住友化学のESG・サステナビリティの取り組みは?配当情報も

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住友化学は、事業経営の一環としてESG・サステナビリティにも積極的に取り組んでいます。この記事では、住友化学のESG・サステナビリティに対する具体的な取り組み内容をご紹介します。住友化学に関心のある方や、ESG投資を検討している方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年12月5日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 住友化学の特徴
  2. 住友化学のESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.ESG・サステナビリティに関する重要課題
    2-2.重要課題に対する主要取り組み指標
    2-3.重要課題に対する実績
    2-4.ステークホルダーとのコミュニケーション
    2-5.外部からのESG評価
  3. 住友化学の業績・株価動向
  4. 住友化学の配当推移
  5. まとめ

1 住友化学の特徴

住友化学は、住友グループに属する国内の大手総合化学メーカー企業です。国内大手銀行の三井住友銀行とともに住友グループの中核企業を担っており、創業から100年以上の事業歴のある老舗企業になります。

住友化学は、「エッセンシャルケミカルズ部門」「エネルギー・機能材料部門」「情報電子化学部門」「健康・農業関連事業部門」「医薬品部門」という5つの事業部門が設けられており、各事業部門で製造された化学製品、半導体材料、農薬品、医薬品などを販売提供しているのが特徴です。

住友化学は、企業内だけではなく国や社会にも利益をもたらすという「公益との調和」を事業精神の中で強く求めています。それに加えて、「新しい価値創造への挑戦」「人類社会の発展への貢献」「社会から信頼される企業風土を形成する」という3つの経営理念を掲げています。

このような事業精神と経営理念に基づき、持続可能な社会の実現に貢献するため、事業活動の中でESG・サステナビリティの取り組みを行っています。

2 住友化学のESG・サステナビリティの取り組み

住友化学を含む住友化学グループは、持続可能な社会の実現に貢献する目的で、「経済価値と社会価値の創出の推進」「国際社会の重要課題の解決」「ステークホルダーとの協働」など、ESG・サステナビリティの取り組みを行う際の推進基本原則を定めています。

その上で、スローガンとして「Change and Innovation〜with the Power of Chemistry」を掲げ、中期経営計画を策定しています。この計画には、住友化学の強みである事業・技術・地域・人材の多様性を活かし、さらなる成長機会を狙うために社会変容に対応した広義のGX(グリーントランスフォーメーション)を推進することで、社会課題の解決に貢献するという目的があります。

住友化学の中期経営計画の基本方針は、以下の通りです。

  • 事業ポートフォリオの効率化(事業の強化と変革)
  • 財務体質の改善
  • 次世代事業創出の加速
  • カーボンニュートラルへ向けた責務と貢献
  • デジタル革新による生産性向上と事業強化
  • 持続的成長を支える人材の確保と育成・活用
  • コンプライアンスの徹底と安全・安定操業の継続

2-1 ESG・サステナビリティに関する重要課題

住友化学を含む住友グループは、2018年に初めて持続的な価値創出のための重要課題を特定して公表しましたが、その後社会状況が変化したことに伴い、重要課題の特定事項を2021年に見直しています。

2021年に見直された持続的な価値創出のための重要課題の特定事項は、「社会価値創出に関する重要課題」と「将来の価値創造に向けた重要課題」に分けられ、内容は以下の通りです。

社会価値創出に関する重要課題 将来の価値創造に向けた重要課題
・環境分野への貢献(気候変動の緩和と適応、資源循環への貢献、自然資本の持続可能な利用など) ・イノベーションの推進
・食糧分野への貢献(持続可能な農業の推進など) ・DX(デジタルトランスフォーメーション)による競争力強化
・ヘルスケア分野への貢献 ・人材、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、育成、健康、成長
・ICT関連分野への貢献

2-2 重要課題に対する主要取り組み指標

住友化学は、持続的な価値創出のために特定した重要課題ごとに、主要取り組み指標を以下のように設定しています。

重要課題 主要取り組み指標
環境分野への貢献 ・住友化学グループの温室効果ガス排出量削減
・製品ライフサイクルを通じた温室効果ガス排出削減貢献量(電池関連)
・SSS認定製品の開発・普及の促進によって持続可能な社会を構築するための解決法の提供
・合理化努力によってエネルギー消費原単位指数を継続的に改善する
・石化関連環境負担低減技術の普及に貢献するため技術ライセンス数を獲得する
・環境負担低減技術を普及させて炭素資源循環を促進させる
食糧分野への貢献 ・動物たんぱく源の継続的増産に貢献する
・アグロソリューション資材が使用された農地面積を増やして継続的な食料安定供給に貢献する
ヘルスケア分野への貢献 ・熱帯感染症対策資材により守られた人数を増やす
・アンメットメディカルニーズ(有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ)の高い地域での継続的な医薬品の創出
ICT関連分野への貢献 ・偏光フィルムを使用したモバイル端末数を増やして多様な働き方や生産性の向上に貢献する

2-3 重要課題に対する実績

社会価値創出に関する重要課題の環境分野への貢献において、住友化学グループの温室効果ガス排出量につき、2020年は742万トンで2013年時点(954万トン)より212万トンの削減を達成しています。また、SSS認定製品の開発・普及の促進による売上収益は、2015年の2,756億円から2020年には4,633億円まで増加しています。

一方、食糧分野への貢献では、2018年の300万トン強から2020年は500万トン弱まで動物性たんぱく源の増産効果を上げています。アグロソリューション資材が使用された農地面積においても、2020年時点で8,000万ヘクタールを超えています。

ヘルスケア分野への貢献においては、熱帯感染症対策資材により守られた人数が2020年の1年間で4億人を超えています。ICT関連分野への貢献においては、偏光フィルムを使用したモバイル端末の2007年〜2020年までの累積数は32億台となっています。

このほか、将来の価値創造に向けた重要課題で、人材、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、育成、健康、成長において課長相当職以上の女性社員の割合と男性社員の育児休業取得率で成果を上げています。例えば、2021年4月時点の課長相当職以上の女性社員の割合は6.3%、2020年の男性社員の育児休業取得率は63.8%となっています。

2-4 ステークホルダーとのコミュニケーション

住友化学を含む住友グループが定めるサステナビリティ推進基本原則には、「ステークホルダーとの協働」を掲げています。そのため、ESG・サステナビリティの取り組みを行う中で、株主・投資家、顧客、取引先、従業員などのステークホルダーとのコミュニケーションを大切にしています。

住友グループは、「開示面で示す」「対話面で示す」という2つの方法でステークホルダーとのコミュニケーションを図っており、「開示面で示す」とは、必要な情報を公開して各取り組みの進捗状況を報告したり、社会の要請や外部の評価を検討した上で改善を図って適切な開示につなげたりすることを指します。

一方、「対話面で示す」とは、各ステークホルダーと実際に対話を行い、その中で寄せられた意見に基づいて改善を図ったり、新たな取り組みにつなげたりする方法となっています。

2-5 外部からのESG評価

住友化学のESG・サステナビリティの取り組みは、外部からも高い評価を受けています。例えば、環境省は、ESG・サステナビリティの取り組み内容を表彰する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を2019年より開催しており、2021年度の第3回において、住友化学は環境サステナブル企業部門の銀賞を受賞しています。

2021年〜2022年におけるその他の受賞実績は以下の通りです。

年月日 実績
2021年2月19日 「第24回環境コミュニケーション大賞」の環境報告部門において、2020年に続き優良賞を受賞
2021年3月5日 経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)ホワイト500」に4年連続で認定
2021年3月8日 公益社団法人化学工学会による2020年度の化学工学会賞において「女性賞」を受賞
2022年4月27日 企業のESG関連の取り組みを評価するエコバディス社(本社:フランス)によるサステナビリティ調査で、3年連続「ゴールド」評価を獲得
2022年5月20日 一般社団法人日本化学工業協会主催の第54回日化協技術賞「総合賞」を受賞

3 住友化学の業績・株価動向

住友化学の2020年3月期〜2022年3月期までの業績は、以下の通りです。

(百万円)

決算期 売上 営業利益 経常利益 当期利益
2020年3月期 2,225,804 137,517 130,480 30,926
2021年3月期 2,286,978 137,115 137,803 46,023
2022年3月期 2,765,321 215,003 251,136 162,130

売上は、2020年3月期から増加傾向にあり、2022年3月期には2兆2000億円台から2兆7000億円台まで伸びています。営業利益は、2020年3月期から2021年3月期において若干減少していますが、2022年3月期は前年より50%以上増加しています。

経常利益と当期利益も2020年3月期からは増加傾向にあり、2022年3月期において、経常利益は前年の80%以上、当期利益は前年の250%以上増加しています。また、2022年3月期の業績のうち、売上、経常利益、当期利益は過去最高を記録しました。

なお、2023年3月期の業績予想は、売上が3兆1800億円、営業利益が1,150億円、当期利益が1,050億円となっています。

住友化学の株価は、2022年11月30日より前の直近1年間において、460円から590円の範囲内で上下しながら、やや下落傾向にあります。2022年1月17日に598円、2022年3月28日に595円の値を付けましたが、その後は590円台を更新することなく株価が推移しています。

株価は2022年8月24年に569円の値を付けた後、下落が始まり、2022年10月1日には、500円を割って494円の値を付けました。さらに2022年11月1日に下落が加速し、2022年11月2日には461円まで株価が下がっています。2022年11月4日以降は、株価が反転して上昇傾向となり、2022年11月30日時点の株価は498円となっています。

住友化学は11月1日に決算を発表しましたが、その中で2023年3月期の年間利益の予想が1,250億円から1,050億円へ下方修正されたため、株価が大きく下落しました。今後もこのようなネガティブな要因が出てきた場合、株価の下落につながる可能性もあります。

しかし、住友化学の持つ技術で製造した化学製品、半導体材料、農薬品、医薬品などを提供して新しい価値を提供できれば、株価上昇なども期待できます。また、ESG・サステナビリティの取り組みによって、持続可能な社会実現に貢献することで、ESG投資家から評価されて株価上昇する可能性もあります。

4 住友化学の配当推移

住友化学は、株主に対して優待品を送る株主優待制度を設けていませんが、株主への還元を経営の最重要課題の一つと考え、株主配当を実施しています。住友化学は、各期の業績、配当性向、将来の事業展開に必要な内部留保の水準などを総合的に考慮した上で、株主配当を行うことを基本とし、中長期的には継続して配当性向30%程度を達成することを目指しています。

2014年3月期〜2022年3月期の9年間における住友化学の1株あたりの配当金の推移は以下の通りです。

年度 1株あたりの配当金額(中間) 1株あたりの配当金額(期末)
2014年3月期 6円 3円
2015年3月期 6円 3円
2016年3月期 8円
(普通配当6円・記念配当2円)
6円
2017年3月期 7円 7円
2018年3月期 10円 12円
2019年3月期 11円 11円
2020年3月期 11円 6円
2021年3月期 6円 9円
2022年3月期 10円 14円

住友化学の1株あたりの配当金額は、2016年3月期の期末配当額が3円から6円に上がり、それ以降2019年3月期まで増配傾向にありました。2020年3月期と2021年3月期は、新型コロナウィルスなどの影響による業績下降で一時的に減配傾向となりましたが、2022年3月期は前年期との比較で、中間4円、期末5円、年間合計9円の増配となっています。

2023年3月期は、中間で1株当たり12円が配当されています。期末の配当金額も12円の見込みで、年間合計配当額は2022年3月期と同様に24円になる予定です。

まとめ

住友化学の事業精神と経営理念の内容は、ESG・サステナビリティに関連しています。住友化学は、基本原則、中期経営計画、重要課題、主要取り組み指標などを定めた上で、ステークホルダーとのコミュニケーションを図りながら、ESG・サステナビリティの取り組みを行うなど、ESG投資に適した銘柄です。

住友化学のESGやサステナビリティに関心のある方は、ご自身でもよくお調べの上、検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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