ワンルーム投資のプロが教える、初心者が知っておくべき5つのこと

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雑誌やテレビなどで度々取り上げられる不動産投資。そのなかでも、物件の価格が比較的低めで供給数や取引件数も多く、初心者から人気が高いのが「ワンルーム投資」です。

いざワンルーム投資を始めようと思っている方の中には、エリアは東京と地方のどちらが良いのか、また数あるワンルーム会社からどのような会社を選べばよいのかといったことに悩まれていることも少なくないでしょう。

今回は、主にワンルームマンションに投資をして、投資家仲間とともにさまざまな成功や失敗を見てきた私が、ワンルームの購入エリアや販売会社の見極め方など「初心者が知っておいた方が良い5つのこと」を、実体験をベースにご紹介をしていきます。

目次

  1. ワンルーム投資のメリット・デメリット
    1-1.会社員が物件を選ぶならワンルームがおすすめ
    1-2.一棟全体を自身で管理したい場合には一棟物件がおすすめ
  2. ワンルームを購入するエリアの見極め方
    2-1.初心者は賃貸需要が旺盛な東京都内を選択するのがおすすめ
    2-2.地方郊外への投資はプロレベルの投資家
  3. 付き合うべきワンルーム投資会社の見極め方
    3-1.新築物件は業歴や年商を確認する
    3-2.中古物件は「元付け業者」か「客付け業者」かを確認する
    3-3.販売会社のウェブサイトやSNSを確認する
  4. ワンルーム投資のローン借入条件や審査のポイント
    4-1.不動産投資をする場合には不動産投資ローンを活用する
    4-2.団体信用生命保険に加入する
    4-3.融資審査のポイントは物件の評価と投資家自身の属性
    4-4.AIを活用して物件の収益を確認する
  5. 購入後の管理のポイント
  6. まとめ

1.ワンルーム投資のメリット・デメリット

不動産投資は、物件を購入した時点で、その投資の成功の可否が決まってしまうといっても過言ではありません。株式等の金融商品を購入した場合には、うまく利益が上がらないときには、自身で投資の失敗を認め早めに損切りをして手仕舞いすることができます。

しかし、不動産の場合には物件価格がそもそも高額ですし、金融機関から融資を引いているケースがほとんどですので、自身の判断だけで簡単にやめることは難しいのです。そこで初心者が不動産投資をする場合、さまざまな構造・種類の物件のうち、どれを購入すれば良いかという問題があります。

1-1.会社員が物件を選ぶならワンルームがおすすめ

私は一般的に会社員の方でしたらワンルームをおすすめします。ワンルームであれば、管理の手間を省きたい方、エリアに資産を一極集中させたくない方、少額から投資をしてじっくりと資産形成をしたい方に向くでしょう。

私の場合は、少額ずつ購入して時期をずらしながら、中長期でじっくりと資産形成をしたかったので、最初の投資はワンルームを選択しました。ワンルームは通常、ディベロッパーが分譲したマンションの一室を購入してオーナーになります。

このとき、管理組合が存在するマンションであれば、自動的に管理組合の一員となります。管理員さんを雇用して日常清掃をする等の業務は、管理会社を通して管理組合が実施することになります。管理会社がしっかりと物件の管理状態を維持していれば、忙しい会社員の方は手間がほとんどかからないというメリットがあります。

私も保有してみて実感をしましたが、積極的に管理組合の行事等にかかわらない限り、毎月やることは家賃がきちんと入金されているかを確認するための銀行通帳の記帳くらいです。

1-2.一棟全体を自身で管理したい場合には一棟物件がおすすめ

一方、マンション一棟やアパートに投資をしたい方は、ワンルームですと物足りないでしょう。このような一棟物件の投資に向いているのは、物件の共用部分を含め、一棟全体をすべて自分で管理、コントロールしたい方です。

一棟物件は、日常清掃の頻度や、セキュリティ向上のためにオートロックや監視カメラを導入する等の意思決定をすべて自身ですることができます。これがワンルームの場合には、管理組合が組合員の意見をまとめて決めるので(通常、管理組合の総会で投票によって決定)、思いどおりにはいかないこともあります。

また、物件を一棟購入すると規模にもよりますが、部屋が複数ついてきますので、例えば、短期間で総戸数8戸の一棟物件のオーナーになることもできます。ただし、私も経験しましたが、不動産投資の経験値が少ない段階で、ひとたび空室が発生しますと大変なストレスを抱えることになります。

自己資金が潤沢にあり、購入時点で満室か適切な家賃保証がされている物件でなければ、毎月の金融機関へのローン返済のプレッシャーにも耐えられません。

ワンルームは、一棟物件と違い、短期間で資産規模を拡大しにくいというデメリットはありますが、一戸一戸物件を着実に見極めて少しずつ規模を拡大していきたいという方には向いているでしょう。

2.ワンルームを購入するエリアの見極め方

ワンルームを購入するエリアに関しては、さまざまな見解があります。利回りは低いが賃貸需要が旺盛な東京都内が良いのか、地方郊外で利回りが高いエリアが良いのか、不動産投資家の中でも意見が分かれます。

2-1.初心者は賃貸需要が旺盛な東京都内を選択するのがおすすめ

私は、国内の人口が減少していく中、リスクを取って不動産投資をするのであれば、初心者の方には東京都内が良いと考えます。不動産サイトの楽待や健美家で物件検索をしますと、例えば表面利回りが12%を超えるワンルームもたくさん見つけることができます。

ですが、そのほとんど全てが、地方郊外にあるもの、築年数が古いもの、最寄駅からの距離が15分以上かかるもの、居室の専有面積が極端に狭いもの、等であることに気がつきます。

特に地方郊外にある物件は表面利回りが高いので、一見魅力的に思えますが、なぜ利回りが高い物件がサイトに掲載されているのかを知っておく必要があります。不動産投資のリスクは様々なものがありますが、最大のリスクは空室で家賃収入が入ってこないことでしょう。

地方郊外は人口が減少しており、賃貸需給バランスが悪く、繁忙期を逃すと空室が埋まらないケースが続出しています。不動産投資は、入居者がいて初めて経営が成り立つビジネスです。とすれば、初心者で手間をかけたくなければ、人口が減少する地方郊外ではなく、東京都内、少なくとも神奈川県・千葉県・埼玉県を含む一都三県で物件選定するべきです。

また、神奈川県・千葉県・埼玉県で購入する場合も、自身がそのエリアに居住した、あるいは地縁があって詳しいというケースでなければおススメできません。これら三県でも、既に東京への人口流出の影響で比較的乗降者数が多いと言われる駅周辺でも街が衰退しているところも出てきており、不動産投資自体が成立しえないエリアもありますので見極めが必要です。

2-2.地方郊外への投資はプロレベルの投資家

書店に行くとアパートのほか、ワンルーム投資でも地方郊外に物件を購入して成功しているという投資家の書籍が売っています。しかしながら、皆、地方の物件の空室を埋めるために並大抵ではない努力をしています。

プロの不動産投資家レベルで、何度も物件に通い、賃貸仲介会社と仲良くなり、空室を埋めるためのリフォームや広告宣伝等さまざまなノウハウを総動員しています。そのような活動が好きだという方以外は、通常本業がありますし、時間を取られすぎますのでおススメしません。

プロの投資家としてそれなりの覚悟がなければ、地方郊外への投資は選択するべきではありません。不動産投資に慣れてきて、自身のポートフォリオが東京都内に偏り過ぎている、勉強もしたのでリスクを取ってでも地方郊外にエリア拡大したい、という方は専門家等に相談をしながら検討すると良いでしょう。

3.付き合うべきワンルーム投資会社の見極め方

ワンルームを販売する会社はどのように見極めれば良いのでしょうか。

3-1.新築物件は業歴や年商を確認する

販売会社には、新築物件を販売するディベロッパーと、中古物件を販売する販売会社があります。新築物件を購入する際には、業歴や年商をチェックしましょう。長く営業しており、売上高も大きいということは、一般的に市場から評価されている可能性が高いと言えます。

ディベロッパーでは、東証に上場しているような会社であればその後のトラブルやリスクは低いでしょう。一部例外はありますが、上場企業ということは非常に厳しい証券取引所の審査を通過しており、コンプライアンスや内部統制等も厳しく管理しているのである程度信頼できます。

3-2.中古物件は「元付け業者」か「客付け業者」かを確認する

さて、中古物件を販売する販売会社には、元付け業者と客付け業者があります。元付け業者とは、売主の依頼を受けて、物件の情報を顧客や不動産会社に提供する業者です。また、客付け業者は、元付け業者から提供された情報をベースに元付け業者に買主を紹介する業者です。

見極めポイントとしては、元付け業者の方が物件情報に詳しく、価格に関しても柔軟に対応してくれることが多いので、中古物件を購入する場合には、元付け業者か客付け業者かを確認をしてみると良いでしょう。これは販売会社に確認をすれば教えてくれます。

3-3.販売会社のウェブサイトやSNSを確認する

また、販売会社のウェブサイトを確認したり、実際に会社を訪問したりするのもおススメです。投資用不動産を取り扱う会社は星の数ほどありますので、私も最初はどのように選べば良いのか相当迷いました。

そこで、書籍を読むだけではなく、販売業者のウェブサイトをじっくりと閲覧しました。ウェブサイトを見るとFacebookやブログを開設している場合、従業員の写真を見たりすることができます。また、登録すれば、LINE等のSNSで非公開の物件情報を送付してくれるケースもあります。

街角ボランティアや運動会等をやっている会社もあり、ここで会社の雰囲気はかなり分かります。また、セミナーに参加をすると、外部に会場を借りているケースもありますが、自社でセミナー室を設けている会社もあります。受付の対応やセミナー講師のクオリティ、パンフレットやオリジナル資料の作り等で会社のレベルを知ることができます。

4.ワンルーム投資のローン借入条件や審査のポイント

不動産を購入する場合、大きく分けると次のローンを利用することができます。住宅ローン、セカンドハウスローン、不動産投資用ローンの3つです。住宅ローンやセカンドハウスローンは、通常、自身が居住する前提で金融機関が融資をします。ワンルームを購入する場合には、自身は居住しませんので、3つ目の不動産投資用ローンを利用します。

4-1.不動産投資をする場合には不動産投資ローンを活用する

不動産投資用ローンは、一般的に住宅ローンの審査よりも厳しく、金利も高く設定されています。バブルの頃は、金融機関の変動金利が8%を超えることもありましたが、現在は変動金利で1%~2%程度でも借りることができるでしょう。

住宅ローンはメガバンクや、最近ではネット銀行等も融資をしてくれますが、不動産投資用ローンは、ノンバンクや地方銀行、信用金庫等が融資をしてくれます。ノンバンクはあまり馴染みがないかもしれませんが、不動産投資業界では誰もが一度は融資を検討するオリックス銀行やジャックス等があります。

不動産投資をする場合、融資は切っても切り離せません。どんなに資金が潤沢でも、自己資金を一定程度入れ(少なくとも5%から10%は必要です)、残りは融資を活用して物件を購入した方がレバレッジ(てこの原理)を使えて効率的な資金運用をすることができるからです。

4-2.団体信用生命保険に加入する

また、金融機関によっては団体信用生命保険にも加入したうえで、金利が1%半ば程度で借り入れできる条件を提示されることもあります。団体信用生命保険は、契約者が万一亡くなった場合に、残された家族に経済的な負担がかからないように、死亡保障としてあらかじめ加入する生命保険で、保険料は金利に含まれています。

また、条件によっては、死亡ではなく、病気になった場合にローンの残債を保障するサービスも付加されるものもあります。例えば、がんと診断された場合、3大疾病を患った場合等です。

4-3.融資審査のポイントは物件の評価と投資家自身の属性

融資を受けるうえで気になるのは審査のポイントです。不動産会社を通して金融機関に融資の申し込みを行いますが、審査では物件はもちろんのこと、投資家自身の属性もチェックされます。

まず、物件に関しては、その物件から将来どれくらいの収益を上げることができるのかを、金融機関が過去から蓄積している膨大なデータをもとに客観的に評価します。

私は、不動産会社から提示された一般的な物件パンフレットやオリジナル資料とは別に、自身の視点で購入したい物件周辺の賃貸市場動向や、賃貸仲介会社からヒアリングした情報(例えば、単身世帯が多いのか、ファミリー世帯が多いのか、スーパーやコンビニエンスストア等が周辺にあるか等)をまとめて金融機関に提出しました。融資担当者からは「よく調べていますね」と好評価でした。このようにして融資担当者の心象を良くすることができました。

次に投資家の属性ですが、審査対象は年齢、勤務先企業の財務状況、年収や金融資産等が見られます。特にポイントとなるのは、投資家の保有している金融資産です。私は、預貯金のほか、株式や投資信託、積立年金、さらには勤務先の退職金予定金額まで一覧表にまとめて分かりやすい資料を作成して融資担当者に提示しました。

物件を増やしていく場合、不動産会社の担当者ではここまで対応してくれることは少ないので、普段から把握しておくと良いでしょう。また、個人の信用情報に関しての確認も行われます。具体的には、購入予定の物件以外に他の金融機関での借り入れはないか、携帯電話やクレジットカードの払い忘れはないか、等が審査の対象です。

ときどき、大手企業で年収も高い属性の会社員の方が審査に落ちることがありますが、消費者金融での少額の借り入れが原因であることがあります。本来融資が通る属性だけにもったいないことです。

4-4.AIを活用して物件の収益を確認する

最後に、前述したオリックス銀行は最近、「キャッシュフローシミュレーター」という、不動産投資家向けに物件の収益を、人口知能(AI)を活用してシミュレーションすることができるサービスをリリースしています。

実際に購入を検討している物件の情報とローンの金利条件等を入力することで、家賃収入や空室率等の変動予測や修繕費等の運営経費の試算をベースに、最長50年の将来のキャッシュフローを表示することができます。ローンの返済リスク等も可視化できるので、関心がある方は会員登録をしてみると良いでしょう。

5.購入後の管理のポイント

物件を購入した後は、管理会社に管理をしてもらいます。ここでは、専有部分(お部屋)の管理をしてくれる賃貸管理会社の管理についてお話します。通常、ワンルームの場合には、購入した後に引き渡しを受け、その月の家賃収入も日割りでもらえることがほとんどです。

賃貸管理会社の主な業務は、入居者との賃貸借契約の締結代行や契約の更新、入居者からの家賃の回収や滞納者への督促、入居者のクレーム対応、退去後の精算や立ち合い等があります。

私のケースでは、エアコンや浴室乾燥機が故障したのですが、間に入っている賃貸管理会社が迅速に対応してくれました。特に最近の夏は猛暑です。エアコンが故障した場合、入居者への一連の対応や業者の手配は会社員では中々できません。

賃貸管理業務を投資家がすべて自分で行おうとすると本業に影響が出てしまうことがあります。なにより入居者に大変な思いをさせることにもなってしまいます。通常は物件の販売をした不動産会社が賃貸管理部門を持っており、そこに依頼することが多いと言えます。

このようにワンルームの管理はほとんど賃貸管理会社にお任せできますので、投資家は普段はほぼ何もしないで良いのです。都心部のワンルームであれば、相場を外さなければ長期的な家賃収入を得られます。これは株式投資等他の金融商品とは異なるメリットでしょう。

なぜなら株式等は購入後の価格の上げ下げに一喜一憂しがちですが、入居者がいるワンルームは毎日その価格を気にする必要もなければ、来月家賃がいきなり半額になることもなく安定したものとなるからです。あえて手間を言いますと、入居者が入れ替わるタイミングでの賃料の査定を賃貸管理会社とよく相談をして決めることくらいでしょう。

まとめ

ワンルームへの投資は、管理会社に管理を委託することで、会社員の方でも手間なく安定収入が目指せるメリットがあります。初心者の方でも安定した賃貸需要が期待できる東京都心で物件を購入すれば、空室リスクを低く抑えることもできます。

ワンルーム投資物件を提供する不動産会社はたくさん存在しますが、WebサイトやSNSなどの情報をよく調べて、信頼できる会社かどうかを判断することが必要です。また、物件購入時の融資についても、最低限必要な知識は知っておきましょう。

本業があり自主管理に時間を割けない方や、コツコツと堅実に資産を積み上げていきたい方は、この記事を参考にワンルーム投資を具体的に検討してみてはいかがでしょうか。

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依田泰典

不動産投資家。公認不動産コンサルティングマスター。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。
・ソニーにて、ITソリューション関連の法人営業や企画・マーケティング業務に従事(MVP受賞)。ソニー在籍中、株式投資(信用取引)等幅広く金融商品を運用するほか、東京23区の分譲マンションをメインに不動産投資を実践。
・ソニー退職後、不動産会社(ベンチャー企業・東証上場企業)にて、収益用不動産(1棟物件)の仕入・販売、事業開発(不動産ファンド)、経営企画・広報業務に従事。
・独立後は、東証プライム市場上場グループ企業等の社外取締役、顧問、アドバイザーとして活動(営業・資金調達支援)。その後、仲間とIT関連のスタートアップを創業。
・米系PEファンドのKohlberg Kravis Roberts(KKR)への出資をはじめ、国内では不動産テック等IPOを目論む複数のスタートアップ(ミドル・レイターを含む)への出資のほか、複数のVCファンド(シード・アーリーメイン)にLP出資。
・宅地建物取引士(宅建マイスター)、貸金業務取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、ビル経営管理士、競売不動産取扱主任者、社会保険労務士、行政書士、情報処理技術者等の資格を保有。
・趣味は街の散策と食べ歩き。YouTube鑑賞(BreakingDown、YOASOBI)。漫画(島耕作、キングダム、ザ・ファブル)。格闘技(合気道有段者)。坂道ファン(推しは櫻坂46山崎天)。
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