マンション投資で見逃されやすい「設備費用」とは?購入前のチェックポイントも

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投資用マンションを購入する際は初期費用に目が行きがちですが、長期間の運用を行うには住宅設備に関する費用にも注意が必要です。

住宅設備によって寿命が異なり、その度に交換や修理費用を支払うことになります。細かな費用にも思えますが、長期的な資産運用を行ううえでは小さなランニングコストでも大きな負担になり得るため、収支シミュレーションにしっかり落とし込む必要があります。

そこで今回のコラムでは、投資用マンションの住宅設備に関する費用について解説し、購入前のチェックポイントも紹介します。

目次

  1. マンションの住宅設備とは
  2. 住宅設備の交換時期と費用の目安
    2-1.建具類の交換時期と費用の目安
    2-2.水回りの交換時期と費用の目安
    2-3.設備機器の交換時期と費用の目安
  3. 投資用マンションを購入する前のチェックポイント
    3-1.建具類のチェックポイント
    3-2.水回りのチェックポイント
    3-3.設備機器のチェックポイント
  4. 設備保証プランを設けている不動産投資会社4社
    4-1.プロパティエージェント
    4-2.湘建
    4-3.エイマックス
    4-4.クリアルパートナーズ
  5. まとめ

1 マンションの住宅設備とは

住宅設備とは、日常生活に欠かせないもの、あるいは快適な暮らしに役立つものとして住宅内に設置されている設備のことです。生活に溶け込んでいることもあり、普段は気づかないことが多いですが、下記のような設備が設置されています。

住宅設備の分類 代表的な住宅設備
建具類 壁紙、床材、窓、サッシ、網戸、戸、扉、間仕切り、畳など
照明設備 蛍光灯、シーリングライト、ダウンライト、フットライト、スポットライトなど
厨房・調理設備 システムキッチン、ガスコンロ、IHクッキングヒーター、シンク、収納棚、レンジフード、食器洗浄乾燥機など
浴室・給湯設備 ユニットバス、ガス給湯器、電気給湯器など
洗面設備 洗面化粧台、洗濯パンなど
トイレ設備 トイレ、シャワートイレ、手洗い台、収納棚、タオルハンガーなど
空調・換気設備 エアコン、ストーブ、換気扇、ファンヒーターなど
そのほかの住宅設備 物干しハンガー、太陽光発電システム、床暖房、インターホン、警報器など

これらの住宅設備は寿命があり、やがて故障や劣化が起きることになります。投資用マンションを購入する場合、新築でも、中古でもそれは同じです。自身で住む場合は我慢するケースでも、入居者に快適な居住空間を提供するマンション投資の場合は適切なニーズの把握と対策が必要と言えるでしょう。

2 住宅設備の交換時期と費用の目安

この項目では、投資用マンションを運用する上で交換や修理が必要になる代表的な住宅設備について、おおよその寿命と、修理・交換費用の目安を紹介していきます。

2-1 建具類の交換時期と費用の目安

劣化が進みやすいのは壁紙やフローリングなどの床材です。また網戸も破損しやすく、交換時期の目安が比較的短期間になっています。確認していきましょう。

設備 交換時期の目安 交換費用の目安
フローリング 15〜20年 10,000円〜30,000円/㎡
壁紙 10年 1,000円〜1,500円/㎡
サッシ 10〜15年 30,000円〜50,000円
網戸 5〜10年 張り替え:1,000円〜5,000円
フレーム交換:10,000円〜50,000円

床材や壁紙などは、交換する範囲によって費用が異なるのが通常です。例えば、6畳の部屋を20,000円/㎡のフローリングで張り替えるのであれば、9.72㎡×20,000円=194,400円が目安となります。

フローリングの場合は部屋ごと張り替えるような工事が必要になることがありますが、壁紙の場合は一部だけ張り替えるといったことも行われます。また壁紙は部屋の印象を変えることができるため、劣化していなくても張り替えを行うケースも考えられます。

2-2 水回りの交換時期と費用の目安

キッチンやバスルーム、トイレなどは水を使用するため汚れがつきやすく、見学の際に入居検討者が詳しくチェックする場所でもあります。それぞれについて見ていきましょう。

設備 交換時期の目安 交換費用の目安
キッチン 15〜20年 100,000円〜600,000円
ガスコンロ 10年 30,000円〜50,000円
換気扇 10〜15年 30,000円
独立洗面台 10〜15年 50,000円〜100,000円
ユニットバス 15〜20年 500,000円〜800,000円
トイレ(便器) 10〜15年 50,000円〜100,000円
シャワートイレ 10〜15年 30,000円

キッチンやユニットバスの寿命は、20年前後など比較的長めになります。ただし、古さを感じやすいため、入居者が退去した際にチェックをし、汚れや傷が目立つようであれば修理や交換などを検討するようにしましょう。

また、全体を交換するのではなく、水栓のパッキン、排水口まわり、シャワーヘッド、カーテンレール、浴室鏡など寿命に関わらず細かな部品の交換が必要になることもあります。

2-3 設備機器の交換時期と費用の目安

エアコンや給湯器など、設備機器は入居者が快適に暮らすために必要になります。主な設備機器と交換費用や交換時期について詳しく見ていきましょう。

設備 交換時期の目安 交換費用の目安
エアコン 15〜20年 50,000円〜200,000円
給湯器 10年 50,000円〜300,000円
モニター付きインターホン 10〜15年 50,000円

設備機器の劣化を抑えるには、メンテナンスを欠かさないことです。空室時に適切にメンテナンスや清掃を行うことに加えて、入居者の方へは丁寧な使用を促すなどの対策を行うと良いでしょう。

3 投資用マンションを購入する前のチェックポイント

新築の投資用マンションを購入する場合は、住宅設備の交換や修理などはしばらく必要ないと考えられますが、中古の投資用マンションを購入する場合は築年数に応じて交換や修理を見越してチェックしておく必要があります。

そこでこの項目では、中古の投資用マンションを購入する前の住宅設備に関するチェックポイントを紹介していきます。

3-1 建具類のチェックポイント

部屋の印象を大きく左右するのが壁紙です。まずは大きな汚れがないか、確認しましょう。注意したいのは窓や換気口付近の状態です。またキッチン周りや洗面所では油ハネや水汚れがないかチェックしてください。壁紙の張り合わせの部分は劣化すると剥がれてくる可能性がありますので、状態把握を忘れないようにしましょう。

フローリングの場合は、傷やへこみがないか確認しましょう。リペアしている場合は、丁寧に行われているかもチェックポイントとなります。扉や戸、間仕切りなどは大小の傷のほか、開け閉めのしやすさやドアノブの状態も確認しておくと良いでしょう。

3-2 水回りのチェックポイント

水回りでまず確認したいのは水栓の状態です。蛇口をひねり、水が正常に出てくるか確認しましょう。空室状態の場合は水道が止められている可能性もありますが、水が出なくても蛇口をひねることで蛇口の状態がある程度わかります。

キッチンの場合は特にシンクの状態を確認しましょう。取れにくい汚れが付着していないか、小さな傷がついていないかなどがチェックポイントです。収納棚の開け閉めをしてみて、開けにくい棚がないか、汚れが付着していないかも確認しましょう。

バスルームでは黒カビが発生していないか確認します。担当者の許可を得て、シャワーを出してみるのもいいでしょう。トイレは便器の汚れ具合を確認し、シャワートイレがある場合には状態を確認したいところですが、こちらも担当者の許可を得るようにしましょう。

3-3 設備機器のチェックポイント

費用が高額になりやすい設備機器のチェックは特に入念に行いましょう。特に気をつけたいのがエアコンや給湯器です。適切な知識が無いと状態確認が難しいこともありますが、エアコンの場合はカビ臭くないか、給湯器の場合は通常運転しているか、などは最低限確認しておくと良いでしょう。

また、交換時期の目安が把握しやすくなるため、設置年や製造年などの確認もしておきましょう。物件を購入する際に取扱説明書が付属されるのかもあわせて確認しておきます。

通常、不動産売買契約の際には物件と同時に引き渡す設備に関して、付帯する設備とその状態などが記された「付帯設備表」が売主側から用意されます。契約を交わす際はこの「付帯設備表」について丁寧な説明を求めるようにしましょう。

自身がチェックした状態と異なり、不具合が気になる場合は、納得いくまで説明してもらうことで後々のトラブルを回避することができます。

ただし、中古マンションのオーナーチェンジで物件を購入する際は室内の状態が確認できず、付帯設備については入居前の情報が記載されていることがあります。長期入居者がいるオーナーチェンジの場合は正確な付帯設備の状況が分からないこともあるため、注意が必要です。

4 設備保証プランを設けている不動産投資会社4社

設備に関する交換や修理費用は高額になりやすいため、キャッシュフローが悪化したり、手持ちの資金が減少してしまうなどマンション経営に影響を与えてしまいます。

そうした不安を解消するために、管理業務を提供している不動産投資会社やマンション開発・販売会社、あるいは仲介業務を担う大手不動産会社では、設備に関する保証を設けているケースがあります。管理や仲介を予定している不動産会社に、設備保証に関するプランが用意されているか事前に確認しましょう。

下記、設備保証を設けている不動産投資会社4社を紹介します。設備保証付きの不動産投資会社の利用を検討されている方はご参考ください。

4-1 プロパティエージェント

プロパティエージェントのマンション投資プロパティエージェントは、東京23区・横浜エリアに集中したマンション開発により高い入居率を実現している東証プライム上場グループ企業です。新築マンションと中古マンションを両方扱うハイブリッド型の会社で、新築では土地選定から建物の企画開発までをワンストップで手がけることで品質を担保したマンション供給を実現しています。

設備保証サービスは、同社で購入した新築・中古、他社ブランド物件すべてを対象にしたプランです。6品目が対象となる「プランA」(月額1,480円)と、13品目が対象になる「プランB」(月額4,980円)の2種類のプランがあります。1回の修理代が10万円までで、修理回数は無制限で、物件の築年数は問われないのも特徴です。

名称 設備保証サービス
保証料 月額1,480円、月額4,980円
内容 「プランA」はルームエアコン、給湯器などの6品目、「プランB」は「プランA」の6品目にインターホン、ガラスなどの6品目がプラス

4-2 湘建

湘建は、東京・横浜エリアの新築・中古ワンルームマンションの販売を手がける不動産投資会社です。駅徒歩8分以内という好立地のワンルームマンションにこだわることで、入居率99.7%(2020年11月末実績)を実現しており、物件価格は2,000万円~2,500万円が多く他のマンション投資会社と比べると購入しやすい価格帯となっています。

管理プランは「集金代行システム」と「家賃保証システム」の2種類が用意されています。このうち「家賃保証システム」は、設備トラブルによる修理費や、原状回復のための修繕費用が含まれています。

名称 家賃保証システム
管理手数料 査定賃貸料金の10%
内容 査定家賃の90%を保証するほか、設備トラブルがあった場合の修理費も保証。また原状回復のための修繕費なども保証

4-3 エイマックス

A-MAX(エイマックス)エイマックスは、顧客の資産(Asset)の最大化(MAX)を社名・理念として掲げる不動産投資会社で、東京23区の投資用マンションの仕入れ・販売を手掛けています。日本でトップの不動産販売実績(※)を有する代表の天田 浩平氏を中心に少数精鋭の営業体制できめ細やかなサービスを提供しています。(※投資用マンション部門 天田氏の個人取引実績 年間最高売上高83.9億円)

管理業務は、家賃保証と設備保証のどちらもセットになっているのが特徴です。管理業務を依頼すると、物件購入から3年間は設備交換および内装工事費用は同社が負担する内容となっています。

名称 サポートシステム
管理手数料 月額2,200円(税込)
内容 設備交換および内装工事費は、物件購入後3年間は何度でも無料。家賃保証は、物件購入後5年間は空室発生60日経過後から入居決定までの期間、査定家賃の80%を保証

4-4 クリアルパートナーズ

クリアルパートナーズクリアルパートナーズは、公認会計士資格を持つ社長が運営している不動産投資会社です。ライフプランニングの選択肢の一つとして不動産を提案するというスタンスなので、押し売りされる不安なども少なく、資産運用・資産設計全般の相談をすることが可能です。物件は都心5区を中心に中古ワンルームマンションを取り扱っており、入居率も98.8%(2019年1月末時点)と高い水準となっているのも特徴です。

賃貸管理サービスは、「低コストプラン」「設備保証プラン」「完全保証プラン」の3種類を用意しています。このうち、「設備保証プラン」と「完全保証プラン」には、設備保証が含まれています。

名称 設備保証プラン、完全保証プラン
管理手数料 月額4,500円(税別)、相場家賃の15%(税別)
内容 設備保証プランは設備の修理・交換を保証。完全保証プランは設備保証と空室保証がセット

まとめ

マンション投資では、物件そのものに加えて住宅設備の経年劣化も避けられません。しかしマンション購入時は設備の劣化について見落としてしまい、購入後に修理や交換などで多額の費用を支払ってしまうなどの失敗も見られています。

今回のコラムでは、それぞれの設備の交換時期や費用の目安、事前のチェックポイントなどを紹介しました。購入時に築年数を念頭に置きながら丁寧に物件を見極めるほか、設備に関する契約内容についても適切な説明をしてもらうようにしましょう。

住宅設備の劣化について不安な場合は、設備保証制度を用意している不動産投資会社や管理会社、仲介会社の利用も検討されてみると良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。