海外不動産投資は、将来的な海外移住を見越した投資としても有効な手段です。
海外移住を実現するためには、長期滞在ビザを取得する必要があります。長期滞在ビザの取得要件は国によって様々ですが、フィリピンは取得難易度が比較的に低い国の一つです。
フィリピンでの長期滞在には、主にはクオータービザの取得を検討する方が多いでしょう。クオータービザは、フィリピンで取得できる他のビザと比較して、申込資格などの点でメリットがあるものの、発行人数に制限がある点などにデメリットもあります。
この記事では、フィリピン不動産投資においてクオータービザを取得するメリットや、取得手続きに関連するデメリットなどを解説します。
目次
- クオータービザとは
1-1.クオータービザを申請するための条件 - クオータービザを取得するメリット
2-1.申請資格に関する要件が厳しくない
2-2.更新費用がかからない
2-3.物件の自己利用が検討できる - クオータービザを取得するデメリット
3-1.取得手続きに時間がかかる
3-2.多額の現金が必要
3-3.毎年50人までしか認められていない - まとめ
1.クオータービザとは
クオータービザは、フィリピンの長期滞在に利用できるビザの1つです。クオータービザを取得すれば、1年間フィリピンに滞在できます。また、クオータービザは更新可能です。
1-1.クオータービザを申請するための条件
クオータービザを申請するための条件は以下の通りです。
- 20歳以上であること
- 犯罪歴がないこと
- 医療検査を通過すること
- ビザ取得後の住居を確保できていること
- フィリピン政府が指定する銀行の口座に預金すること
クオータービザは長期滞在ビザの1つなので、フィリピン国内で居住するための住居があることを証明するよう求められます。住居用の物件は、賃貸した物件と購入した物件のどちらでも問題ありません。
フィリピン不動産投資をする過程で物件を購入していれば、クオータービザを申請可能です。
2.クオータービザを取得するメリット
フィリピン不動産投資でクオータービザを取得するメリットは、申請資格が厳しくないことや、物件運用の幅が広がることなどです。
2-1.申請資格に関する要件が厳しくない
移住も視野に入れた長期滞在ビザを取得しようとすると、リタイヤメントビザしか選べない国も少なくありません。そして、リタイヤメントビザを取得するためには、国によって50歳以上などの年齢制限が定められています。
その一方で、フィリピンのクオータービザは20歳以上であれば取得可能です。年齢制限が比較的緩やかであり、結婚などの条件もない点がクオータービザを取得するメリットの1つと言えます。
2-2.更新費用がかからない
フィリピンの長期滞在ビザは複数ありますが、クオータービザ以外のビザを取得した場合、更新するごとに費用がかかります。クオータービザを取得した場合は、更新手続きは必要ですが、更新費用はかかりません。
ただし、ビザ取得後の更新手続きはフィリピンで進めるため、該当の時期はフィリピンに滞在している必要があります。
2-3.物件の自己利用が検討できる
クオータービザを取得できれば、フィリピン不動産投資における物件運用の幅が広がります。
2021年2月時点におけるフィリピンでは、日本ほど民泊に関する規制が厳しくないため、短期賃貸を繰り返す物件運用も可能です。
また、投資家自身がフィリピンに滞在しているのであれば、空室期間中は物件を自己利用できます。例えば、リゾート物件に投資して半年間は短期賃貸を繰り返し、もう半年は自己利用で滞在する、といった運用も検討可能です。
3.クオータービザを取得するデメリット
フィリピン不動産投資でクオータービザを取得する主なデメリットとしては、取得手続きに必要な期間や費用などが挙げられます。それぞれ見て行きましょう。
3-1.取得手続きに時間がかかる
長期滞在ビザを取得するためには審査を受ける必要があります。クオータービザの審査には1ヶ月以上など長期に渡るのがデメリットです。
審査期間中はフィリピンから出国できません。なお、申し込みに際して審査期間は明確に提示されないため、余裕を持ったスケジュール調整が必要です。
そのほか、クオータービザの申請には日本で取得した無犯罪証明書の提出を求められます。無犯罪証明書は警察署で申請可能です。なお、無犯罪証明書を取得したら、ビザ申請の前に外務省とフィリピン大使館による認証を受ける必要があります。
提出書類の用意と審査期間とを合わせると、数ヶ月単位に及ぶこともありますので要注意です。
3-2.多額の現金が必要
クオータービザを申請する際には、フィリピン政府が指定する銀行口座へ5万USドル以上のお金を預け入れた上で、残高証明書を提出する必要があります。また、申請手続きを委託する場合は業者へ支払う手数料も必要です。
政府に残高証明を提出する預託金については、手続き完了後に口座から引き出せます。しかし、手続きにあたって多額の現金を要する点はデメリットと言えるでしょう。
また、クオータービザが発行される人数には、1年ごとに制限があります。業者へ手続き委託の上で申請をしても、必ずビザが発行されるとは限りません。ビザを取得できなかったとしても、委託費が戻ってこない可能性もあります。
ビザ取得に失敗した場合における手数料の取り扱いについては、申し込みの事前に確認が必要です。
3-3.毎年50人までしか認められていない
クオータービザは、フィリピン政府が認可した国の国民に対して発行されるビザであり、発行数に制限があります。日本では毎年50人までにしか発行されません。
他の長期滞在ビザと比較すると、クオータービザは更新料がかからないなどメリットが多いため、取得を希望する人もたくさんいます。結果的に審査を通過できない可能性もあります。
まとめ
クオータービザは、年齢などに関する申込要件が緩やかであり、取得できればフィリピン不動産投資の幅が広がる点などにメリットがあります。その一方で、取得手続きに時間がかかることや、多額の預託金を要する点などはデメリットです。
また、クオータービザは毎年50人にしか発行されないため、専門業者に申請手続きを委託しても、必ず取得できるわけではありません。取得できなかった場合に、業者へ支払った手数料が戻ってこないなどのこともあるので、業者の見極めには要注意です。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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