ワンルームマンション投資では、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類の利益を得ることができます。インカムゲインは月々の家賃収入のことを指し、キャピタルゲインはマンションを売却して得られる利益のことを言います。
物件を売却して得られるキャピタルゲインは一度に大きな利益を得られる可能性もあり、その場合には投資効率を一気に上げられます。より高く売却できればその効果も大きくなります。
この記事では、ワンルームマンションをより高く売却するためにしておきたいことを、物件の購入前と購入後に分けてご紹介します。
目次
- マンションの売却価格を決める際の流れ
1-1.売却価格の設定は不動産会社の専門家が行う
1-2.不動産査定は簡易査定と訪問査定の2回行われる
1-3.不動産の売却方法には仲介と買取がある
1-4.仲介を依頼する時の不動産会社との契約方法
1-4-1.専属専任媒介契約
1-4-2.専任媒介契約
1-4-3.一般媒介契約 - マンションを購入する前にしておきたいこと
2-1.立地と駅は購入時に慎重に検討する
2-2.東京都心と23区外の物件のそれぞれのメリット
2-3.都心から離れているエリアでは駅を検討する
2-4.中古の場合は建物の劣化や清掃の状態を確認する
2-5.マンション周辺の環境を確認する
2-6.ハザードマップを確認する - マンション購入後にしておきたいこと
3-1.マンションの家賃を安易に下げない
3-2.マンションの管理状態は良くしておく
3-3.不動産会社とのコミュニケーションは良好にしておく
3-4.リノベーションを検討する
3-5.複数の不動産会社に査定を依頼する - まとめ
1.マンションの売却価格を決める際の流れ
まずはマンションを売却する際、どのような手順になるのかを確認してみましょう。
1-1.売却価格の設定は不動産会社の専門家が行う
マンションを売却する際は売却する価格を決めなければいけません。しかし、設定した価格が物件の本来の価値より高すぎるとなかなか売却できない可能性がありますし、低すぎるとせっかく得られるはずだった利益を得られないことが考えられます。
物件に見合わない価格を決めるとそのようなリスクがありますので、一般的に価格設定をする際は個人で希望価格を付けるのではなく、不動産会社の専門家に査定を依頼します。依頼された不動産会社の担当者は、自分の感覚で査定価格を算出するのではなく、一定のルールに沿って査定を行います。
1-2.不動産査定は簡易査定と訪問査定の2回行われる
査定は簡易査定と訪問査定の2回行われます。簡易査定は机上で試算し物件価格を算出する方法で、訪問査定は実際に物件を見て行う査定です。訪問査定の際は物件だけではなく周辺の環境も調査します。
全てのケースで2回行われるわけではなく、簡易査定で出した価格を見て、売主がその価格で話を進めても良いと承諾した場合のみ、訪問査定が行われ売却価格を設定します。この2回の査定でいかに高く、かつ適切な価格を査定してもらえるかが、高く売却するための一つのポイントになります。
1-3.不動産の売却方法には仲介と買取がある
査定を行う際に決めておくことが売却の仕方です。売却の仕方には仲介と買取の2つの方法があります。それぞれの方法について見てみましょう。
仲介は不動産会社が募集広告を出し、買主を募集して売却する方法です。不動産会社は仲介手数料を利益として受け取ります。
買取は不動産会社が直接買い取る方法です。買主が現れるのを待つ必要がないため、仲介で募集するより早く現金化ができるメリットがあります。不動産会社は買取した物件をリフォームなどをしてから売却します。買取価格と売却価格の差額が利益になります。買取の場合は不動産会社が直接買取をしますので、売主は仲介手数料を支払いません。
一般的に買取価格は相場価格より20%~30%くらい低くなります。それに対し、仲介は相場から売却価格を決める形になります。仲介と買取を比較すると、一般的に仲介手数料を支払っても仲介で売却した方が手元に残る金額は多くなります。
1-4.仲介を依頼する時の不動産会社との契約方法
不動産会社に仲介を依頼する際の契約の方法には3種類あり、それぞれに特徴がありますので、特徴を知ってどの方法が良いのかを慎重に検討することが大切です。
1-4-1.専属専任媒介契約
専属専任媒介契約の場合、不動産会社1社にしか仲介を依頼できません。また、自分で買主を探した場合も依頼した不動産会社を通して売却しなければいけません。
仲介を依頼された不動産会社は、レインズという不動産会社が使うネットワークに、仲介を依頼されてから5日以内に情報を掲載したり、1週間に1回以上売主に販売活動の状況などを報告したりする義務が発生します。そのため不動産会社は積極的に売却活動をする可能性が高くなります。
1-4-2.専任媒介契約
専任媒介契約も不動産会社1社にしか仲介を依頼できません。専属専任媒介契約との違いは、自分で探した買主と直接売買ができるという点です。また、レインズに載せるまでの期間が7日になり、買主への販売活動状況の報告は2週間に1度になります。
1-4-3.一般媒介契約
一般媒介契約では複数の不動産会社に仲介を依頼することができ、自分で探した買主との売買も直接することができます。
不動産会社はレインズに掲載したり販売活動状況を売主に報告したりする義務がありません。一般媒介契約では、複数の不動産会社に募集の依頼ができますので、募集範囲は広がりますが、不動産会社の立場からすると他の不動産会社が仲介をした場合、自分たちの活動が無意味になる可能性があるため積極的に販売活動をしないことも考えられます。
どの契約方法が良いのかは、その時の物件の状態や市場の状況によって変わりますので、個別に不動産会社と相談して決めるようにしましょう。以下に契約方法についてまとめた表を記載しておきます。
項目 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
複数の不動産会社への依頼 | × | × | ○ |
自分で探した買主との直接契約 | × | ○ | ○ |
レインズ掲載義務 | 依頼を受けて5日以内 | 依頼を受けて7日以内 | 義務なし |
販売活動報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 義務なし |
2.マンションを購入する前にしておきたいこと
具体的にマンションを高く売却するために、購入前にはどのようなことをすれば良いかを見てみましょう。
2-1.立地と駅は購入時に慎重に検討する
立地は売却の際に価格に大きく関係してきますので、高い価格で売却をしたい場合は、購入時により良い立地に建てられた物件を選ぶことが大切です。立地を考える際は、駅から徒歩で何分くらいかかるかといったことや、都心なのか郊外なのかといったことを検討する必要があります。
2-2.東京都心と23区外の物件のそれぞれのメリット
東京23区内の都心は人口が集中していて、今後も他の地域に比べて人口が減少するスピードが遅いことが予測され、賃貸ニーズが高いことが考えられます。しかしそのようなエリアの物件は価格が高いため、価格が低い物件を購入したいという方には抵抗があるかもしれません。
実際に都心と郊外では物件の価格はどれくらい違うのでしょうか。以下の表は2018年における一都三県の区分マンションの平均価格です。
エリア | 価格 |
---|---|
東京23区 | 2,067万円 |
川崎市 | 1,233万円 |
埼玉主要 | 1,198万円 |
横浜市 | 1,195万円 |
東京市部 | 1,038万円 |
千葉主要 | 1,003万円 |
*健美家調査「収益物件市場動向年間レポート2018年」をもとに筆者が作成
この表から東京23区と東京市部のマンション価格では2倍くらい23区の物件価格が高いことが確認できます。そのため、利回りの差も大きいことが想定でき、利回りを追求したい方は東京市部や川崎市、横浜市といったエリアの物件のほうにメリットを感じるでしょう。
2-3.都心から離れているエリアでは駅を検討する
東京市部や横浜市、川崎市などのエリアで物件を探す場合は、複数の路線が通っている駅の周辺で物件を探すことが大切です。複数の路線が通っていれば通勤や通学に便利ですし、そのような大きな駅であれば特急電車や急行電車が停まる可能性が高いため、都心まで短時間で移動できることが考えられるからです。
都心ではなくても、そのような条件が揃っている駅の周辺であれば賃貸ニーズが高いことが考えられ、売却の際も価格が高い可能性があります。
2-4.中古マンションは建物の劣化や清掃の状態を確認する
新築の場合は仮に15年後に売却するとしても、まだ築15年の物件ですので、投資価値はある程度高いことが考えられます。しかし築20年の中古物件を購入した場合、15年後は築35年の物件として取り扱われます。資産価値は築15年の物件と比較すると、かなり低いことが想定できます。
中古物件を購入する際は、現時点での建物の劣化状態や清掃の状態を詳細に確認することが大切です。同じ築年数の物件でも管理状態によって劣化の進行具合も違います。劣化が少なく清掃が行き届いている物件は、管理状態が良いことが考えられますので、今後も良い状態で管理される可能性が高くなります。
築年が経過するほど劣化が目立ち資産価値にも影響してくるため、管理がきちんとしているかは売却を考える上でも重要です。
2-5.マンション周辺の環境を確認する
上記のように査定には2種類の方法があり、そのうち訪問査定では物件と周辺環境を調査した上で査定をします。訪問査定では周辺に病院や銀行、スーパー、コンビニなど生活に必要な施設などがあれば、価格は下がりにくくなります。
環境を購入後に自分で変えることはできませんので、購入時から周辺の環境を確認しながら物件を探すことが、売却時の価格を高くするコツだと言えるでしょう。
2-6.ハザードマップを確認する
近年、地震や集中豪雨などの被害が多いため、災害に対する意識が高くなっています。買主の中には災害が起きそうな場所では物件を探さないという方もいるでしょう。そのため、なるべく災害が起きにくい場所の方が売却の時に有利になる可能性が高くなります。
仮に購入したいマンションが災害の発生しそうな場所だとしても、近くに避難場所があったり、避難場所へのルートがはっきりしていたりすれば買主の不安は減ることが考えられます。災害が発生する場所を避けるためだけでなく、リスクを把握し的確に対応するためにも、購入前にハザードマップを必ず確認するようにしましょう。
3.マンション購入後にしておきたいこと
購入後の賃貸経営では、どのような点に注意すればより高い価格で売却できるのかを見てみましょう。
3-1.マンションの家賃を安易に下げない
空室になった際に、家賃を下げて入居者を募集することがありますが、高く売却することを優先する場合、家賃は安易に下げないことが大切です。簡易査定の際には机上で物件価格を試算しますが、その際には多くの場合、収益還元法という試算法を使います。収益還元法で試算する場合、家賃が低くなると査定価格も低くなる特徴があります。
そのため売却する時の価格を高くしたい場合は、空室になっても安易に家賃を下げないようにすることが求められます。空室の原因を管理会社と慎重に検討して、家賃を下げない別の対処法を見つける努力をすることが大切です。
3-2.マンションの管理状態は良くしておく
管理状態は価格を査定する際の重要な要素になります。劣化や損傷が目立つと売却価格も下がる可能性があります。そのため、清掃や修繕などはこまめに行い、きれいな状態で保つことが大切です。物件の管理は依頼している管理会社が行いますので、管理会社とよく相談することが大切です。
3-3.不動産会社とのコミュニケーションは良好にしておく
仲介の場合、どの物件を積極的に販売するかは不動産会社の判断になります。また、買主との交渉も不動産会社が行います。売却をする際は不動産会社の担当者が買主とのパイプ役になります。
担当者に自分の物件販売に注力してもらうためには、不動産会社の担当者と普段からコミュニケーションを良好にしておくことが大切です。最後に自分の物件を推してくれるのは不動産会社の担当者だということを認識しておきましょう。
3-4.リノベーションを検討する
築年数が多く経過している場合はリノベーションの検討もしましょう。近年リノベーションの技術は大きく向上していますので、リノベーションをすることで査定価格が数百万円上がることもあります。
しかし、マンションは物件によって劣化の状態や査定価格が違いますので、全ての物件でそのような効果があるとは限りません。リノベーションする際は、費用分の利益が見込めるかどうかをシミュレーションして取り組むようにしましょう。
3-5.複数の不動産会社に査定を依頼する
物件の査定を依頼する際は、1社だけでなく複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。1社だけでは査定価格が物件の本来の価格かどうかがわかりませんし、不動産会社が売り急ぐ場合は査定価格が低くなる可能性もあります。
複数の不動産会社に依頼すれば、より高く売却してくれそうな不動産会社を見つけることができますし、最高値や最安値の見当をつけることができます。『すまいValue』などの一括査定サービスを活用すれば、簡単に複数社へ査定依頼が可能です。
ただ、簡易査定で高い査定をした会社が訪問査定でも高く査定するとは限りません。そのため訪問査定が終わるまでは、複数の不動産会社に依頼を続けることが大切です。
まとめ
ワンルームマンションを高く売却するためにしておきたいことについてご紹介しました。
ワンルームマンションをなるべく高く売却するためには、購入後の管理をきちんとするだけでなく、購入前にエリアを慎重に検討することも大切だということがわかりました。また、不動産会社との良好な関係性や、家賃を安易に下げないことも重要です。
ワンルームを高く売却することができれば、賃貸でストックされたキャッシュフローにプラスして利益を得ることができますので、投資効率もさらに良くなります。なるべく高い価格で売却できるように、高く査定されるポイントをおさえて運用するようにしましょう。
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