雨漏り・シロアリなどの欠陥がある不動産を売却する方法は?注意点も

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雨漏り・シロアリ被害などの欠陥・瑕疵(かし)がある不動産を売却する方法にはどのような方法があるのでしょうか。また、売主は売却の際、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

本記事では、不動産の欠陥について概説したうえで、特に、建物に瑕疵がある不動産を売却する方法と、売却時の注意点について解説していきます。

目次

  1. 不動産の欠陥・瑕疵(かし)とは
    1-1.瑕疵(かし)の種類
    1-2.売主の契約不適合責任と瑕疵
  2. 雨漏り・シロアリなどの物理的瑕疵のある不動産の売却
    2-1.瑕疵を修繕して売却する
    2-2.値引きして売却する
    2-3.土地として売却する
    2-4.買取業者に売却する
  3. 物理的瑕疵のある不動産を売却する際の注意点
    3-1.瑕疵を売買契約書に明記する
    3-2.契約不適合責任の特約を設定する
    3-3.専門性の高い不動産会社へ売却を依頼する
  4. まとめ

1.不動産の欠陥・瑕疵(かし)とは

建物に雨漏りやシロアリなど、物理的欠陥・瑕疵のある不動産の売却方法について考える前に、不動産の瑕疵にはどのような種類があり、瑕疵が売主にどのようなリスクをもたらすのかについてみていきましょう。

1-1.瑕疵(かし)の種類

不動産の瑕疵とは、不動産を使用するうえで問題のある欠陥のことを言います。主に、物理的瑕疵、心理的瑕疵、法律的瑕疵があり、それぞれ欠陥の要因がことなります。

物理的瑕疵とは、建物の場合、雨漏りやシロアリ被害、耐震強度の不足など、重大な構造上の欠陥があることを言います。土地の場合は、地盤沈下や土壌汚染など、建物を建築する際の重大な障害を指します。

心理的瑕疵とは、取引物件で過去に自殺や殺人事件、火事などがあり、心理的に嫌悪感を感じるなど住み心地の良さが阻害される要素があることを言います。 このような事件による瑕疵は、事件の重大性、経過年数、近隣住民の噂なども関連します。

心理的瑕疵には、近隣に工場やゴミ処理場、暴力団事務所などの嫌悪施設がある場合も、含まれるといえます。嫌悪施設の存在による瑕疵は、環境的瑕疵と呼ばれることもあります。

法律的瑕疵とは、法令上の制限などにより、建物の建築に制限があるなど、物件の自由な利用が阻害されることをいいます。 たとえば、計画道路の予定地で建築制限があるケースや、現行法の定める建蔽率・容積率を超過した建物が建っているケース、接道義務を満たしていないため再建築ができないケースなどがあります。

1-2.売主の契約不適合責任と瑕疵

瑕疵物件は買主側のデメリットがあるため、瑕疵がある不動産は売りにくくなります。

また、売主は売却する不動産の状態(種類、品質、数量)について、売買契約に適合する状態で引き渡す義務があります。すなわち、売買契約の内容と引き渡した不動産の状態が一致していない場合、売主は原則として契約不適合責任を負います。

契約不適合責任とは、契約書に記載されていない欠陥が発見されたとき、追完(補修や代替物)請求、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求を受け入れなければならい売主の責任のことです。

このような瑕疵を買主に通知せずに、引渡し後に判明した場合、買主から契約不適合責任を追及され、それぞれの欠陥についての請求をされるリスクがあることになります。

2.雨漏り・シロアリなどの物理的瑕疵のある不動産の売却

ここでは、雨漏り・シロアリなどのような物理的瑕疵のある不動産を売却する方法について考えていきます。主に、次のような方法があります。

  • 瑕疵を修繕して売却する
  • 値引きして売却する
  • 土地として売却する
  • 買取業者に売却する

以下、それぞれについて、詳しくみていきましょう。

2-1.瑕疵を修繕して売却する

物理的瑕疵のある不動産を売却するには、そのような瑕疵を修繕することが最初の対策として考えられます。

建物の雨漏りによる瑕疵であれば、雨漏りした部分の防水工事をおこなうことで、現状は瑕疵のない状態になります。また、耐震強度の不足であれば、耐震工事をおこなったりすることで、耐震性を高めることが可能です。

費用はかかりますが、瑕疵を修繕したという履歴が評価され、通常の相場よりも高い価格で売却できる可能性もあるでしょう。ただし、雨漏りやシロアリなどの被害は再発する可能性が高い欠陥であり、売却後に同様の被害が起きる可能性がある点に注意が必要です。

2-2.値引きして売却する

買主が物理的瑕疵を修繕することを想定し、修繕費に相当する価格分を相場より下げることで、売却できる可能性があります。

戸建てや一棟物件は、全体の価格のうちに土地部分が占める価格が大きくなりやすい不動産です。土地の価値が高い不動産である場合、値下げによって価格優位性が生じ、売却できる可能性も高まるでしょう。

仲介を依頼している不動産会社へ相談し、周辺地域のニーズに合わせた値下げ幅を設定するなど、売却の戦略を立ててみましょう。

2-3.土地として売却する

建物に物理的瑕疵がある不動産で、なおかつ土地付きの物件である場合、古家付き土地として売却するという方法があります。

土地の価値が高い不動産では、土地を更地として利用するニーズがあります。古家付き土地という形で売り出すことで、建物を利用せずに土地を利用する買主をターゲットに販売することができます。その他、瑕疵のある建物を解体し、実際に土地を更地にして土地として売却するのも方法の一つです。

ただし、更地にすると解体費用がかかるだけでなく、固定資産税や都市計画税が上がってしまうなどのリスクもあります。土地として売却する方法を採る際には、売却予定の不動産を、土地として利用するニーズがどれぐらいあるのか、を慎重に検討するようにしましょう。

2-4.買取業者に売却する

売主側で建物の瑕疵を修繕したり、解体したりしようとしても、適切な専門業者を見付けることができなかったり、費用を捻出するのが難しかったりすることがあります。そのような場合には、買取業者に売却するという方法もあります。

買取業者の中には、修繕や解体のノウハウがあり、建物に瑕疵のある不動産を積極的に買い取っている業者もあります。仲介業者に買主を探してもらって売却する場合と比較して、売却価格は2~3割程度安くなってしまう傾向があるものの、スピーディーに売却して現金化できるというメリットがあります。

【関連記事】不動産買取で売却するのに必要な費用はいくら?手数料や税金、諸経費を解説

3.物理的瑕疵のある不動産を売却する際の注意点

物理的瑕疵のある不動産を売却する際にはどのような点に注意すればよいのか、以下より詳しく見て行きましょう。

3-1.瑕疵を売買契約書に明記する

建物に物理的瑕疵のある不動産を売却する場合、その瑕疵について売買契約書に明記し、買主にもそのような瑕疵があることを承諾した上で売買契約を締結することが重要です。

売買契約書上に不動産の瑕疵が明記されておらず、契約内容と引き渡した不動産の状態が一致していない場合、売主は原則として契約不適合責任を負うことになります。

また、契約不適合責任免除特約を設けていたとしても、売主が知っていながら買主に告げずに売買契約を締結した場合、民法の信義則に反することになるため、契約不適合責任は免除されません。過去に瑕疵を修繕した場合でも、再発の可能性を考慮して出来るだけ正確に契約書に盛り込んでおくことも検討してみましょう。

3-2.契約不適合責任の特約を設定する

建物に雨漏りやシロアリなどの瑕疵があるような物件は、他にも建物に重大瑕疵がある可能性があります。不動産の引渡し後に、買主がそのような重大な建物の瑕疵を発見した場合、売主の契約不適合責任を追及してくるおそれがあります。

また、契約不適合責任を追及できる期間は原則として「不適合を知った時から1年」となっており、どの時点で発生した瑕疵か不明である場合には後のトラブルにつながる可能性があるのです。

そのようなことのないよう、売買契約に、契約不適合責任免除特約を設けることを検討してみましょう。契約不適合責任免除特約を設定しておくことで、売買不動産の引渡し後に、契約不適合が発見された場合のリスクは、買主が負担することになります。

また、免除特約は幅広い設定が可能です。例えば、追及できる期限を3ヶ月~6ヶ月などのように限定したり、「雨漏りについては免除する」などのように条件を限定することも可能です。買主との交渉によって、これらの条件設定を柔軟に行うと良いでしょう。

3-3.専門性の高い不動産会社へ売却を依頼する

瑕疵物件の売却では、どの不動産会社へ仲介を依頼するのか、という点が非常に重要です。売主・買主双方のリスクが高くなるため、後のトラブルを避けるための契約書の作成や買主との交渉、スムーズな売却に繋がる高い販売力など、依頼先の不動産会社には様々な面で高い専門性が求められると言えます。

このような専門性の高い不動産会社を探すのであれば、複数の不動産会社へ査定・売却依頼ができる不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトは、物件情報を一度登録するだけで複数社の査定結果を比較することができるサービスです。

各サイトには物件情報を詳しく記載できる備考欄もあるため、「〇〇の欠陥があり、売却に向けたアドバイスが欲しい」「買取査定も同時に行ってほしい」などのように詳細を伝えることで、各業者の専門性を比較する際にも役立ちます。

下記、主な不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは悪徳業者の排除を積極的に行い、全国エリアに対応しているという特徴があります。

主な不動産一括査定サイト

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まとめ

物理的瑕疵がある不動産は売りにくいだけでなく、売主側には買主側からその瑕疵につき責任を追及されるリスクがあります。

物理的瑕疵のある不動産は、その瑕疵の部分を修繕したり、値引きをしたりして売却するのが有効です。土地付き建物である場合は、土地として売却する方法も検討してみましょう。売主側でそのような手間や費用をかけずに、スピーディーに現金化したい場合は、買取業者に売却することを検討してみると良いでしょう。

物理的瑕疵のある不動産を売却する際は、その瑕疵を売買契約書に明記して、買主側に告知することが大切です。告知しないと、売主に契約不適合責任が発生するため注意しましょう。

また、物理的瑕疵のある建物は契約不適合となるリスクが高いため、買主と交渉し、契約不適合責任を免除する特約を付けたり、期限や範囲について条件付けた特約を設定しておくことも大切です。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。