REIT(不動産投資信託)投資は、少ない資金で不動産投資を始められる、物件運営を自分で行なわなくて良いなどのメリットがあるため、比較的手軽に不動産投資を始められる手段となっています。
一口にREITと言っても、海外で運用されている海外REITと日本国内で運用されているJ-REITの二つがあります。投資をするときには、色々な投資対象に資産を分散することでリスクの軽減につながります。
そこで本記事では、J-REITと海外REIT、それぞれのメリットやデメリットリスクをお伝えしていきます。
目次
- J-REITの特徴
- 海外REITの特徴
- J-REITのメリット
3-1.銘柄を直接購入しやすい
3-2.日本国内の物件なので情報を入手しやすい - J-REITのデメリットやリスク
4-1.投資できる対象が少ない
4-2.利回りは海外REITより低め - 海外REITのメリット
5-1.様々な対象に分散投資できる
5-2.高利回り銘柄に投資できる - 海外REITのデメリットやリスク
6-1.カントリーリスクがある
6-2.個別銘柄を購入することが難しい
6-3.情報の収集のハードルがやや高い - まとめ
1.J-REITの特徴
J-REITの特徴を見ていきましょう。J-REITはJAPAN-REITの略であり、日本国内で運用されている不動産物件を運用対象としています。国内にあるオフィスビルやテナントビル、居住用不動産や物流不動産などが運用対象となっています。
J-REITの運用対象となる不動産は法律で定められており、投資対象不動産の種類が海外REITと比べるとやや狭くなっています。
なお、J-REITは証券市場に上場しており、その相場は日々変動します。そのため配当金と相場の変動による売買益の二つを見込める投資手法です。
J-REITの配当金の年間利回り相場は1%台から5%となっており、その銘柄のうち年利3%台が多くなっています。J-REITは運用益の90%以上を投資家に配当すると税制優遇措置があるため、株式の配当利回りと比べると平均的な数字は高くなっているのが特徴のひとつです。
2.海外REITの特徴
次は、海外REITならではの特徴をピックアップしていきます。様々な国のREITが含まれるためいろいろな運用対象に投資できるのが大きな特徴です。一口に海外REITと言っても、米国で運用されるREIT銘柄や、オーストラリアで運用されるREIT銘柄など、様々な国で運用されている銘柄が海外REITには含まれています。
それだけに運用対象の不動産も多様であり、日本のような居住用不動産やオフィス・テナントビル以外にも、農地や刑務所など、日本では運用対象に含まれない不動産物件も運用対象となっています。
日本のREITの場合、既存の不動産物件を運用し家賃収入を配当します。しかし、海外REITの場合は不動産開発をしてその利益を配当する銘柄も含まれています。そのため、売買に成功すれば日本国内のREIT銘柄よりも高い利回りの銘柄を選ぶこともできます。
その他、J-REITは、証券会社経由で個別の銘柄で購入できますが、海外REITは日本国内にいながら日本の証券会社を経由して購入する場合は、海外REIT銘柄を含む投資信託やETF経由で購入することになります。
海外の証券口座に自分で口座を開設すれば個別の海外REIT銘柄を購入することができますが、日本の証券会社経由で購入するよりも言語の壁があり、購入難易度はやや高くなってきます。
3.J-REITのメリット
次は海外REITと比較した時のJ-REITのメリットをピックアップしていきます。
3-1.銘柄を直接購入しやすい
J-REITの購入にあたっては、日本の証券会社を使えば個別の銘柄で売買することができるので、自分の気に入った銘柄をスピーディーに購入することができます。
海外REITを投資信託経由で購入するのであれば、個別の銘柄を買うことができません。また売買にも時間がかかります。積極的にREIT銘柄を売買して利益を得たいのであれば、J-REITの銘柄が適していると言えます。
3-2.日本国内の物件なので情報を入手しやすい
J-REITは日本国内の物件を運営します。そのため、不動産のある現地まで赴き、実際にチェックを行ったり、情報を集めたりすることが容易です。
海外REITの場合は現地まで不動産物件を確認しに行くのにも時間や渡航費などのコストがかかるうえ、基本的には現地の言語で情報を収集する必要があります。
REITは実物資産である不動産を証券化した投資商品のため、災害リスクや人口減少によるニーズの減少など、物理的なリスクを負っています。日本国内にあるREITの運用対象不動産は現地調査や情報収集が容易であり、この点は海外REITと比較してメリットと言えるポイントです。
4.J-REITのデメリットやリスク
次は海外REITと比べた時のJ-REITのデメリットやリスクについても見て行きましょう。
4-1.投資できる対象が少ない
J-REITの運用対象は基本的には居住用不動産、オフィス・テナントビル、物流不動産などに限られており、投資できる対象は海外REITよりも狭いと言えます。
また収入の原資も賃貸に出して家賃による利益を得る物に限られています。不動産開発のREIT銘柄に投資して高い利回りを確保したり、運用対象を分散してリスクヘッジをしたい方にとっては、不便さを感じる点があるでしょう。
4-2.利回りは海外REITより低め
J-REITの全体的な利回りは海外REITより低くなっています。例えば、海外REITであれば利回りが10%を超える銘柄もあるなど、高い配当益を狙った投資が検討できます。
高い利回りの海外REITの銘柄はハイリスクとなりますが、収益性や投資効率を重視している方にとって、海外REITへの投資を優先して検討するケースもあります。
5.海外REITのメリット
次は、海外REITのJ-REITと比較した時のメリットをお伝えします。
5-1.様々な対象に分散投資できる
海外REITは、様々な不動産物件に投資できます。その中には利回りが高い銘柄、J-REITでは投資できない対象も含まれています。複数の運用対象を持ってリスク分散をしたり、利回りを上げていきたい人にとってはメリットのある投資対象と言えるでしょう。
5-2.高利回り銘柄に投資できる
J-REITに比べると海外REITは利回りが高い銘柄を選んで投資しやすいと言えるでしょう。REITでは、実物不動産投資で検討できる不動産投資ローンのレバレッジを使えないため、資金効率を上げるために高利回りであることは大きなメリットの一つと言えます。
また、国内の証券会社から個別銘柄への投資は出来ないものの、各証券会社から様々な外国REITファンドの投資商品が提供されています。信託報酬がかかるデメリットがありますが、複数銘柄で組成されているファンドは分散効果が見込め、少額での投資も検討しやすいメリットがあります。
6.海外REITのデメリットやリスク
次は、海外REITをJ-REITと比べた時に、どういったデメリットやリスクがあるのかを確認しておきましょう。
6-1.カントリーリスクがある
海外REITには、運用される国ならではのカントリーリスクがあります。カントリーリスクの例としては、津波や嵐といった災害リスク、政情リスク、また不動産市場の変動リスクなどが挙げられます。
海外REITに投資する時には、その国ならではのリスクにはどういったものがあるのかをしっかりと調べておきましょう。
6-2.個別銘柄を購入することが難しい
また海外REITは、基本的に日本国内の証券会社で購入する場合は投資信託やETFでの購入になります。直接単体銘柄の購入ができないのでスピーディーな売買ができず、ファンドに組み込まれている他の銘柄も実質的に同時購入となってしまうデメリットがあります。
6-3.情報の収集が難しい
海外にある不動産は自分で直接見に行くことは難しく、情報収集も証券会社が提供される情報、また海外のウェブサイトを見て日本語に訳しながら情報をチェックする必要があります。
語学力に自信がある人であればそれほど問題にはならないこともありますが、投資初心者の方には、デメリットになることもあります。
まとめ
J-REITと海外REITの違いは、J-REITは日本国内の不動産を扱うだけに情報をチェックしやすく、購入も容易である。その代わりに購入可能な対象が限られており、利回りも海外REITより低いものが中心という特徴があります。
海外REITには様々な国で運用される銘柄が含まれており、その中には利回りが高い銘柄もあったり、日本国内では運用されないような物件もあるのが特徴となってきます。投資をするときにはJ-REIT、海外REITそれぞれの特徴をよく知り、一つの銘柄に資金を集中させずに分散投資しながらリスクを軽減していきましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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