親の家を代理で売却する方法は?手続きの手順や注意点を解説

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現在、日本は高齢化社会となり、複雑な不動産の売却手続きを親の代わりに子供が行うケースは少なくありません。

しかし、親の家の売却には所有者である親の立ち合いや委任状が必要となります。親の所有物であるため、自身が所有している家と異なり勝手に売却する事はできません。

そこで今回は、親の家を売却する手続きの手順や注意点について解説していきます。

目次

  1. 親の代わりに家を売却する方法
    1-1.親が立会いできない場合は委任状を作る
    1-2.委任状の内容とは?
    1-3.委任状作成の注意点
    1-4.委任状の取得方法
  2. 委任状を利用した不動産売却の注意点
    2-1.家を売り出す前に最低売却金額を決めておく
    2-2.家を売却するまでのスケジュールを決めておく
    2-3.印鑑証明書等が必要になる
  3. 家の売却完了後の税金に関する注意点
    3-1.譲渡所得税が課税される可能性がある
    3-2.マイホームを売った時の3000万円の特別控除
    3-3.所有する不動産が「空き家」だった場合の注意点
  4. 親の家を代理で売却するのに適した不動産会社の探し方
  5. まとめ

1.親の代わりに家を売却する方法

親の家を代わりに売却するには、まず親の同意を得ることが必要です。同意を得ている証明として「委任状」を作成することで、親の代わりに家を売却できます。

その委任状について以下3つのポイントを解説します。

  • 親が立会いできない場合は委任状を作る
  • 委任状の内容とは?
  • 委任状作成の注意点

それぞれ詳しく見て行きましょう。

1-1.親が立会いできない場合は委任状を作る

所有者本人の立会いができないような場合や、やむを得ない事情がある場合には代理人を選任することができます。その代理人を選任する時に、家の所有者本人が委任状を作成し代理人に依頼をする事になります。

今回解説するのは「親が子を代理人として選任する形」になるので、親が委任状を作成し子に託す事となります。

1-2.委任状の内容とは?

委任状は、まず委任をする人が直筆で必要事項に記入をし、押印を行います。委任状に記入をする内容は主に以下の内容です。

  • 委任者の住所と名前と押印(実印)
  • 代理する人の住所と氏名
  • 代理契約を依頼する不動産の詳細
  • 代理権の範囲
  • 書面を記入した日付

委任状は不動産会社が用意したフォーマットを利用できるケースがあります。また、代理権の範囲は媒介契約・不動産売買契約の締結・手付金や売買代金の受領・引渡しに関する権限などです。つまり、家の売却に関する主な業務を委任することが可能となります。

1-3.委任状作成の注意点

委任状作成の注意点は「代理権の範囲」です。代理権の範囲内でないと代理人は手続きする事はできないため、記入の際はしっかりと確認する必要があります。

また、委任状作成の際には、委任者の身分証明書と印鑑証明書、住民票が必要になる点も覚えておきましょう。

2.委任状を利用した不動産売却の注意点

委任状を利用した売却の注意点は主に以下の3点です。

  • 事前に売却金額は決めておく
  • 引渡し日も決めておく
  • 印鑑証明書等が必要になる

こちらも詳しく解説します。

2-1.家を売り出す前に最低売却金額を決めておく

まず、希望する最低売却金額は事前に決めておいた方がよいでしょう。売却後にお互い違う意見ということが発覚してトラブルになることを防ぐためです。

また、不動産は市況の変化や金融機関の融資状況によって価格も変動するため、必ずしも希望価格で売却ができるとは限りません。事前に「○○万円が下限価格」と擦り合わせておき、売却状況はこまめに伝えておくことが大切です。

2-2.家を売却するまでのスケジュールを決めておく

売却活動を始める前に、家を売却するまでのおおよそのスケジュールを決めておきましょう。あらかじめ引渡日を決めておくことで、家の中の不用品の処分や引っ越しに備えることができるようになります。

また、売却スケジュールを決めておかないと、売却が長引く可能性があります。不動産の売却に時間をかけすぎてしまうことで購入希望者に売れ残りの印象を与えてしまい、良い条件の売却が難しくなるケースもあります。

不動産売却を行うのであれば、おおよそ3ヶ月~6ヶ月程度の期間を目安に売却スケジュールを組むと良いでしょう。

2-3.印鑑証明書等が必要になる

委任状を利用するには、委任者に実印での押印が必要になります。実印を利用するため印鑑証明や、追加書類で住民票を請求される場合があるので事前に確認しておきましょう。

公的証明書は基本3か月以内に取得したもので、マイナンバーカード等があればコンビニでも取得できます。なお、市役所で本人以外の人が公的証明書を取得する場合も同じく委任状が必要になるので注意が必要です。

3.家の売却完了後の税金に関する注意点

親の不動産売却を行った後は、税金面での注意点があります。不動産売却では、不動産の売却価格によって多額の税金を課税されるケースもあるためです。

  • 譲渡所得税が課税される可能性がある
  • 税金の優遇はあるのか?

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1.譲渡所得税が課税される可能性がある

不動産売却によって生じた所得を譲渡所得といい、下記の計算式によって譲渡所得額が決定します。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

この譲渡所得をもとに所得税と住民税の課税額が決まります。(*国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」を参照)

課税所得の税率は、5年以下の短期譲渡所得だと39.63%(所得税+住民税)、5年超の長期譲渡所得だと20.315%となります。

また10年超になると軽減税率の特例があり、譲渡所得6000万以下の部分が14.21%、譲渡所得6000万超の部分が20.315%の課税となります。

3-2.マイホームを売った時の3000万円の特別控除

代理で家を売った場合にも、諸条件を満たすことで「3000万円の特別控除」という税制優遇が利用できます。(*国税庁「マイホームを売ったときの特例」

3000万円の特別控除とは、居住用の不動産を売却し譲渡所得が生じた場合に譲渡所得から3000万円までは控除できるという特例です。

ただし、この特例は主に下記に当てはまる場合に利用する事ができます。

  • 所有者が主として住んでいる自宅を売却した時
  • 居住用に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年末までに売却した時
  • 譲渡する相手が、譲渡者の配偶者や子などの親族でない場合

これらの条件のうち、住まなくなって3年を経過する日の年末までに売却をしないと適用にならない点には注意が必要です。代理で家を売却する場合は、親がサービス付き高齢者住宅などに居住地を移しており、空き家の状態で売却する場合もあるので注意しましょう。

3-3.所有する不動産が「空き家」だった場合の注意点

通常、住宅の固定資産税は住宅用地の軽減を受けており、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準 × 1/6になっています。

しかし、空き家を所有して長期間経過したことによる建物の劣化が原因で、特定空き家に指定されることがあります。行政からの助言や指導(修繕や取り壊しをする事)を無視し、空き家のまま放置してしまうと、やがて軽減の適用が受けられなくなります。

特定空き家の指定によって評価額が標準に戻ると、固定資産税が増額されるので注意しましょう。

【関連記事】放置した不動産が「特定空き家」に指定されたらどうなる?注意点や対策も

4.親の家を代理で売却するのに適した不動産会社の探し方

親の家を代理で売却するには、相続不動産の売却経験が豊富な不動産会社に売却を依頼することが大切です。委任状の準備や、後のトラブルを避けるための委任範囲の設定など、経験豊富な不動産会社の知識やアドバイスが必要となる場面が多いためです。

経験豊富な不動産会社を探すのであれば、不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトとは、物件情報を一度登録すると複数の会社による査定が一括で受けられるサービスです。

不動産一括査定サイトでは査定の依頼だけでなく、備考欄に「親の不動産を売却したい」や「相続不動産の経験が豊富な不動産会社に依頼したい」などの希望を書き込むことも可能なため、特殊な事情に対応できる不動産会社を探す際にも便利に活用することが出来ます。

下記は主な不動産一括査定サイトの一覧です。登録は無料で行えるため、より多くの不動産会社へ依頼したい場合には複数サイトへの登録も検討してみましょう。

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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

まとめ

親の家を代わりに売却するには、委任状を作成して子供が代理権を取得する必要があります。

しかし、代理権の範囲や必要書類については後のトラブルを避けるためにも、経験豊富な不動産会社に相談しながら決定するようにしましょう。また、売却価格や売却スケジュールをあらかじめ親と相談し、双方で合意しておくことも重要です。

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中村 昌弘

都内の大学を卒業後にマンションディベローパーに就職。マンションディベロッパーでは、新築マンションの販売や中古不動産の仲介業務に従事する。 2016年に独立して、不動産関係の記事を中心としたライター業務としても活動。自身のマンションを売却した経験もあるため、プロの視点・一般消費者の視点と、両方の視点を持った記事が執筆できる点が強み。