立ち退きが必要なアパートを売却する手順は?3つの方法と注意点も

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建て替え前提でアパートを売却する場合、入居者がいるのであれば立ち退き交渉を進める必要があります。

しかし、立ち退き交渉がうまくいかなかった場合は建て替えのスケジュールが建てられず、売却が長期化してしまうことになります。立ち退き交渉でのトラブルを避けながら、スムーズに売却を進められるよう対処していくことが重要です。

この記事では、立ち退きが必要なアパートを売却する手順と3つの方法、注意点について解説します。アパート売却や立ち退き交渉の手順に悩んでいた方はご参考下さい。

目次

  1. 立ち退きが必要なアパートを売却する手順
    1-1.立ち退き理由を入居者に説明する
    1-2.立ち退き料の交渉を進める
    1-3.退去に向けた手続きを進める
    1-4.アパートを売却する
  2. 立ち退きが必要なアパートの売却方法
    2-1.立ち退き交渉を売却後の買主に任せる
    2-2.立ち退き交渉後に売却する
    2-3.不動産会社に買取を依頼する
  3. 立ち退き交渉をする際の注意点
  4. まとめ

1.立ち退きが必要なアパートを売却する手順

アパートに入居者が入居したままではなく、退去してから売却する場合、入居者に立ち退きの交渉を行わなくてはならないため、スムーズに売却まで進まない可能性があります。

スムーズに売却まで進めるには、立ち退きが必要なアパートを売却する手順をあらかじめ把握しておくことが重要です。売却手順は以下の通りです。

  1. 立ち退き理由を入居者に説明する
  2. 立ち退き料の交渉を進める
  3. 退去に向けた手続きを進める
  4. アパートを売却する

それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。

1-1.立ち退き理由を入居者に説明する

まず、入居者に立ち退き理由を説明します。「築年数経過に伴う経年劣化を理由に〇月〇日に建物を解体する」と、入居者に退去が求められている状況を書面で伝えます。

ただし、後のトラブルに発展してしまう可能性を下げるためにも、書面を送付するだけでなく、書面を送付した後は、入居者一人一人へ説明して理解を得るようにしましょう。

入居者は立ち退きに必ず応じなければならないというわけではないため、入居者の理解が得られなければ売却をスムーズに進められません。少しでも理解を得やすくするためにも、丁寧な対応と説明を心がけましょう。

1-2.立ち退き料の交渉を進める

立ち退き理由を入居者に説明した後は、立ち退き料の交渉に移ります。

立ち退く入居者は、引っ越し先の初期費用の支払い、引っ越し業者の手配など、費用負担が発生します。そのため、立ち退きに速やかに応じてもらうために、貸主は入居者に立ち退き料を支払い、入居者へ極力負担がかからないように配慮しましょう。

立ち退き料には、引っ越し先の敷金や礼金、前払い家賃、引っ越し費用などが含まれます。規模の大きなアパートの場合、立ち退き料の負担が大きくなるため、どの程度の資金が必要になるか、おおよその資金計画を立てておきましょう。

1-3.退去に向けた手続きを進める

立ち退き料の交渉もまとまり、立ち退きに応じてもらえることになった後は、退去に向けた手続きに移ります。

契約解除の手続きを行いますが、入居者が気持ち良く退去できるように、最後の1ヶ月の家賃を半額または免除する、原状回復費用を免除して敷金を返還するといった工夫も検討してみましょう。

交渉が難航して退去に向けた手続きに移ることができなければ売却が先送りになるため、交渉が不安な人は管理会社や仲介不動産会社へ相談し、専門家のサポートを受けながら交渉を進めましょう。

1-4.アパートを売却する

入居者の退去が完了した後は、いよいよアパートの売却に移ります。アパートの売却では、アパートを解体して更地として売却するか、残したまま売却するか決める必要があります。

解体して更地として売却すると解体費用がかかる一方、買主の解体費用や手間の負担が減るため、高く売却できる可能性が高まります。

ただし、解体費用以上の金額が価格に上乗せできるかどうかは保証されていません。仲介を依頼する不動産への相談や、買主と交渉を経て、慎重に検討するようにしましょう。

2.立ち退きが必要なアパートの売却方法

立ち退きが必要なアパートの売却方法として、以下の3つが挙げられます。それぞれのメリットとデメリットをよく理解してから売却に臨むことが重要です。

  • 立ち退き交渉を売却後の買主に任せる
  • 立ち退き交渉後に売却する
  • 不動産会社に買取を依頼する

2-1.立ち退き交渉を売却後の買主に任せる

立ち退き交渉がうまくいかなかった場合は、売却が長期化してしまうことになります。立ち退き交渉に自信がない場合は、交渉を売却後の買主に任せるという方法が検討できます。

これにより、売主は立ち退き交渉にかかる負担または立ち退き料の負担を軽減できます。しかし、立ち退き交渉の手間や費用負担を買主が背負うことになるため、売却価格の減額交渉を受けるなど、その他の面で買主へのメリットとなるように条件設定を行う必要があります。

2-2.立ち退き交渉後に売却する

立ち退き交渉後に売却するという方法であれば、買主への負担はなく、スムーズに売却が進みやすいと言えます。

ただし、6ヶ月~1年程度をかけて立ち退き交渉を行い、そこから売却に取りかかることになるので売却完了までの時間が長くなる傾向があります。

交渉がうまくいかず、訴訟で建物の明け渡しを求めることになると、さらに売却完了までの時間がかかる点に注意しておきましょう。

2-3.不動産会社に買取を依頼する

できるだけ早く不動産を売却したい場合には、不動産会社に買取を依頼するという方法も検討してみましょう。

不動産会社が自ら買主となる買取では、不動産会社が新たな買主を募集しないため売却が速やかに進みます。また、不動産会社に仲介を依頼した場合、売買契約が成立すると不動産会社に仲介手数料を支払わなくてはなりませんが、買取の場合は支払う必要がない点もメリットと言えるでしょう。

しかし、不動産会社に買取を依頼する際は、市場価格より2~3割程度安くなります。そのため、価格よりも売却スピードを優先したい場合に検討しやすい手段となります。

不動産会社によって買取価格は異なります。買取を検討するのであれば、複数の不動産会社に相談して買取価格が高いところを選びましょう。

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通常は仲介依頼時の査定価格となりますが、査定の備考欄に「買取も検討しているので、買取額も査定してほしい」などのように記載しておくことで、買取時の価格を知る際にも利用可能です。アパート売却のパートナーとなる不動産会社を探している場合は、利用を検討してみましょう。

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3.立ち退き交渉をする際の注意点

立ち退き料を支払うことで立ち退きに応じてくれるケースは少なくありませんが、全ての入居者が立ち退きに応じてくれるとは限りません。

立ち退きに応じてくれなかった場合、最終的には建物明渡請求訴訟を裁判所に提訴、裁判を行うことになります。両者が和解した場合は和解内容、判決が下された場合は判決内容に従います。

しかし、判決が下されても、入居者が出ていくとは限りません。その場合は、裁判所に再度強制執行の申し立てを行わなくてはならず、手間と時間がかかるので注意が必要です。立ち退き交渉に応じてもらうためにも、入居者と良好な関係を築いておきましょう。

まとめ

立ち退きが必要なアパートを売却する際は、一般的なアパート売却とは異なり、立ち退きの交渉を行わなくてはならないため、手間と時間がかかります。

そのため、少しでも速やかに売却にたどり着くには、アパートを売却する手順、売却方法や注意点をあらかじめ把握しておくことが重要です。

また、交渉に応じてもらいやすくするためにも入居者と良好な関係を築いておきましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。