投資する商品を自分で選ばなくても、自動で商品を提案してくれたり、資産運用をしてくれたりするロボアドバイザー。30代・40代の働く世代を中心に、利用者や運用残高が増え続けています。
そのロボアドバイザーの中でも大手のウェルスナビやTHEOなどの資産運用において、メインの投資対象として使われているのが「海外ETF」です。今回は、この海外ETFとはどんな商品なのかに注目してみました。
目次
- そもそもETFって?
1-1.指数に連動する
1-2.投資信託でありながら株式のように取引できる
1-3.分散投資ができる - 主要な海外ETF
2-1.アメリカの代表的な指数
2-2.覚えておきたい海外ETFの運用会社 - 海外と国内でのETFの違いと注意点
- まとめ
1.そもそもETFって?
ETFは「上場投資信託」のことで、英語では”Exchange Treaded Funs”と言います。一般に略してETFと呼ばれています。ETFの代表的な特徴としては、以下の3つにあげられます。
1-1.指数に連動する
ETFは、株式や債券など色々な金融商品の指数に連動するように構成されています。例えば、株式で言うと日本の代表的な株価指数である日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指数を構成している商品と連動するような値動きを目的として作られています。
投資信託の運用方法は、指数に連動するような運用を目指すインデックス型、目標としている指数を超えるように運用を目指すアクティブ型に分けられます。多くのETFはインデックス型で、指数の動きに連動するように運用していくことを目的としていますので、値動きが分かりやすいという特徴があります。
1-2.投資信託でありながら株式のように取引できる
ETFを英語に直すとファンドという単語が入っているように、ETFは投資信託の性質を持っていて、投資信託の仲間と言えます。投資信託と異なるのは購入方法です。取引所に上場しているため、株式のような購入の仕方ができます。
投資信託の商品の性質を利用しながら、取引所で株式のように購入ができるといった特徴があります。流動性もあり、値段を指定して購入や売却ができます。
また、株式と同じ購入方法なので、株式のように取引手数料が発生しますが、投資信託の仲間なので、間接的に信託報酬などのコストもかかっています。しかし、株式に投資している投資信託よりもETFは比較的コストがかからないという特徴があります。
1-3.分散投資ができる
ETFは主要な指数などに連動するように構成されているため、組み込まれている商品に間接的に分散して投資をすることができます。例えば株式を一銘柄購入するだけだと、その商品だけに投資するということになりますが、ETFなら一銘柄購入するだけで分散投資を行えるので、リスクを軽減することができます。
2.主要な海外ETF
国内外のETFは、ファンドの運用会社が投資信託を証券化して、それを上場させています。ファンドの元となるベンチマークは、株価指数などの指標になります。
指標は、国の取引市場の値動きや状況が一目で分かるものであるため、機関投資家を含め、投資家はこの指標を基に取引方法を考えます。取引は世界中で行われているため、その国ごとに主要な指標があります。そして、その主要な指標をベンチマークとした海外ETFもたくさんあります。
まずは、アメリカの主な指標と、その指標をもとにした海外ETFを取り上げてみます。アメリカは、自国だけでなく世界中が注目する取引所を持つだけに、アメリカの主要な指標をベンチマークとして取り入れている海外ETFがたくさんあります。
2-1.アメリカの代表的な指数
NYダウ平均、NASDAQ、S&P500の3つは、ニュースでも取り上げられるくらい代表的な指標です。そのため、投資信託でも多くの運用会社が、これらをベンチマークとした商品を売り出しています。そのため海外ETFを提供する会社が違っても、中身はいずれもこの3つの指標のどれかを用いて運用している商品ということが多くあります。
NYダウ平均
アメリカのダウ・ジョーンズ社が算出する平均株価で、30銘柄から構成されています。ニューヨーク証券取引所の主要な指標で有名です。ニュースなどでアメリカ市場の株価の動向などを説明する際に、読み上げられるのはこの指標です。
NASDAQ
アメリカのNASDAQ市場に上場している全銘柄で構成されている指標です。NASDAQには、比較的IT・ネットなどのハイテク株と呼ばれる銘柄が多く上場しています。NYダウ平均と並んで代表的な指標になります。
S&P500
ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数。ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出されています。
MSCI
MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表する指数の総称で、先進国から新興国まで世界70か国・地域の株式市場をカバーしています。この指数を指標とした様々な投資信託、ETFがあります。
2-2.覚えておきたい海外ETFの運用会社
ETFは、投資信託の一種なので、投資信託の運用会社が名称を付けていることが多く、この名称が分かればどの投資信託の運用会社の商品なのかが分かるようになります。
投資信託の運用会社を知ることはとても重要です。ここでは、ごく一部ですが、代表的な運用会社を紹介します。
iシェアーズ
アメリカ最大の資産運用会社※1といわれる「ブラックロック」が運用している上場投資信託(ETF)の名称です。このiシェアーズの名前で出しているETFは全体の36%あると言われており、ETF市場での世界最大のシェアを占めていると言われています。※2 iシェアーズのETFは、様々なところで見ることができます。
※1,2 ブラックロックHPより抜粋
SPDR
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)が運用するETFのブランドの名称です。世界最大のETFであるSPDR® S&P 500® ETF(銘柄コード1557(東証)、SPY(NYSEアーカ)は、2018年には米国上場25周年を迎えました。10年続くと良いと言われる日本の投資信託に比べると、かなり長い間運用されているブランドです。
バンガード
バンガード社は、アメリカで1976年に初の個人投資家向けインデックスファンドを売り出しています。低コストのインデックス運用を行う運用会社として知られています。2001年から、その培ったノウハウをETFにも展開しています。
パワーシェアーズ
こちらは、インベスコ投資顧問が運用する名称のブランドです。こちらも海外ETFを数多く取り揃えています。
3.海外と国内でのETFの違いと注意点
海外ETFと国内ETFの違いは、海外へ投資をするか国内へ投資をするかに分かれます。また、他にもいくつかの違いがあります。
国内ETFなら証券会社で口座を開設するだけで購入できますが、海外ETFの場合は外国証券取引口座の開設も必要になります(最近は、証券会社で口座を開設すると外国証券取引口座も同時に開設できるようになっているところが殆どです)。
手数料も国内と海外で異なります。また、証券会社によって取り扱っている海外ETFの数は異なります。
なお、国内で買えるETFでも海外の主要な指標に投資している海外ETFもあります。例えば、iシェアーズ S&P 500 米国株 ETFは、米国の株式市場を代表するS&P 500採用銘柄を投資対象としていますが、日本の取引所で円建てで取引されている海外ETFとして取り扱われています。ドル建てでは、iシェアーズ・コア S&P 500 ETFで、NYSEで取引されている海外ETFになります。
海外ETFだから海外の取引所で取引しないといけない、という訳ではなく、現在は国内の取引所にもたくさん上場しており、円建てで取引をすることができます。
しかし、気を付けないといけないのは、海外市場の取引と日本市場の取引は、通貨や流動性などが異なるということです。国内ETFとは違ったリスク要因があり、値動きの仕方が変わってきます。
まとめ
ETFを購入する場合は証券取引所(私たちが利用する窓口は証券会社)で行うことになります。海外ETFでも、国内で円建てとして運用しているものもあるので、国内の証券会社で購入が可能です。
いくつか代表的な指標や運用会社の商品の名称を挙げましたが、同じブランドであっても世界の様々な指標に連動した動きの様々な商品があるので、中身をよく確かめる必要があります。同じ指標をもとに運用するものでも、会社によっては、ETFの基となる純資産価額や取引所での流動性などにも留意する必要があります。
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