将来の入居者、Z世代が住まいに求める条件は?意識調査結果や今後の不動産投資への影響・ポイントも

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不動産投資で主要なターゲットの一つとなる単身世帯には大学生〜若い社会人が多く含まれます。1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代を意味するZ世代では、今後多くの人が成人し、一人暮らしを始める時期に差し掛かかっていきます。

今後の賃貸需要をうまく捉えていくためには、Z世代の住まいに対する条件を踏まえて、ニーズを満たす物件でアパートやマンション経営を行うのが不動産投資における有効な選択肢の一つとなるでしょう。

今回は、将来の入居者となり得るZ世代が住まいに求める条件について、今後の不動産投資への影響やポイントを踏まえながら解説していきます。

目次

  1. Z世代とは?
  2. Z世代が住まいにおいて重視するポイントとは?
    2-1.ライフステージによって住まいを変えたい人が多い
    2-2.通勤・通学に便利な立地を重視
    2-3.機能性に対する意識が高い
    2-4.男性は恋人との同棲を好み、女性は一人暮らしを好む
    2-5.約20%が「推し」のためのスペースを持つ
    2-6.物件の不動産収集ではインターネットを重視
  3. 今後の不動産投資への影響やポイント
    3-1.アクセス良好な路線の駅近物件の市場価値が一層高まる
    3-2.占有面積が広く、設備が充実した物件がさらに好まれるように
    3-3.無料のネット環境やIoT導入物件の付加価値が向上
    3-4.ネット配信とSNSを活用した情報発信の重要性が高まる
    3-5.太陽光発電のある物件の需要が高まる可能性
  4. まとめ

1 Z世代とは?

「Z世代」とは、1990年代の終わり〜2010年代初頭にかけて生まれた世代を指します。2023年時点で10代〜20代前半であり、今後さらに成人し、独立する人が増える世代でもあります。Z世代の特徴としては次のような点が挙げられます。

  • デジタルネイティブ
  • 創造性と自己表現の重視
  • 実用性の重視
  • 環境保護、ESGへの意識が高い

Z世代は幼い頃にはすでにPCが普及していて、まもなくスマートフォンによりオンライン上でのコミュニケーションが一般化した世代です。そのためインターネットを通じた情報収集やコミュニケーションが得意で、他世代よりもテクノロジーを積極的に活用すると言われています。

例えば、総務省の「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、Z世代が該当する10~20代の情報収集のツールとして、インターネットの使用割合が他世代と比較して大きいことが指摘されています。

また、個人の自己表現やクリエイティブな表現に強い興味を持っています。自身をブランディングするかのように、他と差別化する意識が強く、個性を明確にするために積極的に情報を発信します。

一方で、実用的で効率的な価値観を持っているため、価値を感じないものには時間やコストを割かず、キャリアや実用的な知識やスキルの習得には積極的に取り組みます。

最後に環境問題もしくはESGに対する感性が強い世代でもあります。彼らは幼い頃から環境保護やESGといった概念に触れてきた世代のため、ESGへの貢献度の高さを物事の評価軸の一つとする意識が根付いているのです。

2 Z世代が住まいにおいて重視するポイントとは?

Z世代の独特な感性は、彼らの住まい選びにも表れています。すでに一部のZ世代の人たちは一人暮らしを始めていてもおかしくない年齢に達していますが、今後ますます自分で物件を選んで入居するZ世代が増えていくと考えられます。そのため、今後の不動産投資を行ううえでは、彼らの住まいに対する考え方を捉えておくことが大切です。

今回は、株式会社SHIBUYA109エンタテイメント「Z世代の住まいに関する意識調査」とアットホーム株式会社「Z世代のライフスタイルに関する調査」の調査結果をもとに、Z世代が住まいにおいて重視するポイントについてまとめました。

2-1 ライフステージによって住まいを変えたい人が多い

アットホームの調査によると、Z世代では「ライフステージによって住まいを変えていきたい」という人が64.3%と多くなっています。自分のライフステージごとに、その時の価値観にあっていて、利便性の高い場所・住居に住みたいという意識が強いことが伺えます。

住まいを頻繁に変えたいということは裏を返せば、持ち家よりも賃貸暮らしを好む、もしくは仮に購入するとしても売却しやすい物件を好むということも類推できます。

2-2 通勤・通学に便利な立地を重視

アットホームの調査における「住まい選びにおいて最も重視するポイント」に対する回答としては「通勤・通学に便利」であることが51.5%でトップになりました。

立地はいつの時代も重要な要素ではありますが、実用性を重んじるZ世代にとってはとりわけ優先順位の高い項目となっています。3番手にはスーパーマーケットが近い(43.8%)、4番手に最寄駅が近い(37.5%)が入っていることからも、利便性を尺度とした立地選びに重きをおいている様子が伺えます。

2-3 機能性に対する意識が高い

アットホームの調査によると、Z世代が最も必要とする設備は独立洗面台(37.6%)でした。ただし、他のアンケートと比較すると1位の得票率は少なく、モニタ付きインターホン(33.8%)やインターネット無料(33.0%)など他にも得票率が高い設備は複数見られました。

そのほか、オートロックや2口コンロ、宅配ボックスなども高い得票率となりました。機能性を重視する特性と、自己表現の一つとして身だしなみを重視する世相、そして何より情報収集の手段として最も重要なインターネットへの接続のしやすさが重視される傾向が浮かび上がります。

なお、SHIBUYA109エンタテイメントも見てみると、男性は物件選びにおいて「家賃」を重視する人が69.2%と高かったですが、女性は家賃のほかに「間取り」「部屋の広さ」「防犯設備」などの項目も高く、女性の方が総合的な機能面をふまえて物件選びをおこなう傾向が伺えます。

2-4 男性は恋人との同棲を好み、女性は一人暮らしを好む

SHIBUYA109エンタテイメントの調査によると、女性は53.0%が一人暮らしを好むという結果になりました。一方で男性は一人暮らし希望が女性よりやや低い40.5%で、恋人・パートナーとの暮らしを望む人が38.0%と女性より約2倍多くなっています。

一人暮らし、同棲の意向はライフステージによって変化しうるものである点には留意が必要ですが、結果を額面通りに捉えると、女性の一人暮らしが今後増えてくる可能性が想定されます。

2-5 約20%が「推し」のためのスペースを持つ

以前は「オタク」と言われたポップカルチャーなど特定のものを強く好み、グッズやコンテンツを収集する活動を今では「推し活」と言います。

Z世代においてはオタク活動や推し活が一般化しており、アットホーム調べによると約半数がなんらかの「推し」を持っている状況です。また「推しをもつ層」の約40%、全体に対する割合として約20%が「推しのためのスペースを確保している」とのことです。

Z世代の一定割合の人は、推し活スペースを加味して少し広めの物件や書斎などがついた物件などを好む可能性が考えられます。

2-6 物件の不動産収集ではインターネットを重視

最後に、物件の探し方にもZ世代の特徴がよく表れています。SHIBUYA109エンタテイメントの調査によると、物件の情報収集方法について男性の1位(39.0%)及び女性の2位(39.0%)が不動産情報サイトやアプリとなっております。インターネットによる情報収集を得意、かつ重視する世相が見事に反映されていると言えるでしょう。

なお、双方とも3位には「検索エンジンで検索」が入っています(男性26.0%、女性27.0%)。これも事実上インターネットを活用することが前提となることを踏まえると、多数の人がインターネットを通じた情報収集を活用していることが伺えます。

また、男性の4位(15.0%)、女性の同率3位(27.0%)にはInstagramがランクインしています。SNSを積極的に活用するのもZ世代の特徴ですが、その中でもビジュアルによる情報発信に長けたInstagramを通じた情報収集が不動産においては積極的に行われています。

なおアットホームの調査の方では、知らない番号から電話がかかってきた時に「番号の出所を調べてから掛け直す」という回答が52.2%で多数派となっています。明示はされていないものの、インターネット上で検索して素性を確認するケースが多いと推測されるため、電話連絡をする際にもインターネットによる情報収集が介在すると考えられます。

3 今後の不動産投資への影響やポイント

Z世代による賃貸需要が当面は高まると想定される中、不動産投資で貸し出す賃貸物件についても、Z世代に好感される物件の方が賃貸需要を獲得しやすいと期待されます。ここからはZ世代による入居需要の拡大に伴う、不動産投資への影響を紹介していきます。

3-1 アクセス良好な路線の駅近物件の市場価値が一層高まる

不動産投資においても入居需要が見込みやすい条件として、駅から徒歩10分以内の利便性の高い物件、その中でも最寄駅がその大都市のターミナル駅まで至近であればさらに付加価値が高い、といったトレンドがありました。

Z世代の賃貸市場への流入により、今まで以上に付加価値の高い駅から至近の物件が選考されるようになるでしょう。大都市については現代では徒歩10分以内であればおおむね賃貸需要が見込める傾向にありますが、中でも駅に近い物件との需要や賃料の差が拡大する可能性も想定されます。

投資する物件を選ぶ際には、これまで以上に最寄駅までの距離と、駅の利便性にこだわる必要が出てくるでしょう。

3-2 占有面積が広く、設備が充実した物件がさらに好まれるように

「推し活」に代表されるようにZ世代は自分の趣味や自己表現のための所有物が相対的に多い傾向にあります。そのため、これらの所有物を置くスペースを確保したいと考えるZ世代が多いと想定されます。

近年は自治体によっては狭小区画の物件を新たに建てられなくなるなどの制度変更も相まって、賃貸の一区画の占有面積や間取りは広がっていくものと想定されます。すでに首都圏以外では大阪・名古屋クラスの大都市でも単身世帯向けのアパート・マンションでワンルームではなく、1LDKの区画取りをする物件も多くなっています。

また、Z世代が欲しがる設備として筆頭に上がった「独立洗面台」は単身世帯向けのアパート、マンションでも設置する物件が出てきています。オートロックや宅配ボックスについても、近年の新築物件では設置する物件が増加傾向にあります。

設備を充実させようとすれば購入・新築のコストは高くなると懸念されますが、Z世代のニーズを確実に捉えるためには、快適で設備が充実した物件で賃貸経営を行うのが良いでしょう。

3-3 無料のネット環境やIoT導入物件の付加価値が向上

Z世代の多くの人にとってスマホとネット環境は生活において必需なものとなっております。少なくともインターネット回線を敷ける状態になっていることはZ世代の需要を集める上で必須要件に近いと言えます。

また、インターネットの通信料や、スマートフォンのデータ容量不足などはZ世代にとって負担や課題となりがちです。その点、自宅のインターネットが無料の物件は好感されやすいでしょう。

前述した2社のアンケートでは明示的には出ていませんが、スマートフォンやインターネットと接続して使うIoT設備のある物件も、インターネットネイティブで実用性を重視するZ世代にとって付加価値が大きいと言えるでしょう。実際に単身用の賃貸アパート・マンションの中には、鍵や照明の管理を専用アプリで行える物件も出つつあります。

例えば、アクセルラボが提供しているスマートライフ・プラットフォーム「SpaceCore」を導入することで、スマートホーム化を実現している「インヴァランス」では、最先端のIoT導入により入居者満足度の向上と物件の差別化に成功し、入居率は99.79%(2020年1月時点)となっています。

その他、グループの管理戸数47,000戸以上(2023年12月末時点)の実績と入居率98.56% (2023年年間平均入居率)の実績があるアパート経営会社の「シノケンプロデュース」では、2019年7月以降の新築アパートに対して建物全体・全部屋に各種IoTセンサーが標準装備されています。スマートロックや窓の異常を検知するウィンドウセキュリティ、部屋の家電を操作できるスマートセンサーなどがあり、入居者の快適性・安全性を高めています。

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3-4 ネット配信とSNSを活用した情報発信の重要性が高まる

すでに賃貸物件のポータルサイトは広く普及していますが、Z世代はとりわけWeb上の情報を重視する傾向が伺えます。物件のWeb上で物件の魅力が正しく伝わる物件がZ世代の需要を集めやすいでしょう。

また「検索エンジン」を多用する傾向も見られることから、ポータルサイトに掲載した物件が上位表示されると入居者を獲得しやすいと期待されます。

その他、新たな潮流としてInstagramを通じた情報収集が、Z世代の不動産探しにおいては広がっています。この傾向は今後も強まる可能性が高いと想定されるため、賃貸物件におけるSNSマーケティングの重要性も高まるでしょう。

これらの工夫は直接的には客付けを行う管理会社が行う領域ですが、投資家としては、WebマーケティングやSNSマーケティングに長けた管理会社に管理を任せるのが有効な選択肢となるでしょう。

仲介会社から入居を検討している顧客へ電話連絡しても、インターネットで安全性が確認できなければつながらないリスクが高くなっています。消費者から信頼を得られる実績を持ち、適切な情報公開を行っている管理会社・不動産仲介会社を利用することも大切です。

3-5 太陽光発電のある物件の需要が高まる可能性

Z世代は早くからESGという概念に触れてきた世代で、ESGへの貢献を重視する傾向にあります。

このような傾向は、日常生活において太陽光発電付きの物件に住むことはZ世代にとって非常に相性が良いと考えることができます。環境負荷の低いエネルギーを使うことによるESGへの貢献、電気代の引き下げや安定化に寄与するという実用的なメリットを両立できるからです。

Z世代の賃貸需要が拡大するにつれて、太陽光発電付きの物件を好む人が増えていく可能性があると言えます。なお、太陽光発電を導入するメリット・デメリットについてはこちらの記事でも紹介しているので、ご参考ください。

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まとめ

1990年代後半〜2010年代初頭の世代であるZ世代において成人する人が多くなるなかで、Z世代による賃貸需要が今後拡大していくものと想定されます。

少子高齢化が続く日本の不動産市場の中であっても長期にわたり入居者を獲得していくためには、Z世代のニーズをとらえた物件で不動産経営を行うことの重要性も高まります。

今回の記事をもとに、Z世代に強い物件の取得やリフォーム、そしてZ世代をターゲットとした客付けに強いと期待できる管理会社の活用などを検討してみると良いでしょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。