家が売れないときの対策は?値下げのタイミングや仲介会社の選び方も

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不動産は主に市場での売買となるため、売り出した家がなかなか売れないこともありますが、そのときに行う対策はいくつか種類があります。

そこで今回のコラムでは、市場での反応に応じた家が売れないときの対策、価格変更や仲介会社の変更のタイミング、価格設定の仕方など詳細に解説します。

目次

  1. 家が売れない主な理由
  2. 市場での反応が少ない場合の対策
    2-1.競合物件を確認する
    2-2.広告戦略を見直す
  3. 市場での反応はあるが成約に至らない場合の対策
    3-1.物件に対する不安を解消する
    3-2.内覧時の対応を改善する
  4. 市場での反応に関わらない対策
    4-1.価格を変更する
    4-2.不動産会社を変更する
    4-3.不動産会社に買取をしてもらう
  5. まとめ

1 家が売れない主な理由

家が売れない時にはいくつかの理由があります。家が売れない理由を確認したうえで対策を立てることが重要となるため、まずは家が売れない理由について見てみましょう。主に次の6つが考えられますが、当てはまる理由が1つの場合もあれば、複数の場合もあります。

  • 相場価格よりも価格が高い
  • 不動産会社の対応が悪い
  • 物件の状態が良くない
  • 近隣に競合物件がある
  • 時期が悪い
  • 景気が良くない

次からの項目で、市場での反応、つまり問い合わせがある場合と問い合わせが少ない場合に分けて、家が売れないときの対策を解説していきます。

2 市場での反応が少ない場合の対策

まずは市場での反応があまりないときに検討したい2つの対策を解説します。

2-1 競合物件を確認する

通常、買主候補は不動産ポータルサイトや不動産会社から紹介される複数の物件を見ながら、欲しい物件を絞り込んで探していくものです。つまり市場に売り出したら、常に似たような物件と比較検討されているということなのです。

そこで、どのような物件と比較されやすいのかを調べてみましょう。競合物件を知ることで、自身の物件のどこに強みと弱点があるのか改めて考えることができます。

主に比較検討されやすいのは、下記のような項目が考えられます。

  • 売出価格
  • 立地
  • 周辺環境
  • 間取り、眺望、日当たり
  • 快適性、住み心地

自身の物件の強みと弱点を見つけることができれば、改善点やアピール点を浮き彫りにすることができます。

2-2 広告戦略を見直す

問い合わせが少ないときは広告戦略がうまくいっていないことが考えられます。特に不動産ポータルサイトなどに掲載されている写真は重要です。広告に掲載されている写真が少なければ枚数を増やしてみましょう。

また物件の見え方によって印象が異なりますので、角度の違う写真を撮り直すことも検討してください。その際、下記の点を注意してみましょう。

  • 対角線を意識する:真正面ではなく、斜めから撮影することで室内を広く見せることができる
  • 床の割合を多くする:床の面積を多く見せることで部屋を広く見せることができる
  • 天井を写さない:天井が写っていないことで開放感があるように見える
  • 色が明るいカーテンにする:自然光が差し込む量が増え、部屋の中が明るく見える
  • 天気のいい日の昼間に撮影する:フラッシュを使うと影やムラができるため、夜の撮影はマイナス効果になる

通常、不動産会社の担当者がデジカメなどを使って撮影するものですが、カメラに興味のある知人や友人などに依頼して撮影してもらうのもいいでしょう。

3 市場での反応はあるが成約に至らない場合の対策

内覧してもらっても成約に至らない場合は、物件そのものに問題がある場合があります。そのための2つの対策法を紹介します。

3-1 物件に対する不安を解消する

中古物件の場合、買主候補が不安に思うのが設備の劣化や目に見えない不具合などです。見た目で古いイメージがあると、その不安はさらに強調されてしまいます。そこで行うのが室内の傷や破損などの補修、キッチンやエアコン、給湯器などの設備の交換です。

また、家全体の状態を改善する目的でホームインスペクションを行うことも検討してください。ホームインスペクションとは専門家による住宅診断のことです。

民間資格であるホームインスペクター(住宅診断士)を認定している「NPO法人日本ホームインスペクターズ協会」では、診断項目を下記の5つに定めています。

  • 外回りの状態
  • 室内の状態
  • 床下の状態
  • 小屋根・天井裏の状態
  • 設備の状態

問題がないと判断されたり、問題がある箇所を改善することで買主候補の不安解消につながり、成約に至る可能性があります。

3-2 内覧時の対応を改善する

内覧は買主候補を迎え入れて物件を見てもらうだけではなく、アピールの場でもあります。売主の対応が悪いことで、購入意欲が薄れていくこともありますので下記の点に注意しましょう。

  • 室内は照明やカーテンなどでできるだけ明るくしておく
  • 生活感が出ないように室内の荷物などを整理したり、処分しておく
  • 室温を調節し、快適な空間にしておく
  • こもったような匂いをさせないように、換気をしておく
  • 質問には相手が納得するまで丁寧に答える
  • ネガティブなことを聞かれても正直に回答する

ただし、物件を売りたいがために熱を入れてしまうのは逆効果となることがあります。主導権はあくまでも不動産会社の担当者で、売主は聞かれたことに対して1つか2つの付随する情報を加えて答えるくらいでいいでしょう。

4 市場での反応に関わらない対策

問い合わせが多い、少ないに関わらずに検討すべき対策もあります。代表的な3つについて解説していきます。

4-1 売出価格を変更する

売出価格が高いと問い合わせが少なかったり、実際に内覧しても価格と釣り合わないと判断されることがあります。価値を下げることになりますのですぐに値下げすることは避けたいものですが、不動産の売出価格は最初に高めに設定して、不動産市場の反応を見ながら徐々に下げていく手法がとられます。そのため価格の見直しについて考えておくことは損にはなりません。

価格を設定する基準はいくつかありますが、築年数によって資産価値がどれくらい下落するのか把握することも役立ちます。下記の表は東日本不動産流通機構が発表した「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2021年01~03月】」の資料をまとめたものです。

首都圏 ~築5年 ~築10年 ~築15年 ~築20年 ~築25年 ~築30年 築30年~
㎡単価(万円) 92.4 80.7 68.9 62.6 52.2 35.3 34.4

※参照:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2021年01~03月】

首都圏で売買が成立したマンションにおける1平方メートルの単価は、築5年に比べて築10年では約87%、築20年では約68%、築30年では約38%に下落していることがわかります。こうした資産価値の下落を把握した上で価格を見直しましょう。

具体的にどのようなタイミングや考え方で価格を下げていくといいのか、次からポイントを解説します。

価格帯が変わる値下げを行う

不動産ポータルサイトで検索する際に、例えば2,000万円~3,000万円といったように価格帯を選ぶユーザーもいます。この際、3,100万円の物件は検索にはひっかかりません。

しかし、値下げをして物件価格を3,000万円にすると、今まで見てなかった人の目に物件情報が触れることになります。つまり値下げをするときに同じ価格帯内で値下げをするのではなく、異なる価格帯にすることで異なるターゲットを開拓することができるということなのです。

小幅な値下げは逆効果

売主としてはできる限り価格は下げたくありませんが、少額の値下げを繰り返していては逆効果になることもあります。例えば、3,200万円だった物件を3,180万円に変更しても、多くの物件情報に紛れて値下げしたことに気づかれないこともあるからです。

また、不動産ポータルサイトで価格の動きを見ているユーザーにしてみると、売れ残り感を感じることがあるかも知れません。

小刻みに値下げしていくのではなく、「価格は交渉可能」といった文言を載せるなどで訴求効果を狙う方法もあります。

シーズンを見極める

1年のうち主に2月~3月および8月後半~9月が、住宅の売買が活況になる時期です。それは下記のような理由があるからです。

  • 2月~3月:新年度が始まる4月前に新居を決めたい買主候補が増える
  • 8月後半~9月:10月も異動や転勤が多いため、そこに合わせて新居を決めたい買主候補が増える

住宅の売買が活発化している時期は、買主候補が多いため値下げをすると反応が多くなる可能性があります。反対に、11月や12月は買主候補が少なくなる時期です。このタイミングで値下げしても、大きな効果は得られない可能性があるので、注意しましょう。

また不動産価格は景気の影響も受けやすく、好景気であれば価格は高くても売れる可能性がありますが、不況の際は価格が高いと売れにくくなります。そのため不動産市場の反応などを見ながら、不動産会社のアドバイスを受けて価格変更のタイミングを図ることも必要です。

4-2 不動産会社を変更する

売却活動を依頼する不動産会社はどこでもいいわけではありません。担当者の経験およびスキル、会社の情報網などによって売却活動の仕方も異なり、不動産会社を変更した途端にこれまで売れなかった家が売れたということもあります。

通常、売却活動を依頼する場合は媒介契約を結びますが、その更新時期は3カ月ごとです。そのため3カ月をひと区切りにして、反応の多さ、担当者の対応および資質などを考慮しながら不動産会社の変更を検討しましょう。

不動産会社を選ぶ際のポイントは主に下記になります。

  • 売買実績
  • 広告展開など売却戦略の選択肢
  • 不安を解消してくれるような的確なアドバイス
  • 売主の意向を聞き、反映させてくれる能力

また査定をしてもらう際は、査定価格についてその理由を分かりやすく説明できるかどうかも確認してください。

不動産会社をスムーズに見つけるには、一度の入力で複数の候補が表示される不動産一括査定サイトが便利です。下記に代表的な5つのサイトを紹介していますので、参考にしてください。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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4-3 不動産会社に買取をしてもらう

不動産市場での売却が難しい場合は、不動産会社に買取をしてもらう方法もあります。仲介と買取の違いは下記の表で確認してください。

買主 売却価格 売却活動の期間
仲介 個人もしくは法人 不動産市場の相場価格で売り出す 買主を探すところから始めるため、予測しづらい
買取 不動産会社 不動産会社が買取価格を決める(相場より2~3割程度安くなる) 買取する不動産会社が決まるとスムーズに進められる

買取は不動産会社が買主になる仕組みで、売却までの期間は仲介よりも短くなります。ただし不動産仲介で売却するのに比べて、価格が2~3割程度低くなるのが通常です。それは不動産会社が買取った物件をリフォームなどをして市場に売り出すからです。

また注意点として、買取を行っている不動産会社と行っていない不動産会社がありますので、確認しながら不動産会社を探してください。

まとめ

家が売れないときはいくつか対策がありますが、原因に適した対策を行う必要があります。今回は、問い合わせが多いか少ないかを基準にした対策法を紹介しました。

家が売れない場合でも、ひとつひとつの問題の検証を行って改善していけば高値売却に繋がることがあります。値下げを行うにも無根拠に行うのではなく、買主候補の目にとまるような工夫をすることが大切です。これらの注意点も確認しながら、売却活動の見直しを行ってみましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。