インターネット上には、アパート経営の会社や物件に対して数多くの評判が出回っています。あるサイトを見ると会社の良い評判が乗っているのに、他のサイトや掲示板などでは悪い評判が書かれている、という状況ですので「どの情報を信じれば良いかが分からない」という声も少なくありません。
この記事では、ネット上の評判について知っておきたいポイントや玉石混交の情報の中から、どのように信頼できる会社を探し出すか、といったことを解説していきたいと思います。
良い評判・悪い評判はどちらを信頼すればよいか?
以下は、同じアパート経営の会社を利用した投資家の良い評判と悪い評判の例となります。
営業の人がリスク説明をきちんとしてくれた事に感謝してします。じっくりと考えた方が良いですと助言してくれたのは今でも覚えています。成功したのは、立地の面が大きいでしょう。わたしが購入した土地は、交通の面では西武新宿線で新宿まで約1時間ほどかかるものの、周辺はのどかな町並みで犯罪件数もさほどなく安全性は高いエリアでした。エリアでの需要と供給が上手い具合で一致したんだと思います。
不動産投資をして副収入を得ようと考えて、不動産投資会社に行き、営業マンの口車に乗りました。担当して頂いた営業マンから、失敗した時のリスク等の説明を受けましたが、大きな損失を出すことになりました。 場所が悪いのか、全く入らず、空き室満載の状態です。家賃を下げると入るだろうと言われますが、家賃を下げてしまうと利回りも落ちてしまい、どうにもならないような最悪の状況となっております。
このように、一つのアパート経営会社に対して、良い評判と悪い評判が両方あったときに、どちらを信頼すれば良いのでしょうか?それを知るためには、評判の「内容」と「時系列」の2つについて理解を深める必要があります。
まず、会社の評判についての内容を大別すると、以下のように5つに分けることができます。
- 購入時の営業対応(リスクや契約の十分な説明、コンプライアンス姿勢)
- 融資実績(金利条件、自己資金割合など)
- 物件に対する満足度(エリア、物件のクオリティ)
- 物件の賃貸管理(入居率、クレーム対応、滞納状況など)
- その他のサポート(確定申告、節税や資産運用アドバイスなど)
上記それぞれの項目に対して良い・悪いという評判がつくため、前述の例で言うと「営業がリスク説明をきちんとしてくれた(購入時の営業対応が良かった)」という良い評判と「立地が良くない」といった悪い評判にそれぞれ分けることができます。そのため、今見ている評判が、上記のどの評価項目にあたるのかを意識しながら見ていくと、「この会社は、営業対応はしっかりしているものの、立地については課題がありそうだな」といったような情報整理ができるかと思います。
また、評判が「どの時点に言及したものか」という時系列的な視点も重要です。アパート経営は10年単位で行う長期投資ですので、社歴が長くなるほど古い物件が出回るようになります。築年数が20年を超えるような古い物件は、築浅物件と比べて競争力が劣るため、設備や入居率などにも不満が出やすくなります。良い評判よりも悪い評判のほうが世の中に出回りやすいので、サービスに満足している人は特に情報発信をせず、不満を抱いている人が積極的に書き込みを行うといったことも念頭に入れておきたいポイントです。
以上を踏まえ、ある会社について書き込みをしている人の保有している物件や利用しているサービスが、最近のものか古いものかを意識して見てみると良いでしょう。その裏付けが取れない場合には、話半分で評判を見ておく必要があります。これからアパート経営を始める方は、今現在の物件を購入することになりますので、昔の物件について言及された評判を参考にしてしまうと、判断を誤ることになってしまい注意が必要です。
個別の物件に関する評価は、必ずしも会社全体の評価と一致していないこともありますので、今見ている評判が個別の物件について言及したものか、会社全体のサービスや体制に言及したものなのかを見極めることも大切です。
評判+入居率で信頼できる会社を見極める
評判内容について正しく判断ができるようになったら、一歩進んで確認をしておきたいのが会社の実績です。「評判」は定性的な情報なので、定量的な指標である「入居率」をセットで確認することで、より確かな情報に昇華することが可能です。
では、入居率が高ければ何でもいいのかというとそんなことはなく、併せて会社の設立からの年数を見ておくことが大切です。なぜかというと、築浅の物件は入居検討者からの人気が高いので、入居率も自然と高くなるためです。一方、築年数が長くなれば物件の魅力が相対的に低くなるため、物件の入居率は段々と落ちてきます。特にアパートは法定耐用年数が22年なので、半分以上を過ぎた築15年前後から入居率が落ちやすいと言われています。以下は、地域銀行のサンプル調査ですが、築年数が15年を超えると空室率が大きく上がっていることが分かります。
一方、アパート経営会社の入居率の実績については、もう少し長い目でチェックする必要があります。アパート経営会社が公表している入居率は、管理戸数全体の平均を取ることが多いのですが、この「平均を取る」という点が気をつけなければいけないポイントです。会社は設立1年目よりも、設立15年目のほうが資本や実績、営業体制などが充実していることが多く、物件も開発しやすい状況にあるため、15年目のほうが棟数・戸数を多く供給できるケースが多いのです。棟数・戸数を数多く供給できれば、設立15年目以降も全体の物件に占める築浅物件の戸数割合を高く維持できるので、その後の数年間は入居率が下がりにくいという構図になるというわけです。
そのため、アパート経営会社の真価が問われるのは、新しく引き渡す物件の占める割合が全体の数値に大きく影響しなくなる20年目前後からと考えたほうが良いでしょう。アパート経営会社のなかで、社歴が長く、入居率も高い会社はシノケンプロデュースという会社です。この会社は、設立年数が1990年と創業から28年近くが経っているにも関わらず、入居率は99%(2018年3月末)と非常に高い数値を実現しています。
また、入居率の数値だけでなく、それを支える要因についてもしっかりと確認をしておきたいところです。たとえば、上述のシノケンプロデュースのサイトを見てみると、高い入居率を実現するポイントとして、「首都圏のターミナル駅から電車で30分圏内・駅徒歩10分圏内という好立地」「オーダーメイドのデザイナーズアパート」「入居者に実施したアンケートをもとに人気の設備を標準設置」などの要因が分かります。このように、入居率の数値とそれを支える要因まで詳細に見ていくと、その会社の特徴を自分なりに把握することができるようになります。
まとめ
株式投資には「噂で買って、事実で売れ」という格言がありますが、不動産投資の場合は「噂(評判)を調べて、事実(入居率)で買え」ということになるかと思います。株式投資などに比べるとアパート経営を始めるまでには時間に余裕があるため、気になった会社の評判を整理し、入居率の実績や設立年数、入居率の要因などを調べて、本当に信頼できる会社かどうかの裏付けを取ってみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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