不動産への投資を考える際、不動産への直接投資以外にも、株式のように売買ができるJリートや、1万円・1ヶ月から始めることができるソーシャルレンディングといった投資の選択肢が広がってきました。投資初心者の方には、どれに投資をしていいか迷っているという方も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、以下にまとめた3つの投資の特徴やメリット・デメリットなどをそれぞれ詳しくご紹介していきたいと思います。
- Jリートの特徴、メリット・デメリット
- ソーシャルレンディングの特徴、メリット・デメリット
- 不動産投資の特徴、メリット・デメリット
Jリートの特徴、メリット・デメリット
比較項目 | Jリート |
---|---|
投資手法の概要 | 上場されている銘柄を売買して利ざやを稼ぐ、もしくは配当を受け取る。少額から投資ができる |
開始に必要な時間 | ○(少ない。口座開設や銘柄選定など) |
開始後に必要な時間 | △(ケースにより異なる。投資金額が大きくなればなるほど、銘柄の情報収集や分析をする時間が必要となる) |
本業に専念できるか | △(数百万円単位の投資をしていると1日の損失が1ヶ月分の給与に相当するケースもあり、値動きで仕事に身が入らなくなる人も多い) |
必要な自己資金 | △(購入のための自己資金が必要。信用取引を使えば、自己資金の3.3倍まで取引可能) |
開始後の費用 | △(証券会社ごとに売買手数料がかかる。信用取引をしている人は別途で費用がかかる) |
税金支払いの手間 | ○(売却時に譲渡所得税が、配当所得からは所得税が控除される) |
得られるリターン | △(ケースによる。大きな利益を出せる人もいるが、マイナスになるケースも。配当の場合は安定的に得られることが多い。) |
向いている人 | 少額で運用したい人、ハイリスク・ハイリターンで稼ぎたい人、日中も自由に時間が使える人、情報収集の速度や精度が高い人。 |
主なリスク | 政治・経済・金融などの動向や不動産の業界動向、株式市場などによる価格変動リスク、信用取引をしていると自己資金以上の借金を背負うリスクなど |
Jリートの特徴
Jリートは不動産を証券化した商品で、数万円程度の小口から購入することができます。株式の配当利回り(東証1部全体で1.5%)に比べてJリートの配当利回り(4%前後)は高いというメリットがあります。ただ、自己資金による投資が基本となるので、配当の利息だけで毎月数万円の収入を作ろうとすると、1000万円前後の元手が必要となります。
Jリートは価格変動リスクに注意
Jリートで最も気をつけなければいけないのは、価格変動リスクです。証券化されているために株式市場との連動性も高くなっており、年間で数十%の大きな値動きが生じる可能性があります。資産すべてをJリートで運用していると、暴落などがあった時に資産を大きく毀損してしまうリスクがあるので、あくまで資産の一部を分散投資しておくというのが良いでしょう。
ソーシャルレンディングの特徴、メリット・デメリット
比較項目 | ソーシャルレンディング |
---|---|
投資手法の概要 | ソーシャルレンディング会社と匿名組合契約を交わして資金を投資し、一定期間後に金利収入を受け取ることができる。 |
開始に必要な時間 | ○(少ない。口座開設やファンドの選定など) |
開始後に必要な時間 | ○(ほとんど必要ない。途中解約をしない限りは、満期になるまで待つだけ) |
本業に専念できるか | ○(専念できる。運用中の手間が無いため) |
必要な自己資金 | △(毎月数万円の利息を得るには、数百万円の投資が必要となる。ローンなどは使用できないので、全て自己資金で用意する必要がある) |
開始後の費用 | ○(解約しなければ特にかからないことが多い) |
税金支払いの手間 | △(分配金は雑所得となり、確定申告時に所得税が課税される) |
得られるリターン | ○(利回りは5%~10%程度と高い。様々なリスクもあるため注意が必要) |
向いている人 | 少額で運用したい人、自己資金に余裕がある人、分散投資をしたい人、本業に集中したい人、数ヶ月から数年単位の短中期で投資をしたい人。 |
主なリスク | 融資先が分からないリスク、事業会社の資金ショートリスク、担保の値下がりリスク、ソーシャルレンディング会社の信用リスクなど |
ソーシャルレンディングの特徴
ソーシャルレンディングは、インターネット上で貸し手と借り手をマッチングする仕組みです。貸し手が借り手に直接貸してしまうと「貸金業」という事業に該当してしまうため、貸し手とソーシャルレンディング会社の間で匿名組合契約という契約を結び、ソーシャルレンディング会社から借り手に融資するという仕組みになっています。
1万円・1ヶ月から投資ができて平均利回りは5%~10%ということで、投資初心者からの人気が高まってきています。現在、ソーシャルレンディングの投資対象は不動産事業者への融資がメインですが、海外事業者への融資など不動産以外のプロジェクトにも投資することができます。
ソーシャルレンディングは利回りが高い分、リスクも大きい
ソーシャルレンディングで注意をしなければいけないのは、借り手の倒産・資金繰りの悪化、ソーシャルレンディング会社の倒産などの貸し倒れリスクとなります。ソーシャルレンディングでは、投資するプロジェクトを選ぶことはできますが、投資先(借り手)を直接選ぶことはできないため、信頼できるソーシャルレンディング会社を選ぶことが大切です。
また、ソーシャルレンディングの投資資金は自己資金のみとなりますので、金利収入で年間数十万円を作りたい場合は1000万円前後の資金が必要となります。ソーシャルレンディングは新しい投資分野で、今後何が起こるかは未知数の部分もありますので、無くなっても困らない余裕資金の範囲で運用をするのが良いでしょう。
不動産投資の特徴、メリット・デメリット
比較項目 | 不動産投資 |
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投資手法の概要 | 保有している不動産や購入した収益不動産を賃貸で運用して家賃収入を得る、または不動産を売却して利ざやを得る |
開始に必要な時間 | ×(多い。物件の内見や売買契約締結、登記手続きなど) |
開始後に必要な時間 | ○(ほとんど必要ない。賃貸管理を外注するケースがほとんどで、自ら手を動かさなければいけないことはほぼ無いため) |
本業に専念できるか | ○(専念できる。運用・管理をすべて外注できるため) |
必要な自己資金 | ○(物件購入費がかかるがフルローンで賄うことができるケースも有る。初期費用は自己資金から捻出する) |
開始後の費用 | △(賃貸管理の外注費用:賃料の5%前後、固定資産税など) |
税金支払いの手間 | ×(印紙税、登録免許税、取得時の不動産取得税、毎年の固定資産税・所得税、売却時の譲渡税など) |
得られるリターン | ○(表面利回りは5%~10%と高い。費用や融資金利によって手残りが変動。好立地の場合は不動産の値上がりも期待できる) |
向いている人 | 給与や勤続が安定している人、本業に集中したい人、将来に向けて長期投資をしたい人。 |
主なリスク | 不動産価格の値下がりリスク、空室リスク、滞納リスク、天災リスク、融資金利の変動リスクなど |
不動産投資の特徴
不動産投資は、融資を利用することで大きな金額の投資ができるという点が特長です。特に、職業が会社員で勤続や給与が安定している方であれば、自己資金100万円で1億円の物件を購入するといったレバレッジが大きい投資をすることも可能となります。投資額がJリートやソーシャルレンディングよりも大きいことに加えて利回りも5%~10%と高いため、少ない自己資金からスタートしても毎月大きな収入を得ることができ、将来に向けての資産形成手段として人気があります。
不動産投資のリスクと対処
不動産投資で最も注意すべき点は空室リスクです。年間の利回りは家賃収入によって決まるため、入居が集まらないと家賃が入らず、利回りも実現できないことになってしまいます。そのため、入居率の実績が高い不動産投資会社をパートナーに据えて取り組むことが大切です。
ただ、賃貸の入居率は家賃の引き下げやフリーレント(入居後一定期間の家賃が無料になる仕組み)などを多用することで、高くすることができてしまう指標でもあります。まずは、入居率の高い会社の資料請求や投資初心者向けのセミナーなどに足を運び、入居率がどのように算出されているか、なぜ高い入居率が実現できているのか、築10年後・築20年の物件の家賃は購入時と比べていくらになっているかといったことを詳しく情報収集してみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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