売却額100万円アップも?自宅売却時の査定と売却の7つのポイント・注意点

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自宅を売却する際には、まず不動産会社に物件の査定を依頼することになりますが、最終的な査定額の違いで高く売却できたり、思ったより低い値段でしか売却できなかったりすることがあります。査定の仕方によって売却額が100万円ほど変わることもあり得ます。ではどのようにすれば自宅を高く売却することができるのでしょうか。

今回は自宅を売却する時の価格査定と、売却に関する覚えておきたい7つのポイント・注意点について解説します。

目次

  1. 不動産会社が行う物件の価格査定は2回ある
    1-1.簡易査定について
    1-2.訪問査定について
  2. 不動産会社が行う価格査定の方法
    2-1.取引事例比較法
    2-2.収益還元法
    2-3.原価法
  3. 査定は複数の不動産会社に依頼する
  4. 査定価格=売却価格とは限らない
  5. 事情によって違う自宅の売却戦略
  6. 少しでも高く売却したい場合は仲介で
  7. 譲渡所得税とマイホームを売却した場合の特例
  8. まとめ

1.不動産会社が行う物件の価格査定は2回ある

不動産を売却する際は、まず不動産会社に物件の価格査定を依頼することから始まります。このタイミングで自宅がいくらくらいの価格になるのかを知った上で、売却の話を進めることになります。査定は簡易査定と訪問査定の2回にわたって行われます。それぞれについて見てみましょう。

1-1.簡易査定について

簡易査定は物件情報をもとに机上で試算を行い物件価格を算出する査定のことで、机上査定とも言います。いきなり物件を見に行くのは売主と不動産会社のどちらにとっても手間になるため、資料をもとに大体いくらくらいになるのかを算出し、話を前に進めて良いのかを判断するのが簡易査定になります。

詳しくは後述しますが、簡易査定では複数の不動産会社に対して依頼を行い、査定内容や担当者の対応を考慮して、良いと思った所と話を進めるようにすることがポイントです。

1-2.訪問査定について

簡易査定の価格を見て、話を先に進めても良いと売主が判断した場合は、実際にその価格を出してきた不動産会社の担当者が自宅を見に行き、再度査定を行います。これを訪問査定と言います。

訪問査定時には部屋の日当たり具合や臭い、周辺環境など、書類ではわからない部分まで査定して価格を算出します。訪問査定をした場合、査定価格が簡易査定で出した価格と異なることがあります。訪問査定についても、1社しか査定依頼をしていない場合、訪問査定で提示された価格が本当に適正かどうかを判断することが難しくなります。

どの不動産会社も訪問査定までは無料で行ってくれますので、複数の不動産会社に依頼することが査定価格を安易に下げないコツになります。

2.不動産会社が行う簡易査定の方法

不動産の価格を試算する方法には、取引事例比較法と収益還元法、原価法の3種類の算出法があります。それぞれ見てみましょう。

2-1.取引事例比較法

取引事例比較法は主に居住用の不動産価格を算出する際に使われる試算法です。条件が近い物件の成約事例をもとに価格を算出する方法です。中には売り急いだために安くしすぎている物件などもありますので、わかる範囲でそういった物件は省いて価格を算出します。

2-2.収益還元法

投資用の不動産の場合、ほとんどのケースでこの算出法を使います。収益還元法には直接還元法とDCF法の2種類あります。ここでは詳しい計算方法は解説しませんが、収益から物件の価格を出す方法だと認識していただければ良いでしょう。

2-3.原価法

原価法は主に金融機関が物件の評価額を算出する際に用いる試算方法です。もう一度同じ建物を建てるといくらかかるか、という再調達価額を出し、経過年数を割り引いて価格を算出する方法です。

3.査定は複数の不動産会社に依頼する

訪問査定の項目で少し触れましたが、査定は複数の不動産会社に依頼することが安易に自宅の売却価格を下げないコツになります。また、最初から1社に絞って査定を依頼すると、算出された価格が物件に見合った適正価格なのかどうかが判断できません。

適正価格から乖離した価格で売りに出した場合、高すぎた場合はなかなか売却できない可能性がありますし、低すぎた場合、売主は本来受け取るべき利益が受け取れないことになります。そういったリスクを回避するためにも査定は複数の不動産会社に依頼して適正価格を見定めることが大切です。

4.査定価格=売却価格とは限らない

査定を依頼し提示された価格で売りに出したとしても、その価格で売却できるとは限りません。査定価格が市場では高すぎると感じられたり、逆に安すぎたり急きょ値上げの判断をせざるを得ない場合があるからです。

実際に広告を出してみて反響が無い場合は価格を下げることも検討しなければならないことがありますし、逆に問い合わせが多い場合、交渉のうえ価格を上げることもあります。

また相場の影響を受けて価格が変動する場合もあれば、買主との交渉によって変動する場合もありますので、査定価格がそのまま売却できる価格になるとは限らないということを知っておきましょう。

5.事情によって違う自宅の売却戦略

自宅を売却する場合は、今の自宅が空き家になっているのかどうかでも売却の仕方が違ってきますので注意が必要です。

売主の次に住む家が決まっていて、今所有している自宅のローンが残っている場合は、新しい住居の支払いや家賃が発生すると重複して支払いをしなくてはいけなくなります。そうなると売却を急がなくてはならない状況となってしまいますが、その場合でも急ぐあまりに価格を下げすぎないようにしましょう。

新しい住居に先に引っ越しを済ませることで、買主がきれいな状態で室内を見ることができますので、あせらないで価格交渉をすることが大切です。逆にまだ次の住居が決まっていない場合は時間的に余裕がありますので、希望の価格で買い手がつくまで待つことができます。

しかし、退去していない場合、買主は荷物がある状態で物件の内覧をしますので、交渉が不利になるケースがあります。また、売却が決まると決済日までには退去しなければいけませんので、あらかじめ次の住まいを決めておくことが必要です。次の住居が決まっているか決まっていないかで、それぞれ戦略が必要になります。

6.少しでも高く売却したい場合は仲介で

自宅の売却の仕方には仲介と買取の2種類があります。仲介の場合、希望の価格で売りに出すことができますが、募集広告を出して買い主から問い合わせが入るまでに時間がかかることがあり、売却までなかなか進まないケースもあります。時間がかかる場合は価格を下げることもあります。仲介で売却をした場合は仲介手数料を支払います。

買取の場合は不動産会社が直接自宅を買い取ってくれるため、不動産会社と売買契約を締結すれば売却が完了します。募集広告を出す手間もかかりませんし、仲介手数料もかかりません。すぐに現金化できますので現金化を急いでいる方にはメリットがあります。

しかし、いくら現金化を急いでいるとしても、少しでも高く売却したい場合には買取のデメリットが問題になります。買取の場合、仲介の場合と比較して価格が20%から30%くらい安くなります。例えば3,000万円の物件価格の場合、買取にすると600万円から900万円安くなることになります。

それが仲介であれば、仲介手数料は3%+6万円ですので、3,000万円の物件の場合は96万円で済みます。例えば仲介で300万円の値引きをした場合でも仲介手数料と合わせて387万円しか下がりませんので、いきなり買取にするより、値引きをして仲介で売却した方が受取額が多くなる可能性が高いと言えます。

7.譲渡所得税とマイホームを売却した場合の特例

不動産を売却して利益が発生した場合は、基本的に譲渡所得税という税金を支払わなければいけません。譲渡所得の課税額は以下のように計算します。以下は国税庁のホームページから引用したものです。

譲渡価額 取得費 売った土地や建物を買い入れたときの購入代金(建物は減価償却費相当額を控除します。)や仲介手数料などの合計額です。
実際の取得費の金額が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算することができます。
譲渡費用 1仲介手数料、2測量費など土地や建物を売るために直接要した費用、3貸家の売却に際して支払った立退料、4建物を取壊して土地を売ったときの取壊し費用などです。
特別控除額 収用などのとき:最高5,000万円
自分の住んでいる家屋と土地を売ったとき:最高3,000万円
(「マイホームを売って、譲渡益がある場合」参照)
課税譲渡所得金額

*国税庁「課税譲渡所得金額の計算方法」から引用

上記計算方法で算出した課税額に税率をかけて支払額を算出します。税率は不動産を売却した年の1月1日の時点で所有期間5年以内の場合は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得と言い、税率が違いますので注意が必要です。それぞれの税率は以下のようになります。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

*国税庁「課税譲渡所得金額の計算方法」から引用

上記の課税譲渡所得金額に表の税率をかけた額が納税額になります。

マイホームを売却した場合、譲渡所得から3,000万円を差し引くことができる特別控除制度があります。その他にも特例がありますので、売却するときはそうした特例に該当しないか確認するようにしましょう。

まとめ

自宅を売却する際の査定と売却時の各段階において、注意しなければいけないことがわかりました。

売主が売却の時点で自宅に居住しているのか、あるいは次の住居に引っ越しを済ませているのかによって内覧時の状況が違いますし、引き渡しを完了するまでのスケジュールも違ってきます。自宅を売却する場合は、自身が置かれている環境に合わせて戦略を練ることが大切です。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。