投資初心者でも始めやすく、手間がかからないのが「ほったらかし投資」です。この記事では、投資歴20年以上の筆者の観点から、ほったらかし投資の手法と、メリット・デメリットについて解説します。
目次
- ほったらかし投資とは
- ほったらかし投資のメリット
2-1.手間がかからない
2-2.預貯金よりも高い利回りが期待できる - ほったらかし投資のデメリット
3-1.短期間で大きく資金は増えない
3-2.何もしないでいいわけではない - 主なほったらかし投資の手法
4-1.投資信託の積立投資
4-2.iDeCoとつみたてNISAを利用する
4-3.ロボアドバイザー - ほったらかし投資の利益確定のタイミング
5-1.目標金額に達したとき
5-2.状況に応じて換金を考える - まとめ
1.ほったらかし投資とは
ほったらかし投資とは、あらかじめ投資のスタンスを決めて仕組みを作り、なるべく手をつけずに放置しておく投資方法のことです。投資信託などを購入しながら、毎月自動的に資金を積み立てていく方法が一般的です。
最近は、いくつかの質問に答えるだけで、事業者がAI(人工知能)を活用して投資配分し、適切な投資商品を選び、運用してくれる「ロボアドバイザー」もあります。手間がかからず、手軽に始められる投資方法です。このように、「ほったらかし投資」は専門知識の少ない初心者でも気軽に始められるメリットがあるのです。
最近は、仕事を早期にリタイアして経済的自立を図る方法として「Financial Independence, Retire Early」(FIRE)が注目されています。しかし、厚生年金などの公的扶助が手厚い日本では、仕事を辞めると老後資金が不足するリスクが高くなります。ですから、投資で副収入を確保しながら、早めに老後資金を準備することが大切です。
2.ほったらかし投資のメリット
ほったらかし投資のメリットについて解説します。
2-1.手間がかからない
難しい投資知識を身につけることなく、手間をかけずに投資できるのが「ほったらかし投資」のメリットです。
投資に興味はあっても「難しそう」「時間がない」と、なかなか行動に移せない方は多いと思います。しかし、ほったらかし投資なら、事前に投資環境を整えておけば、投資経験の少ない方でも気軽に投資を始められますし、仕事が忙しくても投資で利益を狙うことができます。
本業の仕事が一番大事ですが、仕事をしながら副業として投資で稼げれば、二足のわらじで資産形成ができるのが大きなメリットなのです。
2-2.預貯金よりも高い利回りが期待できる
定期預金などでお金を増やそうと考えている人もいますが、超低金利の今、時間をかけてもお金を増やすことはほぼ不可能です。銀行の定期預金の金利は大手行でも0.002%(2022年4月時点)ですが、ほったらかし投資なら3~5%程度の利回りを狙うこともできます。
もちろん、投資は元本が保証されているわけではないので、必ず増やせるというわけではありません。それでも、ほったらかし投資なら放置していても大きな利益を狙えるので、チャレンジしてみる価値はあります。貯めるなら普通預金、増やすなら投資と使い分けるようにしてください。
3.ほったらかし投資のデメリット
ほったらかし投資のデメリットについても解説します。
3-1.短期間で大きく資金は増えない
ほったらかし投資のデメリットは、短期間で大きく資産を増やせないことです。これは、ほったらかし投資が長期投資を前提とした投資法であるためです。そのため、短期間で大きく儲けたい人には向いていません。
株式投資の信用取引やFX(外国為替証拠金取引)などの短期投資では、数分で決済されるスキャルピングや、1日以内に決済されるデイトレードといった手法があり、大きな利益を狙うことも可能です。しかし、リスクも高くなりますし、マーケットをずっと監視しなければいけません。
一方のほったらかし投資は、長期で安定したパフォーマンスを発揮するため、複利で着実に資産を形成したい方に適した投資方法です。
3-2.何もしないでいいわけではない
ほったらかし投資は、放置しても大丈夫な投資手法として人気がありますが、まったく何もせずに放置するのはリスクが高くなります。たとえば、購入した金融商品の価値が大きく下落した場合、長い間放置しておくと損失がどんどん膨らんでしまいます。また、ある金融商品が大きく値上がりして、その商品ばかりに資産が偏ってしまうと、リスク分散効果が薄れてしまう恐れがあります。
ただし、毎日チェックする必要はありません。1カ月に1回程度、運用状況を確認すれば十分です。また、ほったらかし投資は長期投資である以上、必ず値下がりする時期があるので、焦らず慎重に投資を続けるようにしましょう。
また、「購入した時から値段が10%下がったら売る」など、自分なりのルールを作っておくことも有効です。
4.主なほったらかし投資の手法
具体的なほったらかし投資の手段・手法を解説します。
4-1.投資信託の積立投資
ほったらかし投資では、投資信託の積立投資が人気です。投資信託を長期で保有することで、長期・分散投資による複利の恩恵を受けることができ、長期的な利益を目指しながら相場下落時に損失を被るリスクを低くできるからです。
投資信託は、国内外の債券や株式を自分で選んで組み合わせることも可能ですが、時間と手間がかかります。株式や債券などに自動的に配分して分散投資してくれる「バランスファンド」を利用すれば、ほとんど手間をかけずに将来の資金を作ることができるので便利です。
4-2.iDeCoとつみたてNISAを利用する
投資信託のつみたて投資では、「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」を利用するようにしてください。iDeCoとは、国民年金や厚生年金などの公的年金にプラスして利用できる私的年金制度。公的年金とは異なり、加入の申し込み、保険料の拠出、保険料の運用は自分で行います。
受給額は、保険料と運用益の合計額で決まり、国民年金・厚生年金との組み合わせでより豊かな老後生活を送れます。iDeCoは、掛け金が全額所得控除になり、運用益も非課税、受け取る時も控除があるというメリットがあるのです。ただし、掛金は60歳を迎えるまで引き出せません。
そして、つみたてNISAは、2018年1月にスタートした新しい少額投資非課税制度で、年間の非課税投資枠の範囲内で、分配金や譲渡益が非課税となります。非課税投資枠は年間40万円で、投資期間が最長20年であることから最大800万円(40万円×20年)が非課税で運用できるのです。つみたてNISAは、毎月少額ずつコツコツと投資し、長期的な資産形成を目指す方に適した制度です。
iDeCoとつみたてNISAの口座を開設して積立投資を始めるようにすると良いでしょう。
4-3.ロボアドバイザー
投資一任型のロボアドバイザーも、ほったらかし投資に適しています。ロボアドバイザーとは、投資家に代わって資産運用のアドバイスや投資支援を行ってくれるサービスです。主なものにWealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO+docomoなどがあります。
具体的には、ユーザーのリスク許容度に応じて、最適なポートフォリオ(資産の組み合わせ)を提案してくれます。さらに、投資一任型では、ユーザーは投資資金を預けるだけで、ポートフォリオに沿った購入や資産の入れ替えが自動的に行われるため、投資初心者でも簡単にほったらかし投資ができるのです。
5.ほったらかし投資の利益確定のタイミング
ほったらかし投資は、どのタイミングで利益確定をすればいいのでしょうか。私は主に、以下の2つを判断基準としています。
5-1.目標金額に達したとき
ほったらかし投資を始めるときは、あらかじめ目標金額を決めておきましょう。20年後に資産2,000万円を目標にしていても、途中で2,000万円に達していれば、投資信託などを売却するようにします。
5-2.状況に応じて換金を考える
お金が必要になったからと投資信託を換金する場合もあります。しかし、日常生活などに必要なお金は、普通預金口座などで別に保有しておくことが基本です。すぐにお金が必要だからといって投資信託の売却を急ぐと、タイミングによっては大きな損失を被ることになる可能性があるからです。
投資信託は、長期運用の資金で購入するのが原則です。それでも、時間が経つにつれて、資金を使う予定の時期が近づいてくる場合もあります。そんな時は、使用予定の数年前から売却を考えておくようにしてください。値動きのある投資信託の場合、使用時期直前に相場が大きく下落すると、これまでの運用成果が大きく損なわれる可能性があるからです。
購入のタイミングを分散するように、売却のタイミングを分散することで、タイミングによる価格変動のリスクを最小限に抑えることができます。
まとめ
今回は、ほったらかし投資の始め方や利益確定のタイミングを紹介しました。ほったらかし投資は、投資経験の少ない初心者でも気軽に始められるメリットがあります。ただし、投資は元本が保証されているわけではないので、必ず余裕資金で運用するようにしてください。
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山下耕太郎
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