが大切です。

3.まとめ

不動産買取は、買取業者が不動産を購入してくれるため、スムーズに売却を進められるのが大きな魅力です。一方、市場価格と比べると買取価格が1~3割安く設定されているというデメリットがあります。

不動産買取を依頼する際は、買取の手順をしっかり確認するほか、メリットとデメリットをよく検討してから買取を依頼しましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。